おすすめのPLCを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
製造業向けのPLC(シーケンサー)主要20製品を、タイプと入出力点数、処理速度、ネットワーク、開発ツール、長期供給の5つの比較項目で整理。標準価格の公開状況と費用の内訳、企業の特徴ごとの選定ポイントまで解説します。

PLC(シーケンサー)は、センサーやスイッチの入力に応じて、機械や設備を決められた順序で動かす制御装置です。タイプや入出力点数、対応するネットワーク、開発ツールによって、向く用途は大きく変わります。この記事では、製品ページのある主要20製品を同じ評価軸で並べました。基礎知識から選び方、費用の考え方までを整理します。
小型の装置を低コストで制御するなら:標準価格を公開しているIDEC FC6A形 MICROSmartや三菱電機 MELSEC iQ-Fシリーズが候補
大規模ラインで制御と安全を統合するなら:オムロン NX502シリーズやAllen-Bradley ControlLogix 5590が候補
止められない設備を二重化で守るなら:富士電機 MICREX-SXシリーズや東芝 ユニファイドコントローラ nvシリーズが候補
稼働データを上位システムやクラウドへ送るなら:シュナイダーエレクトリック Modicon M262やWAGO PFC300が候補
PLCは、制御する装置の規模と、つなぐ機器の規格が合うかを、最初に確認すると比べやすくなります。基礎から知りたい方はPLCとはの記事、製品全体はPLC(シーケンサー)のカテゴリページもご覧ください。
この記事でわかること
PLCの基礎知識
PLCは、工場の機械や設備をプログラムに沿って動かす制御装置です。生産ラインや搬送装置、検査装置など、自動化の中心に置かれます。まず、構成の違いとプログラムの書き方、つなぐ相手を押さえましょう。
ビルディングブロック型と一体型・小型
ビルディングブロック型は、CPUユニットに各種のユニットを組み合わせるタイプです。入出力や通信、位置決め、アナログのユニットを選んで足します。装置の規模に応じて、構成を広げられる点が特徴です。
一体型・小型は、入出力などをCPU側に内蔵したタイプです。小さな装置なら、ユニットを足さずに制御できます。一方で、入出力点数や拡張の幅には上限があります。
ラダーとIEC 61131-3の言語
PLCのプログラムは、リレー回路に似たラダーで書くのが基本です。製品によっては、ST(構造化テキスト)やSFC、FBDも使えます。これらは、IEC 61131-3で定められた言語です。
対応する言語は、メーカーのツールによって異なります。ラダーだけの製品もあれば、C/C++などの高級言語を同じCPUで動かせる製品もあります。現場が習熟した言語で書けるかは、確認したい点です。
産業用ネットワークとつなぐ相手
PLCは、サーボやインバータ、リモートI/O、HMIなどと、産業用ネットワークでつながります。代表例は、EtherNet/IPやPROFINET、EtherCAT、CC-Link IEです。
上位のSCADAやMESへ、設備の稼働データを渡す役割もあります。OPC UAやデータベース接続、クラウド送信に対応する製品もあります。接続先に合う規格かを、先に確かめましょう。
編集部メモ:PLCは、CPUだけでは制御を始められません。電源やベース、入出力ユニット、プログラミングソフトが別売の製品もあります。構成全体で比べる必要があります。
PLCの基本的な選び方
PLCを選ぶ際には、制御する装置の規模と、つなぐ機器の規格を先に整理することが重要です。この2点が合わない製品は、他の仕様が良くても使えません。次の4つの観点で整理しましょう。
入出力点数と拡張性を見積もる
最初に、装置全体の入力と出力が合計で何点になるかを数えます。センサーやスイッチ、ソレノイド、サーボなどを書き出し、アナログや位置決めの有無も整理しましょう。
将来の増設も見込んでおきましょう。ユニットを足せるタイプと、本体の点数が上限のタイプとでは、拡張の余地が違います。ユニットの台数に上限がある製品もあるため、確認が必要です。
処理速度とプログラム容量を確認する
処理速度は、命令の実行時間やスキャンタイムで示されます。高速な位置決めや割込み応答が必要な装置では、この値が制御の質に直結する要素です。
プログラム容量は、ステップ数やメモリの大きさで示されます。工程が複雑になるほど、また大量のデータを扱うほど、余裕が要ります。選んだCPUの型式でも、カタログの最大値が出るかを確かめましょう。
ネットワークと開発ツールの適合を見る
既存の設備が使う産業用ネットワークに、対応しているかを確認します。サーボやインバータ、リモートI/Oがつながらなければ、制御そのものが成り立ちません。
