おすすめのOTセキュリティを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
工場・制御システム向けのOTセキュリティ主要20製品を、製品の型、導入方式、対応プロトコル、提供形態、規格と国内支援の5項目で比較。価格の公開状況や費用の内訳、企業の特徴別の選び方まで製造業の視点で解説します。

OTセキュリティは、工場の制御システムを守る製品の総称ですが、守り方によって製品の型が大きく異なります。通信を見張る製品と、境界で遮断する製品、保守の遠隔接続を管理する製品は、同じ基準では比べられません。この記事では、製品ページのある主要20製品を、同じ評価軸で並べました。守りたい対象と設備の条件から、候補を整理する手順を解説します。
制御ネットワークの機器と通信を見える化するなら:WideAngle OsecTやMicrosoft Defender for IoTが候補
ITとOTの境界やライン間を、遮断で守るなら:FL MGUARD 2000/4000シリーズやMoxa EDR-G9010シリーズが候補
保守ベンダーの遠隔接続を管理するなら:IIJ Safous Industrial SRAやForescout SRAが候補
古いOSの制御端末やUSBメモリを守るなら:TXOne StellarやMetaDefender Kioskが候補
OTセキュリティは、守りたい対象と、止められない設備への影響を最初に確認すると比べやすくなります。無料のツールは無料版の記事、製品全体はOTセキュリティのカテゴリページもご覧ください。
この記事でわかること
OTセキュリティの基礎知識
OTセキュリティは、工場の制御システムとその通信を、サイバー攻撃やマルウェアから守る対策です。ITの対策とは前提が異なるため、守る対象と製品の型を先に押さえましょう。ここでは、対象、型、規格の3点を整理します。
OTセキュリティが守る対象
OTは、工場の設備を動かす制御の仕組みを指します。PLCやSCADA、HMIと、それらをつなぐ制御ネットワークが対象です。
ITと違い、設備を止められない点が大きな制約です。更新できない古いOSの端末も残るため、IT向けの対策をそのまま入れられない場合があります。
製品は5つの型に分けられる
製品は、守り方によって5つの型に分けられます。中心は、可視化・検知型と、産業用ファイアウォール・ゲートウェイ型、リモートアクセス型の3つです。
残る2つは、USB・持込端末対策型と、制御端末に入れるエンドポイント型です。1つの製品が複数の型にまたがる場合もあるため、本記事では主な役割で分類しました。
規格IEC 62443と国内の支援体制
IEC 62443は、産業用の制御システムのセキュリティに関する国際規格のシリーズです。製品の仕様では、開発体制を扱う4-1や、機器の技術要件を扱う4-2を見かけます。
ただし、認証を取得した製品と、外部の評価を受けただけの製品は区別が必要です。国内の窓口や日本語の情報も、運用を続けるうえで欠かせない確認事項です。
編集部メモ:制御システムの対策は、機器の動作に影響しにくい受動の監視から始める考え方があります。製品を比べるときは、機能の数よりも導入方式を先に確認しましょう。
OTセキュリティの基本的な選び方
OTセキュリティを選ぶ際には、守りたい対象と、設備への影響を整理することが重要です。製品の型が違えば、できることも導入の負担も変わります。次の3つの基準で、候補を絞り込みましょう。
守りたい対象と現状の課題を書き出す
まず、制御ネットワークにつながる機器の数と、設置場所を書き出します。台帳がない場合は、機器の洗い出しそのものが最初の課題です。
次に、古いOSの端末や、USBメモリの持ち込み、保守ベンダーの遠隔接続といったリスクを挙げましょう。課題ごとに、必要な製品の型が見えてきます。
設備への影響と導入方式を確認する
通信のコピーを見るだけの受動型は、設備の動作に影響を与えにくい方式です。通信経路に入るインライン型や、端末に入れるエージェント型は、導入時の確認事項が増えます。
止められない設備では、計画停止の時期に合わせた導入が前提です。検証環境で動作を確かめられるかも、選ぶときの判断材料になります。
対応機器と国内の支援体制を確かめる
自社のPLCが使う産業用プロトコルに、製品が対応しているかを確認します。公式の対応一覧に載っていない場合は、問い合わせが必要です。
海外製品では、日本語の情報や国内の窓口の有無も差になります。販売代理店やパートナーを通じた支援の範囲まで、事前に聞いておきましょう。
OTセキュリティの比較項目
比較項目は5つあり、製品の型、導入方式、対応プロトコル、提供形態、規格と国内支援です。次の表で全体を確認し、各項目の見方を説明します。
