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選び方・ノウハウ#自動倉庫#AS/RS#選び方

自動倉庫の最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

自動倉庫の選び方を、種類・目的・部門・企業規模の切り口で整理しました。荷姿と単位の確定、天井高と受電設備の実測、環境条件の洗い出しという順に確認する手順と、主要12製品の比較表、失敗しやすい注意点まで解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
自動倉庫の最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

自動倉庫の選定では、製品比較を始める前に必要な情報を整理しておくことが重要です。メーカーのサイトを見比べても、価格や時間あたりの入出庫能力を公開している例はほとんどありません。2026年7月時点で、収録12製品のうち価格を公式に示しているメーカーは1社もありませんでした。先に固めるべき前提は3つあります。保管したい荷姿と単位、設置できる天井高と床面積、温度帯などの環境条件です。この記事では、目的・部門・企業規模という切り口から選び方を整理しました。

  • 荷姿と単位:パレット・ケース・小物のどの系列かで候補が分かれる
  • 建屋の寸法:天井高と床面積、梁位置、床の耐荷重、受電設備を先に実測する
  • 環境条件:冷凍冷蔵・防爆・クリーンは後から追加できない
  • 比較の方法:価格非公開のため、条件を揃えた同時見積もりが唯一の手段になる

自動倉庫の選定では、荷姿と建屋の2点を確認すると、候補となる系列が見えてきます。そのうえで環境条件と法令上の分岐点を確かめれば、見積もりを依頼するメーカーを選びやすくなるでしょう。


この記事でわかること

01

自動倉庫の基礎知識

選び方に入る前に、自動倉庫が何を担う設備なのかを押さえます。ここが曖昧なままだと、別の設備で足りる課題に大きな投資をすることになりかねません。3点に絞って確認しましょう。

自動倉庫が担う役割

自動倉庫が担うのは保管です。ラックの間口がそのまま在庫の置き場になります。無人搬送車(AGV・AMR)は水平搬送、垂直搬送機は階間の搬送を担います。

ハンディターミナルRFIDシステムは、識別とデータ入力の設備です。機能のレイヤーが違うため、組み合わせで考える対象になるでしょう。困っているのが保管なのか、搬送なのか、探索なのかを最初に切り分けてください。工程間で人が台車を押している時間が課題なら、棚を替えても解決しません。

回転棚・移動棚との違い

保管の課題でも、規模によっては回転棚や移動棚で足ります。日本ロジスティクスシステム協会の統計では、この2機種は自動倉庫と別区分で集計されています。

2024年度の売上金額は、垂直式回転棚が940百万円に対し自動倉庫が147,098百万円でした。市場規模の差は、製品選択肢の数と保守網の厚みにも表れます。置き場が通路にあふれ、高所のパレットをフォークリフトで扱っているなら候補に入ります。棚卸のたびに帳簿と実数が合わない現場も同じです。

選定でつまずきやすい理由

自動倉庫は、カタログを並べても差が読み取れない設備です。価格に加えて、時間あたりの入出庫能力すら公開されていない製品が大半を占めます。

前提が曖昧なまま複数社へ問い合わせると、各社が異なる規模の構成を提案してきます。金額を並べても判断材料になりません。差が出るのは、荷姿の寸法上限や環境条件への対応、そして保守体制といった運用面です。軸を先に決めてから製品を見る順序が要ります。同じ条件を示さないかぎり、見積書は何枚集めても比較できません。

編集部コメント:製品を先に見ると、機能の多さで判断してしまいがちです。まず自社の荷がどんな姿で、どこに置かれ、どの頻度で動くのかを書き出してみてください。書き出した内容は、そのまま見積もり依頼の前提条件として使えます。


02

自動倉庫の種類

自動倉庫は、荷を動かす機構で4つに分かれます。機構が違えば同時に処理できる荷の数と拡張の仕方が変わります。条件が固まったら、この軸で候補を並べてください。

  • スタッカクレーン式
  • シャトル台車式
  • キューブ型・ロボット式
  • 垂直循環式・垂直昇降式

スタッカクレーン式

ラックの間をクレーンが走行し、荷を出し入れする方式です。パレット単位から小型のケース単位まで、選択肢が最も多く揃っています。

低層から高層までを同じ製品系列でカバーできるため、増床のときに系列を変えずに済みます。1台のクレーンが1つの通路を担当する構造です。同時に処理できる荷の数は、通路数とクレーン台数によって変わります。つり上げ荷重が大きくなると、後述する法令上の届出と定期検査の対象にもなります。通路ごとにクレーンを増やせば、処理量を上げられるでしょう。