開発ツールは、ラダーやSTなど現場で使う言語を扱えるかを見ます。既存のプログラム資産を引き継げるかも、切り替えの手間を左右します。ツールが有償か無償かも、費用に響く点です。
長期供給と保守体制を確認する
PLCは、導入後に長く使われる機器です。交換部品を長く入手できるか、後継機への移行を支援する仕組みがあるかを確認しましょう。推奨交換周期を示す製品もあります。
国内に窓口があるか、日本語の資料が揃っているかも、トラブル時の対応に影響します。選定の進め方はPLCの選び方の記事も参考にしてください。
PLCの比較項目
製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。PLCで見る項目は次の5つです。互いに関連するので、まず表で全体像をつかみましょう。
比較項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
タイプと入出力点数・拡張性 | 一体型かビルディングブロック型か。必要な点数を満たし、増設の余地があるか |
処理速度とプログラム容量 | 命令の実行時間はどれくらいか。ステップ数やメモリが工程の規模に足りるか |
対応する産業用ネットワーク | EtherNet/IP・PROFINET・EtherCAT・CC-Link IEなど、既存設備の規格に対応するか |
プログラミングツールと言語 | ラダー・STなど現場の言語を扱えるか。ツールは有償か無償か |
長期供給・保守体制と国内サポート | 保守部品の供給期間、後継機への移行支援、日本語の資料と窓口があるか |
タイプと入出力点数・拡張性
PLCの規模感を大きく分ける項目です。一体型は入出力を本体に内蔵し、ビルディングブロック型はユニットを組み合わせて構成します。小さな装置と大規模ラインでは、向くタイプが異なります。
入出力点数は、本体の最大点数だけでなく、リモートI/Oを含めた上限も見ましょう。拡張ユニットの台数に上限がある製品や、増設で使用周囲温度の条件が変わる製品もあります。
処理速度とプログラム容量
処理速度は、基本命令の実行時間やスキャンタイムで比べる項目です。数値が小さいほど速いという見方が一般的です。ただし、カタログの値は特定の条件下の値である場合があります。
プログラム容量は、ステップ数やメモリサイズで表される値です。同じシリーズでも、CPUの型式によって容量が異なる製品があります。必要な工程数とデータ量に合う型式かを確かめましょう。
対応する産業用ネットワーク
サーボやインバータ、リモートI/Oなどとつなぐための項目です。メーカーごとに、採用する規格が異なります。代表例は、EtherNet/IPやPROFINET、EtherCAT、CC-Link IEです。既存の機器が使う規格への対応が前提です。
上位システムとの連携も、あわせて見ます。OPC UAやMQTT、データベース接続に対応する製品もあります。ネットワーク機能が同時に使えない組み合わせがないかも、仕様書で確認しましょう。
プログラミングツールと言語
プログラムを書く環境を比べる項目です。ラダーに加えて、STやSFC、FBDに対応するかを見ます。IEC 61131-3に準拠しているかも確認点です。製品によっては、C/C++の高級言語も使えます。
ツールの費用も確認したい点です。ソフトが別売の製品もあれば、基本版を無償で提供する製品もあります。シミュレーションやデバッグの機能も、立ち上げ時間に影響します。
長期供給・保守体制と国内サポート
PLCは長期間使う機器なので、この項目では保守部品の供給期間を見ます。受注終了の品番がある製品もあり、選定時に現行品番の確認が必要になります。後継機への移行を支援するツールの有無も、判断材料です。
国内の窓口や、日本語の資料の充実度も影響します。海外メーカーの製品では、日本語の詳細資料が少ない場合があります。導入後の問い合わせ先を、事前に確かめておきましょう。
自社に合ったPLCの選定ポイント
比較項目のどこに重点を置くかは、自社の状況で変わります。企業の特徴ごとに、確認する順番を整理しました。自社に近いものから読んでください。
単体の装置や小型機械を製造する企業
装置メーカーや、設備1台ごとにPLCを載せる企業です。入出力点数が限られるため、I/O内蔵の一体型や小型のタイプで足ります。まず確認したいのは、必要な点数とモーションの軸数です。
標準価格を公開している製品も複数あり、予算の見通しを立てやすい分野です。CPU以外に、電源や開発ソフトが別売かを確認し、総額で比べましょう。装置を大型化する予定があれば、同じシリーズで上位機へ移れるかも見ておきます。
大規模ラインを統合制御する企業
