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導入事例#自動倉庫#AS/RS#導入事例

自動倉庫の導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

自動倉庫(AS/RS)の導入事例を業種別に整理した記事。食品・飲料、自動車部品、化学・医薬品、金属加工・機械の4分野で、マテハンメーカー公式に公表されている12社の取り組みを取り上げます。保管効率は約1.5倍から約4.7倍、省人効果は約40%から約75%の幅があり、その差が生じる条件を解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
自動倉庫の導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

自動倉庫は、棚への格納と取り出しを機械が行う保管設備です。製造業では、保管スペースの不足と省人化への対応を目的に導入されてきました。この記事では、マテハンメーカーが公式に公開している導入事例を業種別に整理します。保管効率を約4.7倍にした菓子メーカーから、消防法の制約のなかで危険物倉庫を建てた化学メーカーまで、条件の違いが読み取れる事例を取り上げました。あわせて、既存建屋の制約や停止時の運用といったつまずきも並べています。

  • 効果は保管効率と省人化の2方向に出る:保管効率は約1.5倍から約4.7倍、省人効果は約40%から約75%の幅があります
  • 保管環境が仕様を左右する:冷凍、危険物、クリーン環境のそれぞれで求められる設備が変わります
  • 難所は建屋と法規制にある:既存建屋の寸法、消防法による面積と高さの上限、稼働中の現場への据付が課題になります

公開されている効果は、保管効率の倍率と省人化の割合という2つの形で示されています。一方で導入の難所は設備の性能ではなく、置ける場所と守るべき規制の側にありました。


この記事でわかること

01

自動倉庫の基礎知識

事例を読む前に、自動倉庫が何を代替する設備なのかを押さえておきます。効果の出方は、この設備が置き換える作業の中身によって変わるものです。ここでは基本の構成と種類、保管効率の考え方を整理します。

格納と取り出しを機械が担う保管設備

自動倉庫は、ラックとスタッカークレーンを組み合わせた設備です。上位システムからの指示で、指定した棚へ荷を入れたり取り出したりします。置き換わるのは、フォークリフトや天井クレーンによる人手の荷役作業です。

この点から、効果が出る条件も見えてきます。従来が段積みや平置きで、荷繰りに時間をかけていた現場ほど改善幅が大きくなりました。重量物を扱う現場では、作業の安全性の向上が導入理由に挙がっています。

パレット式とバケット式で用途が分かれる

扱う荷姿によって設備の形が変わります。パレット式は原料や製品をパレット単位で保管する形式です。工場内物流の主役になります。バケット式は専用容器に小物部品を入れて保管し、ピッキング作業と組み合わせて使われます。どちらを選ぶかは、保管する物の単位によって変わるでしょう。

両方を併設した事例も公開されました。ある工作機械メーカーは、手のひらサイズから7mの長尺までを4種類の自動倉庫で保管しています。荷姿の幅が広い現場では、1種類の設備だけで収まらない場合もあるでしょう。

保管効率は建屋の高さに左右される

自動倉庫の保管効率は、天井空間をどれだけ使えるかで変わります。平置きでは人やフォークリフトが届く高さまでしか積めません。機械が扱うことで、同じ床面積でも上方向に棚を伸ばせます。

公開されている倍率の幅は、ここから説明がつきます。既存建屋の高さに合わせた事例は約1.5倍、新設の工場に建てた事例は約4.7倍でした。倍率を比べるときは、新設か既存かを確かめてください。

編集部メモ:自動倉庫の効果は「保管効率」と「省人化」に分かれます。ただしこの2つは、同じ設備から同時に得られるものです。事例のなかには、保管効率だけを目的に導入し、省人化は副次的な結果として得たものもありました。どちらを主目的にするかで、比較する製品も変わってくるでしょう。

02

自動倉庫の事例を読むときのポイント

公開されている効果の数値は、前提となる条件が事例ごとに違います。倍率や割合をそのまま並べると、比較を誤るおそれがあります。次の3点を確かめながら読んでください。

  • 保管効率と省人化のどちらの数値かを見分ける
  • 保管環境の条件を確認する
  • 新設か既存建屋への後付けかを見る

保管効率と省人化のどちらの数値かを見分ける

効果の数値は2種類に分かれます。保管効率は「約1.6倍」「約4.7倍」のような倍率で示されます。省人化は「約40%」「約75%」のような割合で示されることが多いようです。

