おすすめのDCSを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
DCS(分散制御システム)の主要20製品を、プラント規模と制御方式、冗長化、計装機器との接続、操作画面、保守・更新の5つの比較項目で整理。価格の公開状況と費用の内訳、企業の特徴ごとの選定ポイントまで解説します。

DCS(分散制御システム)は、化学や石油、電力、食品、医薬などの連続生産のプラントで、多数の制御装置をネットワークでつなぎ、全体を監視・制御するシステムです。制御機能を複数のコントローラーに分け、中央の操作画面で温度や圧力、流量をまとめて管理します。この記事では、製品ページのある主要20製品を同じ評価軸で並べました。基礎知識から選び方、費用の考え方までを整理します。
大規模な連続プロセスを止めずに運転するなら:横河電機 CENTUM VPやHoneywell Experion PKSが候補
医薬品や食品のバッチ工程を制御するなら:Emerson DeltaVやSiemens SIMATIC PCS 7が候補
旧DCSの資産を生かして更新するなら:アズビル Advanced-PSやSchneider Electric EcoStruxure Foxboro DCSが候補
中小規模の設備で小さく始めるなら:横河電機 STARDOMやアズビル Harmonas-FLeXが候補
発電や用役設備を制御するなら:Emerson Ovationや三菱重工 DIASYS Netmationが候補
DCSは、対象のプラント規模と制御方式、冗長化の方式を、最初に確認すると比べやすくなります。基礎から知りたい方はDCSとはの記事、製品全体はDCS(分散制御システム)のカテゴリページもご覧ください。
この記事でわかること
DCSの基礎知識
DCSは、プラントの運転を止めずに、温度や圧力、流量などを自動で制御するための仕組みです。運転員は、中央の操作画面から全体の状態を見て、設定の変更や操作を行います。まず、構成の考え方と制御方式、ほかの制御システムとの違いを押さえましょう。
コントローラーと操作画面を分けた構成
DCSは、制御を担うコントローラー、計装機器をつなぐ入出力、運転員が使う操作画面で構成されます。制御機能を複数のコントローラーに分散させるため、1台の故障が全体に及びにくい点が特徴です。
これらはネットワークでつながっています。中央の操作画面から、温度や圧力、流量をまとめて管理できます。冗長化によって止まらない運転を支える点も、DCSの大きな役割です。
連続制御とバッチ制御
DCSは、原料を絶え間なく流して製品にする連続プロセスを得意としてきました。化学や石油、発電のプラントが代表例です。制御が止まると影響が大きいため、冗長化が重視されます。
医薬品や食品では、レシピに沿って工程を順に進めるバッチ制御も使われます。連続とバッチのどちらに強みを持つかは、製品によって異なる点に注意が必要です。自社の工程に合う方式かが確認点です。
PLCやSCADAとの違い
PLCは、個々の機械や設備をシーケンスで制御する装置です。DCSは、プラント全体の制御と監視を一体で扱う点が異なります。計装機器との接続や運転員向けの画面も、DCSの検討軸です。
設備の監視が中心で、制御は個別のPLCに任せる仕組みは、SCADAとして扱われます。制御まで一体で行いたいかどうかが、DCSとSCADAを分ける目安です。
編集部メモ:DCSは、導入して終わりではなく、長期にわたって保守と更新を続けるシステムです。導入時の機能だけでなく、旧システムからの更新のしやすさも比べる必要があります。
DCSの基本的な選び方
DCSを選ぶ際には、対象のプラントの規模と制御方式、止められない度合いを先に整理することが重要です。この点が合わない製品は、他の機能が充実していても使えません。次の4つの観点で整理しましょう。
プラント規模と制御方式を決める
最初に、制御するプラントの規模と、連続とバッチのどちらが中心かを整理します。大規模な連続プロセス向けの製品もあれば、中小規模の計装制御に向く製品もあるでしょう。
タグ数やコントローラー台数に上限がある製品もあります。将来の増設も見込んで、必要な規模に対応するかを確かめましょう。規模の記載がない製品は、問い合わせが欠かせません。
冗長化の範囲を確認する
冗長化の対象は、コントローラーだけではありません。電源や制御バス、I/Oも対象になります。どの範囲まで二重化や3重化ができるかは、製品ごとに異なります。