シャトル台車式

各段に電動の台車を置き、垂直搬送装置と組み合わせる方式です。段ごとに台車が動くため、同時処理数を上げやすい構造になっています。

入出庫が一時期に集中する現場に向いているでしょう。ケース単位の保管で採用される例が多く、冷凍冷蔵と組み合わせられる製品もあります。ただし可動部が増えるぶん、保守の対象はスタッカクレーン式より多くなります。台数を増やすほど保守費も積み上がる点に注意してください。垂直搬送装置の能力が全体の上限になる点も確認しておきましょう。

キューブ型・ロボット式

通路を持たない構造で、床面積を使い切るタイプです。格子状のグリッドにビンを段積みし、その上をロボットが走行します。作業者の待つポートまでビンが運ばれる仕組みです。

同一床面積あたり最大4倍の保管容量を掲げる製品もあります。増築できない拠点では有力な選択肢になるでしょう。ただしビン1つあたり30kgという上限があり、扱えるのは小物に限られます。深い位置のビンを取り出すときは、上のビンを退かす動作が発生します。

垂直循環式・垂直昇降式

1台単位で工程脇に置ける小型のタイプです。棚が垂直に循環する方式と、垂直に昇降する方式があります。取り出し高さが一定になるため、高所作業がなくなります。

天井高2.5m程度の作業場に入る機種もあり、既存建屋のまま設置できる点が利点です。金型や工具など、重量物を少量ずつ扱う工程で採用されています。ただし1台1ステーションのため入出庫能力は低くなります。多人数の同時作業や高頻度の出荷には向きません。1台で完結するため、既存の棚をそのまま置き換えられます。


03

【目的別】自動倉庫の選び方

同じ自動倉庫でも、何をしたいかで優先する軸が変わります。製造業でよく挙がる3つの目的を取り上げました。自社に近いものから読んでください。

保管スペースを増やさずに在庫を収めたい

高さ方向をどこまで使えるかが軸になります。自動倉庫は上へ伸ばして保管効率を上げる設備だからです。まず天井高と梁位置を実測し、収まる機種の範囲を出しておきましょう。

床面積を優先するなら、通路を持たないキューブ型が候補に入ります。少品種大ロットであれば、荷を奥へ押し込むディープストレージ方式も効きます。ただし密度を優先した方式は、厳密な先入れ先出しに不利です。ロット管理が要件なら数値だけで選ばないでください。

入出庫のピークを人手を増やさずにさばきたい

時間あたりの入出庫能力を軸に選びます。必要な処理量を満たせなければ、保管量が足りていても現場は詰まります。ただし能力を公開しているメーカーはほとんどありません。

1時間あたり何パレット、何コンテナが必要かを自社から提示することが大切です。その数値を満たす構成と台数を示してもらう形にします。ピーク時と平常時を分けて伝えると、過剰な台数の提案を避けられます。段ごとに台車が動く方式は、同時処理数を上げやすい構造です。

在庫の所在と数量を正確に管理したい

在庫の「正」をどこに置くかを先に決めます。自動倉庫を入れると、機器側の制御系と社内の既存システムの両方が在庫数を持ちます。どちらを正とするか決めないと、二重管理が生まれるでしょう。

あわせて入庫時の識別精度も設計してください。自動倉庫はラックの番地で在庫を管理するため、入庫の記録が違えば在庫は必ず狂います。実務ではハンディターミナルRFIDシステムとの併用がほぼ前提になります。番地と現物を突き合わせる棚卸の手順も、あらかじめ決めておくと安心です。


04

【部門別】自動倉庫の選び方

使う部門によっても、優先したい条件は異なります。自動倉庫に関わる3つの部門で整理しました。複数部門で共有する場合は、条件の厳しいほうに合わせます。

生産技術部門

工程間の仕掛品や金型、治具の保管を担う部門です。見るのは、置き場と工程との距離になります。工程脇に置ける小型機で足りる場面も多く、規模を先に決めると過剰投資になりかねません。

設備の受電容量も、この部門が確認する項目です。既存キュービクルの空き容量を見れば、電気工事の追加費用を見積もりに織り込めます。搬送設備との組み合わせまで含めて、レイアウトを描いてください。改修が必要なら工期も変わります。治具や金型は重量がばらつくため、最大重量を基準に選びます。

