おすすめのスライサーソフトを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
スライサーソフトの主要20製品を、対応プリンターと造形方式、サポート生成と造形条件、データ修正、複数台管理、価格と日本語対応の5つの比較項目で整理。無料と有料の違い、費用の内訳、企業の特徴別の選定ポイントまで解説します。

スライサーソフトは、3Dプリンターで造形するために、3Dデータを層ごとに切り分けて造形の指示データを作るソフトウェアです。サポート材の配置や造形の向き、密度、速度などの条件を設定し、造形時間と材料量も見積もります。この記事では、製品ページのある主要20製品を同じ評価軸で並べました。基礎知識から選び方、費用の考え方までを整理します。
無料で複数メーカーのFDM機を扱うなら:OrcaSlicerやPrusaSlicer、UltiMaker Curaが候補
メーカー純正で手早く始めるなら:Bambu StudioやCreality Print、QIDI Studioが候補
光造形やSLSの造形準備をするなら:Formlabs PreFormやCHITUBOXが候補
プリンターを多数台で運用するなら:Anycubic Slicer NextやStratasys GrabCAD Printが候補
金属や産業用の粉末床装置を使うなら:Materialise MagicsやOqton 3DXpert、EOSPRINTが候補
スライサーソフトは、使う3Dプリンターと造形方式を最初に確認すると比べやすくなります。基礎から知りたい方はスライサーソフトとはの記事、製品全体はスライサーソフトのカテゴリページもご覧ください。
この記事でわかること
スライサーソフトの基礎知識
スライサーソフトは、3Dモデルを3Dプリンターが読める指示データに変換する役割を担います。CADで作った形状を、そのままでは造形できません。まず、仕事の中身と製品の種類、造形方式による違いを押さえましょう。
3Dデータを造形の指示データに変える
スライサーは、3Dデータを薄い層に切り分け、プリンターの動きを示すデータを作ります。サポート材の配置や造形の向き、密度、速度などの条件も、このソフトで決めます。
造形時間と材料量の見積もりも、スライサーの役割です。試作品や治具を作る前に、時間と材料のコストを見込めます。設定の違いが、仕上がりと後加工の手間にも影響します。
専用ソフトと汎用ソフトがある
スライサーには、特定メーカーのプリンター専用のものと、複数メーカーに使える汎用のものがあります。専用ソフトは、自社機に合わせたプリセットを備えるため、手早く始めやすい点が特徴です。
汎用ソフトは、機種を替えても同じ操作で使えます。一方、専用ソフトの多くは他社製プリンターへの対応を示していません。無料の製品が多い点も、このカテゴリの特徴です。
造形方式によって使うソフトが変わる
3Dプリンターの方式は、FDM、光造形、粉末床、金属などに分かれます。FDMはフィラメントを溶かして積み、光造形は樹脂を光で固めます。スライサーは、どの方式にも対応するわけではありません。
例えばFDM向けのソフトでは、光造形や金属の造形準備はできません。使う装置の方式に対応するかが、最初の確認点です。ソフトの機能の多さより、対応方式の一致が優先されます。
編集部メモ:スライサーは無料の製品が多く、導入費用では差がつきにくい分野です。そのぶん、対応するプリンターと、社内で使い続ける運用のしやすさを比べる必要があります。
スライサーソフトの基本的な選び方
スライサーソフトを選ぶ際には、対応するプリンターと造形方式を先に確認することが重要です。この点が合わない製品は、機能が充実していても使えません。次の5つの観点で整理しましょう。
対応する3Dプリンターと造形方式を確認する
最初に、手元の3Dプリンターの機種と方式を整理します。FDM、光造形、粉末床、金属のうち、どれに対応するかを製品ごとに見ましょう。
複数メーカーの機種を使う場合は、他社機のプロファイルがあるかも確かめます。メーカー専用の製品は、他社機への対応を示していないことが多いためです。
サポート生成と造形条件の細かさを見る
サポート材の種類や自動配置は、後加工の手間を左右します。壁やインフィル、サポートごとに速度や温度を変えられるかも、確認したい点です。