故障時に制御が切り替わる方式も確認しましょう。待機系へ切り替える方式と、複数のCPUで演算を照合する方式があります。止められない度合いに応じて選ぶ必要があります。
計装機器と既設設備との接続を確認する
DCSは、現場の計装機器とつながって初めて機能します。使っている機器の規格に対応するかを確かめましょう。FOUNDATION fieldbusやHART、PROFIBUS、PROFINETが代表例です。
他社のPLCや上位システムとつなぐ場合は、OPC UAやModbusへの対応も見ておきます。既設の機器を流用できると、更新の費用と工期を抑えやすくなります。
操作画面と長期の保守体制を確認する
運転員が使う画面は、アラームの見落としや操作の個人差に影響します。アラーム管理の規格に沿っているか、画面の構成が見やすいかを確認しましょう。
DCSは長く使うため、保守体制と更新の道筋も重要です。旧システムのアプリケーションを引き継げるか、保守サービスの範囲はどこまでかを見ます。選定の進め方はDCSの選び方の記事も参考にしてください。
DCSの比較項目
製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。DCSで見る項目は次の5つです。互いに関連するので、まず表で全体像をつかみましょう。
比較項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
対象のプラント規模と制御方式 | 連続とバッチのどちらに向くか。タグ数やコントローラー台数に上限があるか |
コントローラーと通信の冗長化の方式 | 二重化か3重化か。電源やバス、I/Oまで冗長化できるか。切り替えの方式 |
計装機器・フィールドバスとの接続 | 対応するフィールドバスの規格。他社PLCや上位システムとの接続方法 |
運転員向けの操作画面とアラーム管理 | 画面の構成。アラーム管理の規格への対応。Webやタブレットでの確認 |
長期の保守・更新(マイグレーション)の体制 | 旧システムの資産を引き継げるか。保守サービスと更新支援の範囲 |
対象のプラント規模と制御方式
プラントの大きさと、工程の種類を決める項目です。スキッド単位から大規模プラントまで広げられる製品があります。中小規模に絞った製品もあるでしょう。連続とバッチのどちらに強いかも、製品ごとに違いが出る点です。
1システムで扱えるタグ数やコントローラー台数に、上限を設ける製品もあります。上限の有無は、公式資料や問い合わせで確かめる点です。
コントローラーと通信の冗長化の方式
止まらない運転をどう実現するかを比べる項目です。コントローラーを二重化する方式のほか、3重化したCPUの出力を照合する方式があります。電源や制御バスまで冗長化できる製品もあります。
故障時の切り替えに、遅れが出ない方式かも見る点です。冗長化の範囲は製品ごとに記載が異なるため、構成ごとの確認が欠かせません。
計装機器・フィールドバスとの接続
現場の計装機器とつなぐための項目です。対応する規格は、製品によって異なります。FOUNDATION fieldbusやHART、PROFIBUS-DPが代表例です。記載のない規格は、カタログでの確認が必要です。
他社のPLCや上位システムとの接続も比べます。OPC UAやModbus、IEC 61850への対応が、既設設備を生かせるかを左右します。
運転員向けの操作画面とアラーム管理
運転員が毎日使う画面を比べる項目です。画面の呼び出しやマルチウィンドウ、トレンド表示の仕組みが、見落としや操作の個人差に影響します。アラーム管理がEEMUAやISAの規格に沿うかも、確認したい点です。
Webやタブレットから運転状況を見られる製品もあります。事務所や現場で確認できると、運転員以外の担当者にも状況を共有しやすくなります。
長期の保守・更新(マイグレーション)の体制
DCSを長く使い続けるための項目です。旧システムの制御アプリケーションやI/Oを引き継ぎ、段階的に更新できる製品があります。専用ハードウェアを汎用機へ移す仕組みを持つ製品もあります。
保守サービスの拠点や、更新の支援メニューも比べましょう。国内での保守体制は、メーカーによって差が出やすい点です。
自社に合ったDCSの選定ポイント
比較項目のどこに重点を置くかは、自社の状況で変わります。企業の特徴ごとに、確認する順番を整理しました。自社に近いものから読んでください。