物流・倉庫部門

出荷の波と品目数が判断の中心になります。入出庫のピークをさばけるかどうかで、方式の向き不向きが分かれます。多品種少量でランダムアクセスが要るなら、密度優先の方式は合いません。

先入れ先出しや期限管理の要件も、この部門から出てきます。あわせて既存の倉庫管理システムとの接続範囲を決めてください。自動倉庫に付属する制御系を使うのか、既存側に寄せるのかで見積もりの構成が変わります。出荷のピークは、平常時と分けて数値で把握しておきます。

設備・保全部門

保守と法定点検をどう回すかが中心の論点です。自動倉庫は10年から20年使う設備で、部品供給と制御ソフトのサポートがその期間に及びます。

拠点数、24時間対応の有無、部品供給年数、法定点検の代行可否の4点を確認してください。年次と月例の自主検査は法令上の義務で、保守契約は任意のオプションではありません。社内に点検を回せる人員がいない場合、代行の可否が実質的な選定条件になります。部品供給の年数は、稼働年数と照らして確認しておきましょう。


05

【企業規模別】自動倉庫の選び方

企業規模そのものより、規模から来る制約が判断を分けます。専任担当の有無、拠点数、稟議の通し方の3点です。自社の体制に近いところを見てください。

中小企業

専任の設備担当がいない前提で選びます。日常の点検や軽微な復旧を、現場の担当者が兼務することになるからです。既存建屋にそのまま入る小型機から検討すると、建屋工事を避けられます。

法定の定期自主検査を代行するメニューを持つ提供元なら、社内の負担をさらに抑えられるでしょう。稟議では初期費用だけでなく、年間保守費を含めた総額を示すと通りやすくなります。段階的に台数を増やせる構成かどうかも確認しておくと安心です。台数が少ないうちは、保守費の総額も読みやすくなります。

中堅企業

複数拠点への展開と将来の増設が論点になります。1拠点で完結しないため、同じ製品系列で規模を伸ばせるかが選定に影響するでしょう。低層から高層までを1系列でカバーできる製品なら、拠点ごとに選び直す手間が減ります。

間口数は現状と将来の2本立てで見積もりを依頼してください。現状ぴったりで設計すると、品目が増えた時点で行き詰まります。ラックを増設できる構造かどうかも、製品ごとに違う条件です。拠点ごとに運用ルールを揃えておくと、教育の手間も抑えられます。

大企業

建屋計画との一体化と、法令手続きの重さが判断を左右します。高層のビル式は高い保管効率を得られますが、関係者と期間が増えます。ラック高さを10mより上に設計すると、消防設備の要否が変わる点も押さえてください。

つり上げ荷重の大きいクレーンは、設置届と定期検査の対象になります。稟議では単価より、5年から10年の総保有コストが問われるでしょう。既存の基幹システムとの連携範囲も、早い段階で線を引いておく必要があります。


06

自社に合った自動倉庫の選定ポイント

目的・部門・規模で方向が見えたら、自社の条件に当てはめます。ここからは順番が大切です。上から順に確認すると、手戻りが減ります。

  • 保管する荷姿と単位を確定する
  • 天井高・床面積・受電設備を実測する
  • 温度帯と保管品の性質を洗い出す
  • 法令上の分岐点を設計の前に押さえる
  • 条件を揃えて見積もりと保守体制を確認する

保管する荷姿と単位を確定する

最初の作業は、何をどの単位で入れるかの書き出しです。ここを整理すると、パレット単位、ケース単位、小物や金型のどの系列が合うかが見えてきます。系列をまたいで比べると仕様の前提がそろわず、比較が成り立ちにくくなります。

見落としやすいのが荷姿の寸法上限です。標準化されたコンテナ寸法から外れる荷は入らず、最大収納物高さや棚奥行にも制約があります。重量と寸法がばらつく場合は、最も重いものと最も大きいものを基準に系列を選んでください。収まらない荷は、対象外にするかどうかを先に判断しておきます。

天井高・床面積・受電設備を実測する

荷姿が決まったら、次は建屋側の実測に移ります。設置できない機種は、この段階で比較対象から外れるでしょう。天井高が高さの上限を決め、そこから床面積と間口数が定まります。