初心者向けの簡易モードと、技術者向けの詳細設定を切り替えられる製品があります。担当者の経験に合わせて、設定の細かさを選びましょう。
3Dデータの修正・最適化機能を確認する
CADから出力したデータには、穴や反転した面などのエラーが含まれる場合があります。読み込み時に自動で検出し、修復できる製品もあります。
部品を並べるパッキングや、向きの自動調整も比べましょう。多数の部品を1枚のプレートに詰めると、造形の段取りを短くできます。
複数台管理や造形キューの有無を見る
プリンターが複数台になると、造形ジョブの順番や稼働状況の管理が必要です。造形キューや進捗の確認、異常の通知に対応する製品があります。
ただし、この機能は自社のプリンターに限られる場合が多い点に注意が必要です。管理したい機種が対象かを、事前に確かめましょう。
価格体系と日本語対応・サポートを確認する
無料の製品が多い一方、有償のサブスクリプションや、価格非公開の製品もあります。上位機能が別プランになる製品は、必要な機能が含まれるか確認しましょう。
日本語の画面や国内の窓口の有無は、製品によって異なります。選定の進め方はスライサーソフトの選び方の記事も参考にしてください。
スライサーソフトの比較項目
製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。スライサーソフトで見る項目は次の5つです。互いに関連するので、まず表で全体像をつかみましょう。
比較項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
対応する3Dプリンター・造形方式 | FDM、光造形、粉末床、金属のうち、使う装置の方式に対応するか。他社機のプロファイルがあるか |
サポート生成と造形条件設定の細かさ | サポート材の種類と自動配置。壁やインフィルごとの速度・温度の設定。簡易モードの有無 |
3Dデータの修正・最適化機能 | エラーの自動検出と修復。向きの調整、パッキング、ネスティング |
複数台管理・造形キューなどの生産向け機能 | 造形キューや進捗の確認、異常の通知。管理できる機種の範囲 |
価格と日本語対応 | 無料か、買い切りか、サブスクリプションか。日本語の画面と国内の窓口 |
対応する3Dプリンター・造形方式
使える装置の範囲を決める項目です。FDM向け、光造形向け、粉末床や金属向けと、製品ごとに対象が分かれます。
複数メーカーの機種に使える汎用ソフトもあれば、自社機専用のソフトもあります。他社機のプロファイルの数も、製品ごとに違う点です。
サポート生成と造形条件設定の細かさ
仕上がりと後加工の手間に関わる項目です。サポート材の種類や自動配置、壁やインフィルごとの速度・温度の設定が対象になります。
設定数が多い製品もあれば、手順を絞った製品もあります。簡易モードと詳細モードを切り替えられるかも、比べる点です。
3Dデータの修正・最適化機能
造形前にデータの不具合を直し、配置を整える項目です。エラーの自動検出と修復、向きの調整が対象です。
部品を1枚のプレートに詰めるパッキングやネスティングは、多数個取りの段取りに影響します。方式ごとのモジュール構成の製品もあります。
複数台管理・造形キューなどの生産向け機能
プリンターを複数台で運用するときに影響する項目です。造形キューや稼働スケジュール、進捗の確認、異常の通知が対象です。
管理できる範囲は、自社のプリンターに限られる場合があります。社内ネットワークだけで使えるモードの有無も、確認したい点です。
価格と日本語対応
費用の形と、使い続けるときの支えを見る項目です。無料の製品、サブスクリプション、価格非公開の製品があります。
日本語の画面、日本語のドキュメント、国内の窓口は、製品によって有無が分かれます。公式に記載があるかを確かめましょう。
自社に合ったスライサーソフトの選定ポイント
比較項目のどこに重点を置くかは、自社の状況で変わります。企業の特徴ごとに、確認する順番を整理しました。自社に近いものから読んでください。
費用を抑えて試作や治具の造形から始める企業
試作品や治具を社内で作り、外注費や待ち時間を減らしたい企業です。無料のスライサーが多いため、まず対応するプリンターと日本語の画面を確認しましょう。
無料の製品は、国内の窓口を持たないものがあります。社内にプリンターの運用経験がある担当者がいない場合は、国内の販売元が案内している製品が安心です。
同じメーカーのプリンターを多数台で運用する企業
