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比較#HILS#製品比較#ハードウェアインザループシミュレーション

おすすめのHILSを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)の主要20製品を、処理性能、入出力、通信、モデル開発ツールとの連携、テスト自動化の5つの比較項目で整理。価格の公開状況と費用の内訳、企業の特徴ごとの選定ポイントまで解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
おすすめのHILSを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)は、制御装置を本物の機械の代わりのシミュレーターにつなぎ、制御ソフトの動作を試す仕組みです。自動車のECUやモーター、インバーターの試験で使われています。この記事では、製品ページのある主要20製品を同じ評価軸で並べました。基礎知識から選び方、費用の考え方までを整理します。

車両ネットワークまでを含むECU試験なら:dSPACE SCALEXIOやVector VT Systemが候補

モーターやインバーターの制御を試すなら:エー・アンド・デイ モータHILSやTyphoon HIL HIL404が候補

Simulinkのモデルをそのまま動かすなら:Simulink Real-TimeやOPAL-RT RT-LABが候補

電力系統や保護リレーを試すなら:RTDS NovaCor 2.0やOPAL-RT OP5707XG2が候補

高電圧のパワーHILを行うなら:dSPACE SCALEXIO Power HILやAVL Inverter TSが候補

HILSは、試験する制御装置の種類と、使うモデル開発ツールを、最初に確認すると比べやすくなります。基礎から知りたい方はHILSとはの記事、製品全体はHILS(ハードウェアインザループシミュレーション)のカテゴリページもご覧ください。


この記事でわかること

01

HILSの基礎知識

HILSは、制御装置を実機の代わりのシミュレーターにつなぎ、動作を試験する仕組みです。実機では危険な条件や、費用のかかる条件も再現できます。まず、仕組みと試験の内容、設計用ツールとの関係を押さえましょう。

実機の代わりにシミュレーターをつなぐ仕組み

HILSでは、試験する制御装置の入出力を、リアルタイムシミュレーターにつなぎます。シミュレーターがエンジンやモーター、車両の動きを計算します。その結果を、信号として制御装置に返す流れです。

制御装置から見ると、本物の機械が動いているのと同じ状態になります。計算を決められた時間内に終えるリアルタイム処理が、この仕組みの土台です。

HILSでできる試験

HILSでは、自動車のECUの機能試験や、モーター・インバーター制御の試験を行えます。実機ができる前の段階で、制御ソフトを検証することも可能です。

故障や異常の条件を再現した試験も、安全に繰り返せます。試験を自動化すれば、繰り返し行う回帰試験の手間も減らせます。

制御ソフトの設計ツールとの関係

制御ソフトそのものの設計は、モデルベース開発ツールの役割です。HILSは、設計した制御ソフトを制御装置に載せた状態で、試験する段階で使われます。

そのため、設計に使うMATLAB/Simulinkなどとの連携が、製品選びの確認点になります。ツールの扱いは製品ごとに違い、事前の確認が欠かせません。

編集部メモ:HILSは、シミュレーター本体だけでは試験になりません。I/Oボードや通信の機能、モデルを動かすソフトまで含めた構成で比べる必要があります。


02

HILSの基本的な選び方

HILSを選ぶ際には、試験する制御装置の種類と、必要な入出力の規模を先に整理することが重要です。ここが合わない製品は、他の機能がそろっていても使えません。次の4つの観点で整理しましょう。

試験する制御装置とモデルの規模を決める

最初に、試験するのが自動車のECUか、モーターやインバーターの制御か、電力系統の機器かを決めます。製品は、得意な対象が分かれています。

動かすモデルの規模も整理しましょう。大規模な系統モデルや車両モデルの計算には、処理性能の高い機種が要ります。対象や規模の記載がない製品は、問い合わせが欠かせません。

入出力のチャネル数と通信を確認する

制御装置とつなぐ入出力の種類とチャネル数を確認します。アナログやデジタルの入出力の数が、後から足りなくなる場合もあります。

通信は、製品によって対応が違う点に注意が必要です。車載通信のCANやEthernetに強い製品があります。電力系統のIEC 61850に強い製品もあるため、対象の通信を確認が要ります。拡張ユニットで入出力を増やせるかも、見ておく点です。