あわせて梁の位置、床の耐荷重、受電設備の空き容量も確かめておきましょう。電力容量は数kVAから25KVA程度まで機種によって開きがあり、電気工事の追加費用に直結します。棚を建物から切り離すユニット式か、建屋と一体のビル式かも先に決めておく必要があります。

温度帯と保管品の性質を洗い出す

温度帯や保管品の性質で候補は入れ替わります。冷凍冷蔵、防爆、クリーンの3つは後から追加できない仕様です。この段階で要否を確定させてください。

マイナス31℃の実績を持つ提供元や、常温と冷蔵と冷凍を1システムに併存させられる製品もあります。危険物や防爆は対応実績のあるメーカーが限られるため、早めに問い合わせ先を確認しておきたい条件です。先入れ先出しが必須かどうかも、ここで決めておきます。密度を優先する方式は、ロットや期限の管理に向きません。

法令上の分岐点を設計の前に押さえる

自動倉庫は消防法と労働安全衛生法の両方に接点を持ちます。境界になるのは、ラックの高さとつり上げ荷重という設計値です。天井の高さが10mを超え、延べ面積700㎡以上のラック式倉庫が分岐点です。

この条件ではスプリンクラー設備が必要になります。つり上げ荷重1トン以上のスタッカー式クレーンは特定機械等にあたります。設置届に加え、年次と月例の自主検査が欠かせません。製品を決めてから調べるのでは、順番が逆でしょう。

条件を揃えて見積もりと保守体制を確認する

前提が固まったら、複数社へ同時に見積もりを依頼します。価格が公開されていないため、条件を揃えた同時依頼が唯一の比較手段です。依頼時に明示するのは8項目です。

荷姿と最大重量、現状と将来の間口数、建屋の寸法と耐荷重を前半にまとめます。必要な入出庫能力、環境条件、ラック構造、接続範囲、年間保守費が後半です。そのうえで5年または10年の総保有コストで出してもらうと、初期費用では見えない差が並びます。年間保守費を外して総額を低く見せた提案には注意が要ります。


07

【比較表】自動倉庫の主要製品

製品データとして数値化できる5項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。在庫管理・工程管理・生産管理・現場操作性・中小適合の5つを5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順です。下へ向かうほど、想定する企業規模と導入の重さが上がります。評価が設定されていない項目は「-」と表記しました。