多数の設備と安全機器をつなぎ、1つのラインを制御する企業です。入出力点数やネットワーク機器の数が多いため、ビルディングブロック型の上位CPUが候補になります。拡張の上限と、安全制御を同じCPUで扱えるかが判断材料です。
価格は、構成ごとの見積もりになる製品が中心です。CPUの型式ごとに容量や軸数が異なるため、必要な規模での仕様を確かめましょう。立ち上げ後に保守を担う人員の習熟も、見込んでおく必要があります。
止められない設備を持つ企業
連続運転のプラントや、停止による損失が大きい設備を持つ企業です。CPUや電源、ネットワークの二重化に対応するかが、最初の確認点です。計装制御と電気制御を同じシリーズで扱える製品もあります。
二重化の範囲は、製品によって異なります。CPUだけか、ネットワークや電源まで含むかを、仕様書で確かめましょう。推奨交換周期や長期供給の方針も、計画的な更新を考える材料になります。
稼働データを上位システムやクラウドへ集めたい企業
設備の稼働データを、MESやSCADA、クラウドへ送りたい企業です。OPC UAやMQTT、データベース接続に対応するかが判断材料になります。制御とデータ収集を、1台で兼ねられる製品もあります。
通信の認証や暗号化の対応範囲も確認しましょう。モデルによって対応が異なる製品があります。IT部門が関わる場合は、セキュリティ認証の取得状況も、判断材料に加えます。
既存のPLC資産を更新する企業
古くなった制御盤を更新する企業です。現行のI/Oやプログラム資産を、どこまで引き継げるかが焦点になります。同じメーカーの後継機なら、I/Oの流用やプロジェクトの変換に対応する場合があります。
メーカーを変える場合は、プログラムの書き換えと、周辺機器との通信の再確認が必要です。新旧の品番で互換性がない製品もあるため、モジュールの入れ替えを見込みましょう。移行支援ツールの有無も、作業量に影響します。
PLCの費用相場
PLCは、CPUの性能だけでなく、電源やベース、入出力ユニット、開発ソフトの構成で費用が変わります。製品ページのある20製品のうち、標準価格を公式サイトで公開しているのは5製品です。残りの15製品は、問い合わせや照会で確認する必要があります。
費用の内訳 | 費用を左右する要因 | 公開されている目安(2026年時点) |
|---|---|---|
CPU(小型・一体型) | 入出力点数、内蔵する通信・位置決め機能、電源の方式 | I/O内蔵の一体型で49,500円から(税の表記なし)。オールインワン型は67,500円から(注文合計欄は税別表示) |
CPU(モジュール型・ビルディングブロック型) | プログラム容量、処理速度、モーション・安全・二重化の有無 | 低価格型CPUで税別58,500円から。最小構成のCPUは55,000円から(税込・税抜の表記なし)で、上位のCPUには530,000円の例がある |
CPU(モーション内蔵の標準モデル) | 同期できる軸数、内蔵する通信の規格 | 税抜350,000円から1,298,000円までの価格表を公開する例がある |
電源・ベース・入出力ユニット | 点数、アナログや位置決めなどユニットの種類、増設の台数 | 別売の製品がある。金額はCPUのみ公開している例がある |
開発ソフト | 有償か無償か、ライセンスの形態 | 有償ソフトで税抜182,000円の例がある。基本版を無償で提供する製品もある |
通信・安全・冗長化のオプション | 追加の通信ユニット、安全CPU、二重化の範囲 | 公開なし |
電源やI/Oユニット、開発ソフトを足すと、総額はCPU単体の価格より大きくなります。必要な点数とネットワークの規格を決めてから、構成ごとの見積もりを複数社から取りましょう。費用の考え方はPLCの費用相場の記事でも整理しています。
【比較表】PLCのランキング
製品データとして数値化できる4項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。工程管理・設備保全・現場での使いやすさ・中小適合の4つを、5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べました。
順位 | 製品 | 提供元 | 工程管理 | 設備保全 | 現場での使いやすさ | 中小適合 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | IDEC株式会社 | 3 | 4 | 4 | 5 | IDEC公式オンラインストアの標準価格。FC6A-C16R1AE(16点All-in-One)67,500円、FC6A-D16K1CEE(Plus)96,600円、FC6A-C40R1AE 125,800円。注文合計欄は税別表示 | |