モデル開発ツールとの連携を見る

設計にMATLABのモデルを使うなら、そのモデルをそのまま動かせるかが確認点です。CarMakerなど車両モデルのツールとの連携も、製品によって異なります。

FMIなどの標準規格でモデルを取り込めると、他社ツールの資産も使いやすくなります。使うツールが決まっている場合は、先に対応を確かめましょう。

テストの自動化と拡張性を確認する

試験を繰り返すなら、自動化の手段が重要です。PythonやTestStandから試験を実行できるか確かめます。CI/CDに組み込めるかも見ましょう。

将来の構成の拡張も見ておきます。筐体やCPUを増やせる製品や、後から入出力を足せる製品があります。選定の進め方はHILSの選び方の記事も参考にしてください。


03

HILSの比較項目

製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。HILSで見る項目は次の5つです。互いに関連するので、まず表で全体像をつかみましょう。

比較項目

見るべきポイント

リアルタイム処理の性能と扱えるモデルの規模

CPUのコア数やFPGAの有無。演算周期の数値。大規模なモデルを動かせるか

入出力の種類とチャネル数

アナログ・デジタルの入出力数。故障の模擬ができるか。後から増設できるか

対応する車載・産業用通信

CANやEthernetなどの対応。電力系統向けの通信の有無

モデル開発ツールとの連携

MATLABを使ったモデルへの対応。FMIや他社ツールとの連携

テストの自動化・管理の機能

PythonやTestStandなどからの実行。CI/CDとの連携

リアルタイム処理の性能と扱えるモデルの規模

模擬する対象の動きを、決められた時間内に計算し切れるかを比べる項目です。CPUのコア数や、高速な処理を担うFPGAの有無が影響します。

演算周期の数値を公開している製品と、していない製品があります。数値の記載がない場合は、資料や問い合わせで確かめましょう。

入出力の種類とチャネル数

制御装置と信号をやり取りする部分を比べる項目です。アナログとデジタルの入出力の数、クランク信号やセンサーの模擬といった専用のI/Oがあるかを見ます。

断線や地絡といった故障を模擬できるかも、製品によって異なります。後から入出力を増やせるかも、あわせて確認する点です。

対応する車載・産業用通信

制御装置とつながる通信の種類を比べる項目です。車載ではCANやCAN FD、LIN、Ethernetが代表例です。

電力系統の機器を試すなら、IEC 61850やDNP3への対応が焦点になります。対応する規格の一覧が製品ページにない場合は、個別に確認が必要です。

モデル開発ツールとの連携

モデルを作るツールと、シミュレーターのつながりを比べる項目です。MATLABで作ったモデルを、そのまま実行できる製品があります。

FMIの取り込みや、CarMakerなど車両モデルのツールとの連携も確認します。モデルを動かすための追加ソフトがあるかも、見る点です。

テストの自動化・管理の機能

試験を繰り返し実行し、結果を管理するための項目です。専用の自動化ソフトを持つ製品や、PythonのAPIを備える製品があります。

既存のテスト管理ツールにつなげられるかも比べましょう。ASAM XILのような標準のインターフェースに対応するかも、判断材料です。


04

自社に合ったHILSの選定ポイント

比較項目のどこに重点を置くかは、自社の状況で変わります。企業の特徴ごとに、確認する順番を整理しました。自社に近いものから読んでください。

車載ECUを開発する企業

エンジンや車体、ADASなどのECUを試験する企業です。最初に確認したいのは、必要な入出力と車載通信に対応するかです。多数のECUをつなぐなら、構成を広げられる製品が候補になります。