比較項目 | 見るべき観点 |
|---|---|
製品の型 | 可視化・検知、ファイアウォール・ゲートウェイ、リモートアクセス、USB対策、エンドポイントのどれか |
導入方式 | パッシブ監視、インライン、エージェント、後付けの装置のどれか |
対応プロトコルとPLCメーカー | 自社の制御機器の通信を、公式の一覧で確認できるか |
提供形態 | アプライアンス、仮想、SaaSの別と、買い切りかサブスクリプションか |
規格と国内支援 | IEC 62443の認証の有無と、国内の販売・サポート体制 |
製品の型
製品の型は、守る範囲と防御の手段を決める項目です。通信を見張る型は検知までを担い、ファイアウォール型は遮断まで担います。
リモートアクセス型は保守の接続を、USB対策型は持ち込み媒体を守ります。エンドポイント型は、端末そのものを守る型です。型の違いは、役割の違いを表します。
導入方式
パッシブ監視は、スイッチのミラーポートなどから通信のコピーを受け取る方式です。通信経路に入らないため、既設の設備に影響を与えにくい特徴があります。
インラインは通信の経路に機器を置くため、遮断ができる反面、障害時の影響を考える必要があります。エージェント型は、端末ごとにソフトを入れる方式です。
対応プロトコルとPLCメーカー
解析できる産業用プロトコルの範囲は、製品ごとに違う点が特徴です。MELSECやFINSなど国内メーカーの通信に対応するかは、公式の一覧で確認できます。
対応数を「600以上」のように、数だけで示す製品もあります。個別のプロトコル名は、問い合わせて確かめる必要があるでしょう。
提供形態
提供形態には、専用の機器を置くアプライアンス、仮想環境で動かす形、クラウドのSaaSがあります。SaaSは、制御ネットワークのデータをクラウドへ送る前提です。
契約は、買い切りと年間のサブスクリプションに分かれます。センサー機器がライセンスに含まれるかも、製品によって異なります。
規格と国内支援
IEC 62443は、製品自体の認証と、開発体制の認証を分けて見ます。外部の評価を受けただけの場合は、表記が異なる点が特徴です。
国内支援は、日本法人の有無と、販売代理店の支援範囲で判断します。日本語の管理画面や技術文書があるかも、運用の負担を左右する点です。
自社に合ったOTセキュリティの選定ポイント
前章の比較項目をもとに、企業の特徴ごとの視点を整理します。制御ネットワークの把握度や体制、設備の古さによって、先に見るべき項目が変わります。自社に近い特徴から読んでください。
制御ネットワークの機器を把握できていない企業
機器の台帳がない企業は、受動監視で資産を洗い出す型から始める方法があります。設備に影響を与えにくく、導入の負担も小さい型です。
エージェントを入れられないPLCやIoT機器も見たい場合は、エージェント不要の製品が候補です。対応する産業用プロトコルも確認しましょう。
専任のセキュリティ担当がいない企業
専任がいない企業は、導入と運用の手間を抑えられる提供形態を優先します。センサーをつなぐだけで始められるSaaS型は、その一例です。
一方で、検知した後の対応は自社で判断する必要があります。運用支援のオプションがあるか、国内の窓口が日本語で対応するかを確かめましょう。
更新できない古いOSの制御端末が残る企業
サポートが切れたWindowsの制御端末は、OSを更新できないまま稼働し続けることがあります。この場合は、端末に入れるエンドポイント型が候補です。
対応OSの範囲と、インターネットにつながない端末への導入方法を確認します。保護する端末ごとに導入の作業が要る点も、費用に影響します。
保守ベンダーが外部から接続している企業
保守ベンダーがVPNなどで接続している企業は、誰がいつ何を操作したかを残せるかが焦点です。リモートアクセス型は、接続の申請と記録を一元化できる型です。
USBメモリを持ち込む保守が多い場合は、入口で検査するUSB対策型も併せて検討しましょう。通信の監視とは役割が異なる点に注意が要ります。
複数の工場を持つ企業や、ITとOTの境界を分けたい企業
複数の工場を持つ企業は、拠点の監視状況を本社でまとめて見られるかを確認します。クラウド管理かオンプレミス管理かで、運用の形が変わります。
ITとOTの境界やライン間を分けたい場合は、産業用ファイアウォールが候補です。IT側と同じ管理基盤で運用できるかも、比較の材料になります。
OTセキュリティの費用相場
製品ページのある20製品のうち、円建ての価格を公式に公開しているのは4製品です。残りの16製品は、問い合わせや販売パートナー経由の見積もりが前提です。
費用の内訳 | 費用を左右する要因 | 公開されている目安(2026年時点) |
|---|---|---|