同一メーカーの機種を並べて、治具や小ロットの部品を造形する企業です。造形キューや進捗の確認、異常の通知に対応するかが判断材料になります。
こうした機能は、自社のプリンター向けに作られている場合が多く見られます。メーカー専用ソフトのため、他社機を混ぜて管理したい場合は向きません。
光造形やSLSで樹脂部品を作る企業
細かい形状や、粉末を固めた樹脂部品を作る企業です。FDM向けのソフトは使えないため、光造形やSLSに対応する製品が前提になります。
サポート生成の自動化や、部品を詰めるパッキングの有無を見ましょう。メーカー専用か、複数メーカーの装置に使えるかによって、選べる範囲が変わります。
金属造形や産業用装置を持つ企業
金属や産業用の粉末床装置で、最終部品を作る企業です。データ修正や方式別のサポート生成、変形の予測、露光パラメーターの編集などが判断材料になります。
このクラスのソフトは、価格が公開されていない製品が中心です。対応する装置と必要なモジュールを整理して、問い合わせる必要があります。
設計データの扱いやネットワークに制約がある企業
設計データを社外に出せない企業や、現場をネットワークから切り離している企業です。アカウント不要で動く製品や、社内ネットワークだけで使えるモードを持つ製品が候補になります。
クラウド型の製品は、オフラインで使えるプランが別に必要になる場合があります。ライセンスの方式も、事前に確認しておきましょう。
スライサーソフトの費用相場
スライサーソフトは、無料で使える製品が多い分野です。製品ページのある20製品のうち、公式に無償と記載があるのは10製品です。一方、円建ての価格を公式サイトで公開している有償の製品はありません。
費用の内訳 | 費用を左右する要因 |
|---|---|
ソフト本体のライセンス | 無料、メーカー機の購入者向けの付属、サブスクリプションのいずれか。ライセンスの種類(オンライン・オフライン) |
上位プランや追加機能 | 生産向けの機能、シミュレーション、検査、管理機能が別プランになるか。モジュール構成か |
3Dプリンター本体 | 専用ソフトは、対応する自社機の購入が前提になる場合がある |
導入支援・保守 | 国内の窓口の有無。有償の保守や教育の範囲 |
パソコン環境 | メモリやGPUなど、推奨環境の高さ。処理性能の高いPCが必要になる製品がある |
総額は、上位プランの要否や、使うプリンターの台数で変わります。価格を非公開とする産業用の製品は、必要な機能をそろえたうえで見積もりを依頼しましょう。費用の見方はスライサーソフトの費用相場の記事も参考にしてください。
【比較表】スライサーソフトのランキング
製品データとして数値化できる4項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。生産管理・品質管理・現場での使いやすさ・中小適合の4つを、5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べました。
順位 | 製品 | 提供元 | 生産管理 | 品質管理 | 現場での使いやすさ | 中小適合 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | OrcaSlicer Pte. Ltd. | 3 | 5 | 3 | 5 | 無料(公式に「free and open-source software」と記載、AGPL-3.0)。任意のOrca Cloud(プロファイルのバックアップ・同期・共有)の料金は公式サイトに掲載なし | |
2 | Bambu Japan株式会社 | 3 | 4 | 4 | 5 | オープンソース(AGPL-3.0)で無償配布。遠隔操作などの拡張ネットワーク機能は非フリーのライブラリを使う任意のプラグインで提供 | |
3 | Shenzhen Creality 3D Technology Co., Ltd. | 3 | 4 | 4 | 5 | オープンソース(AGPL-3.0)で無償配布。日本語のダウンロードページに価格の記載はない。公式GitHubの最新版は7.3.0(2026年9月24日)で、日本語のダウンロードページの掲載版(6.3.0)より新しい | |