CarMakerなど車両モデルのツールを使う場合は、連携する製品を選ぶとモデルを引き継げます。国内メーカーの支援を求めるなら、国産のHILSも比べましょう。

モーターやインバーターを開発する企業

電動化に向けて、モーター制御やインバーターを開発する企業です。高速なスイッチングを検証できる時間刻みと、FPGAによるモーターの模擬が焦点です。

JMAG-RTなど精密なモーターモデルを使うなら、その対応を確かめます。高電圧のフルパワー試験は、設置や安全対策の規模が大きくなる点にも注意してください。

電力系統や再生可能エネルギーの機器を扱う企業

保護リレーや系統連系のインバーター、変電所の機器を試験する企業です。IEC 61850やDNP3など、電力系統の通信に対応するかが最初の確認点です。

自動車向けの製品は、系統の試験を想定していない場合があります。対象を電力系統に絞った製品と、広く使える製品の違いを、用途に照らして比べましょう。

Simulinkで制御を設計している企業

制御の設計をSimulinkで行っている企業です。同じモデルをそのまま実機で動かせる製品なら、HILへの移行の手間を抑えられます。

リアルタイム実行ソフトは、対応するハードウェアが決まっている場合があります。ソフトとハードの組み合わせと、それぞれの見積もりを確認してください。

専任の担当が少なく、小さく始めたい企業

HILの専任担当が少なく、まず小さく試したい企業です。制御の試作と入門レベルのHILを一台で行える、コンパクトな機種が候補になります。

上位システムへ広げられるかも見ておきましょう。価格は公開されていないため、試験の対象と規模を整理してから、見積もりを依頼してください。


05

HILSの費用相場

HILSは、試験する対象や入出力の規模で費用が大きく変わります。製品ページのある20製品のうち、価格を公式サイトで公開している製品はありません。20製品すべてが、問い合わせや見積もりでの確認になります。

費用の内訳

費用を左右する要因

公開されている目安(2026年時点)

リアルタイムシミュレーター本体

CPUのコア数、FPGAの有無、筐体の数、並列に接続する台数

公開なし(個別見積もり)

I/Oボードと通信インターフェース

アナログ・デジタルの入出力数、対応する通信の種類、故障模擬の機能

公開なし(個別見積もり)

モデル開発・実行ソフトのライセンス

使うモデル開発ツール、実行ソフトの種類、必要なライセンスの数

公開なし。ソフトの無料試用を案内する製品がある

試験の自動化・管理のソフト

自動化ソフトの有無、既存のテスト管理ツールとの連携

公開なし(個別見積もり)

設置・立ち上げ・保守

構成の設計、モデルの組み込み、設置場所の設備、保守契約の範囲

公開なし(個別見積もり)

総額は、I/Oの規模や、ソフトとハードウェアの組み合わせで見積もりが大きく変わります。ソフトだけを案内する製品では、別途ハードウェアの費用が生じる点にも注意してください。費用の見方はHILSの費用相場の記事も参考にしてください。


06

【比較表】HILSのランキング

製品データとして数値化できる4項目を、5段階の評価で横並びにしました。品質管理・工程管理・現場での使いやすさ・中小適合の4つです。並びは中小適合の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べ、最後は製品名で決めています。

順位

製品

提供元

品質管理

工程管理

現場での使いやすさ

中小適合

価格の目安

1

エー・アンド・デイ モータHILS

株式会社エー・アンド・デイ

5

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

2

Simulink Real-Time

マスワークス合同会社

4

5

4

3

公式の価格ページに単体価格の表示なし(営業へ問い合わせ)。無料試用あり。Speedgoatのハードウェアは別途必要

3

Concurrent SIMulation Workbench

コンカレント日本株式会社

4

5

3

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

4

OPAL-RT RT-LAB

OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc

4

5

3

3

公式サイトに価格・ライセンス形態の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT

5

NI VeriStand

日本ナショナルインスツルメンツ株式会社

4

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。NIのリアルタイムハードウェアは別途必要

6

Typhoon HIL HIL404

タイフーンヒル・ジャパン合同会社

4

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売

7

Typhoon HIL HIL506

タイフーンヒル・ジャパン合同会社

4

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売

8

Vector VT System

ベクター・ジャパン株式会社

4

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。CANoeと組み合わせて使う

9

エー・アンド・デイ HELIOS

株式会社エー・アンド・デイ

4

4

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

10

OPAL-RT OP4610XG2

OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc

4

4

3

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT

11

エー・アンド・デイ AD-PROCYON

株式会社エー・アンド・デイ

4

4

3

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

12

dSPACE MicroLabBox II

dSPACE Japan株式会社

3

3

4

3

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

13

dSPACE SCALEXIO

dSPACE Japan株式会社

5

4

3

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。構成は要件に合わせて組む

14

RTDS NovaCor 2.0

RTDS Technologies Inc.