センサー・ライセンス(ネットワーク監視型) | 監視する機器の台数、センサーの台数、契約年数 | サイト単位のライセンスが、最大100台で月額相当10,494円から(年払い、税込・税抜の表記なし)。センサー1台ごとに、初期費350,000円・月額90,000円(税抜)の例もある |
センサー機器・ハードウェア | 設置するセンサーの数、ファイアウォールなど機器の型番 | ライセンスにセンサー機器を含まない例がある。ファイアウォール型の機器価格は公開なし |
管理サーバー・マネージャー | クラウド版かオンプレミス版か、管理する拠点の数 | クラウド版は月額36,000円から(マネージャーとセンサー1台、最低利用期間1年)。オンプレミス版はマネージャー300,000円、センサー225,000円(製品ページに税込・税抜の表記なし) |
脅威防御・IPSの追加ライセンス | ファイアウォール型で、IPSや脅威防御を使うか | 公開なし。機器とは別のライセンスが必要な製品がある |
リモートアクセスの利用ライセンス | 利用者の数、工場の数、初期の導入作業の有無 | 月額350,000円から(10ユーザライセンス込み、税抜)。初期導入作業費は300,000円から(オプション、税抜)の例がある |
保守・運用支援 | 保守の期間、運用支援の有無 | センサー1台ごとの契約で、開通から5年間の無償保守が付く例がある。運用支援オプションは年間1,260,000円から(税抜)の例がある |
センサー機器や追加ライセンス、運用支援が別に要るため、総額は表の金額より大きくなります。監視する台数と拠点数、遮断まで求めるかを決めてから、複数社に見積もりを依頼しましょう。
【比較表】OTセキュリティのランキング
製品データとして数値化できる4項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。設備保全・多拠点対応・現場での使いやすさ・中小適合の4つを、5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べました。
順位 | 製品 | 提供元 | 設備保全 | 多拠点対応 | 現場での使いやすさ | 中小適合 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Microsoft Corporation | 4 | 5 | 3 | 4 | 日本語の公式価格ページの表記。OTサイトライセンスはサイト単位の年間サブスクリプション(自動更新)で、ライセンス/月相当・年払い。XS(サイトあたり最大100台)10,494円、S(同250台)22,488円、M(同500台)37,481円、L(同1,000台)59,970円、XL(同5,000台)224,887円。税込・税抜の表記はなし。5,000台を超えるサイトは営業担当へ問い合わせ。センサー用ハードウェアは含まれない | |
2 | NTTドコモビジネス株式会社 | 4 | 4 | 5 | 4 | 公式お知らせ(2025年6月10日)掲載の料金で、表記は税抜(括弧内が税込)。基本プラン Type N はセンサー1台ごとに初期費350,000円(税込385,000円)・月額90,000円(税込99,000円)、開通から5年間の無償保守。Type D は初期費250,000円(税込275,000円)・月額は同額で、無償保守は2028年3月まで。セキュリティ運用支援オプションは1契約あたり年間1,260,000円(税込1,386,000円)〜。製品ページには料金表の表示がないため、最新の料金は営業窓口で確認 | |
3 | 株式会社PFU | 3 | 5 | 4 | 4 | 公式製品ページの表記。クラウド版は月額36,000円〜(マネージャー25,000円+510センサー11,000円の1ヵ月利用ライセンス。最低利用期間1年、1年単位の契約が必要)。オンプレミス版はマネージャー300,000円、510センサー225,000円、追加セグメントライセンス44,000円〜、標的型サイバー攻撃振る舞い検知セグメントライセンス65,000円/年〜。製品ページに税込・税抜の表記なし(同社2026-02-13のお知らせでは、製品ページと同額の遮断ソフトウェアの価格を税抜と表記) | |
4 | TXOne Networks Japan合同会社 | 5 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。製品ページの技術仕様では、Stellar Protect は端末単位・12か月のライセンス(ICS または Kiosk)、Stellar Discover は固定価格・センサー数無制限・6か月の契約と記載。金額は問い合わせ | |
