おすすめのHILSを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)の主要20製品を、処理性能、入出力、通信、モデル開発ツールとの連携、テスト自動化の5つの比較項目で整理。価格の公開状況と費用の内訳、企業の特徴ごとの選定ポイントまで解説します。

HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)は、制御装置を本物の機械の代わりのシミュレーターにつなぎ、制御ソフトの動作を試す仕組みです。自動車のECUやモーター、インバーターの試験で使われています。この記事では、製品ページのある主要20製品を同じ評価軸で並べました。基礎知識から選び方、費用の考え方までを整理します。
車両ネットワークまでを含むECU試験なら:dSPACE SCALEXIOやVector VT Systemが候補
モーターやインバーターの制御を試すなら:エー・アンド・デイ モータHILSやTyphoon HIL HIL404が候補
Simulinkのモデルをそのまま動かすなら:Simulink Real-TimeやOPAL-RT RT-LABが候補
電力系統や保護リレーを試すなら:RTDS NovaCor 2.0やOPAL-RT OP5707XG2が候補
高電圧のパワーHILを行うなら:dSPACE SCALEXIO Power HILやAVL Inverter TSが候補
HILSは、試験する制御装置の種類と、使うモデル開発ツールを、最初に確認すると比べやすくなります。基礎から知りたい方はHILSとはの記事、製品全体はHILS(ハードウェアインザループシミュレーション)のカテゴリページもご覧ください。
この記事でわかること
HILSの基礎知識
HILSは、制御装置を実機の代わりのシミュレーターにつなぎ、動作を試験する仕組みです。実機では危険な条件や、費用のかかる条件も再現できます。まず、仕組みと試験の内容、設計用ツールとの関係を押さえましょう。
実機の代わりにシミュレーターをつなぐ仕組み
HILSでは、試験する制御装置の入出力を、リアルタイムシミュレーターにつなぎます。シミュレーターがエンジンやモーター、車両の動きを計算します。その結果を、信号として制御装置に返す流れです。
制御装置から見ると、本物の機械が動いているのと同じ状態になります。計算を決められた時間内に終えるリアルタイム処理が、この仕組みの土台です。
HILSでできる試験
HILSでは、自動車のECUの機能試験や、モーター・インバーター制御の試験を行えます。実機ができる前の段階で、制御ソフトを検証することも可能です。
故障や異常の条件を再現した試験も、安全に繰り返せます。試験を自動化すれば、繰り返し行う回帰試験の手間も減らせます。
制御ソフトの設計ツールとの関係
制御ソフトそのものの設計は、モデルベース開発ツールの役割です。HILSは、設計した制御ソフトを制御装置に載せた状態で、試験する段階で使われます。
そのため、設計に使うMATLAB/Simulinkなどとの連携が、製品選びの確認点になります。ツールの扱いは製品ごとに違い、事前の確認が欠かせません。
編集部メモ:HILSは、シミュレーター本体だけでは試験になりません。I/Oボードや通信の機能、モデルを動かすソフトまで含めた構成で比べる必要があります。
HILSの基本的な選び方
HILSを選ぶ際には、試験する制御装置の種類と、必要な入出力の規模を先に整理することが重要です。ここが合わない製品は、他の機能がそろっていても使えません。次の4つの観点で整理しましょう。
試験する制御装置とモデルの規模を決める
最初に、試験するのが自動車のECUか、モーターやインバーターの制御か、電力系統の機器かを決めます。製品は、得意な対象が分かれています。
動かすモデルの規模も整理しましょう。大規模な系統モデルや車両モデルの計算には、処理性能の高い機種が要ります。対象や規模の記載がない製品は、問い合わせが欠かせません。
入出力のチャネル数と通信を確認する
制御装置とつなぐ入出力の種類とチャネル数を確認します。アナログやデジタルの入出力の数が、後から足りなくなる場合もあります。
通信は、製品によって対応が違う点に注意が必要です。車載通信のCANやEthernetに強い製品があります。電力系統のIEC 61850に強い製品もあるため、対象の通信を確認が要ります。拡張ユニットで入出力を増やせるかも、見ておく点です。
モデル開発ツールとの連携を見る
設計にMATLABのモデルを使うなら、そのモデルをそのまま動かせるかが確認点です。CarMakerなど車両モデルのツールとの連携も、製品によって異なります。
FMIなどの標準規格でモデルを取り込めると、他社ツールの資産も使いやすくなります。使うツールが決まっている場合は、先に対応を確かめましょう。
テストの自動化と拡張性を確認する
試験を繰り返すなら、自動化の手段が重要です。PythonやTestStandから試験を実行できるか確かめます。CI/CDに組み込めるかも見ましょう。