5

3

3

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内は株式会社J-POWERビジネスサービスが国内の窓口

15

Typhoon HIL HIL606

タイフーンヒル・ジャパン合同会社

4

4

4

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内はMywayプラス株式会社も販売

16

IPG Automotive Xpack Real-time System

IPG Automotive株式会社

4

4

3

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

17

OPAL-RT OP5707XG2

OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc

4

4

3

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)。国内代理店は株式会社NEAT

18

鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440

株式会社鷺宮製作所

4

4

3

2

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

19

dSPACE SCALEXIO Power HIL

dSPACE Japan株式会社

5

3

2

1

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)

20

AVL Inverter TS

エイヴィエルジャパン株式会社

4

4

3

1

公式サイトに価格の掲載なし(要問い合わせ)


07

HILSの主要製品の詳細

ここからは表に挙げた20製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社の試験対象と入出力の規模に照らして読み進めてください。

エー・アンド・デイ モータHILS

FPGAでモーターを模擬し、実モーターなしでモータECUを検証するHILSです。PMSMやインバーター、センサーの標準モデルがそろいます。JMAG-RT対応モデルや空間高調波モデルも実装できる点が特徴です。

天絡・地絡・断線を実回路で再現でき、最速10nsでデータを記録できます。用途はモータECUの検証に絞られ、車両全体のECU試験には別の構成が要ります。価格は公式サイトに掲載がなく、問い合わせが必要です。

Simulink Real-Time

Simulinkのモデルを、Speedgoatの実機でワンクリックで動かせるソフトです。Simulink Testと組み合わせると、MIL・SILのテストをHILへ移せます。

実行にはSpeedgoatのリアルタイムターゲットと、MATLAB・Simulinkが要ります。価格は公式サイトに表示がなく、無料試用が用意されている状況です。Simulinkを使っていない現場には不向きでしょう。

Concurrent SIMulation Workbench

RedHawk Linux上で、複数のツールのモデルを並行して動かせる実時間基盤です。Simulink、CarMaker、FMIのモデルのほか、手書きのC/C++モデルも扱えます。モデルとI/O構成は分けて管理します。

PythonやC#、CのAPIがあり、CI/CDとも連携しやすい構成です。Linuxに慣れていない現場では、学習の時間が要ります。I/O込みのターンキー機を一式で買いたい場合には向きません。

OPAL-RT RT-LAB

Simulinkのモデルを実機とつなぐまでを、一つで行えるOPAL-RTのソフトです。CPUのEMT並列実行とFPGAのEMTシミュレーションを、用途に応じて使い分けます。

IEC 61850やDNP3、CAN、EtherCATなど幅広い通信に対応します。OPAL-RTのシミュレーターと組み合わせる前提で、ソフト単体ではHILを構成できません。国内の窓口は、代理店の株式会社NEATです。

NI VeriStand

I/O設定やデータロギング、刺激生成、アラームを、一つで設定できるNIのソフトです。HIL試験の組み立てに使うソフトです。TestStandやPython、ASAM XILで、試験の自動化や外部ツールとの連携も行えます。

実行にはNIのリアルタイムハードウェアが要ります。ソフト単体ではHILを構成できず、価格も公開されていません。他社製のハードウェアでHILを組みたい場合には向きません。

Typhoon HIL HIL404

モーター駆動と自動車向けパワーエレクトロニクスに絞った、4コアのHILシミュレーターです。MATLAB/SimulinkやPSIM、JMAG-RTと連携でき、既存のモデルも使えます。

XIL/ASAM互換APIにより、他社のテスト自動化ツールとも接続できる製品です。アナログ入出力は各16chで、入出力を多く使う構成には上位機種が要ります。パワーエレクトロニクス以外が中心の試験には不向きです。

Typhoon HIL HIL506

最大6コアで、複数のコンバータを含む構成を模擬できる中位のHILシミュレーターです。最大16台を並べると、100台以上のコンバータを含む大規模なシステムも扱えるとされています。

Pythonベースのソフトで試験を自動化できます。アナログ入力は16chのため、入力を多く使う構成では上位のHIL606が候補です。車載ネットワーク全体の試験は対象外で、価格は公式サイトにありません。