5 | Nozomi Networks Inc. | 4 | 5 | 4 | 3 | メーカー公式サイトに価格表示なし。国内販売パートナー経由の見積もり。販売パートナーのテリロジーは、買い切り(年間サポートは別途)とサブスクリプションの両方の提供形態を案内している | |
6 | HMSインダストリアルネットワークス株式会社 | 4 | 4 | 5 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。購入は代理店経由かHMSからの直接注文(製品ページの「代理店を検索する」「HMSから注文する」の案内) | |
7 | シスコシステムズ合同会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 監視するエンドポイント数に応じたサブスクリプション(1・3・5・7年、Essentials と Advantage の2階層)で、円建ての価格は公開なし。Cisco IE3500・Catalyst IE9300(2025年8月23日以降の注文)と IE3500 Heavy Duty(2025年10月1日以降の注文)を Network Advantage ライセンス付きで注文すると、3年間・24エンドポイントの Advantage ライセンス(Secure Equipment Access を含む)が追加費用なしで付く。追加のエンドポイントは別途購入 | |
8 | Claroty, Inc. | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。国内では販売代理店(東芝デジタルソリューションズなど)経由の見積もり | |
9 | フエニックス・コンタクト株式会社 | 4 | 3 | 4 | 3 | 公式のフライヤーとニュースに価格の記載なし。販売は国内の営業拠点と特約店経由 | |
10 | OPSWAT JAPAN株式会社 | 4 | 3 | 4 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。製品ページは「営業担当へお問い合わせください」の案内で、見積もりは問い合わせ | |
11 | Check Point Software Technologies 株式会社 | 3 | 4 | 3 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。販売はパートナー経由(チャネル100%)。データシートの型番は機器と1年分のSNBTサブスクリプションを組み合わせたパッケージで、電源アダプタは別売り | |
12 | フォーティネットジャパン合同会社 | 3 | 4 | 3 | 3 | 公式サイトに価格表示なし。リセラー経由の見積もり。OT向けIPSシグネチャなどのセキュリティ機能は FortiGuard のサブスクリプション(バンドル構成はデータシート参照)で提供される | |
13 | Moxa Japan合同会社 | 3 | 3 | 3 | 3 | 公式サイトに価格表示なし(見積り依頼)。IPS機能は追加ライセンスが必要 | |
14 | MHIパワーエンジニアリング株式会社 | 3 | 2 | 3 | 3 | 公式サイト・カタログに価格表示なし。問い合わせは高砂事業部 プラント監視装置技術グループ | |
15 | Tenable Network Security Japan株式会社 | 5 | 5 | 3 | 2 | 公式サイトに価格表示なし。日本語の製品ページはデモの申し込みが窓口で、日本語データシートの問い合わせ先は日本の営業担当 | |
16 | Dragos, Inc. | 4 | 5 | 4 | 2 | 公式サイトに価格表示なし。機器仕様書では「Dragos Platform software subscription」とあるサブスクリプション契約。国内は株式会社マクニカへ問い合わせ | |
17 | 株式会社インターネットイニシアティブ | 4 | 5 | 4 | 2 | 公式プレスリリース(2024年9月26日)掲載の提供価格で、表記は税抜。月額費用350,000円〜(10ユーザライセンスを含む)、初期導入作業費(オプション)300,000円〜。最新の料金は問い合わせで確認 | |
18 | フォアスカウト・テクノロジーズ株式会社 | 4 | 4 | 4 | 2 | 公式サイトに価格表示なし。デモの予約・問い合わせによる見積もり | |
19 | 株式会社カスペルスキー(登記社名: 株式会社Kaspersky Labs Japan) | 4 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格表示なし。デモ依頼またはパートナーへの問い合わせ | |