2 | 三菱電機株式会社 | 3 | 3 | 4 | 5 | 公式仕様ページの標準価格(税の表記なし)。FX5S-30MR/ES ¥49,500、FX5UJ-24MR/ES ¥59,500、FX5U-32MR/ES ¥88,000 | |
3 | パナソニック インダストリー株式会社 | 4 | 4 | 4 | 4 | 公式製品ページの標準価格<税別>。低価格型CPU AFP7CPS2R 58,500円、AFP7CPS3R 99,500円、AFP7CPS4RE 152,100円。電源・I/Oユニットは別売 | |
4 | オムロン株式会社 | 3 | 3 | 4 | 4 | 製品ページに価格の掲載なし。標準価格(税抜)は公式サイトの在庫・価格照会(利用条件への同意が必要)で型式ごとに確認する | |
5 | 株式会社キーエンス | 4 | 5 | 4 | 3 | 公式製品ページの価格表(税抜)。KV-X500 350,000円、KV-X520 548,000円、KV-X530 834,000円、KV-X550 1,298,000円。KV STUDIO Ver.12は182,000円(税抜) | |
6 | 三菱電機株式会社 | 4 | 4 | 3 | 3 | 公式仕様ページの標準価格。R00CPU ¥55,000(税込・税抜の表記なし)。R32CPU ¥530,000など上位CPUは高く、電源・ベース・I/Oは別売 | |
7 | 富士電機株式会社 | 4 | 4 | 3 | 3 | 公式製品ページに価格表示なし | |
8 | ワゴジャパン株式会社 | 4 | 3 | 3 | 3 | 日本語の公式製品ページに価格表示なし | |
9 | フエニックス・コンタクト株式会社 | 4 | 3 | 3 | 3 | 価格は販売店への問い合わせ。開発ツールPLCnext Engineerは基本版が無償 | |
10 | 横河電機株式会社 | 4 | 3 | 3 | 3 | 公式製品ページに価格表示なし(見積相談の窓口あり) | |
11 | 株式会社日立産機システム | 4 | 3 | 3 | 3 | 公式製品ページに価格表示なし | |
12 | シーメンス株式会社 | 3 | 4 | 4 | 3 | 日本語の公式製品ページに価格表示なし | |
13 | シュナイダーエレクトリック株式会社 | 3 | 3 | 4 | 3 | 公式製品ページ・プレスリリースに価格表示なし | |
14 | デルタ電子株式会社 | 3 | 3 | 3 | 3 | 日本語の公式製品ページに価格表示なし | |
15 | オムロン株式会社 | 5 | 4 | 3 | 2 | 製品ページに価格の掲載なし。標準価格(税抜)は公式サイトの在庫・価格照会(利用条件への同意が必要)で型式ごとに確認する | |
16 | シーメンス株式会社 | 4 | 4 | 4 | 2 | 日本語の公式製品ページに価格表示なし。製品カタログST 70・TIA Selection Toolで構成を選定 | |
17 | 株式会社東芝 | 4 | 4 | 3 | 2 | 公式製品ページに価格表示なし | |
18 | 株式会社ジェイテクト | 4 | 3 | 4 | 2 | 公式製品ページに価格表示なし(お見積り依頼の窓口あり) | |
19 | B&R Industrial Automation GmbH | 4 | 3 | 3 | 2 | 公式製品ページに価格表示なし。日本の窓口はメールで問い合わせ・見積依頼を受け付け | |
20 | ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 | 5 | 4 | 3 | 1 | 公式製品ページに価格表示なし。販売代理店・営業所へ問い合わせ |
PLCの主要製品の詳細
ここからは表に挙げた20製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社の装置の規模と、つなぐ機器に照らして読み進めてください。
IDEC FC6A形 MICROSmart
オールインワンとPlusの2タイプがある小型PLCです。公式オンラインストアで標準価格を公開しています。16点のオールインワン型は、67,500円から購入できます。
Webサーバやメール送信、データロギングを内蔵した点が特徴です。ただし、最大デジタルI/Oはオールインワン型で404点、Plusでも2,044点です。数千点規模の入出力には向きません。小型の装置を手頃な価格で制御し、ブラウザで保守したい場合に適しています。
三菱電機 MELSEC iQ-Fシリーズ
I/O・Ethernet・位置決め・高速カウンタをCPUに内蔵した一体型です。小さな装置なら、ユニットを足さずに制御できます。標準価格は公式の仕様ページにあり、FX5S-30MR/ESは49,500円です(税の表記なし)。