4 | QIDI Technology(QIDI Tech) | 3 | 4 | 4 | 5 | オープンソース(AGPL-3.0)で無償配布。日本向け公式ストアからWindows・Mac版をダウンロードでき、Linux版はGitHubで配布 | |
5 | CBD-Tech | 2 | 4 | 4 | 5 | 無料(公式ドキュメントに「free 3D printing software」と記載)。有償のAdvanced・Proプランはサブスクリプションで、公式サイトに円建て価格の掲載なし | |
6 | Prusa Research a.s. | 2 | 4 | 4 | 5 | 無料(公式に「Free. Open-source. No account required.」と記載、AGPL-3.0)。安定版は2.9.6(2026年6月25日)、3.0.0は本番利用を推奨しないアルファ版(2026年10月時点) | |
7 | UltiMaker B.V. | 2 | 4 | 4 | 5 | Cura本体は無料(公式に「無料でオープンソースのソフトウェア」と記載)。ビジネス向けのCura Enterpriseは円建て価格の記載なし | |
8 | 縦維立方テクノロジー株式会社 | 5 | 3 | 4 | 4 | オープンソースのスライサーとして公式に無償配布。価格の記載はない。ファームモードは1.4.1.0以降で利用可 | |
9 | Formlabs(フォームラボ) | 4 | 4 | 5 | 4 | 無料(公式に「無料で使えるパワフルな造形準備用ソフトウェア」と記載)。プリンター管理のDashboardも無料。最新版は3.64.2(2026年10月23日) | |
10 | Zhejiang Flashforge 3D Technology Co., Ltd.(FLASHFORGE) | 4 | 3 | 4 | 4 | 公式サイトから無償でダウンロードでき、価格の記載はない(前身のOrca-FlashforgeはAGPL-3.0のオープンソース)。グローバルの最新版は1.7.19、国内サポートページの掲載版は1.7.6(2026年10月時点) | |
11 | Raise3D(レイズスリーディー) | 3 | 4 | 4 | 4 | 無料ダウンロード(公式に「Free Download」と記載)。造形の遠隔制御・管理を行うRaiseCloudは別製品 | |
12 | ストラタシス・ジャパン株式会社 | 5 | 4 | 3 | 3 | 標準のGrabCAD PrintはStratasysのすべての3Dプリンターに組み込まれた無料ソフト(単体販売の価格表示なし)。GrabCAD Print Proは有償で価格は非公開(無料体験あり) | |
13 | Markforged(マークフォージド) | 4 | 5 | 3 | 3 | The Digital Forgeサブスクリプション(Basic・Essential・Advanced・On-Prem)の全ティアにEigerが含まれる。有償ティアの価格は見積もり依頼で、円建て価格は公開されていない。お試しソフトウェアあり | |
14 | 3D Systems, Inc. | 4 | 4 | 3 | 3 | Basicは特定の3D Systemsプラスチック3Dプリンターの購入者に無料で付くライセンス。Proはサブスクリプションのオプション製品で、Digital Texturing・SLA Early Model Supportなどのアドオンとともに価格は公開されていない。30日間の無料トライアルあり | |
15 | オートデスク株式会社(Autodesk) | 4 | 4 | 3 | 3 | サブスクリプション販売。価格はオートデスクまたは販売パートナーに確認する。無償体験版と30日間の返金保証あり | |
16 | Simplify3D | 3 | 4 | 3 | 3 | 有償ソフト。公式ストアの価格は米ドル建て(1ユーザー)のみで、円建ての公式価格はない。ライセンスはStandard(インターネット接続が必要・1ユーザー)、Floating、Offlineの3種類。返金保証あり | |
17 | EOS GmbH | 4 | 5 | 3 | 2 | サブスクリプションのEOS Buildで提供(生産拠点単位のライセンス、拠点あたり最大10ライセンスのEOSPRINTを含む)。価格は公開されていない。初年度以降は非アクティブモードへ縮小でき、1つのマテリアルセットと1つのEOSPRINTアクセス権が残る | |