20 | パロアルトネットワークス株式会社 | 3 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格表示なし。見積もりは販売パートナー経由。ライセンスはファイアウォール1台ごとに必要で、Threat Prevention ライセンスも前提 |
価格は各社の公式サイトや公式発表の表記で、2026年時点の内容です。税込・税抜の表記は、元の表記のままにしています。
製品の型ごとの分類は、次のとおりです。
- ネットワーク可視化・検知型:WideAngle OsecT、Microsoft Defender for IoT、Nozomi Guardian、Cisco Cyber Vision、Claroty xDome、Tenable One OT Exposure、Dragos Platform、Kaspersky Industrial CyberSecurity、PFU iNetSec SF。制御ネットワークの機器と通信を見える化し、異常を検知する型です。
- 産業用ファイアウォール・ゲートウェイ型:FL MGUARD 2000/4000シリーズ、Moxa EDR-G9010シリーズ、Check Point Rugged Firewall、FortiGate Rugged、Palo Alto Networks OT Device Security、MHIパワーエンジニアリング OWCD。ITとOTの境界やライン間で通信を制御する型です。
- リモートアクセス型:IIJ Safous Industrial SRA、Ewon Cosy+、Forescout SRA。保守ベンダーなどの遠隔接続を管理する型です。
- USB・持込端末対策型:MetaDefender Kiosk。持ち込みのUSBメモリを入れる前に検査する型です。
- エンドポイント型:TXOne Stellar。古い制御端末に保護ソフトを入れる型です。
分類は、各製品の主な役割によります。
OTセキュリティの主要製品の詳細
ここからは表に挙げた20製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社の設備と体制に照らして読み進めてください。
Microsoft Defender for IoT
エージェントレスでOTネットワークを監視する、ネットワーク可視化・検知型です。サイト単位の円建て価格を公式に公開し、最大100台のXSは月額相当10,494円からです。
ライセンスにセンサー機器は含まれません。欧州以外のリージョンの通信は米国東部へ送られると、公式に記載があります。保管先に要件がある場合は、構成の検討が必要です。Microsoft 365やAzureを使う企業に向いています。
WideAngle OsecT
ミラーポートにセンサーをつなぐだけで始める、国産のSaaS型OT-IDSです。データ送信用のLTE回線が付属し、工場側の工事や設定変更を抑えられます。
検知までを担うパッシブ型で、通信の遮断は別の製品で備えます。クラウドへのデータ送信を認めない環境では、提供条件の確認が要る点に注意が必要です。専任の担当者がいない工場の見える化に向いています。
PFU iNetSec SF
エージェントなしで、ネットワークにつながる機器を検知し、未許可の機器を遮断できる製品です。クラウド版は月額36,000円からと、価格を公式に公開しています。
産業用プロトコルの解析やPLCの設定変更の検知は、公式サイトに記載がありません。センサーの動作温度は5〜40℃です。機器の洗い出しと、不正接続の防止から始めたい工場に向いています。
TXOne Stellar
対応OSの幅が広い、エンドポイント型です。Windows 2000 SP4からWindows Server 2025までを扱えます。更新できない古い端末を、OSを替えずに守れます。
エージェント型のため、保護する端末ごとの導入が前提です。Linuxは機能が限られます。可視化専用のStellar Discoverは、検知のみで遮断しません。インターネットにつなげない工場の端末にも向いています。
Nozomi Guardian
ミラーポートから受動監視し、資産とプロセス値の異常を捉えるOT-IDSです。互換一覧に三菱電機・オムロン・横河・Siemensなどを挙げ、エアギャップ環境にも対応します。
検知した脅威の遮断は、連携するファイアウォールなどで行います。メーカー公式サイトは英語のみで、日本語の情報は販売パートナー経由です。複数メーカーのPLCが混在する工場に向いています。
Ewon Cosy+