制御規模は、リモートI/O使用時でも最大512点です。大規模ラインや、二重化・プロセス制御が必要な設備には向きません。単体の装置を低コストで制御したい場合に適しています。位置決めやアナログ入出力を1台にまとめる用途にも向きます。
パナソニック FP7シリーズ
CPU・I/O・増設ユニットの標準価格(税別)を、公式製品ページに掲載しているモジュール型です。低価格型CPUのAFP7CPS2Rは、58,500円からです。SDカードへの最大16ファイル同時ロギングも、標準機能で使えます。
AFP7CPS2Rは、増設ユニット・内蔵LAN・SDカードに対応しません。一部の品番は2023年3月31日で受注終了しており、現行品番の確認が必要です。既存設備に後付けして、稼働データを集めたい場合に適しています。
オムロン NX1Pシリーズ
デジタルI/O 24点・40点を本体に内蔵した、一体型のNXシリーズCPUです。小型の装置なら、CPU単体で構成できます。EtherCATで最大8軸(同期4軸)のモーション制御を行えます。
ローカルのNX I/Oユニットは最大8台、EtherCATスレーブは最大16台までです。通信周期は最短2msで、高速・多軸の同期制御には上位機が必要です。価格は、公式サイトの在庫・価格照会で確認する必要があります。サーボ数軸の搬送や位置決めをまとめたい装置に適しています。
キーエンス KV-Xシリーズ
EtherCATとEtherNet/IPをCPUに内蔵した、新世代のPLCです。モーション内蔵CPUでは、最大256軸を接続できます。ドライブレコーダを標準搭載し、トラブル前後の状態をリプレイで確認できます。
標準モデルのKV-X500は、内蔵モーションとEtherCATに対応しません。価格は税抜です。KV-X500が350,000円、KV STUDIO Ver.12が182,000円です。多軸のサーボ制御を1台にまとめ、原因の追跡も重視する装置に適しています。
三菱電機 MELSEC iQ-Rシリーズ
CPUのプログラム容量が、10K〜1200Kステップまでそろうビルディングブロック型です。モーションCPUやプロセスCPU、二重化機能も、同じベース上で組み合わせられます。R00CPUの標準価格は55,000円です(税込・税抜の表記なし)。
R00CPUはSDメモリカードに対応せず、データベース機能もR04以上に限られます。I/O内蔵の小型機で、1台の装置を手軽に制御する用途には向きません。シーケンスとモーション、計装を同じシリーズで統一したい大規模ラインに適しています。
富士電機 MICREX-SXシリーズ
最大512Kステップ・65,536点・最大8CPUのマルチCPUを組める国産PLCです。CPU・ネットワーク・電源の二重化まで、1シリーズで構成できます。IEC 61131に準拠し、国土交通省の電気設備標準仕様にも指定されています。
SPH2200のプログラム容量は、48Kステップの1種類のみです。NP1PM-048RNはEthernetに対応しません。価格は公式ページに掲載がなく、見積が必要です。二重化が必要な連続運転の設備や、旧MICREX-SXからの移行に適しています。
WAGO PFC300
64ビットCPUと2GBのRAMを備え、Linux・Dockerで動くPLCです。CODESYS V3.5で、メーカーに依存しないプログラムを作れます。MQTTやOPC UAに対応し、クラウドやSCADAへのゲートウェイにもなります。
Ethernetは2ポート、シリアルはRS-485のみです。多数のネットワークを直接つなぐには、拡張が必要です。ラダー中心の国内メーカー系ツールで統一したい場合は、向きません。PLCの上でLinuxのアプリも動かしたい場合に適しています。
フエニックス・コンタクト PLCnext Control
IEC 61131-3と高級言語を、同じタスクで組み合わせて実行できるPLCです。高級言語には、C/C++・C#・MATLAB Simulinkがあります。IEC 62443-4-1 ML3のプロセス認証と、4-2の製品認証を取得しています。
開発ツールの基本版は無償です。高級言語やLinuxを生かす設計には、IT系のスキルが必要です。ラダー中心の現場では、教育の負担が生じます。価格は販売店への問い合わせです。制御とデータ処理を1台で動かしたい場合に適しています。
横河電機 FA-M3Vシリーズ
基本命令3.75ns〜で、特定条件下ではラダー100Kステップを1msで処理できる高速PLCです。ユーザ認証・操作ログ、SDHCスロット、RAMディスクをCPUに標準搭載しています。1ユニットには、最大4CPUを実装できます。