18 | Materialise NV(マテリアライズ) | 4 | 5 | 3 | 2 | 価格は非公開(問い合わせ)。サポート生成やネスティングは造形技術ごとのモジュール構成 | |
19 | Oqton NV | 4 | 5 | 3 | 2 | 単体のサブスクリプションライセンス。Basic・Standard・Premium・Design & Ultimate・Eliteなどのパッケージがあり、価格は公開されていない。トライアルあり | |
20 | HP(日本HP) | 3 | 3 | 3 | 2 | 公式ページ・パンフレットに価格の記載はない。HP Digital Production Suiteの一部として案内されている |
スライサーソフトの主要製品の詳細
ランキング表に載せた20製品を、表と同じ順に解説します。強みだけでなく、向かないケースも書きました。対応するプリンターと造形方式は、各製品で必ず確認してください。
OrcaSlicer
内蔵のキャリブレーション機能と数百機種のプロファイルを備えた、無料のオープンソースです。壁やインフィル、サポートごとに速度や積層ピッチ、温度を個別に設定できます。
Klipper、PrusaLink、OctoPrintへの送信にも対応します。一方、日本語の公式サイトや国内の販売店はありません。公式が偽サイトへの注意を呼びかけているため、入手先は公式サイトかGitHubに限りましょう。
Bambu Studio
複数のプレートとオブジェクトを、1つのプロジェクトにまとめられます。条件は、全体・オブジェクト・パーツの単位で変えられます。3種類のサポートや自動配置も無料です。
画面は日本語に対応し、国内ではBambu Japan株式会社が購入後のサポートを担います。遠隔操作などの拡張機能は任意のプラグインに依存し、入れない場合はSDカード経由の造形です。FDM方式専用で、光造形や金属には使えません。
Creality Print
OrcaSlicerから派生した無料のオープンソースです。他社製FDM機のプロファイルを多く同梱し、全機種向けの自動キャリブレーションを備えます。
日本語の公式サイトと公式ストアがあり、画面の日本語翻訳も公式に配布されています。ただしLinuxは公式のサポート範囲外です。サポートの受付は太平洋標準時で、国内の法人窓口の記載もありません。
QIDI Studio
Bambu Studioをベースにした無料のスライサーです。QIDI製のすべてのプリンターとフィラメントに合わせたプリセットがあります。選ぶだけで造形データを作れる点が特徴です。
任意のレイヤーに、カスタムGコードや一時停止、フィラメント交換を加えられます。公式ページが対応をうたうのはQIDI製のプリンターだけです。他社製のプリンターとソフトを共通化したい企業には向きません。
CHITUBOX
多数のメーカーの光造形機に対応する、SLA・DLP・LCD向けのスライサーです。メーカーの異なる機種を、1つのソフトで扱えます。表示言語は日本語を選べる点も特徴です。
基本機能は無料で、有償のAdvancedとProのプランで機能を足せます。FDM方式には使えません。公式サイトに国内販売店の記載はなく、推奨環境もメモリ32GB以上と高めです。
PrusaSlicer
アカウントが不要で、スライス処理を手元のPCだけで行う無料のソフトです。設計データを社外に出さず、エアギャップ環境でも使えます。
シンプル、アドバンス、エキスパートの3モードを備え、担当者の経験に合わせて使い分けられます。実機で検証されたプロファイルはPrusa製が中心で、他社機は設定の確認が前提です。国内の窓口もありません。
UltiMaker Cura
本体が無料のオープンソースで、カスタムモードでは400以上の設定を調整できます。UltiMaker製に加え、他社製FDM機の定義ファイルも公開されています。
SOLIDWORKSなどのCADプラグインを統合した使い方も可能です。FDM方式専用のため、光造形や金属には使えません。公式サイトに国内の窓口の記載はなく、複数台の造形キューの管理にも向きません。
Anycubic Slicer Next
OrcaSlicerをベースにした無料のスライサーです。ファームモードでは、数十台から数百台のプリンターを想定した一括の造形タスクとキューを扱えます。