機械と遠隔地のエンジニアを、Talk2m経由のVPNで結ぶリモートアクセス型のゲートウェイです。技適を取得した4G JPモデルがあり、Webの設定ウィザードで設置できます。
接続はHMSのクラウドを経由するため、外部のクラウドを認めない工場では条件の確認が要ります。工場全体の監視や異常検知は対象外です。納入した機械を遠隔保守したい機械メーカーに向いています。
Cisco Cyber Vision
対象の産業用スイッチやルーターにセンサーを組み込み、専用アプライアンスなしで資産を可視化します。三菱電機やオムロンなど、国内メーカーのプロトコルにも対応します。
センサーを動かせるのは、シスコの対象機器と、Docker・VMware ESXiのホストだけです。他社製スイッチだけの現場への後付けは、想定されていない点に注意が必要です。シスコの産業用スイッチを使う工場に向いています。
Claroty xDome
450以上のプロトコルに対応するSaaSです。受動監視や安全なクエリなど、複数の方式で資産とリスクを把握します。IEC 62443に沿ったゾーン分けも推奨する点が特徴です。
オンプレミスで運用する場合は、別製品のCTDを選ぶ必要があります。国内の窓口は、東芝デジタルソリューションズなどの販売代理店です。センサーを置く前に、リスクを短期間で把握したい企業に向いています。
FL MGUARD 2000/4000シリーズ
ステルスモードで、既設設備の構成を変えずに追加できる産業用セキュリティルーターです。IEC 62443-4-2(SL-C 2)の認証対応品で、国内10拠点と全国の特約店が支えます。
産業用プロトコルの内容を検査するDPIの記載はなく、監視や異常検知もできません。認証対応は、公式に示された製品バージョン以降が対象です。稼働中の設備にファイアウォールを足したい企業に向いています。
MetaDefender Kiosk
持ち込みのUSBメモリを、制御ネットワークに入れる前に検査・無害化するメディアスキャン端末です。20種類以上のメディアを1台で扱え、30以上のエンジンでスキャンします。
入口での検査が中心で、未検査のメディアを端末側で使えなくするには別製品が必要です。すべてのUSBデバイスに対応するわけではない点にも、注意が要ります。保守ベンダーが持ち込む媒体の管理に向いています。
Check Point Rugged Firewall
ModbusやS7などのSCADAプロトコルを制御する、耐環境の産業用ファイアウォールです。-40〜75℃の動作温度を備え、屋外や遠隔の拠点に置きやすい製品です。
公式FAQに、Rugged FirewallはIEC 62443に対応しないと明記されています。脅威防御のスループットは400Mbpsです。IEC 62443への適合が調達条件の場合は選べません。屋外の拠点を境界で守りたい企業に向いています。
FortiGate Rugged
ファンレス・DINレール取付の産業用ファイアウォールです。データシートにFortiOSのIEC 62443-4-2 セキュリティレベル4認証を明記しています。OT向けIPSとSD-WANも備えます。
脅威防御のスループットは型番により500Mbps〜1.3Gbpsで、価格は非公開です。OT向けシグネチャはFortiGuardの契約で提供されるため、総額の比較には見積もりが要ります。IT側と同じ基盤で管理したい企業に向いています。
Moxa EDR-G9010シリーズ
MELSECとオムロンFINSをDPIで検査できる産業用ルーターです。IEC 62443-4-2 セキュリティレベル2認証と5年保証を備えます。国内の窓口は、Moxa Japan合同会社になります。
DPIの対象は公式に列挙されたプロトコルに限られ、IPS機能は追加ライセンスが必要です。標準モデルの動作温度は-10〜60℃です。三菱電機やオムロンのPLCを使うラインに向いています。
MHIパワーエンジニアリング OWCD
イーサネットの通信方向を物理的に片方向へ限る、三菱重工グループのデータダイオードです。100Mbpsから10Gbpsまで3機種があります。2026年4月時点で計150台の販売実績を公表しています。
片方向の制限時は、IT側からOT側へ通信できません。使用温度は全機種で5〜40℃です。制御ネットワークへ戻る経路を作らず、データだけをIT側へ出したい企業に向いています。
Tenable One OT Exposure
受動監視に加え、安全なアクティブクエリでOT資産と脆弱性を洗い出す製品です。ラダーロジックの変更履歴を残し、問題が起きたときにたどれます。
IEC 62443は機能としての対応記載で、製品の認証取得は公式サイトで確認できません。アクティブクエリを使うかは、現場での取り決めが要ります。ITとOTの脆弱性管理をまとめたい企業に向いています。