将来の構成の拡張も見ておきます。筐体やCPUを増やせる製品や、後から入出力を足せる製品があります。選定の進め方はHILSの選び方の記事も参考にしてください。
HILSの比較項目
製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。HILSで見る項目は次の5つです。互いに関連するので、まず表で全体像をつかみましょう。
比較項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
リアルタイム処理の性能と扱えるモデルの規模 | CPUのコア数やFPGAの有無。演算周期の数値。大規模なモデルを動かせるか |
入出力の種類とチャネル数 | アナログ・デジタルの入出力数。故障の模擬ができるか。後から増設できるか |
対応する車載・産業用通信 | CANやEthernetなどの対応。電力系統向けの通信の有無 |
モデル開発ツールとの連携 | MATLABを使ったモデルへの対応。FMIや他社ツールとの連携 |
テストの自動化・管理の機能 | PythonやTestStandなどからの実行。CI/CDとの連携 |
リアルタイム処理の性能と扱えるモデルの規模
模擬する対象の動きを、決められた時間内に計算し切れるかを比べる項目です。CPUのコア数や、高速な処理を担うFPGAの有無が影響します。
演算周期の数値を公開している製品と、していない製品があります。数値の記載がない場合は、資料や問い合わせで確かめましょう。
入出力の種類とチャネル数
制御装置と信号をやり取りする部分を比べる項目です。アナログとデジタルの入出力の数、クランク信号やセンサーの模擬といった専用のI/Oがあるかを見ます。
断線や地絡といった故障を模擬できるかも、製品によって異なります。後から入出力を増やせるかも、あわせて確認する点です。
対応する車載・産業用通信
制御装置とつながる通信の種類を比べる項目です。車載ではCANやCAN FD、LIN、Ethernetが代表例です。
電力系統の機器を試すなら、IEC 61850やDNP3への対応が焦点になります。対応する規格の一覧が製品ページにない場合は、個別に確認が必要です。
モデル開発ツールとの連携
モデルを作るツールと、シミュレーターのつながりを比べる項目です。MATLABで作ったモデルを、そのまま実行できる製品があります。
FMIの取り込みや、CarMakerなど車両モデルのツールとの連携も確認します。モデルを動かすための追加ソフトがあるかも、見る点です。
テストの自動化・管理の機能
試験を繰り返し実行し、結果を管理するための項目です。専用の自動化ソフトを持つ製品や、PythonのAPIを備える製品があります。
既存のテスト管理ツールにつなげられるかも比べましょう。ASAM XILのような標準のインターフェースに対応するかも、判断材料です。
自社に合ったHILSの選定ポイント
比較項目のどこに重点を置くかは、自社の状況で変わります。企業の特徴ごとに、確認する順番を整理しました。自社に近いものから読んでください。
車載ECUを開発する企業
エンジンや車体、ADASなどのECUを試験する企業です。最初に確認したいのは、必要な入出力と車載通信に対応するかです。多数のECUをつなぐなら、構成を広げられる製品が候補になります。
CarMakerなど車両モデルのツールを使う場合は、連携する製品を選ぶとモデルを引き継げます。国内メーカーの支援を求めるなら、国産のHILSも比べましょう。
モーターやインバーターを開発する企業
電動化に向けて、モーター制御やインバーターを開発する企業です。高速なスイッチングを検証できる時間刻みと、FPGAによるモーターの模擬が焦点です。
JMAG-RTなど精密なモーターモデルを使うなら、その対応を確かめます。高電圧のフルパワー試験は、設置や安全対策の規模が大きくなる点にも注意してください。
電力系統や再生可能エネルギーの機器を扱う企業
保護リレーや系統連系のインバーター、変電所の機器を試験する企業です。IEC 61850やDNP3など、電力系統の通信に対応するかが最初の確認点です。
自動車向けの製品は、系統の試験を想定していない場合があります。対象を電力系統に絞った製品と、広く使える製品の違いを、用途に照らして比べましょう。
Simulinkで制御を設計している企業
制御の設計をSimulinkで行っている企業です。同じモデルをそのまま実機で動かせる製品なら、HILへの移行の手間を抑えられます。
リアルタイム実行ソフトは、対応するハードウェアが決まっている場合があります。ソフトとハードの組み合わせと、それぞれの見積もりを確認してください。
専任の担当が少なく、小さく始めたい企業
HILの専任担当が少なく、まず小さく試したい企業です。制御の試作と入門レベルのHILを一台で行える、コンパクトな機種が候補になります。
上位システムへ広げられるかも見ておきましょう。価格は公開されていないため、試験の対象と規模を整理してから、見積もりを依頼してください。