推奨交換周期は10年(設計上の耐用年数)とされ、長期運用では計画的な更新が必要です。開発ツールWideField3は、ST言語の記載がありません。高速なスキャンや割込み応答が必要な装置に適しています。
日立産機システム HXシリーズ
IEC 61131-3の5言語とCFCに対応したモジュールタイプです。ハイブリッドモデルでは、C/C++のプログラムも同じCPUで動かせます。OPC UAサーバやEtherCATマスタ、Modbusは、全モデルで扱える点が特徴です。
起動時間は約20〜30秒、モデルによっては約70秒〜とされ、制御開始まで時間がかかります。認証・暗号化に対応するのは、ハイブリッドモデルのETH3ポートのみです。EHVシリーズのI/Oを生かしてCPUを更新したい場合に適しています。
Siemens SIMATIC S7-1200 G2
前世代より処理能力・メモリ・通信性能を高めた、小規模用途向けのベーシックコントローラです。NFCで診断情報にワイヤレスでアクセスできます。S7-1500と同じTIA Portalで開発でき、安全機能も組み込めます。
前世代のS7-1200とは、ハードウェアの互換性がありません。既存設備の更新では、モジュールの入れ替えと事前確認が必要です。大規模ラインの統合制御にも向きません。小型機械の制御に、モーションと安全機能をまとめたい場合に適しています。
シュナイダーエレクトリック Modicon M262
MQTT・OPC UA・JSONなどに対応した、IIoT対応のコントローラです。クラウドや上位システムへ、直接データを送れるのが特徴です。MCプロトコルに対応し、既存装置のデータ取得を、エンジニアリングソフトなしで設定できます。
増設できる通信モジュールの台数には、制限があります。TMSCO1(CANopen)は1台まで、TMSES4はTM262L20で3台までです。多数のフィールドネットワークを1台に増設する用途には向きません。装置制御とIoT連携を1台にまとめたい場合に適しています。
デルタ電子 ASシリーズ
32ビットSoC CPUで40kステップ/msを処理する、コンパクト・モジュラー型です。最大1,024点の入出力に対応します。CANopen・パルス・EtherCATのモーション制御も行えます。モーションCPUは、最大16/24の実軸を同期できる点が特徴です。
標準CPUの拡張は、最大32モジュール・1,024点までです。大規模ラインには、上位のAHシリーズが要ります。日本語の公式サイトでも、製品説明は英語のままです。同社のサーボやインバータと組み合わせる、多軸の中規模装置に適しています。
オムロン NX502シリーズ
大規模ラインの制御・安全・データ収集を1台に統合する、NXシリーズの上位CPUです。最大254本の安全コネクションを持ちます。プログラムメモリは80MB、変数メモリは260MBです。DB接続やOPC UAで、上位システムともやり取りできます。
小型の単体装置には、性能も費用も過剰になりやすい機種です。製品ページに価格の掲載はありません。標準価格(税抜)は、公式サイトの在庫・価格照会で型式ごとに確認します。多数の設備と安全機器をつなぐ大規模ラインに適しています。
Siemens SIMATIC S7-1500
構成からプログラミング、診断、保守までを、TIA Portalで一貫して扱えます。HMIやドライブの設計も、同じツールにまとめられる点が特徴です。F-CPU(安全)やテクノロジーCPU、S7-1500R/H(冗長)まで、同じ系列で選べます。
保護等級はIP20で、制御盤内への設置が前提です。盤外の過酷な環境へCPUを直接置く用途には向きません。価格は公式ページに掲載がなく、構成ごとに見積が必要です。PLC・HMI・ドライブを1つのツールで設計したい場合に適しています。
東芝 ユニファイドコントローラ nvシリーズ
計装制御と電気制御を、1つのコントローラとI/Oで統合する国産コントローラです。IEC 61131-3命令を直接実行するASICで、最速20nsの演算を行います。二重化システムやループ二重化のTC-net I/Oで、信頼性を高められます。
大規模系は、光ファイバのTC-net 100などを前提とした構成です。単体の小型装置には、過剰になりやすい点に注意が要ります。価格は公式ページに掲載がなく、システムごとに見積が必要です。統合コントローラVシリーズから段階的に移行したい場合に適しています。
ジェイテクト TOYOPUC-Nano 10GX
基本命令2.6ns〜でPC10G比6倍の処理速度を持ち、プログラム容量は240K語です。EtherCAT・EtherNet/IP・CIP Safety・IO-Linkに対応しています。ツールPCwin2は、TOYOPUC-Plusのプロジェクトを変換できます。