Vector VT System

信号の入出力に必要な回路をモジュールに内蔵し、HILの配線を簡素化できるシステムです。CANoeがモジュールを自動検出します。vTESTstudioと合わせて、試験の作成から実行まで進められます。

CANoeと組み合わせて使うため、CANoeの導入が前提です。プラントモデルの扱いは、別途の確認が要ります。大規模な車両モデルを高速に計算することが主目的の場合には、不向きです。

エー・アンド・デイ HELIOS

I/Oとインターフェースを一体にして、複数の筐体へ広げられる国産のHILSプラットフォームです。ECU試験向けに、クランク・カム信号やSENT、車載EthernetのI/Oボードがそろいます。

マルチノードで、最大9個のCPUを同時に実行できます。製品ページには価格や対応ツール、故障模擬の詳細がなく、資料での確認が必要です。自動車以外の制御装置を試すなら、構成の相談が要ります。

OPAL-RT OP4610XG2

Core i5とKintex-7 FPGAを積んだ、XG2シリーズの中規模機です。電力変換器や電動ドライブを模擬できます。拡張ユニットで、高速I/Oを最大128ch追加できる点も特徴です。

I/Oモジュールは1台あたり最大4つで、多数の入出力が要る場合は上位機が候補です。国内の問い合わせ窓口は、代理店の株式会社NEATになります。価格は公式サイトにありません。

エー・アンド・デイ AD-PROCYON

サーバー向けCPUのマルチコアで並列処理し、大規模なモデルを実時間で動かすシミュレーターです。MATLAB/Simulinkのモデルを、実時間で実行できます。

CarSimやCarMaker、GT-SUITEなどのツールとの連携が、用途に挙げられています。演算周期やレイテンシーの数値は製品ページになく、資料での確認が必要です。価格も公開されておらず、構成ごとの見積もりになります。

dSPACE MicroLabBox II

I/Oを内蔵した一体型のラボ用システムで、制御の試作と入門レベルのHILの両方に使えます。ユーザーがプログラムできるFPGAを積む構成です。AutomationDeskで、試験の自動化も組めるでしょう。

公式には、入門レベルのHILという位置づけです。多数のECUをつなぐ車両ネットワーク全体の試験は、上位システムの領域になります。価格は公式サイトに掲載がなく、問い合わせが必要です。

dSPACE SCALEXIO

信号レベルのHILから、フルパワーのインバーター試験まで、同じ基盤で構成を選べます。モジュール型のシステムです。機械式テストベンチにも対応し、FPGAベースの高速I/Oも特徴です。

FMIで、サードパーティ製のモデルも取り込めます。構成は要件から設計する必要があり、導入時に詰める作業が生じます。価格は公式サイトにありません。少数のI/Oで基板を一枚だけ試す用途には、過剰になりがちです。

RTDS NovaCor 2.0

保護リレーや系統制御装置を、模擬した電力系統と閉ループでつないで試験する製品です。電力系統用のシミュレーターで、IEC 61850のSV・GOOSEやDNP3などの通信に対応します。

コアはライセンスで1〜10個の範囲で解放され、あとから追加できます。電力系統に特化しており、自動車のECU試験には向きません。国内は、株式会社J-POWERビジネスサービスが国内の窓口です。

Typhoon HIL HIL606

最上位のHILシミュレーターで、最大8コアを備えます。アナログ出力は64ch、デジタル入出力は各64chです。高速スイッチングの制御を検証できます。

パワーエレクトロニクスとモーター駆動が中心の設計で、車両ネットワーク全体の試験には向きません。価格は公式サイトになく、構成ごとに見積もりが要ります。教育用途で費用を抑えたい場合にも不向きです。

IPG Automotive Xpack Real-time System

CarMakerと組み合わせて、車両のHILを組む実時間機です。CompactPCI Serialを基にしたモジュール構成です。CPU・筐体・I/Oを用途に合わせて選べます。

CAN FDやLIN、Ethernetに加えて、PSI5やSENTのモジュールもあります。公式に挙がる用途は、ADAS、パワートレイン、車両ダイナミクスです。自動車以外の制御装置や、CarMakerを使わない現場には向きません。