機種や設置場所ごとのグループ分けと、残り時間の表示を備えます。複数台の異常は、メッセージセンターに集まる仕組みです。対象はAnycubicのプリンターで、他社製での利用は記載がありません。対応OSもUbuntu 24.04など限られます。
Formlabs PreForm
Formlabsの光造形機とSLS機向けの、無料の造形準備ソフトです。ワンクリックのサポート生成と、プリンターへのアップロードで、手順を少なくできます。
SLSの自動パッキングや、APIによる自動化も使えます。対象はFormlabs製のSLA機とSLS機で、他社製やFDM方式には使えません。対応OSはWindows 10(バージョン1809)以降とmacOS 13以降です。
FLASHFORGE Flash Studio Desktop
Orca-Flashforgeの後継で、同社の現行機に対応するスライサーです。遠隔監視には、クラウド経由のWANモードと、社内ネットワークだけのLANモードを選べます。複数台の管理にも対応する点が特徴です。
FLASHFORGE JAPANが、日本語のサポートページで使い方を案内しています。国内の掲載版はグローバルの最新版より古く、入手先の確認が要ります。他社製プリンターへの対応は記載がなく、Ubuntu版はベータ版です。
Raise3D ideaMaker
読み込み時の自動チェックとワンボタンの自動修復で、CADデータ由来のエラーを造形前に直せます。グループやレイヤー、体積ごとに造形条件を変えることも可能です。
Raise3DのFFF機とDLP機を扱え、国内総代理店が日本語で案内しています。グローバルの公式ページの動作環境は、メモリ64GB以上です。事務用PCでは満たしにくい点に注意が必要です。他社機への対応は説明が分かれています。
Stratasys GrabCAD Print
CADファイルから直接造形準備ができ、プリントキューと稼働時間に合わせたスケジュールも扱えます。スマートフォンのアプリで進捗を確認でき、通知も届く点が特徴です。
社内ネットワークだけで使うローカルネットワークモードを選べます。対象はStratasys製プリンターです。製造テンプレートなどの生産向け機能は有償のPro版で、価格は公開されていません。macOSには対応しません。
Markforged Eiger
Markforged製プリンター向けのクラウド型ソフトで、連続繊維の配置まで細かく制御できます。上位プランでは、強度のシミュレーションやスキャン検査も利用できる点が特徴です。
パーツの承認や役割別の権限管理、SAMLシングルサインオンなど、組織向けの管理機能を備えます。これらは上位の有償プランの機能で、価格は公開されていません。オフラインで使うにはOn-Premプランが必要です。
3D Systems 3D Sprint
3D Systemsの樹脂系プリンター向けの造形準備ソフトです。SLAやSLS、MJPなどの方式を、1つのソフトで扱えます。
Basicは、自動分析とエラー修正を備えます。造形時間と材料量の見積もり、詳細な自動配置は、有償のProの機能です。他社製プリンターには使えません。Proとアドオンの価格は非公開で、日本語の製品ページは5.1時点の内容です。
Autodesk Fusion with Netfabb
200種類以上の3Dプリンターに対応し、他社製の装置を含めて造形準備のソフトを共通化できます。解析と自動修復、サポート生成、ラティス、3Dパッキングを1つのツールで行える点が特徴です。
スクリプトによる自動化にも対応します。Windows専用で、インストールは最大3台までです。指名ユーザーがサインインして使えるのは、一度に1台のコンピューターに限られます。価格は、オートデスクまたは販売パートナーへの確認が必要です。
Simplify3D
数百のメーカーの600機種以上のFDM機に対応する有償のスライサーです。数百個の部品を1枚のプレートに並べるツールがあり、小物の多数個取りの段取りに向きます。
Windows、macOS、Linuxで動き、画面は日本語に切り替えられます。公式価格は米ドル建てのみで、国内の窓口の記載もありません。Standardライセンスはネット接続が必要で、接続できない現場ではOfflineが要ります。
EOSPRINT
EOSの金属・樹脂粉末床装置向けの、ジョブ準備ソフトです。レーザー出力や走査速度、ハッチ間隔といった露光パラメーターまで編集できます。