順位

製品

提供元

在庫管理

工程管理

生産管理

現場操作性

中小適合

価格の目安

1

三進金属工業 パタノスター

三進金属工業株式会社

3

3

2

5

5

非公開。機高2,250〜6,000mm・棚積載100/200/350kgの仕様表は公開

2

三進金属工業 シャトルXP

三進金属工業株式会社

3

3

3

5

5

非公開。500kg/段・設置2〜3m四方の仕様は公開

3

西部電機 バケットフィードシステム

西部電機株式会社

4

4

3

4

5

非公開。全高5m以下・定格50kg・5〜8KVAの仕様表は公開

4

西部電機 ユニットラックシステム

西部電機株式会社

5

4

4

4

4

非公開。全高6〜30m・定格1,000kgの9型式の仕様表は公開

5

ダイフク ファインストッカー

株式会社ダイフク

4

4

3

4

4

非公開。576コンテナ・30kg/コンテナの構成例は公開

6

ダイフク コンパクトシステム

株式会社ダイフク

5

4

4

4

3

非公開。139〜3,600パレットのモデル構成は公開

7

トヨタL&F Rack Sorter P

株式会社豊田自動織機

5

4

4

4

3

非公開。可搬1〜2t・ラック高さ21mは公開

8

トーヨーカネツ マルチシャトル

トーヨーカネツ株式会社

4

4

3

4

3

非公開。処理能力の数値も一次情報では未確認

9

住友重機械搬送システム マジックラック

住友重機械搬送システム株式会社

4

3

3

4

3

非公開。公表値は相対比較のみで絶対値なし

10

AutoStore

AutoStore System AS

5

4

3

5

3

非公開。AutoStore・オカムラ公式とも金額記載なし

11

村田機械 自動倉庫システム

村田機械株式会社

4

4

3

3

2

非公開。仕様数値もサイト移転で非公開になった

12

IHI物流産業システム ラックパック

株式会社IHI物流産業システム

5

4

4

4

2

非公開。仕様もカタログ請求が前提

価格はいずれも非公開のため、条件を揃えた見積もりでしか総額を比べられません。製品ごとの仕様や事例は自動倉庫の比較記事で扱っています。


08

自動倉庫の選び方で失敗しないための注意点

導入でつまずく組織には共通したパターンがあります。事前に知っておけば、稟議の段階で対策を示せるでしょう。よくある4つを回避策とあわせて挙げます。

建屋を測る前に製品を選び始める

天井高、梁位置、床の耐荷重を測らないまま、製品の比較を始めてしまう例は少なくありません。その結果、有力候補を設置できないことが設計段階で判明します。床の耐荷重は既存図面の値と実態が違うことがあり、改修の要否で工期も変わります。

回避策:建屋の実測を製品選定より前に置いてください。測った数値を見積もり依頼書に載せると、各社の提案が同じ前提に揃います。受電設備の空き容量も同じ段階で確認します。床の改修が必要になれば、工期と費用の両方に響くでしょう。

現状ちょうどの間口数で見積もる

見落とされやすいのが、間口数がそのまま保管容量になるという点です。現状ぴったりで設計すると、品目が増えた時点で行き詰まります。ラックを増設できる構造か、増設時に制御系まで手を入れるかは製品ごとに違います。

回避策:将来の間口数を併記して見積もりを取ってください。現状と将来の2本立てなら、各社が拡張の余地を織り込んだ構成を出します。増設時に必要な工事の範囲も、あわせて書面で残しておきましょう。稼働してから増やす工事は、停止期間と費用の両方が重くなります。

在庫の「正」を決めないまま導入する

機器側の制御系と既存システムのどちらを在庫の正とするか、決めないまま導入するケースもあります。この場合は両方が在庫数を持つため、二重管理が生まれます。棚卸のたびに差異の原因を追う作業が残るでしょう。

回避策:見積もり依頼の段階で線引きを決めてください。自動倉庫専用の倉庫管理システムと、現場全体向けのものを分けて提供する会社もあります。どちらを使うかで運用が変わるでしょう。入庫の記録が違えば、ラックの番地で管理する在庫は必ず狂います。あわせて入庫時の識別精度も設計してください。

提供元の再編を確認せずに選ぶ

マテハン業界では2025年から2026年にかけて提供主体の再編が続いています。旧社名で探しても製品にたどり着けないでしょう。自動倉庫は10年から20年使う設備で、契約先がその期間に変わる可能性もあります。

回避策:合併や事業承継の予定を公表資料で確認しておくことが大切です。海外メーカーの場合は、日本国内の販売と保守の体制があるかも先に確かめます。公式サイトに日本の拠点がない製品は、国内で買えないこともあります。


09

まとめ

自動倉庫の選定は、製品比較からではなく前提を固めることから始まります。保管する荷姿と単位、設置できる天井高と床面積、温度帯などの環境条件の3つです。この3つが揃えば、設置条件に合わない機種を早めに外せます。

種類は荷を動かす機構で4つに分かれます。スタッカクレーン式、シャトル台車式、キューブ型・ロボット式、垂直循環式・垂直昇降式です。価格が公開されていない分野なので、条件を揃えた同時見積もりが比較の要になるでしょう。ラック高さとつり上げ荷重は、消防設備と法令上の届出を左右する設計値です。