この2つは、目的が違えば重みも変わってきます。保管スペースの不足で外部倉庫を借りている場合は、倍率のほうが判断に直結します。夜勤の負担を減らしたい場合は、省人化の割合を見てください。

保管環境の条件を確認する

保管環境が違うと、必要な設備の仕様も変わります。冷凍品なら低温対応、危険物なら防爆仕様と消火設備が必要です。医薬品や化粧品では、衛生基準に沿った運用が前提になります。

この条件は費用にも影響します。ある化学メーカーは、スタッカークレーンの給電装置を火花が出ない防爆仕様にしました。同じ保管点数でも、環境条件が違えば比較にならない点を押さえておいてください。規制の有無は、候補にできるベンダーの数にも影響します。

新設か既存建屋への後付けかを見る

新しい工場に建てるのか、既存の建屋に入れるのかで制約が変わります。新設なら建屋の設計段階から自動倉庫に合わせた寸法を確保できます。既存建屋では、天井高や柱の位置が先に決まった状態です。

効果の数値にもこの違いが表れます。既存建屋の高さに合わせて設計した事例の保管量は従来比約1.5倍でした。新設の工場で建てた事例では、約4.7倍という倍率が公表されています。倍率だけを並べて比べないでください。

03

食品・飲料メーカーの事例

公開されている事例が最も多いのが食品・飲料の分野です。賞味期限の管理と先入れ先出し、温度帯への対応が共通の要件になります。ここでは効果を数値で公表している3社を取り上げます。

有楽製菓

  • 業界:菓子製造
  • 企業規模:非公表(既存の豊橋夢工場の敷地内に約4,000坪の第2工場を増築)
  • 導入前後の変化:導入前は倉庫の収容能力が不足し、商品の入れ替えと先入れ先出しの管理のため夜勤を含む常時フォークリフト作業者の駐在が必要だった。導入後は保管効率が約4.7倍に向上し、約75%の省人化を実現して夜間の駐在が不要になった

同社は生産能力の拡大にあわせて第2工場を増築し、2024年12月から操業を始めました。原料自動倉庫は2基で352パレット、製品自動倉庫は3基で984パレットを保管します。どちらも1階と2階の吹き抜け仕様で、垂直搬送の機能も兼ねています。

先入れ先出しの管理は、上位システムとの連携で自動化されました。衛生面への配慮から、入庫前に工場内用パレットへ載せ替える運用です。床面工事が不要なレーザーリフレクタ方式の自動運転フォークリフトを採用しています。

キユーピー

  • 業界:食品製造
  • 企業規模:非公表(神戸工場はキユーピーグループの約3分の1に当たる8万t近くのマヨネーズ・ドレッシングを生産)
  • 導入前後の変化:導入前は工程間の搬送に人手を要し、リードタイムが7日かかっていた。導入後は労働生産性が3倍になり12人から4人へ、リードタイムは従来比15%の1日に短縮され、製品在庫も7%削減された

同社が掲げた目的は、工程間搬送の自動化による省人化でした。あわせて調達から生産、配送までを一体にしてリードタイムを縮める狙いがありました。在庫の削減も、この一体化による効果として公表されています。

3つの数値が同時に動いている点が、この事例の特徴です。労働生産性、リードタイム、在庫はそれぞれ別の指標ですが、原因は同じ仕組みの構築でした。設備には免震コンベアが含まれており、震災時の稼働も考慮されています。

栄屋乳業

  • 業界:食品製造(アイスクリーム類)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は平倉庫における荷物の搬送と保管を人手で行っており、冷凍保管を外部の営業倉庫に委託していた。導入後はマイナス31℃対応の冷凍自動倉庫で1,938棚を確保し、冷凍倉庫の保管を内製化してコストを削減した

関東工場の佐野冷凍庫に、シングルリーチタイプの冷凍自動倉庫を導入しました。倉庫管理コンピュータの導入で、在庫と入荷日、賞味期限をシステムで管理できるようになりました。自社倉庫と営業倉庫を兼ねる冷凍倉庫として建設されています。