プログラム言語はラダー(LD)・SFC・FBDで、ST言語の記載がありません。価格は公式ページに掲載がなく、お見積り依頼の窓口から確認します。既存のTOYOPUC資産を生かして、上位機へ更新したい場合に適しています。
B&R X20システム
X20 I/Oモジュールを、最大250個(3000チャンネル)まで直接接続できます。スライス型で、盤内を省スペースにできる点が特徴です。全CPUがPOWERLINK接続を持ち、IEC 61131-3の言語とC言語を使えます。
Compact CPUは、サイクルタイムがミリ秒単位です。PCベースのCPUより性能が落ちると、公式に説明されています。日本語の製品ページは情報が少なく、価格は非公開です。窓口はメールでの問い合わせが中心で、多点のI/Oを省スペースに収めたい機械に適しています。
Allen-Bradley ControlLogix 5590
すべてのコントローラ種類にSIL 2/PLdの安全機能を備え、標準制御と安全制御を1台で扱えます。最大80MBのメモリと最大512軸に対応します。600以上のEthernetノードを扱える点も特徴です。
OPC UAとControlNet・DeviceNet・DHRIOは、標準構成のみのサポートです。冗長構成では使えません。大規模システム向けの上位機です。中小規模の機械には、CompactLogixなど別のファミリーが用意されています。価格は非公開で、販売代理店経由の見積です。
PLCの無料・有料でできることの違い
PLCは制御を行う機器そのものが必須のため、無料だけでは制御を始められません。無料になるのは、一部の開発ツールや、本体に内蔵された機能にとどまります。
できること | 無料で足りる範囲 | 有料が必要になる範囲 |
|---|---|---|
制御の実行 | なし。CPUと電源、入出力ユニットが必要 | CPU・電源・ベース・入出力ユニットの購入 |
プログラミング・デバッグ | 基本版を無償で提供する開発ツールがある | 開発ソフトを有償で提供する製品がある |
遠隔監視・データ記録 | Webサーバやメール送信、ロギングを本体に内蔵する製品がある | 上位システムへつなぐ専用ユニットや、追加の通信機器 |
安全制御・冗長化 | 安全機能を標準で組み込んだ製品がある | 安全用のCPUやユニット、二重化のための追加構成 |
導入前の評価 | シミュレーション機能を持つ開発ツールがある | 実機の購入、継続して使うソフトのライセンス購入 |
無償のツールは、対応する機種や機能の範囲が限られる場合があります。製品ごとの提供条件を確認し、必要な機能が含まれているかを確かめましょう。
まとめ
PLCの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。タイプと入出力点数、処理速度とプログラム容量、対応するネットワークです。プログラミングツールと言語、長期供給と国内サポートも加えた5つです。
まず、制御する装置の規模と、つなぐ機器の規格を書き出しましょう。次に、電源や入出力ユニット、開発ソフトを含めた構成で、見積もりを比べます。標準価格を公開しているのは20製品のうち5製品で、残りは問い合わせが必要です。製品はPLC(シーケンサー)のカテゴリページで比較できます。選定の進め方はPLCの選び方の記事もご覧ください。
PLC(シーケンサー)のおすすめ製品
IDEC FC6A形 MICROSmart
IDEC株式会社
Push-in端子の小型PLC
キーエンス KV-Xシリーズ
株式会社キーエンス
EtherCAT・モーション内蔵の新世代PLC
パナソニック FP7シリーズ
パナソニック インダストリー株式会社
通信とロギングを強化したモジュール型PLC
三菱電機 MELSEC iQ-Fシリーズ
三菱電機株式会社
Ethernet・位置決め内蔵の小型PLC
富士電機 MICREX-SXシリーズ
富士電機株式会社
最大8CPU・二重化まで組める国産PLC
三菱電機 MELSEC iQ-Rシリーズ
三菱電機株式会社
プロセス・安全CPUもそろうPLC
PLC(シーケンサー)比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| IDEC FC6A形 MICROSmart | IDEC株式会社 | オンプレミス | Push-in端子の小型PLC | 詳細を見る | |
| キーエンス KV-Xシリーズ | 株式会社キーエンス | オンプレミス | EtherCAT・モーション内蔵の新世代PLC | 詳細を見る | |
| パナソニック FP7シリーズ | パナソニック インダストリー株式会社 | オンプレミス | 通信とロギングを強化したモジュール型PLC | 詳細を見る | |