EOSが検証したマテリアルセットを土台に、条件を微調整できます。他社製の装置には使えません。円建ての価格は公開されておらず、問い合わせが必要です。日本語の製品ページは機械翻訳で、詳しい資料は英語が中心です。
Materialise Magics
データ修正、方式別のサポート生成、3D自動配置を、1つの環境で行える造形準備ソフトです。金属や光造形、バインダージェットなど、造形技術ごとのモジュールを選べます。
PythonスクリプトのSDKで、定型の造形準備を自動化できます。Windows専用で、macOSでは動きません。サポート生成などがモジュール構成のため、必要な機能をそろえた見積もりが要り、価格も非公開です。
Oqton 3DXpert
CADエンジンを土台に、STLへ変換せずに造形準備ができる点が特徴です。金属粉末床のシミュレーションで、変形や残留応力を予測し、事前に補正できます。
主要な粉末床装置のメーカーと連携しています。最低動作環境はメモリ16GBとGPU 4GBで、高い処理性能のPCが必要です。日本語の製品ページや国内の販売窓口の記載はなく、価格も非公開です。
HP 3D Build Manager
HPの3Dプリンター向けのビルド準備ソフトです。3MFとSTLの読み込みから、エラーの修正、3D自動パッキング、送信までをそろえます。
MJFの造形エリアに部品を詰め、量産の段取りを組めます。他社製のプリンターには使えません。公式サイトに日本語の製品ページや価格の掲載はなく、詳しい機能は英語の資料で確かめる必要があります。
スライサーソフトの無料・有料でできることの違い
スライサーソフトは、造形データを作る基本機能を無料で使える製品が多い分野です。有料や価格非公開の製品は、生産向けの管理機能や、産業用装置への対応で差が出ます。
できること | 無料で足りる範囲 | 有料・個別の確認が必要な範囲 |
|---|---|---|
造形データの作成 | サポート生成、造形条件の設定、造形時間と材料量の見積もり。FDM向けの多くの製品で無料 | 産業用装置の露光パラメーターや、方式別のモジュール |
データの修正・最適化 | 自動修復や向きの調整、パッキングを無料で備える製品がある | 高度な修復、ラティス、ネスティングを備える製品の多くは有償か価格非公開 |
複数台管理 | 自社のプリンター向けに、造形キューや遠隔監視を無料で備える製品がある | 製造テンプレート、承認フロー、権限管理などは上位プランの機能 |
シミュレーション・検査 | 基本機能には含まれない | 強度評価、変形予測、スキャン検査は上位プランや専用の製品で提供 |
サポート・導入支援 | 国内の窓口は製品によって異なる | 価格非公開の産業用ソフトは、問い合わせて確認 |
無料の範囲は、製品とプランによって変わります。有償プランの価格が公開されていない製品は、必要な機能が含まれるかを問い合わせて確かめましょう。
まとめ
スライサーソフトの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。対応する3Dプリンターと造形方式、サポート生成と造形条件、データの修正と最適化が項目です。複数台の管理と、価格や日本語対応も加わります。
まず、使う3Dプリンターの方式と機種を書き出しましょう。FDM向けには無料の製品が多く、産業用の金属や粉末床向けは価格が非公開です。ソフト自体は無料でも、使える装置や運用の支えは製品ごとに違います。製品はスライサーソフトのカテゴリページで比較できます。選定の進め方はスライサーソフトの選び方の記事をご覧ください。メーカー別の傾向はスライサーソフトのメーカーの記事で整理しています。
スライサーソフトのおすすめ製品
Formlabs PreForm
Formlabs(フォームラボ)
無料で使えるFormlabsの光造形・SLS機向け造形準備ソフト
Bambu Studio
Bambu Japan株式会社
複数プレートを扱える無料スライサー
OrcaSlicer
OrcaSlicer Pte. Ltd.
数百機種のプロファイルを持つ無料スライサー
Anycubic Slicer Next
縦維立方テクノロジー株式会社
ファームモードを備える無料スライサー
Creality Print
Shenzhen Creality 3D Technology Co., Ltd.