HILSの費用相場
HILSは、試験する対象や入出力の規模で費用が大きく変わります。製品ページのある20製品のうち、価格を公式サイトで公開している製品はありません。20製品すべてが、問い合わせや見積もりでの確認になります。
費用の内訳 | 費用を左右する要因 | 公開されている目安(2026年時点) |
|---|---|---|
リアルタイムシミュレーター本体 | CPUのコア数、FPGAの有無、筐体の数、並列に接続する台数 | 公開なし(個別見積もり) |
I/Oボードと通信インターフェース | アナログ・デジタルの入出力数、対応する通信の種類、故障模擬の機能 | 公開なし(個別見積もり) |
モデル開発・実行ソフトのライセンス | 使うモデル開発ツール、実行ソフトの種類、必要なライセンスの数 | 公開なし。ソフトの無料試用を案内する製品がある |
試験の自動化・管理のソフト | 自動化ソフトの有無、既存のテスト管理ツールとの連携 | 公開なし(個別見積もり) |
設置・立ち上げ・保守 | 構成の設計、モデルの組み込み、設置場所の設備、保守契約の範囲 | 公開なし(個別見積もり) |
総額は、I/Oの規模や、ソフトとハードウェアの組み合わせで見積もりが大きく変わります。ソフトだけを案内する製品では、別途ハードウェアの費用が生じる点にも注意してください。費用の見方はHILSの費用相場の記事も参考にしてください。
【比較表】HILSのランキング
製品データとして数値化できる4項目を、5段階の評価で横並びにしました。品質管理・工程管理・現場での使いやすさ・中小適合の4つです。並びは中小適合の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べ、最後は製品名で決めています。
順位 | 製品 | 提供元 | 品質管理 | 工程管理 | 現場での使いやすさ | 中小適合 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 株式会社エー・アンド・デイ | 5 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
2 | マスワークス合同会社 | 4 | 5 | 4 | 3 | 公式の価格ページに単体価格の表示なし(営業へ問い合わせ)。無料試用あり。Speedgoatのハードウェアは別途必要 | |
3 | コンカレント日本株式会社 | 4 | 5 | 3 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
4 | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 4 | 5 | 3 | 3 | 公式サイトに価格・ライセンス形態の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT | |
5 | 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。NIのリアルタイムハードウェアは別途必要 | |
6 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売 | |
7 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売 | |
8 | ベクター・ジャパン株式会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。CANoeと組み合わせて使う | |
9 | 株式会社エー・アンド・デイ | 4 | 4 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
10 | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 4 | 4 | 3 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT | |
11 | 株式会社エー・アンド・デイ | 4 | 4 | 3 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
12 | dSPACE Japan株式会社 | 3 | 3 | 4 | 3 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
13 | dSPACE Japan株式会社 | 5 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。構成は要件に合わせて組む | |
14 | RTDS Technologies Inc. | 5 | 3 | 3 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内は株式会社J-POWERビジネスサービスが国内の窓口 | |