ベンダー選定の理由として、同業や冷凍倉庫業での実績が挙げられていました。マイナス60℃の超低温倉庫や急速冷凍庫の実績も判断材料になったとされています。冷凍環境では、立ち上げ後の姿を想像しにくい点が導入の障壁になるのでしょう。

編集メモ:3社に共通するのは、温度管理と期限管理が品質に直結する点です。編集部では、食品分野で自動倉庫の事例が多いのは、保管効率だけが理由ではないとみています。先入れ先出しやロット管理を人手に頼ると、品質事故のリスクが残るためです。効果の数値を見るときは、管理精度の向上も同時に得られている点に注目してください。

04

自動車部品メーカーの事例

自動車関連では、生産ラインへの部品供給と金型の管理が主な用途です。納入の時間が決まっているため、必要なタイミングで必要な順に出せるかが問われます。ここでは工程の性格が異なる3社を取り上げます。

豊田自動織機 長草工場

  • 業界:自動車・輸送機器
  • 企業規模:非公表(愛知県大府市の長草工場でRAV4の開発・生産を担当)
  • 導入前後の変化:導入前は車両部品を遠隔地の外部倉庫で保管し、納品された部品の保管と仕分けを人手で行って自社手配便で工場へ納入していた。導入後は倉庫内オペレーションで約40%の省人効果を実現し、収容効率が従来に比べ約1.6倍に向上した

外部倉庫での運用には、輸送面とコスト面の両方に懸念がありました。中長期的に車両生産の拡大が見込まれる状況も、見直しを促す要因になりました。パレット用自動倉庫と水平流動棚25基を階層化して配置する構成を選んでいます。

公表されている省人効果には、算定範囲の注記が付いています。入出庫、保管、搬送業務に従事する人員数の導入前後を比べた数値です。収容効率の約1.6倍も、同一床面積に対する比較だと明記されていました。

三和パッキング工業

  • 業界:自動車・輸送機器(インシュレータ・ガスケット)
  • 企業規模:非公表(国内外に複数ある生産拠点のうち美作工場)
  • 導入前後の変化:導入前は在庫量が3〜4倍に増大する見込みで保管場所が不足し、工場棟と倉庫棟の間の搬送を従業員がフォークリフトで行っていた。導入後は保管量が4倍に増大し、入出庫と搬送を自動化して従業員一人分を省人化した

同社は当初、自動倉庫と無人搬送車の組み合わせを検討していました。しかし無人搬送車では、製造ラインに材料を降ろすためにコンベヤなどの固定設備が必要になります。そこで固定設備が不要な自動運転フォークリフトに切り替えています。

この判断は、導入コストの抑制にもつながりました。床への平置きや棚への積み付けができる点も、選定の理由に挙げられています。限られた敷地でも十分な保管量を確保できたと工場長は述べていました。

アイシン九州

  • 業界:自動車関連(サンルーフ、ドアフレーム、シートアジャスターなど)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は金型を複数箇所に分散して段積みで保管していた。導入後は保管場所を集約して段積みを廃止し、プレス機への段取り時間が3分の1に短縮された

対象は製品ではなくプレス金型です。導入目的には保管場所の集約と段取り時間の短縮、安全性の向上が挙げられていました。金型は重量物であり、段積みでの取り出しには手間と危険が伴います。

操作方法についての記述も参考になります。遠隔操作方式を採用し、棚番地と早見表によって10分程度の教育で誰でも操作できるようにしたそうです。保管スペースの削減と動線の簡素化に加えて、品質面と安全性も向上したと報告されています。

編集メモ:この3社は、自動倉庫に何をさせるかがそれぞれ違います。豊田自動織機は外部倉庫の内製化、三和パッキング工業は棟間搬送の自動化が狙いでした。アイシン九州は金型の段取り短縮です。編集部では、同じ設備でも解決する課題が違うため、効果の指標も揃わないと考えています。事例を選ぶときは、業種より先に解決したい課題を合わせてみてください。

05

化学・医薬品メーカーの事例

化学と医薬の分野で設備の仕様を左右するのは、法規制と衛生基準です。危険物を扱う場合は消防法の制約があり、医薬品では品質管理の要件が前提になります。ここでは規制の内容が異なる3社を取り上げます。