製品ごとの仕様や事例は自動倉庫の比較記事、用語の整理は自動倉庫の解説記事で扱っています。

自動倉庫(AS/RS)比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
西部電機 ユニットラックシステム ロゴ
西部電機 ユニットラックシステム西部電機株式会社要見積もり全高6mから30mまで9型式、標準仕様表を公開したパレット自動倉庫詳細を見る
トヨタL&F Rack Sorter P ロゴ
トヨタL&F Rack Sorter P株式会社豊田自動織機要見積もり可搬1〜2t・ラック高さ21m、冷凍冷蔵と防爆まで数値公開詳細を見る
西部電機 バケットフィードシステム ロゴ
西部電機 バケットフィードシステム西部電機株式会社要見積もり全高5m以下・5〜8KVA、最も設置ハードルの低いバケット自動倉庫詳細を見る
ダイフク コンパクトシステム ロゴ
ダイフク コンパクトシステム株式会社ダイフク要見積もり格納数139パレットから、モデル構成が公表されたパレット自動倉庫詳細を見る
IHI物流産業システム ラックパック ロゴ
IHI物流産業システム ラックパック株式会社IHI物流産業システム要見積もりマイナス31度の実績とマイナス60度対応、難条件に強いパレット自動倉庫詳細を見る
AutoStore ロゴ
AutoStoreAutoStore System AS要見積もり通路を持たないキューブ型、国内製造業6社が実名で稼働詳細を見る
トーヨーカネツ マルチシャトル ロゴ
トーヨーカネツ マルチシャトルトーヨーカネツ株式会社要見積もり冷凍冷蔵に対応し、多品種少量工場の物流DX事例を持つシャトル式詳細を見る
三進金属工業 シャトルXP ロゴ
三進金属工業 シャトルXP三進金属工業株式会社要見積もり設置2〜3m四方、高さの違う金型を25mmピッチで詰める詳細を見る
ダイフク ファインストッカー ロゴ
ダイフク ファインストッカー株式会社ダイフク要見積もり自動車部品・電子部品の多品種少量を名指しするケース自動倉庫詳細を見る
三進金属工業 パタノスター ロゴ
三進金属工業 パタノスター三進金属工業株式会社要見積もり機高2,250mmから、天井の低い既存工場に置ける垂直回転式詳細を見る
住友重機械搬送システム マジックラック ロゴ
住友重機械搬送システム マジックラック住友重機械搬送システム株式会社要見積もり天井5.5mの既存建屋に入る、無人台車方式の高密度保管詳細を見る
村田機械 自動倉庫システム ロゴ
村田機械 自動倉庫システム村田機械株式会社要見積もり冷凍1973年から、免震・超高層50mまでの守備範囲詳細を見る

よくある質問

Q自動倉庫の選定は何から始めればよいですか?
A

保管したい荷姿と単位を紙に落とすことから始めます。パレット単位か、ケース(通箱)単位か、小物や金型かで製品の系列が分かれ、系列をまたいだ比較は仕様が噛み合わないため成立しません。単位が決まったら、次に設置場所の天井高・床面積・梁位置・床の耐荷重・受電設備を実測します。この2つが分かれば、自社の建屋に収まる製品系列を見極めやすくなります。カタログを先に集めても、価格も入出庫能力も公開されていないため、製品間の違いを判断しにくいでしょう。

Q見積もりを依頼するとき何を伝えればよいですか?
A

8つの条件を明示します。保管したい荷姿と最大重量、必要な間口数を現状と将来の2本立てで、設置場所の天井高・床面積・梁位置・床の耐荷重、必要な時間あたり入出庫能力、温度帯や防爆といった環境条件、ユニット式かビル式かのラック構造、WMS・WCSを含む構成か既存の生産管理システムと繋ぐか、年間保守費と法定点検の扱いです。入出庫能力はメーカー側がほとんど公開していないため、必要な数値を自分から提示して満たせる構成と台数を示してもらう形にします。そのうえで5年または10年の総保有コストで出してもらうと、初期費用では見えない差が並びます。

Q自動倉庫の設置に法令上の届出は必要ですか?
A

設計値によって必要になります。つり上げ荷重が1トン以上のスタッカー式クレーンは労働安全衛生法施行令第12条第1項第3号の特定機械等にあたり、クレーン等安全規則第5条により所轄労働基準監督署長へのクレーン設置届が必要です。設置後も1年以内ごとに1回の年次自主検査(同規則第34条)と1月以内ごとに1回の月例自主検査(同規則第35条)が義務になります。あわせて、天井の高さが10mを超え延べ面積700㎡以上のラック式倉庫には消防法施行令第12条第1項第5号によりスプリンクラー設備が必要です。ラック高さと荷重は費用と手続きの両方の分岐点になります。

Q自動倉庫に使える補助金はありますか?
A

2026年7月時点では「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が該当します。従来の「ものづくり補助金」は第23次が2026年5月8日で締切となり、24次以降の公募案内が公式ポータルに掲載されていないため、公募中として検討すると日程を誤ります。後継制度の第1回は申請受付開始が2026年9月30日、締切が2026年10月30日18時です。自動倉庫やマテハン設備は公募要領の「汎用性のある設備」の除外例示に含まれていませんが、既存事業と共用される経費や単なる設備の置き換えは対象外で、設置場所の整備工事や基礎工事も対象経費に含められません。税制では中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制がいずれも令和9年3月31日まで適用でき、機械装置は取得価額160万円以上が要件です。

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