15 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 4 | 4 | 4 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売 | |
16 | IPG Automotive株式会社 | 4 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
17 | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 4 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT | |
18 | 株式会社鷺宮製作所 | 4 | 4 | 3 | 2 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
19 | dSPACE Japan株式会社 | 5 | 3 | 2 | 1 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) | |
20 | エイヴィエルジャパン株式会社 | 4 | 4 | 3 | 1 | 公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ) |
HILSの主要製品の詳細
ここからは表に挙げた20製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社の試験対象と入出力の規模に照らして読み進めてください。
エー・アンド・デイ モータHILS
FPGAでモーターを模擬し、実モーターなしでモータECUを検証するHILSです。PMSMやインバーター、センサーの標準モデルがそろいます。JMAG-RT対応モデルや空間高調波モデルも実装できる点が特徴です。
天絡・地絡・断線を実回路で再現でき、最速10nsでデータを記録できます。用途はモータECUの検証に絞られ、車両全体のECU試験には別の構成が要ります。価格は公式サイトに掲載がなく、問い合わせが必要です。
Simulink Real-Time
Simulinkのモデルを、Speedgoatの実機でワンクリックで動かせるソフトです。Simulink Testと組み合わせると、MIL・SILのテストをHILへ移せます。
実行にはSpeedgoatのリアルタイムターゲットと、MATLAB・Simulinkが要ります。価格は公式サイトに表示がなく、無料試用が用意されている状況です。Simulinkを使っていない現場には不向きでしょう。
Concurrent SIMulation Workbench
RedHawk Linux上で、複数のツールのモデルを並行して動かせる実時間基盤です。Simulink、CarMaker、FMIのモデルのほか、手書きのC/C++モデルも扱えます。モデルとI/O構成は分けて管理します。
PythonやC#、CのAPIがあり、CI/CDとも連携しやすい構成です。Linuxに慣れていない現場では、学習の時間が要ります。I/O込みのターンキー機を一式で買いたい場合には向きません。
OPAL-RT RT-LAB
Simulinkのモデルを実機とつなぐまでを、一つで行えるOPAL-RTのソフトです。CPUのEMT並列実行とFPGAのEMTシミュレーションを、用途に応じて使い分けます。
IEC 61850やDNP3、CAN、EtherCATなど幅広い通信に対応します。OPAL-RTのシミュレーターと組み合わせる前提で、ソフト単体ではHILを構成できません。国内の窓口は、代理店の株式会社NEATです。
NI VeriStand
I/O設定やデータロギング、刺激生成、アラームを、一つで設定できるNIのソフトです。HIL試験の組み立てに使うソフトです。TestStandやPython、ASAM XILで、試験の自動化や外部ツールとの連携も行えます。
実行にはNIのリアルタイムハードウェアが要ります。ソフト単体ではHILを構成できず、価格も公開されていません。他社製のハードウェアでHILを組みたい場合には向きません。
Typhoon HIL HIL404
モーター駆動と自動車向けパワーエレクトロニクスに絞った、4コアのHILシミュレーターです。MATLAB/SimulinkやPSIM、JMAG-RTと連携でき、既存のモデルも使えます。
XIL/ASAM互換APIにより、他社のテスト自動化ツールとも接続できる製品です。アナログ入出力は各16chで、入出力を多く使う構成には上位機種が要ります。パワーエレクトロニクス以外が中心の試験には不向きです。
Typhoon HIL HIL506
最大6コアで、複数のコンバータを含む構成を模擬できる中位のHILシミュレーターです。最大16台を並べると、100台以上のコンバータを含む大規模なシステムも扱えるとされています。
Pythonベースのソフトで試験を自動化できます。アナログ入力は16chのため、入力を多く使う構成では上位のHIL606が候補です。車載ネットワーク全体の試験は対象外で、価格は公式サイトにありません。