化学・石油など大規模な連続プロセスを持つ企業
プラントの停止が大きな損失につながる企業です。最初に確認したいのは、コントローラーや電源、バス、I/Oまでの冗長化の範囲です。故障時に制御が途切れない方式かも見ておきましょう。
大規模な構成が中心の製品が多く、中小規模の設備には機能が大きすぎる場合があります。価格は公開されていないため、規模を整理して見積もりを依頼してください。
医薬品や食品のバッチ工程を持つ企業
レシピに沿って工程を進める、多品種の製造を行う企業です。バッチ・レシピ管理の機能と、記録の要件に対応するかを確認します。医薬品では、監査証跡や電子署名への対応が判断材料です。
連続とバッチが混在する工場では、両方を1つのDCSで扱えるかも見ます。発電向けに専用設計された製品は、バッチ工程が主な対象ではない場合があります。
旧DCSを更新したい企業
導入から年数が経ったDCSの老朽化に悩む企業です。旧システムの制御アプリケーションやI/Oを引き継げるかが、最初の確認点です。段階的に更新できれば、停止期間と費用を抑えられます。
同じメーカーの後継だけでなく、他社DCSからの移行プログラムを持つ製品もあります。既設の配線を生かせるかも、工期に影響するため確かめましょう。
中小規模の設備で小さく始めたい企業
現場の盤単位や、小規模なプラントの計装制御から始めたい企業です。PLCに近い感覚で組める製品や、小型の盤に収まるコントローラーが候補です。
ただし、コントローラーの二重化が必須の連続プロセスでは、冗長化の記載を確認する必要があります。上位のDCSへ拡張できるかも見ておくと、規模を広げるときに困りにくくなるでしょう。
複数拠点や発電・用役設備を持つ企業
複数のプラントを1つの基盤で運用したい企業や、自家発電・用役設備を持つ企業です。複数のシステムのデータをまとめて見られるか、離れた拠点を遠隔で確認できるかが判断材料です。
発電や水処理向けに専用設計された製品は、タービン制御などの機能をそろえています。一般のプロセス工場向けの事例は少ない場合があるため、導入実績の範囲を確認しましょう。
DCSの費用相場
DCSは、プラントの規模や冗長化の範囲、フィールド機器の数で費用が大きく変わります。製品ページのある20製品のうち、価格を公式サイトで公開している製品はありません。20製品すべてが、問い合わせや見積依頼での確認になります。
費用の内訳 | 費用を左右する要因 | 公開されている目安(2026年時点) |
|---|---|---|
コントローラー・I/O機器 | 制御点数、コントローラーの台数、二重化や3重化の範囲 | 公開なし(個別見積もり) |
操作画面・ソフトウェアのライセンス | 運転員向け端末の台数、タグ数、買い切りか期間ベースか | 期間ベースのライセンスで初期投資を抑える方式を案内する製品がある。金額は非公開 |
エンジニアリング・試験 | 制御ロジックと画面の作り込み、既設システムとの連携、動作確認 | 公開なし(個別見積もり) |
保守契約・更新支援 | 保守サービスの範囲、旧システムからの移行の規模 | 保守契約メニューを案内する製品がある。金額は非公開 |
総額は、制御点数や冗長化の範囲、既設システムとの連携の規模で、見積もりが大きく変わります。初年度の導入支援や、長期の保守費用も含めた総額で比べましょう。費用の見方はDCSの費用相場の記事も参考にしてください。
【比較表】DCSのランキング
製品データとして数値化できる4項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。工程管理・設備保全・多拠点対応・現場での使いやすさの4つを、5段階で評価しています。並びは工程管理の高い順で、同点は残りの評価軸の順に比べました。
順位 | 製品 | 提供元 | 工程管理 | 設備保全 | 多拠点対応 | 現場での使いやすさ | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 横河電機株式会社 | 5 | 5 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。見積依頼フォームのみ | |
2 | 日本ハネウェル合同会社 | 5 | 4 | 5 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。お問い合わせのみ | |