| 三菱電機 MELSEC iQ-Fシリーズ | 三菱電機株式会社 | オンプレミス | Ethernet・位置決め内蔵の小型PLC | 詳細を見る | |
| 富士電機 MICREX-SXシリーズ | 富士電機株式会社 | 要見積もり | 最大8CPU・二重化まで組める国産PLC | 詳細を見る | |
| 三菱電機 MELSEC iQ-Rシリーズ | 三菱電機株式会社 | オンプレミス | プロセス・安全CPUもそろうPLC | 詳細を見る | |
| オムロン NX502シリーズ | オムロン株式会社 | 要見積もり | 制御・安全・データ収集を1台に統合する上位CPU | 詳細を見る | |
| Siemens SIMATIC S7-1500 | シーメンス株式会社 | 要見積もり | TIA Portalで設計から診断まで扱うコントローラ | 詳細を見る | |
| Siemens SIMATIC S7-1200 G2 | シーメンス株式会社 | 要見積もり | 性能と安全機能を高めたベーシックコントローラ | 詳細を見る | |
| オムロン NX1Pシリーズ | オムロン株式会社 | 要見積もり | I/Oとモーション制御内蔵の一体型CPU | 詳細を見る | |
| 横河電機 FA-M3Vシリーズ | 横河電機株式会社 | 要見積もり | ラダー100Kステップを1msで処理する高速PLC | 詳細を見る | |
| ジェイテクト TOYOPUC-Nano 10GX | 株式会社ジェイテクト | 要見積もり | EtherCAT・OPC UA対応のTOYOPUC | 詳細を見る | |
| フエニックス・コンタクト PLCnext Control | フエニックス・コンタクト株式会社 | 要見積もり | 高級言語も動くIEC 62443認証PLC | 詳細を見る | |
| シュナイダーエレクトリック Modicon M262 | シュナイダーエレクトリック株式会社 | 要見積もり | クラウド直結のIIoTコントローラ | 詳細を見る | |
| 日立産機システム HXシリーズ | 株式会社日立産機システム | 要見積もり | IEC 5言語とC言語を動かすモジュールPLC | 詳細を見る | |
| WAGO PFC300 | ワゴジャパン株式会社 | 要見積もり | 64ビットCPUと2GB RAM、Linux・Dockerで動くCODESYS V3のPLC | 詳細を見る | |
| Allen-Bradley ControlLogix 5590 | ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 | 要見積もり | SIL 2の安全機能を全機種に持つ新製品 | 詳細を見る | |
| 東芝 ユニファイドコントローラ nvシリーズ | 株式会社東芝 | 要見積もり | 計装と電気制御を統合 | 詳細を見る | |
| B&R X20システム | B&R Industrial Automation GmbH | 要見積もり | スライス型I/OとCPUを一体で構成するPLC | 詳細を見る | |
| デルタ電子 ASシリーズ | デルタ電子株式会社 | 要見積もり | 40kステップ/msのコンパクト・モジュラー型PLC | 詳細を見る |
よくある質問
QPLCを選ぶとき、最初に何を確認すればよいですか?
制御する装置の入出力点数と、つなぐ機器の通信規格を確認します。サーボやインバータ、リモートI/Oがどのネットワークで接続するかを書き出してください。ここが合わない製品は、処理速度が高くても使えません。
QPLCの価格は、どのくらいを見込めばよいですか?
製品ページのある20製品のうち、標準価格を公式サイトで公開しているのは5製品です。2026年時点で、I/O内蔵の一体型CPUが49,500円から(税の表記なし)、モジュール型の低価格CPUが税別58,500円からの例があります。電源や入出力ユニット、開発ソフトは別売の製品があり、総額は構成ごとの見積もりで確認が必要です。
Q小型の装置を制御するなら、どんなPLCが候補になりますか?
I/Oや通信、位置決めの機能をCPUに内蔵した、一体型や小型のタイプが候補です。ユニットを足さずに、CPU1台で制御できる製品があります。ただし最大入出力点数には上限があるため、将来の増設も見込んで確認しましょう。
Q大規模なラインや止められない設備には、どんなPLCが向いていますか?
多数のユニットやネットワーク機器をつなげる、ビルディングブロック型の上位CPUが候補です。安全制御や二重化に対応する製品があります。CPUの型式ごとに容量や軸数が異なるため、必要な規模での仕様を確認してください。