Vector VT System
信号の入出力に必要な回路をモジュールに内蔵し、HILの配線を簡素化できるシステムです。CANoeがモジュールを自動検出します。vTESTstudioと合わせて、試験の作成から実行まで進められます。
CANoeと組み合わせて使うため、CANoeの導入が前提です。プラントモデルの扱いは、別途の確認が要ります。大規模な車両モデルを高速に計算することが主目的の場合には、不向きです。
エー・アンド・デイ HELIOS
I/Oとインターフェースを一体にして、複数の筐体へ広げられる国産のHILSプラットフォームです。ECU試験向けに、クランク・カム信号やSENT、車載EthernetのI/Oボードがそろいます。
マルチノードで、最大9個のCPUを同時に実行できます。製品ページには価格や対応ツール、故障模擬の詳細がなく、資料での確認が必要です。自動車以外の制御装置を試すなら、構成の相談が要ります。
OPAL-RT OP4610XG2
Core i5とKintex-7 FPGAを積んだ、XG2シリーズの中規模機です。電力変換器や電動ドライブを模擬できます。拡張ユニットで、高速I/Oを最大128ch追加できる点も特徴です。
I/Oモジュールは1台あたり最大4つで、多数の入出力が要る場合は上位機が候補です。国内の問い合わせ窓口は、代理店の株式会社NEATになります。価格は公式サイトにありません。
エー・アンド・デイ AD-PROCYON
サーバー向けCPUのマルチコアで並列処理し、大規模なモデルを実時間で動かすシミュレーターです。MATLAB/Simulinkのモデルを、実時間で実行できます。
CarSimやCarMaker、GT-SUITEなどのツールとの連携が、用途に挙げられています。演算周期やレイテンシーの数値は製品ページになく、資料での確認が必要です。価格も公開されておらず、構成ごとの見積もりになります。
dSPACE MicroLabBox II
I/Oを内蔵した一体型のラボ用システムで、制御の試作と入門レベルのHILの両方に使えます。ユーザーがプログラムできるFPGAを積む構成です。AutomationDeskで、試験の自動化も組めるでしょう。
公式には、入門レベルのHILという位置づけです。多数のECUをつなぐ車両ネットワーク全体の試験は、上位システムの領域になります。価格は公式サイトに掲載がなく、問い合わせが必要です。
dSPACE SCALEXIO
信号レベルのHILから、フルパワーのインバーター試験まで、同じ基盤で構成を選べます。モジュール型のシステムです。機械式テストベンチにも対応し、FPGAベースの高速I/Oも特徴です。
FMIで、サードパーティ製のモデルも取り込めます。構成は要件から設計する必要があり、導入時に詰める作業が生じます。価格は公式サイトにありません。少数のI/Oで基板を一枚だけ試す用途には、過剰になりがちです。
RTDS NovaCor 2.0
保護リレーや系統制御装置を、模擬した電力系統と閉ループでつないで試験する製品です。電力系統用のシミュレーターで、IEC 61850のSV・GOOSEやDNP3などの通信に対応します。
コアはライセンスで1〜10個の範囲で解放され、あとから追加できます。電力系統に特化しており、自動車のECU試験には向きません。国内は、株式会社J-POWERビジネスサービスが国内の窓口です。
Typhoon HIL HIL606
最上位のHILシミュレーターで、最大8コアを備えます。アナログ出力は64ch、デジタル入出力は各64chです。高速スイッチングの制御を検証できます。
パワーエレクトロニクスとモーター駆動が中心の設計で、車両ネットワーク全体の試験には向きません。価格は公式サイトになく、構成ごとに見積もりが要ります。教育用途で費用を抑えたい場合にも不向きです。
IPG Automotive Xpack Real-time System
CarMakerと組み合わせて、車両のHILを組む実時間機です。CompactPCI Serialを基にしたモジュール構成です。CPU・筐体・I/Oを用途に合わせて選べます。
CAN FDやLIN、Ethernetに加えて、PSI5やSENTのモジュールもあります。公式に挙がる用途は、ADAS、パワートレイン、車両ダイナミクスです。自動車以外の制御装置や、CarMakerを使わない現場には向きません。
OPAL-RT OP5707XG2
Xeon GoldとVirtex-7 FPGAを一体にした、高性能なHIL向けの製品です。大規模な系統モデルと、高速なスイッチングの模擬を両立できます。RT-LABとHYPERSIMの両方で使えます。
最大8つのI/Oモジュールを載せられる構成です。通信プロトコルの一覧は製品ページにないため、個別の確認が要ります。小規模な制御基板だけを試験するなら、機能が大きすぎるでしょう。
鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440