3 | ABB日本ベーレー株式会社 | 5 | 4 | 4 | 4 | 公式に価格の掲載なし。日本ではABB日本ベーレーへ問い合わせ | |
4 | 日本エマソン株式会社 | 5 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。DeltaV Flexは期間ベースのソフトウェアライセンスで初期投資を抑える方式だが金額は非公開 | |
5 | シーメンス株式会社 | 5 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし | |
6 | 株式会社日立製作所 | 5 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし | |
7 | 富士電機株式会社 | 5 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。カタログ請求・問い合わせのみ | |
8 | アズビル株式会社 | 5 | 4 | 3 | 5 | 製品ページに価格の記載なし。問い合わせフォームのみ | |
9 | シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社 | 5 | 4 | 3 | 3 | 公式サイトに価格の記載なし | |
10 | アズビル株式会社 | 4 | 5 | 3 | 3 | 製品ページに価格の記載なし。問い合わせフォームのみ | |
11 | シーメンス株式会社 | 4 | 4 | 5 | 4 | 製品ページに価格の記載なし | |
12 | ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 | 4 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし | |
13 | Valmet K.K. | 4 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。仕様・価格はお問い合わせから | |
14 | 株式会社東芝 | 4 | 4 | 4 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。産業用コントローラの問い合わせ窓口のみ | |
15 | 日本エマソン株式会社 | 4 | 4 | 4 | 3 | 製品ページに価格の記載なし | |
16 | 日本ハネウェル合同会社 | 4 | 4 | 3 | 5 | 製品ページに価格の記載なし。お問い合わせのみ | |
17 | 三菱重工業株式会社 | 4 | 4 | 3 | 4 | 製品ページに価格の記載なし | |
18 | 富士電機株式会社 | 4 | 4 | 3 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。問い合わせ・カタログのみ | |
19 | 横河電機株式会社 | 4 | 3 | 4 | 3 | 製品ページに価格の記載なし。見積の相談窓口のみ(自律型コントローラの保守契約メニューあり、金額は非公開) | |
20 | アズビル株式会社 | 3 | 3 | 3 | 4 | 製品ページに価格の記載なし。見積・契約基本条件の案内のみ |
DCSの主要製品の詳細
ここからは表に挙げた20製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社のプラント規模と制御方式に照らして読み進めてください。
横河電機 CENTUM VP
FCSの演算部・電源・制御バスを二重化した、横河電機のDCSです。ペア&スペア方式で、演算結果を照合します。FOUNDATION fieldbusやHART、PROFIBUS-DPにも対応します。R7.01.10では、PROFINET機器の運転中の変更が可能です。
旧CENTUM CS 3000などの資産を引き継ぎ、段階的に更新できます。価格は製品ページになく、見積依頼が必要です。大規模な連続プロセスを止めずに運転したい場合に適しています。小規模には、別製品が用意されています。
Honeywell Experion PKS
C300コントローラーは、EtherNet/IPやPROFINET、OPC UAなどに対応します。FOUNDATION fieldbusやHART、IEC 61850も使えます。複数システムのデータを、DSAで横断して扱うのが特徴です。