自動キャリブレーションを備える無料スライサー
QIDI Studio
QIDI Technology(QIDI Tech)
QIDI製FDM機向けの無料スライサー
スライサーソフト比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| Formlabs PreForm | Formlabs(フォームラボ) | オンプレミス | 無料で使えるFormlabsの光造形・SLS機向け造形準備ソフト | 詳細を見る | |
| Bambu Studio | Bambu Japan株式会社 | オンプレミス | 複数プレートを扱える無料スライサー | 詳細を見る | |
| OrcaSlicer | OrcaSlicer Pte. Ltd. | オンプレミス | 数百機種のプロファイルを持つ無料スライサー | 詳細を見る | |
| Anycubic Slicer Next | 縦維立方テクノロジー株式会社 | オンプレミス | ファームモードを備える無料スライサー | 詳細を見る | |
| Creality Print | Shenzhen Creality 3D Technology Co., Ltd. | オンプレミス | 自動キャリブレーションを備える無料スライサー | 詳細を見る | |
| QIDI Studio | QIDI Technology(QIDI Tech) | オンプレミス | QIDI製FDM機向けの無料スライサー | 詳細を見る | |
| Markforged Eiger | Markforged(マークフォージド) | 要見積もり | 連続繊維の配置まで制御するクラウド型 | 詳細を見る | |
| Stratasys GrabCAD Print | ストラタシス・ジャパン株式会社 | 要見積もり | CADから直接造形準備するソフト | 詳細を見る | |
| Raise3D ideaMaker | Raise3D(レイズスリーディー) | オンプレミス | FFFとDLPを扱える無料スライサー | 詳細を見る | |
| UltiMaker Cura | UltiMaker B.V. | オンプレミス | 無料・オープンソースの定番FDMスライサー | 詳細を見る | |
| PrusaSlicer | Prusa Research a.s. | オンプレミス | アカウント不要・オフラインの無料スライサー | 詳細を見る | |
| FLASHFORGE Flash Studio Desktop | Zhejiang Flashforge 3D Technology Co., Ltd.(FLASHFORGE) | オンプレミス | 複数台管理と遠隔監視に対応 | 詳細を見る | |
| CHITUBOX | CBD-Tech | オンプレミス | 光造形機向けの無料スライサー | 詳細を見る | |
| 3D Systems 3D Sprint | 3D Systems, Inc. | 要見積もり | 樹脂系プリンター向けの造形準備ソフト | 詳細を見る | |
| EOSPRINT | EOS GmbH | 要見積もり | EOSの粉末床装置向けジョブ準備ソフト | 詳細を見る | |
| Materialise Magics | Materialise NV(マテリアライズ) | 要見積もり | 修正・サポート生成・自動配置を1つの環境で | 詳細を見る | |
| Autodesk Fusion with Netfabb | オートデスク株式会社(Autodesk) | 要見積もり | 修復からツールパスまで担う積層造形ソフト | 詳細を見る | |
| Oqton 3DXpert | Oqton NV | 要見積もり | 変形予測と補正まで行う積層造形ソフト | 詳細を見る | |
| Simplify3D | Simplify3D | 要見積もり | 600機種以上に対応する有償スライサー | 詳細を見る | |
| HP 3D Build Manager | HP(日本HP) | 要見積もり | HPの3Dプリンター向けビルド準備ソフト | 詳細を見る |
よくある質問
Qスライサーソフトを選ぶとき、最初に何を確認すればよいですか?
使う3Dプリンターの機種と造形方式(FDM・光造形・粉末床・金属)に対応するかを確認します。メーカー専用のソフトは他社製プリンターに使えない場合が多いため、ここが合わない製品は機能が充実していても使えません。
Qスライサーソフトは無料で使えますか?
2026年時点で、製品ページのある20製品のうち10製品が公式に無償と記載しています。一方、強度評価や承認フローなどの上位機能や、産業用装置向けのソフトは有償か価格非公開の製品が中心です。必要な機能が無料の範囲に含まれるかを確認してください。
Q複数メーカーのプリンターを1つのソフトで扱えますか?
OrcaSlicerやPrusaSlicer、UltiMaker Curaのように、他社製FDM機のプロファイルを持つ汎用ソフトがあります。Autodesk Fusion with Netfabbのように、200種類以上の機種に対応する有償ソフトもあります。メーカー専用のソフトは、他社機への対応を示していない場合が多くみられます。
Q設計データを社外に出さずにスライサーを使えますか?
PrusaSlicerのように、アカウント不要でスライス処理を手元のPCだけで行う製品があります。Stratasys GrabCAD Printは社内ネットワークだけで使うモードを選べます。クラウド型の製品は、オフラインで使えるプランの有無を確認する必要があります。