車両モデルで計算したラック荷重を加え、ステアリングを車両なしで評価するHILSです。荷重はリニアモーター式のアクチュエーターで与えます。油圧サーボが苦手な高応答・低作動音の負荷もかけられ、異音の評価にも使えます。
ステアリング系に特化した装置で、ほかのECUや電動パワートレインの試験には使えません。恒温槽や操舵入力装置はオプションで、構成と価格は個別の確認が要ります。
dSPACE SCALEXIO Power HIL
最大1,250Vのパワーエレクトロニクス機器を、フルパワーで試験できるテストベンチです。実機のモーターやバッテリーは要りません。ISO 21498とLV 123の試験に対応し、電動車や産業用ドライブまで用途が広がります。
高電圧の試験設備のため、設置場所や電源、安全対策を含む導入の規模が大きくなります。信号レベルのECU試験だけなら不要です。電流や出力の値は、製品ページに記載がありません。
AVL Inverter TS
インバーターを必要な電圧・電流のもとで試験する、パワーHILの試験システムです。実モーターや実バッテリーは要りません。モーターと独立しているため、開発の初期から検証を始められます。
インバーターを対象にした大型の設備で、信号レベルのECU試験には向きません。電圧や電流などの仕様は、資料での確認が要ります。小規模な試験室への導入も難しくなります。
HILSの無料・有料でできることの違い
HILSには、無料で使い始められる製品はなく、リアルタイムの実行環境と入出力の導入が前提です。無料で試せるのは、一部のソフトの試用などにとどまります。
できること | 無料で試せる範囲 | 個別の見積もりが必要になる範囲 |
|---|---|---|
モデルの実行 | ソフトの無料試用を案内する製品がある(ハードウェアは別途) | リアルタイム実行ソフトのライセンス、シミュレーター本体 |
制御装置との入出力・通信 | なし。I/Oボードや通信の機器の導入が必要 | 入出力のチャネル数、通信の種類、故障模擬の機能 |
試験の自動化 | 製品ごとに異なる。提供の条件は個別に確認 | 自動化ソフトや、既存ツールとの連携の構築 |
設置・保守 | なし | 構成の設計、立ち上げ、保守契約の範囲 |
無料で試せるのは、モデルの実行環境の一部にとどまります。制御装置をつなぐ試験を行うには、ハードウェアの導入が必要です。試用の条件は製品ごとに異なるため、見積もりの段階で確かめましょう。
まとめ
HILSの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。リアルタイム処理の性能、入出力と通信、モデル開発ツールとの連携です。テストの自動化と、扱えるモデルの規模も加えた5つです。
まず、試験する制御装置の種類と、使うモデル開発ツールを書き出しましょう。次に、必要な入出力と通信に対応するかを確かめ、見積もりを比べます。価格を公開している製品は20製品のうち0製品で、すべて問い合わせが必要です。製品はHILS(ハードウェアインザループシミュレーション)のカテゴリページで比較できます。選定の進め方はHILSの選び方の記事、メーカー別の傾向はHILSのメーカーの記事もご覧ください。
HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)のおすすめ製品
Simulink Real-Time
マスワークス合同会社
Simulinkモデルを実機で動かすHIL用ソフト
エー・アンド・デイ モータHILS
株式会社エー・アンド・デイ
実モーターなしでモータECUを検証
NI VeriStand
日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
HILを動かすNIのリアルタイム試験ソフト
Typhoon HIL HIL404
タイフーンヒル・ジャパン合同会社
モーター・EV向けの4コアHILシミュレータ
エー・アンド・デイ HELIOS
株式会社エー・アンド・デイ
複数筐体へ広げられる国産HILS
Vector VT System
ベクター・ジャパン株式会社
CANoeと組むモジュール式HILテストシステム
HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| Simulink Real-Time | マスワークス合同会社 | 要見積もり | Simulinkモデルを実機で動かすHIL用ソフト | 詳細を見る | |
| エー・アンド・デイ モータHILS | 株式会社エー・アンド・デイ | 要見積もり | 実モーターなしでモータECUを検証 | 詳細を見る | |
| NI VeriStand | 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社 | 要見積もり | HILを動かすNIのリアルタイム試験ソフト | 詳細を見る | |