Experion LCNを使えば、旧LCNの制御戦略を残したまま近代化できます。大規模向けのため、中小規模には機能が大きすぎる場合もあるでしょう。複数プラントの統合や、旧TPS・LCNの更新が適した用途です。価格や規模は、カタログでの確認が必要です。
ABB System 800xA
プロセス制御と電気制御、安全計装を1つのシステムで扱う、ABBの分散制御システムです。SIL3認証の安全用コントローラーとI/Oがあります。安全計装システムと一体での構成が可能です。
7.0は長期サポート版で、OPC UAとEthernet-APLに対応します。日本での実績は、発電所やLNG基地、水処理が中心です。一般の製造工場向けの案内は少なめで、価格は非公開となっています。電力や産業プラントの新設・更新が適した用途です。
Emerson DeltaV
PKコントローラーは、スキッド単位から大規模プラントまで対応します。小さく始めて、拡張することが可能です。バッチ・レシピ管理、アドバンスト制御、シミュレーションも、同じプラットフォームでそろいます。
DeltaV Flexは、期間ベースのライセンスで初期投資を抑える方式です。金額は公開されていません。発電のタービン制御は、同社のOvationが対象です。医薬品や化学で、バッチと連続の工程を1つで制御したい場合に適しています。
Siemens SIMATIC PCS 7
V10.0で、GMP対応の監査証跡と電子署名に対応した、シーメンスのDCSです。MTP統合により、モジュール化された設備を取り込めるようになりました。起動時間を最大75%短縮できるとしている点が特徴です。
PCS neoと同じハードウェア基盤を使うため、将来の移行でも投資を生かせます。日本語ページは自動翻訳で、詳細は英語資料での確認が必要です。記録の要件がある医薬品や食品の工程が、適した用途です。価格の記載はありません。
日立 HIDIC-AZ/SP G2
PCSが、高速電気制御と計装制御、C言語の計算機制御を処理する、日立のDCSです。電気と計装のシステムを分けずに済みます。PCSは二重化でき、最大32台(二重化32組)まで構成が可能です。
アラーム管理はEEMUA#191に対応し、トレンドの重ね合せやプレイバックも使えます。監視TAG点数は65,535で、規模に上限があります。1システムで8プラントを扱え、多品種変量のバッチ製造が適した用途です。
富士電機 MICREX-NX
富士電機のハイエンド制御システムです。システムの全レベルで冗長化でき、イベント同期方式で30msで切り替わります。安全制御系のアプリケーションも、同じオペレータステーションで監視操作できます。
WebUXとVNCの監視により、現場のタブレットから警報履歴の確認が可能です。製品ページの更新情報は2020年3月で止まっており、最新の版数は読み取れません。制御系と情報系をまとめ、大規模プラントを管理したい場合に適しています。
アズビル Harmonas-DEO
コントローラーDOPC IVは、3重化CPUの2 out of 3方式です。待機冗長方式のような切り替え時の遅れが、ありません。全モジュールを活線挿抜できます。認証はISASecure EDSA 2010.1 Level1を取得済みです。
従来のHarmonasやIndustrial-DEOと互換があります。既設のアズビルDCSからの更新に向く点も特徴です。価格やタグ数の記載はありません。応答の速いプロセスや、安全性を求める工程が適した用途です。
Schneider Electric EcoStruxure Foxboro DCS
FCP280は、同じ2台を並列に動かすフォールトトレラント構成です。1台が故障しても、もう1台が制御を続けます。FBM経由で、FOUNDATION fieldbusやPROFIBUSとつながる点も特徴です。HARTやDeviceNetも使えます。
Honeywell・Bailey系DCSからの移行プログラムがあります。I/Oカードを1対1で差し替えれば、ダウンタイムを短縮できる仕組みです。詳しい仕様資料は英語で、日本語の情報は少なめです。他社の旧式DCSを既設配線のまま更新する場合に向きます。
アズビル Advanced-PS
TDCS3000以降のアプリケーションやデータベースは、そのまま使えます。老朽化したハードウェアは、汎用機へ更新が可能です。リアルタイム・ヒストリ・サーバで、操業データの管理と解析も行えます。