Dragos Platform
600以上のOTプロトコルを解析し、4種類の検知を組み合わせるOT監視基盤です。OT特化の脅威グループを追跡する脅威インテリジェンスを、検知に生かしています。
センサーごとに監視帯域の上限があります。公式資料に個別のプロトコル名やPLCメーカーの記載はなく、自社設備への対応は事前確認が必要です。複数プラントの監視を集約したい企業に向いています。
IIJ Safous Industrial SRA
工場ごとの専用アクセスポイントで、保守のリモート接続を管理するリモートアクセス型です。月額350,000円〜(10ユーザライセンス込み、税抜)を、プレスリリースで公開しています。
リモートアクセスの管理に絞った製品で、通信の可視化や異常検知は含みません。日本語の製品ページにOT向けの記載はなく、情報は英語サイトが中心です。海外を含む複数工場の保守接続に向いています。
Forescout SRA
保守ベンダーの接続を、申請から監視まで管理するリモートアクセス型です。VPNやジャンプサーバーに代わり、ブラウザ接続で特権の認証情報を利用者から隠せます。
日本語の製品ページは概要が中心で、対応する接続プロトコルや同時接続数は確認できません。価格は非公開で、要件を整理してから見積もる必要があります。外部作業者の接続を一元管理したい企業に向いています。
Kaspersky Industrial CyberSecurity
ネットワーク監視と制御端末の保護を組み合わせた、OT向けXDRです。前者はKICS for Networks、後者はKICS for Nodesです。開発ライフサイクルは、IEC 62443-4-1の成熟度レベル3の認証を受けています。
PLC整合性監視の対応機種に、国内メーカーのPLCは列挙されていません。KICS for Networksは、動かすサーバーや仮想環境を別に用意します。監視と端末保護を同じ製品群でそろえたい企業に向いています。
Palo Alto Networks OT Device Security
既存のNGFWにOTの可視化と防御を加える、センサー不要のサービスです。1,070以上のOT/ICS向けApp-IDを持ちます。セグメンテーションと仮想パッチも、同じNGFWで運用できます。
前提は、PAN-OS 10.2以降のNGFWと、Threat Preventionライセンスです。管理画面にはStrata Cloud Managerが必要です。他社製のファイアウォールを使い続ける場合は向きません。すでに同社のNGFWを使う企業に向いています。
OTセキュリティの無料・有料でできることの違い
OTセキュリティには、オープンソースのツールや、期間を限った無料トライアルがあります。ただし、無料で担える範囲は、役割の一部にとどまります。無料のツールの範囲は、無料で使えるOTセキュリティの記事で整理しました。
できること | 無料で足りる範囲 | 有料が必要になる範囲 |
|---|---|---|
通信の記録・解析 | オープンソースのツールで、通信を記録して調べられる | 画面での管理、検知の運用支援を含む製品 |
資産の棚卸し・異常の検知 | ツールを組み合わせ、自社で整える | 可視化と検知を一体で提供する製品 |
境界での遮断 | オープンソースにインラインの防御機能がある | 産業用ファイアウォールなどの専用機器 |
導入前の評価 | 無料トライアルや、過去の通信記録での検証 | 継続して使う場合のライセンス契約 |
運用・保守 | ルールや更新の対応は自社 | 国内の販売元による保守・導入支援 |
無料のオープンソースは、ライセンスの条件に従えば業務で使えます。一方で、非商用や評価用の版を業務で使うと、ライセンス違反になるおそれがあります。
まとめ
OTセキュリティの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。製品の型、導入方式、対応プロトコル、提供形態、規格と国内支援です。
まず、守りたい対象と、止められない設備への影響を書き出しましょう。次に、型ごとに候補を絞り、構成を含めた見積もりを比べます。円建ての価格を公開しているのは20製品のうち4製品で、残りは個別の見積もりです。国内メーカーのPLCへの対応と、国内の支援体制も、見積もりの段階で確かめておきましょう。製品はOTセキュリティのカテゴリページで比較できます。無料のツールは無料版の記事もご覧ください。
OTセキュリティ(工場・制御システム向け)のおすすめ製品
WideAngle OsecT
NTTドコモビジネス株式会社
ミラーポートにつなぐだけの国産SaaS型OT-IDS
Nozomi Guardian
Nozomi Networks Inc.