OPAL-RT OP5707XG2

Xeon GoldとVirtex-7 FPGAを一体にした、高性能なHIL向けの製品です。大規模な系統モデルと、高速なスイッチングの模擬を両立できます。RT-LABとHYPERSIMの両方で使えます。

最大8つのI/Oモジュールを載せられる構成です。通信プロトコルの一覧は製品ページにないため、個別の確認が要ります。小規模な制御基板だけを試験するなら、機能が大きすぎるでしょう。

鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440

車両モデルで計算したラック荷重を加え、ステアリングを車両なしで評価するHILSです。荷重はリニアモーター式のアクチュエーターで与えます。油圧サーボが苦手な高応答・低作動音の負荷もかけられ、異音の評価にも使えます。

ステアリング系に特化した装置で、ほかのECUや電動パワートレインの試験には使えません。恒温槽や操舵入力装置はオプションで、構成と価格は個別の確認が要ります。

dSPACE SCALEXIO Power HIL

最大1,250Vのパワーエレクトロニクス機器を、フルパワーで試験できるテストベンチです。実機のモーターやバッテリーは要りません。ISO 21498とLV 123の試験に対応し、電動車や産業用ドライブまで用途が広がります。

高電圧の試験設備のため、設置場所や電源、安全対策を含む導入の規模が大きくなります。信号レベルのECU試験だけなら不要です。電流や出力の値は、製品ページに記載がありません。

AVL Inverter TS

インバーターを必要な電圧・電流のもとで試験する、パワーHILの試験システムです。実モーターや実バッテリーは要りません。モーターと独立しているため、開発の初期から検証を始められます。

インバーターを対象にした大型の設備で、信号レベルのECU試験には向きません。電圧や電流などの仕様は、資料での確認が要ります。小規模な試験室への導入も難しくなります。


08

HILSの無料・有料でできることの違い

HILSには、無料で使い始められる製品はなく、リアルタイムの実行環境と入出力の導入が前提です。無料で試せるのは、一部のソフトの試用などにとどまります。

できること

無料で試せる範囲

個別の見積もりが必要になる範囲

モデルの実行

ソフトの無料試用を案内する製品がある(ハードウェアは別途)

リアルタイム実行ソフトのライセンス、シミュレーター本体

制御装置との入出力・通信

なし。I/Oボードや通信の機器の導入が必要

入出力のチャネル数、通信の種類、故障模擬の機能

試験の自動化

製品ごとに異なる。提供の条件は個別に確認

自動化ソフトや、既存ツールとの連携の構築

設置・保守

なし

構成の設計、立ち上げ、保守契約の範囲

無料で試せるのは、モデルの実行環境の一部にとどまります。制御装置をつなぐ試験を行うには、ハードウェアの導入が必要です。試用の条件は製品ごとに異なるため、見積もりの段階で確かめましょう。


09

まとめ

HILSの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。リアルタイム処理の性能、入出力と通信、モデル開発ツールとの連携です。テストの自動化と、扱えるモデルの規模も加えた5つです。

まず、試験する制御装置の種類と、使うモデル開発ツールを書き出しましょう。次に、必要な入出力と通信に対応するかを確かめ、見積もりを比べます。価格を公開している製品は20製品のうち0製品で、すべて問い合わせが必要です。製品はHILS(ハードウェアインザループシミュレーション)のカテゴリページで比較できます。選定の進め方はHILSの選び方の記事、メーカー別の傾向はHILSのメーカーの記事もご覧ください。