TDCS3000の資産を生かす更新向けの位置づけです。新規導入では、Harmonas-DEOが候補になります。価格やシステム規模の記載はありません。TDCS3000系を更新したい場合に適しています。新設プラントには向きません。
Siemens SIMATIC PCS neo
エンジニアリングも運転もWebで行う、完全Webベースの分散制御システムです。複数のチームが同じデータで、同時にエンジニアリングできます。離れた場所からも、プラントにアクセスして制御できる点が特徴です。
SIL 3までの安全機能を、同じ環境で実装できます。日本語ページは自動翻訳で、公開されている事例は欧州が中心です。複数拠点のチームで進めたい場合に向きます。従来型の構成を続けるなら、PCS 7が対象です。
Rockwell Automation PlantPAx
プロセス制御とディスクリート制御、電力、安全を1つの基盤にまとめる、ロックウェルのDCSです。同じプラットフォームを、単一ステーションにも、大規模な分散型アーキテクチャにも使えます。
PlantPAx 5.0は、アーキテクチャがIEC 62443-3-3のTÜV認定を受けています。日本語サイトはAI翻訳で、正式な文章は英語版です。実装はインテグレーターが担う場合もあります。プロセスとディスクリートが混在する工場が候補です。
Valmet DNAe
パルプ・紙・エネルギー向けの、完全WebベースのDCSです。制御・分析・構成・保守を、共通の画面で扱えます。前世代のValmet DNAとハードウェアが共通で、段階的に移れる点が特徴です。
主な対象は、パルプ・板紙・紙・ティッシュ・エネルギー産業です。ほかの業種の事例は少なく、国内の導入事例も掲載されていません。製紙・板紙工場のプロセスと抄紙機を、まとめて制御したい場合に向きます。
東芝 CIEMAC VS
DCSコントローラーにコンピューター機能を内蔵した、東芝のDCSです。操業データの蓄積と分析を、同じコントローラーで行えます。稼働系と待機系の状態は、ハード信号と5系統の通信経路で監視します。
WebベースのHMIは、ISA-101に沿ったデザインです。事務所や自宅、現場のタブレットから、運転状況を確認できます。管理タグ数は1システムで8,000タグで、将来20,000タグに拡張予定です。制御とデータ活用を1台でまとめたい場合の候補です。
Emerson Ovation
発電設備向けの制御アプリケーションをそろえた、Emersonの分散制御システムです。発電や上下水処理向けに、専用設計されています。Ovation I/Oは、ホットスワップに対応する点が特徴です。
EDSで他システムのデータをまとめ、複数施設の運転状況を遠隔で確認できます。化学や医薬品のバッチ工程には、同社のDeltaVが用意されています。国内製造業の公開事例は少なめです。自家発電や排水処理を含む用役設備が候補です。
Honeywell Experion LX
Experion PKSの技術をもとに、連続・バッチ向けにまとめた中規模向けのDCSです。ASMコンソーシアムに準拠した画面を備えます。アラームシェルフなどで、警報の氾濫を抑える点が特徴です。
用意済みのファンクションブロックとテンプレートで、エンジニアリング時間を減らせます。複数システムを統合するDSAは、上位のExperion PKSの機能です。中規模の連続・バッチ工程や、アラーム管理の強化に向きます。
三菱重工 DIASYS Netmation
発電プラントメーカーが開発した、D-Ringネットワークの分散制御システムです。MPSは、CPU演算処理部・電源・ネットワークの冗長化が可能です。ハードとソフトの異常を検知する、自己診断機能も持ちます。
セキュアゲートウェイで、遠隔監視や予防保全のデータを安全に集められます。SIL3対応の上位機4Sは、2024年で提供を終了しました。SIL対応が必要な場合は、別システムの相談になります。自家発電設備やボイラーの制御が候補です。
富士電機 MICREX-VieW XX
富士電機の中小規模向けシステムです。シングル構成のオールインワンステーションから、完全冗長化まで選べます。コントロールステーション1台で、電機制御と計測制御を融合できる点が特徴です。