受動監視で資産とプロセス値の異常を捉える
Microsoft Defender for IoT
Microsoft Corporation
エージェントレスのOT監視
PFU iNetSec SF
株式会社PFU
未許可機器を見える化し遮断する
TXOne Stellar
TXOne Networks Japan合同会社
Windows 2000〜の制御端末を守るOT専用保護
Ewon Cosy+
HMSインダストリアルネットワークス株式会社
機械と遠隔のエンジニアをVPNで結ぶゲートウェイ
OTセキュリティ(工場・制御システム向け)比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| WideAngle OsecT | NTTドコモビジネス株式会社 | サブスクリプション | ミラーポートにつなぐだけの国産SaaS型OT-IDS | 詳細を見る | |
| Nozomi Guardian | Nozomi Networks Inc. | 要見積もり | 受動監視で資産とプロセス値の異常を捉える | 詳細を見る | |
| Microsoft Defender for IoT | Microsoft Corporation | サブスクリプション | エージェントレスのOT監視 | 詳細を見る | |
| PFU iNetSec SF | 株式会社PFU | ハイブリッド | 未許可機器を見える化し遮断する | 詳細を見る | |
| TXOne Stellar | TXOne Networks Japan合同会社 | 要見積もり | Windows 2000〜の制御端末を守るOT専用保護 | 詳細を見る | |
| Ewon Cosy+ | HMSインダストリアルネットワークス株式会社 | 要見積もり | 機械と遠隔のエンジニアをVPNで結ぶゲートウェイ | 詳細を見る | |
| Dragos Platform | Dragos, Inc. | 要見積もり | 600以上のOTプロトコルを解析する監視基盤 | 詳細を見る | |
| Tenable One OT Exposure | Tenable Network Security Japan株式会社 | 要見積もり | OT資産と脆弱性を洗い出す | 詳細を見る | |
| Cisco Cyber Vision | シスコシステムズ合同会社 | 要見積もり | 産業用スイッチ内蔵センサーでOT資産を可視化 | 詳細を見る | |
| IIJ Safous Industrial SRA | 株式会社インターネットイニシアティブ | サブスクリプション | 保守の遠隔接続を管理するOT向け | 詳細を見る | |
| Claroty xDome | Claroty, Inc. | 要見積もり | 450以上のプロトコルでOT資産とリスクを把握 | 詳細を見る | |
| Forescout SRA | フォアスカウト・テクノロジーズ株式会社 | 要見積もり | 保守ベンダーの接続を申請から監視まで管理 | 詳細を見る | |
| FL MGUARD 2000/4000シリーズ | フエニックス・コンタクト株式会社 | 要見積もり | 構成を変えずに足せる産業用ルーター | 詳細を見る | |
| MetaDefender Kiosk | OPSWAT JAPAN株式会社 | 要見積もり | USBメモリを持ち込み前に検査・無害化 | 詳細を見る | |
| FortiGate Rugged | フォーティネットジャパン合同会社 | 要見積もり | IEC 62443-4-2 SL4認証の産業用NGFW | 詳細を見る | |
| Kaspersky Industrial CyberSecurity | 株式会社カスペルスキー | 要見積もり | OT監視と端末保護を1つに | 詳細を見る | |
| Check Point Rugged Firewall | Check Point Software Technologies 株式会社 | 要見積もり | SCADAプロトコルを制御する耐環境FW | 詳細を見る | |
| Moxa EDR-G9010シリーズ | Moxa Japan合同会社 | 要見積もり | MELSEC・FINSをDPIで検査する | 詳細を見る | |
| Palo Alto Networks OT Device Security | パロアルトネットワークス株式会社 | 要見積もり | 既存NGFWにOT可視化を足す | 詳細を見る | |
| MHIパワーエンジニアリング OWCD | MHIパワーエンジニアリング株式会社 | 要見積もり | 通信を物理的に片方向に限る | 詳細を見る |
よくある質問
QOTセキュリティとITセキュリティは何が違いますか?
守る対象と、止められるかどうかが違います。OTは工場の制御システムで、設備を止められない場面が多くあります。更新できない古いOSの端末も残るため、IT向けの対策をそのまま入れられない場合があります。導入方式と設備への影響を、先に確認しましょう。
QOTセキュリティ製品は、どの型から検討すればよいですか?
機器と通信が把握できていないなら、ネットワーク可視化・検知型から検討します。保守ベンダーの遠隔接続が課題ならリモートアクセス型、古いOSの端末が課題ならエンドポイント型です。課題ごとに型が異なるため、守りたい対象を先に書き出してください。
QOTセキュリティの価格は公開されていますか?
円建ての価格を公式に公開しているのは、製品ページのある20製品のうち4製品です。残りは問い合わせや販売パートナー経由の見積もりです。センサー機器や追加ライセンス、運用支援で総額が変わるため、構成ごとに見積もりを取りましょう(2026年時点)。
QIEC 62443に対応しているかは、どう確認すればよいですか?
製品が認証を取得したのか、開発体制が認証を受けたのか、外部の評価を受けただけなのかを分けて確認します。表記は製品ごとに異なります。調達条件にする場合は、公式の認証書やデータシートで、対象の型番とセキュリティレベルを確かめてください。