東邦化学工業 千葉工場

  • 業界:化学(界面活性剤・半導体向け樹脂製品)
  • 企業規模:非公表(千葉工場の敷地面積は約6万6,000m2、生産量は約5万t/年)
  • 導入前後の変化:導入前は敷地内に危険物倉庫を建てるスペースがなく、原料・半製品・製品の保管と輸送の多くを外部の物流事業者に委託していた。導入後は格納数3,876パレットの危険物自動倉庫を工場内に設置し、物流の委託比率を下げてコストを削減した

千葉工場は東京湾岸にあり、塩害の影響でドラム缶が腐食しやすい環境でした。プラント用地を確保するため設備配置を見直す必要が生じ、敷地内への建設が決まりました。外部委託では作業の手間はかからないものの、物流コストが負担になっていたそうです。

危険物自動倉庫には、消防法による寸法の上限があります。建物面積1,000m2以下、高さ20m未満という制約のなかで格納数を確保しなければなりません。同社は棚の奥行き方向に2つ格納するダブルディープ方式を採用しました。

ドーバー酒造 神戸三田工場

  • 業界:酒類製造業(アルコール製剤)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は国内外からの需要増に対して出荷前製品の一時保管場所が不足していた。導入後は危険物用立体自動倉庫で436パレット分の格納棚を確保し、危険物第4類製品の安全なハンドリングを実現した

採用されたのは防爆仕様のダブルリーチ式クレーンを備えた危険物用自動倉庫です。消火設備としてCO2ボンベ室を設け、無駄な容積を減らして必要最低限の設備での運用を図っています。限られた敷地で省スペースに建設できる点と、施工期間の短さが選定理由でした。

この事例で注目したいのは、行政との折衝に触れている点です。危険物倉庫の建設には消防との協議が必要になります。経験豊富な技術者による折衝のサポートを受けられたと副工場長は述べていました。

ファンケル美健 千葉工場

  • 業界:化粧品・健康食品製造
  • 企業規模:非公表(千葉・滋賀・群馬・横浜・長野・三島の6工場体制。千葉工場は化粧品と健康食品の両方を製造する主力工場)
  • 導入前後の変化:導入前は防腐剤等不使用という製品特性上、在庫を大量に持てず必要な量を必要なタイミングで製造する体制が求められていた。導入後は生産管理システムと連動した自動ラック設備により、正確でリアルタイムな在庫管理が可能になった

各フロアにステーションを設け、工程ごとの共有保管スペースとして活用する構成です。保管量は237棚で、パレット当たりの最大荷重は1,000kgfと公表されています。ハイレベルな衛生基準を掲げる生産システムのもとで運用されています。

パレットチェンジャーの導入で、工場内用と工場外用のパレットの載せ替えを自動化しました。衛生面の向上と載せ替え作業の省人化を同時に実現しています。選定の決め手は、20年前に同工場で導入した設備の実績とメンテナンス性でした。

編集メモ:この章の3社は、設備の性能より先に守るべき条件が決まっています。危険物なら消防法の寸法上限と防爆仕様、化粧品なら衛生基準です。編集部では、こうした分野では比較の出発地点が他業種と違ってくるとみています。規制を満たす構成を組めるベンダーかどうかが、先に問われることになるでしょう。

06

金属加工・機械メーカーの事例

金属や機械の分野では、荷が重く形状の幅が広い点が課題になります。長尺物や鋼板の荷役は、これまで天井クレーンが担ってきました。ここでは荷姿の難しさに向き合った3社を取り上げます。

DMG森精機 伊賀事業所グローバルパーツセンタ

  • 業界:工作機械
  • 企業規模:公式記載あり(1948年創業、世界最大規模の工作機械メーカー。世界各地の15万社の顧客を持つ)
  • 導入前後の変化:導入前は保管スペースを拡張する余地がなく通路にも物を置く状況で、ピッキングなどの出荷作業が非効率だった。導入後は従来とほぼ同じ面積で容積率が約1.5倍に向上し、24時間以内のパーツ発送率95%以上を継続的に実現した

保管対象は手のひらサイズから7mの長尺まで、約12万品目にのぼります。バケット自動倉庫、パレット自動倉庫、大型長尺自動倉庫、小型長尺自動倉庫の4種類を使い分けています。荷姿別の保管と立体保管を組み合わせた構成です。