| Typhoon HIL HIL404 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 要見積もり | モーター・EV向けの4コアHILシミュレータ | 詳細を見る | |
| エー・アンド・デイ HELIOS | 株式会社エー・アンド・デイ | 要見積もり | 複数筐体へ広げられる国産HILS | 詳細を見る | |
| Vector VT System | ベクター・ジャパン株式会社 | 要見積もり | CANoeと組むモジュール式HILテストシステム | 詳細を見る | |
| Typhoon HIL HIL506 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 要見積もり | 最大6コアの中位パワエレHILシミュレータ | 詳細を見る | |
| OPAL-RT RT-LAB | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 要見積もり | Simulinkモデルを実時間で動かす実行ソフト | 詳細を見る | |
| Concurrent SIMulation Workbench | コンカレント日本株式会社 | 要見積もり | HIL・DIL向けの実時間基盤 | 詳細を見る | |
| dSPACE SCALEXIO | dSPACE Japan株式会社 | 要見積もり | 信号からパワーまで広げられるモジュール型HIL | 詳細を見る | |
| Typhoon HIL HIL606 | タイフーンヒル・ジャパン合同会社 | 要見積もり | 最大8コアの最上位パワエレHILシミュレータ | 詳細を見る | |
| エー・アンド・デイ AD-PROCYON | 株式会社エー・アンド・デイ | 要見積もり | Simulinkモデルを並列実行する実時間機 | 詳細を見る | |
| OPAL-RT OP4610XG2 | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 要見積もり | FPGA搭載の中規模リアルタイムシミュレータ | 詳細を見る | |
| OPAL-RT OP5707XG2 | OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc | 要見積もり | FPGA一体の高性能HIL向けリアルタイムシミュレータ | 詳細を見る | |
| IPG Automotive Xpack Real-time System | IPG Automotive株式会社 | 要見積もり | CarMaker用の車両HIL実時間機 | 詳細を見る | |
| RTDS NovaCor 2.0 | RTDS Technologies Inc. | 要見積もり | 電力系統用リアルタイムシミュレータ | 詳細を見る | |
| 鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440 | 株式会社鷺宮製作所 | 要見積もり | 車両なしでステアリングを評価 | 詳細を見る | |
| dSPACE MicroLabBox II | dSPACE Japan株式会社 | 要見積もり | 大容量FPGA搭載のコンパクトHIL機 | 詳細を見る | |
| AVL Inverter TS | エイヴィエルジャパン株式会社 | 要見積もり | インバーターを単体で試すパワーHIL試験システム | 詳細を見る | |
| dSPACE SCALEXIO Power HIL | dSPACE Japan株式会社 | 要見積もり | 最大1,250VのパワーHILテストベンチ | 詳細を見る |
よくある質問
QHILSを選ぶとき、最初に何を確認すればよいですか?
試験する制御装置の種類と、使っているモデル開発ツールを確認します。あわせて、必要な入出力のチャネル数と通信の種類を整理してください。ここが合わない製品は、他の機能が充実していても使えません。
QHILSの価格は、どのくらいを見込めばよいですか?
製品ページのある20製品のうち、2026年時点で価格を公式サイトで公開している製品はありません。入出力の規模やソフトとハードの組み合わせで見積もりが変わるため、条件を整理して各社に問い合わせる必要があります。
QSimulinkで設計した制御を、そのまま試験できますか?
Simulinkのモデルを実時間で動かせる製品があります。Simulink Real-TimeやOPAL-RT RT-LABのようなソフトが代表例です。ただし、対応するハードウェアが決まっている場合があるため、組み合わせを確認してください。
Q電力系統の機器と自動車のECUで、選ぶ製品は変わりますか?
変わります。電力系統の機器には、IEC 61850などの通信に対応した製品が向きます。自動車のECUには、車載通信やセンサーのI/Oをそろえた製品が向きます。対象に特化した製品は、他の用途には使えない場合があります。