従来のMICREXの画面・アプリケーション・リモートI/Oを継承し、段階的に更新できます。大規模プラントには、同社のMICREX-NXが用意されています。価格やタグ数の記載はありません。電動機を多く使う中小規模のプラントが候補です。
横河電機 STARDOM
横河電機の中小規模向け計装システムです。二重化できるFCN-500と、低消費電力のFCN-RTUを使い分けます。IEC 61131-3準拠のため、PLCに慣れた技術者でも組みやすい点が特徴です。
監視画面は、WebベースのVDSで組みます。DCS専用の運転員卓やアラーム管理規格への対応は、製品ページに記載がありません。大規模プラントには、CENTUM VPが用意されています。中小規模や離れた設備の制御が候補です。
アズビル Harmonas-FLeX
400×400の小型盤や、既設の盤に収まる分散コントローラーです。表示器でのグラフィック監視とデータ保存により、デジタル記録計の機能も兼ねます。現場配線だけで設置できる点も特徴です。
冗長化の記載はEthernetインタフェースのみで、コントローラーや電源の二重化は書かれていません。制御用EthernetでHarmonas-DEOへ拡張できます。現場の盤単位で、小さく始めたい場合の候補です。
DCSの無料・有料でできることの違い
DCSには、無料で使い始められる製品はなく、コントローラーと操作画面の導入が前提です。費用を抑えやすいのは、一部の検証環境や期間ベースのライセンスなどにとどまります。
できること | 費用を抑えられる範囲 | 個別の見積もりが必要になる範囲 |
|---|---|---|
制御と運転監視 | なし。コントローラーと操作画面の導入が必要 | コントローラー、I/O、運転員向け端末、冗長化の構成 |
ソフトウェアの利用 | 期間ベースのライセンスで、初期投資を抑える方式を案内する製品がある | 期間ベースの金額や、買い切りの場合の金額は非公開 |
エンジニアリングと試験 | FCSやHISの仮想環境、クラウド上のエンジニアリングで、実機なしに試せる製品がある(提供条件は個別に確認) | 制御ロジックと画面の作り込み、既設システムとの連携 |
保守と更新 | なし。保守契約や24時間365日の保守サービスを案内する製品がある | 保守契約の範囲、旧システムからの更新支援。金額は非公開 |
仮想環境やクラウドでの試験は、提供の条件が製品ごとに異なります。無料で使えるとは限らない点も、確認しておきましょう。必要な機能が契約に含まれるかは、見積もりの段階で確かめましょう。
まとめ
DCSの比較は、5つの項目で整理すると進めやすくなります。対象のプラント規模と制御方式、冗長化の方式、計装機器との接続です。運転員向けの画面とアラーム管理、長期の保守・更新の体制も加えた5つです。
まず、制御するプラントの規模と止められない度合いを書き出しましょう。次に、旧システムの資産を生かせるかを含めて、見積もりを比べます。価格を公開している製品は20製品のうち0製品で、すべて問い合わせが必要です。製品はDCS(分散制御システム)のカテゴリページで比較できます。選定の進め方はDCSの選び方の記事、メーカー別の傾向はDCSのメーカーの記事もご覧ください。
DCS(分散制御システム)のおすすめ製品
横河電機 CENTUM VP
横河電機株式会社
段階更新に対応する横河電機のDCS
Honeywell Experion PKS
日本ハネウェル合同会社
Honeywellの統合型DCS
アズビル Harmonas-DEO
アズビル株式会社
3重化コントローラーDOPC IVを持つアズビルの最新DCS
ABB System 800xA
ABB日本ベーレー株式会社
プロセス・電気・安全を統合するDCS
日立 HIDIC-AZ/SP G2
株式会社日立製作所
電気・計装・計算機制御を1台で処理
富士電機 MICREX-NX
富士電機株式会社
全レベル冗長化のハイエンド制御システム
DCS(分散制御システム)比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 横河電機 CENTUM VP | 横河電機株式会社 | 要見積もり | 段階更新に対応する横河電機のDCS | 詳細を見る | |
| Honeywell Experion PKS | 日本ハネウェル合同会社 | 要見積もり | Honeywellの統合型DCS | 詳細を見る | |