入出庫口の設計にも工夫がありました。6カ所のコンベヤライン入出庫口を、すべて入庫にも出庫にも切り替えられる仕様にしています。発送率の維持には、倉庫管理システムのピッキング最適化も寄与したとされています。

佐久間特殊鋼 西尾支店

  • 業界:特殊鋼の専門商社
  • 企業規模:公式記載あり(西尾支店は敷地面積2万520m2、延べ床面積5,662m2。約20億円を投じて開設)
  • 導入前後の変化:導入前は長尺物を天井クレーン方式で段積みしており荷繰りに時間がかかり、加工エリアと倉庫が離れて横持ち作業が発生していた。導入後は在庫量が4,000tと約3倍にアップし、荷繰り作業も解消した

格納数2,508パレットのパレット自動倉庫を導入しました。長尺用パレットのサイズは長手6,200mm、短手650mm、高さ420mmです。形状や長さが異なる約2,200アイテムをスピーディに発送できるようになりました。

技術面の工夫として、格納の向きを変えた点が挙げられています。従来は棚間口に対して長手方向で格納していたものを、90度回転させて短手方向で格納する方式です。従来仕様の約5基分の格納数を1基で賄えるため、システム全体の費用も抑えられます。

平田バルブ工業 新潟事業所

  • 業界:バルブ製造
  • 企業規模:非公表(手のひらサイズから重さ12トン、高さ5mに及ぶ大型まで多種多様のバルブを製造)
  • 導入前後の変化:導入前はパレットを段積みして保管しており、下に置かれたパレットを取り出すのに時間を要していた。導入後は工場に併設した自動倉庫に約100トンの治具や加工素材を移し、既存の工場の建屋はそのままで工場内スペースを有効に使えるようになった

この事例の要点は、既存の建屋に手を入れずに済ませた点です。従来は工場内で保管していた治具や加工素材を、併設した自動倉庫へ移しました。工場スペースの有効利用と生産の効率化が導入目的に挙げられています。

品質管理の面でも効果が報告されています。庫内にホコリが立たず、素材ごとに分別したパレット保管ができる点が挙げられていました。入出庫のスピードと作業の安全性も向上したとされています。既存設備を触らない構成にできるかどうかも、検討の材料になります。

編集メモ:この章の3社は、荷姿の難しさをそれぞれ別の方法で解決しました。DMG森精機は4種類の設備を使い分け、佐久間特殊鋼は格納方向を変えました。平田バルブ工業は保管場所を工場外へ分離しています。編集部では、重量物や長尺物を扱う現場では標準仕様のままでは収まりにくいと考えています。荷姿の一覧を先に作っておくと、ベンダーとの相談が具体的になるでしょう。

07

自動倉庫の事例を自社のケースに落とし込む

公開されている倍率や割合を、そのまま自社の期待値にするのは避けてください。効果の大きさは建屋の条件と従来の保管方法に左右されます。ここでは自社の条件を整理する手順を示します。

保管点数と荷姿を先に確定する

最初に決めたいのは、何をいくつ保管するかです。パレット単位か小物単位か、長尺物や重量物が混ざるかで設備の形が変わります。ある特殊鋼商社は長手6,200mmのパレットを扱うため、専用の格納方式を採りました。

将来の増加分も見込んでおく必要があります。ある化学メーカーは将来の物量増を織り込んで格納数を決めています。稼働後に棚を増やすのは難しいため、計画時点で幅を持たせてください。荷姿の一覧は、相見積もりを取るときの共通条件にもなります。

設置できる建屋の寸法と法規制を確認する

次に確認するのは、置ける場所の寸法です。既存建屋なら天井高と柱の位置が制約になり、達成できる保管効率も変わります。新設であれば、建屋の設計段階から自動倉庫に合わせられるでしょう。

危険物を扱う場合は法規制が先に寸法を決めます。建物面積1,000m2以下、高さ20m未満という上限があるためです。消防との協議が必要になるため、実績のあるベンダーを選ぶ意味も出てきます。自社の敷地に何が建てられるかは、早い段階でベンダーに確認してください。

止まったときの運用を決めておく

自動倉庫は、止まると荷を出せなくなります。経済産業省の調査でも、この点が導入に至らない要因に挙がっていました。災害時に出庫できなくなるリスクへの懸念です。止まった場合にどう出すかを、導入前に決めておいてください。