HILS(ハードウェアインザループシミュレーション)比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
Simulink Real-Time ロゴ
Simulink Real-Timeマスワークス合同会社要見積もりSimulinkモデルを実機で動かすHIL用ソフト詳細を見る
エー・アンド・デイ モータHILS ロゴ
エー・アンド・デイ モータHILS株式会社エー・アンド・デイ要見積もり実モーターなしでモータECUを検証詳細を見る
NI VeriStand ロゴ
NI VeriStand日本ナショナルインスツルメンツ株式会社要見積もりHILを動かすNIのリアルタイム試験ソフト詳細を見る
Typhoon HIL HIL404 ロゴ
Typhoon HIL HIL404タイフーンヒル・ジャパン合同会社要見積もりモーター・EV向けの4コアHILシミュレータ詳細を見る
エー・アンド・デイ HELIOS ロゴ
エー・アンド・デイ HELIOS株式会社エー・アンド・デイ要見積もり複数筐体へ広げられる国産HILS詳細を見る
Vector VT System ロゴ
Vector VT Systemベクター・ジャパン株式会社要見積もりCANoeと組むモジュール式HILテストシステム詳細を見る
Typhoon HIL HIL506 ロゴ
Typhoon HIL HIL506タイフーンヒル・ジャパン合同会社要見積もり最大6コアの中位パワエレHILシミュレータ詳細を見る
OPAL-RT RT-LAB ロゴ
OPAL-RT RT-LABOPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc要見積もりSimulinkモデルを実時間で動かす実行ソフト詳細を見る
Concurrent SIMulation Workbench ロゴ
Concurrent SIMulation Workbenchコンカレント日本株式会社要見積もりHIL・DIL向けの実時間基盤詳細を見る
dSPACE SCALEXIO ロゴ
dSPACE SCALEXIOdSPACE Japan株式会社要見積もり信号からパワーまで広げられるモジュール型HIL詳細を見る
Typhoon HIL HIL606 ロゴ
Typhoon HIL HIL606タイフーンヒル・ジャパン合同会社要見積もり最大8コアの最上位パワエレHILシミュレータ詳細を見る
エー・アンド・デイ AD-PROCYON ロゴ
エー・アンド・デイ AD-PROCYON株式会社エー・アンド・デイ要見積もりSimulinkモデルを並列実行する実時間機詳細を見る
OPAL-RT OP4610XG2 ロゴ
OPAL-RT OP4610XG2OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc要見積もりFPGA搭載の中規模リアルタイムシミュレータ詳細を見る
OPAL-RT OP5707XG2 ロゴ
OPAL-RT OP5707XG2OPAL-RT TECHNOLOGIES, Inc要見積もりFPGA一体の高性能HIL向けリアルタイムシミュレータ詳細を見る
IPG Automotive Xpack Real-time System ロゴ
IPG Automotive Xpack Real-time SystemIPG Automotive株式会社要見積もりCarMaker用の車両HIL実時間機詳細を見る
RTDS NovaCor 2.0 ロゴ
RTDS NovaCor 2.0RTDS Technologies Inc.要見積もり電力系統用リアルタイムシミュレータ詳細を見る
鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440 ロゴ
鷺宮製作所 ステアリングHILS CRH440株式会社鷺宮製作所要見積もり車両なしでステアリングを評価詳細を見る
dSPACE MicroLabBox II ロゴ
dSPACE MicroLabBox IIdSPACE Japan株式会社要見積もり大容量FPGA搭載のコンパクトHIL機詳細を見る
AVL Inverter TS ロゴ
AVL Inverter TSエイヴィエルジャパン株式会社要見積もりインバーターを単体で試すパワーHIL試験システム詳細を見る
dSPACE SCALEXIO Power HIL ロゴ
dSPACE SCALEXIO Power HILdSPACE Japan株式会社要見積もり最大1,250VのパワーHILテストベンチ詳細を見る

よくある質問

QHILSを選ぶとき、最初に何を確認すればよいですか?
A

試験する制御装置の種類と、使っているモデル開発ツールを確認します。あわせて、必要な入出力のチャネル数と通信の種類を整理してください。ここが合わない製品は、他の機能が充実していても使えません。

QHILSの価格は、どのくらいを見込めばよいですか?
A

製品ページのある20製品のうち、2026年時点で価格を公式サイトで公開している製品はありません。入出力の規模やソフトとハードの組み合わせで見積もりが変わるため、条件を整理して各社に問い合わせる必要があります。

QSimulinkで設計した制御を、そのまま試験できますか?
A

Simulinkのモデルを実時間で動かせる製品があります。Simulink Real-TimeやOPAL-RT RT-LABのようなソフトが代表例です。ただし、対応するハードウェアが決まっている場合があるため、組み合わせを確認してください。

Q電力系統の機器と自動車のECUで、選ぶ製品は変わりますか?
A

変わります。電力系統の機器には、IEC 61850などの通信に対応した製品が向きます。自動車のECUには、車載通信やセンサーのI/Oをそろえた製品が向きます。対象に特化した製品は、他の用途には使えない場合があります。

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