| アズビル Harmonas-DEO | アズビル株式会社 | 要見積もり | 3重化コントローラーDOPC IVを持つアズビルの最新DCS | 詳細を見る | |
| ABB System 800xA | ABB日本ベーレー株式会社 | 要見積もり | プロセス・電気・安全を統合するDCS | 詳細を見る | |
| 日立 HIDIC-AZ/SP G2 | 株式会社日立製作所 | 要見積もり | 電気・計装・計算機制御を1台で処理 | 詳細を見る | |
| 富士電機 MICREX-NX | 富士電機株式会社 | 要見積もり | 全レベル冗長化のハイエンド制御システム | 詳細を見る | |
| Emerson DeltaV | 日本エマソン株式会社 | 要見積もり | スキッドから大規模まで拡張できるDCS | 詳細を見る | |
| Siemens SIMATIC PCS 7 | シーメンス株式会社 | 要見積もり | GMP対応の監査証跡を持つDCS | 詳細を見る | |
| Siemens SIMATIC PCS neo | シーメンス株式会社 | 要見積もり | 完全Webベースの分散制御システム | 詳細を見る | |
| Valmet DNAe | Valmet K.K. | 要見積もり | パルプ・紙・エネルギー向けDCS | 詳細を見る | |
| Honeywell Experion LX | 日本ハネウェル合同会社 | 要見積もり | 連続・バッチ向けの中規模DCS | 詳細を見る | |
| 東芝 CIEMAC VS | 株式会社東芝 | 要見積もり | Web HMIの統合制御システム | 詳細を見る | |
| Rockwell Automation PlantPAx | ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 | 要見積もり | EtherNet/IPベースのDCS | 詳細を見る | |
| Schneider Electric EcoStruxure Foxboro DCS | シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社 | 要見積もり | フォールトトレラントなDCS | 詳細を見る | |
| 富士電機 MICREX-VieW XX | 富士電機株式会社 | 要見積もり | 中小規模の監視制御システム | 詳細を見る | |
| 三菱重工 DIASYS Netmation | 三菱重工業株式会社 | 要見積もり | D-Ringネットワークの分散制御システム | 詳細を見る | |
| Emerson Ovation | 日本エマソン株式会社 | 要見積もり | 発電・上下水処理向けの分散制御システム | 詳細を見る | |
| アズビル Advanced-PS | アズビル株式会社 | 要見積もり | 既存資産を生かせる運転監視制御システム | 詳細を見る | |
| 横河電機 STARDOM | 横河電機株式会社 | 要見積もり | 中小規模向けの計装システム | 詳細を見る | |
| アズビル Harmonas-FLeX | アズビル株式会社 | 要見積もり | 分散コントローラーの小規模システム | 詳細を見る |
よくある質問
QDCSを選ぶとき、最初に何を確認すればよいですか?
制御するプラントの規模と、連続とバッチのどちらが中心かを確認します。あわせて、コントローラーや電源、I/Oをどこまで冗長化したいかを整理してください。ここが合わない製品は、他の機能が充実していても使えません。
QDCSの価格は、どのくらいを見込めばよいですか?
製品ページのある20製品のうち、2026年時点で価格を公式サイトで公開している製品はありません。制御点数や冗長化の範囲、既設システムとの連携で見積もりが変わるため、条件を整理して各社に問い合わせる必要があります。
Q古いDCSの更新では、何を比べればよいですか?
旧システムの制御アプリケーションやI/Oを引き継げるか、段階的に更新できるかを比べます。同じメーカーの後継だけでなく、他社DCSからの移行プログラムを持つ製品もあります。既設の配線を生かせるかも、工期に影響します。
Q中小規模の設備でも、DCSは使えますか?
中小規模向けに位置づけられた製品があります。PLCに近い感覚で組める製品や、小型の盤に収まるコントローラーが候補です。ただし、コントローラーの二重化が必要な連続プロセスでは、冗長化の記載を確認してください。