事例では2つの備えが公開されています。ある自動車部品メーカーは、停止してもラック内から手作業で製品を取り出せる柔軟性を要件に入れました。ある日用品メーカーは、夜間のエラー時にパレットを待避させるステーションを3つ設けています。

08

事例からわかる成功事例の共通点

効果を数値で公表している事例には、共通した進め方がみられます。特徴が出ているのは設備の選定より、建屋と周辺設備を含めた設計の組み立て方です。次の3点が共通項として挙げられます。

  • 建屋の設計段階からレイアウトを決めていた
  • 搬送設備とセットで自動化していた
  • 上位システムと連携して管理を自動化していた

建屋の設計段階からレイアウトを決めていた

倍率の大きい事例は、建屋と自動倉庫を同時に計画しています。ある自動車部品メーカーの拠点は、生産量に対する保管スペースが他拠点より小さい条件でした。そのため設計段階からマテハンの導入を織り込んでいます。

既存建屋でも、寸法に合わせた設計で成果は出ています。ある印刷会社は既存建屋の高さに合わせた設計で、従来比約1.5倍の保管量を実現しました。ただし新設のほうが到達できる倍率は高くなります。建屋が決まってから相談すると、選べる構成が狭くなります。

搬送設備とセットで自動化していた

効果の大きい事例では、自動倉庫だけを導入していません。自動運転フォークリフトや高速搬送台車、垂直搬送機と組み合わせています。ある菓子メーカーは自動倉庫と自動運転フォークリフトの連携で約75%の省人化に至りました。

組み合わせる設備の選択も判断を要します。ある自動車部品メーカーは、無人搬送車ではラインへの荷降ろしに固定設備が必要になると判断しました。結果として自動運転フォークリフトを選び、導入コストを抑えています。

上位システムと連携して管理を自動化していた

先入れ先出しやロット管理は、システム連携で自動化されています。ある菓子メーカーは上位システムとの連携で先入れ先出しの管理を自動化しました。ある化粧品メーカーは生産管理システムと連動させ、リアルタイムな在庫管理を実現しています。

この連携が、品質面の効果を生んでいます。ロットの逆転を防いだり、賞味期限をシステムで管理したりできるためです。保管効率や省人化だけでなく、管理精度の向上も効果に含まれると読めます。

09

事例から学ぶつまずきやすいポイント

公式の事例には、導入時に苦労した点も書かれています。難所は設備の性能ではなく、置き場所と規制、そして稼働の継続性に集まっていました。次の4点が繰り返し登場します。

  • 既存建屋と敷地の制約が設計を縛る
  • 危険物では法規制が寸法の上限を決める
  • 稼働を止められない現場への据付が難しい
  • 20年後の保守と停止リスクが残る

既存建屋と敷地の制約が設計を縛る

最も多く登場するのが、置き場所の制約です。あるクラフトビール醸造所は傾斜した敷地に冷蔵倉庫を建てる必要がありました。醸造棟と倉庫棟に高低差があり、動線をつなげなければ作業効率が落ちる状況でした。

解決策は運用と設計の工夫で組まれています。倉庫棟の入出庫口を自動倉庫の2段目に設定し、高低差の問題を解消した事例が公開されています。別の飲料メーカーは、第二倉庫の中空から入出庫する仕組みを設けました。

危険物では法規制が寸法の上限を決める

危険物自動倉庫には、消防法による寸法の上限があります。建物面積1,000m2以下、高さ20m未満という条件です。高さで保管効率を稼ぐという通常の手段が、ここでは使えません。

そのため、奥行き方向で格納数を確保する方式が採られます。ある化学メーカーはダブルディープ方式で3,876パレットを実現しました。建設にあたっては消防との折衝も必要になるため、実績の有無が選定に影響します。上限のなかで格納数を稼ぐ方式が、選定時の比較点になります。

稼働を止められない現場への据付が難しい

すでに動いている現場への導入には、別の難しさがあります。ある食品卸の物流センターは365日稼働しており、稼働を止めずに導入する必要がありました。コンパクトさを重視し、他社と比較したうえでベンダーを決めています。

生産ラインを抱える工場でも同じ課題が出ます。ある無菌包装米飯メーカーは、生産ラインを止めずにスムーズな立ち上げができたと述べていました。ある電機メーカーは既存システムを活かしたレイアウトの再構築を選んでいます。

20年後の保守と停止リスクが残る

自動倉庫は長く使う設備であり、保守の問題が後から出てきます。ある化学メーカーでは導入から20年以上が経過して部品の生産中止が相次ぎ、修理コストが増えました。荷捌き用の電動台車は新品への部品交換ができなくなっていたそうです。

停止が生産に直結する点も押さえておいてください。同社では電動台車が止まると、直結する製造ラインまで止めざるを得ませんでした。復旧に半日以上かかることもあったそうです。同社は2015年から順次リニューアルを実施し、安定稼働を図っています。

10

まとめ

自動倉庫の効果は、保管効率の倍率と省人化の割合という2つの形で公表されています。倍率は約1.5倍から約4.7倍、省人効果は約40%から約75%の幅がありました。この差は、新設か既存建屋かという条件の違いから生じています。自社の建屋条件を先に確認してください。

導入の難所は置き場所と規制、そして停止時の運用にありました。危険物では消防法が寸法の上限を決め、稼働中の現場では据付そのものが課題になります。検討を始める際は、保管点数と荷姿の一覧、そして建屋の寸法から整理してみてください。製品ごとの違いは自動倉庫の比較記事で解説しています。費用の考え方は自動倉庫の費用記事をご覧ください。

自動倉庫(AS/RS)比較表

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西部電機 ユニットラックシステム ロゴ
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よくある質問

Q自動倉庫の導入でどれくらいの効果が出ていますか?
A

効果は保管効率と省人化の2方向に分かれます。保管効率では、有楽製菓が約4.7倍、豊田自動織機の長草工場が約1.6倍、DMG森精機が容積率で約1.5倍を公表しています。省人化では、有楽製菓が約75%、豊田自動織機が約40%でした。生産性やリードタイムまで公表している事例もあり、キユーピーの神戸工場は労働生産性が3倍(12人から4人)、リードタイムが従来比15%(7日から1日)、製品在庫が7%削減されています。

Q保管効率の倍率はなぜ事例ごとに違うのですか?
A

新設の工場に建てたか、既存の建屋に入れたかで達成できる倍率が変わります。自動倉庫の保管効率は天井空間をどれだけ使えるかで決まるため、既存建屋では天井高と柱の位置が先に制約になります。既存建屋の高さに合わせて設計したTOPPAN水戸工場は従来比約1.5倍、新設の第2工場に建てた有楽製菓は約4.7倍でした。倍率を比べるときは、まず新設か後付けかを確かめてください。

Q危険物を扱う場合に注意する点は何ですか?
A

消防法により、危険物自動倉庫は建物面積1,000平方メートル以下、高さ20メートル未満と定められています。高さで保管効率を稼ぐという通常の手段が使えないため、別の方法で格納数を確保する必要があります。東邦化学工業の千葉工場は、棚の奥行き方向に2つ格納するダブルディープ方式で3,876パレットを実現しました。スタッカークレーンの給電装置は防爆仕様になり、消火設備も必要です。建設時には消防との協議が必要なため、実績のあるベンダーを選ぶ意味も出てきます。

Q稼働中の工場にも導入できますか?
A

できますが、据付の難易度が上がります。365日稼働する物流センターでは、稼働を止めずに導入する必要があり、設備のコンパクトさが選定条件になった事例が公開されています。生産ラインを抱える工場でも、ラインを止めずに立ち上げられたかどうかが評価の対象になっていました。安川電機の事例では、既存システムを活かしたレイアウトの再構築という形で、シミュレーションを重ねてから導入が決まっています。既存設備との組み合わせを前提に相談してください。

Q自動倉庫が止まったときはどうなりますか?
A

荷を出せなくなります。経済産業省の調査でも、災害時に出庫できなくなるリスクへの懸念が導入に至らない要因として挙がっていました。事例では2つの備えが公開されています。松田電機工業所は、停止してもラック内から手作業で製品を取り出せる柔軟性を要件に入れました。ユニ・チャームプロダクツは、夜間無人時にエラーが発生したパレットを待避させるステーションを3つ設けています。長期的には保守も課題で、導入から20年以上が経過して部品の生産中止に直面した事例もありました。

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