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導入事例#生産スケジューラ#APS#導入事例

生産スケジューラの導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

生産スケジューラ(APS)の導入事例を業種別に整理した記事。電機・精密、金属加工、化学・素材の各分野で、メーカー公式に公表されている取り組みを取り上げます。リコーの納期遅延率3分の1未満、日鉄マイクロメタルの計画変更作業1/3から1/5への短縮など、効果が数値で確認できる事例を中心にまとめました。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
生産スケジューラの導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

生産スケジューラの導入事例を探している方に向けて、公開情報で確認できる取り組みを整理しました。対象は電機・精密、金属加工、化学・素材、食品の各分野です。各事例は「導入前の課題」「採用した製品」「導入後の効果」の順にまとめています。後半では、成果が出た現場の共通点と、導入でつまずきやすい点も取り上げます。自社の生産形態に置き換えながら読み進めてください。

  • 効果が数値で出ているのは、計画立案そのものより納期遅延や在庫に現れています
  • 報告されている効果は、計画立案時間の短縮、リードタイムの短縮、在庫の削減の3つです
  • スケジューラ単体ではなく、基幹システムとの連携まで整えた事例で数値が大きく出ています

生産スケジューラは、計画担当者の作業を自動化する道具にとどまりません。計画の前提となるデータを整える工程まで含めて考える必要があります。


この記事でわかること

01

生産スケジューラの基礎知識

事例を読む前に、生産スケジューラの位置づけを確認します。生産管理システムとの役割の違いを押さえておくと、事例の読み方が変わります。ここでは3つの観点に絞って整理しました。

生産スケジューラが担う範囲

生産スケジューラは、どの設備でいつ何を作るかを決める仕組みです。受注や在庫の情報をもとに、設備や人の制約を踏まえて計画を組みます。生産管理システムは「何をどれだけ作るか」を扱う仕組みでしょう。それに対してスケジューラは「いつどこで作るか」を担当します。

両者は補い合う関係にあります。多くの事例でも、基幹システムから受注データを受け取る構成が採られていました。スケジューラ単体で完結する仕組みではないとお考えください。

有限能力計画という考え方

スケジューラの中核にあるのが有限能力計画です。設備の能力に上限があることを前提に、実際に流せる計画を作ります。能力を無限と仮定する山積み計画とは考え方が異なります。

ただし、この語を公式に明記している製品は多くありません。近い説明はあっても、表記は製品ごとに違います。機能を確認するときは、公式の記述をそのまま読むほうが確実でしょう。

計画の前提となるデータ

スケジューラの精度は、入力するデータの精度に左右されます。標準工数や段取り時間、設備ごとの制約が必要になるためです。これらが整っていないと、計算結果も実態と合いません。

事例でも、導入の前段階として基幹システムの整備を行った例が見られました。ソフトを入れただけでは動かない領域といえます。導入計画には、データ整備の工程も含めてください。

編集部メモ:生産スケジューラの機能や用語の詳細は、生産スケジューラの解説記事が参考になるでしょう。どの製品がどの制約を扱えるかに注目すると、自社との違いを把握しやすいと考えています。


02

生産スケジューラの事例を読むときのポイント

生産スケジューラの事例は、生産形態が違うと効果の出方も変わります。自社に置き換えて読むために、次の3点を確認しておくと比較しやすくなります。

  • 生産形態と品種の数
  • 効果が現れている指標
  • 基幹システムとの連携の有無

生産形態と品種の数

多品種少量なのか、少品種大量なのかで計画の難しさが変わります。品種が多いほど段取り替えの組み合わせが増えるためです。事例でも、多品種少量生産を課題に挙げている企業が目立ちました。

自社の品種数と設備台数を把握してから読むと、参考になる事例が絞られます。前提が違う事例の数値をそのまま期待しないようご注意ください。

効果が現れている指標

公表されている効果は、指標ごとに性格が違います。計画立案時間は担当者の作業量の指標です。リードタイムや納期遅延率は、工場全体の流れを示します。在庫金額はその結果として動く数字でしょう。

どの指標を改善したいのかを先に決めてください。そのうえで同じ指標の事例を探すほうが、判断の材料になります。

基幹システムとの連携の有無

スケジューラは単体では動きません。受注や在庫のデータをどこから受け取るかが前提になります。事例でも、基幹システムとの連携を整えたうえで導入した例が見られました。

連携の記述がある事例は、準備工程まで読み取れます。逆に記述がない場合、同じ効果が自社で出るとは限らないとお考えください。


03

電機・精密機器の生産スケジューラ事例

電機や精密機器では、品種の多さと設備台数の多さが課題になります。人手での計画立案が限界を迎えやすい分野です。ここでは公開されている事例を取り上げます。

株式会社リコー:納期遅延率を3分の1未満に

  • 業界:電機(デジタル複写機、半導体、電装ユニット)
  • 企業規模:従業員数11,295名、資本金1,354億円(2008年3月末現在)
  • 導入前後の変化:導入前は多品種少量生産への対応が人手では追いつかなかった。導入後は生産リードタイムが約半分になり、納期遅延率は3分の1未満に改善した

同社の課題は外販事業における多品種少量生産でした。マシンの数だけ生産計画を作る必要があったとされています。公式の記述では、人手では対応しきれない状態だったと説明されていました。

導入後の効果は複数の指標で公表されています。1日当たりの納期遅延率は3分の1未満になりました。生産リードタイムは約半分に短縮されています。生産計画の立案時間もほぼ2分の1です。棚卸しの際の現品差は約15分の1になったとされています。

日鉄マイクロメタル:計画変更の作業を1/3から1/5に

  • 業界:電子材料(金ボンディングワイヤ、マイクロボール)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は大幅なスケジュール変更に6時間近くかかり、経験を積んだスタッフしか対応できなかった。導入後は作業時間が1/3から1/5に短縮された

同社が挙げていた課題は3つです。スケジュール作成の作業負荷、属人性、生産管理ソフトとの連携でした。大幅な変更が発生すると、組み立てに6時間近くかかっていたとされています。入社1年目のスタッフでは作業できませんでした。

導入後、この作業時間は1/3から1/5に短縮されています。あわせて標準スケジュールの自動作成と進捗状況の把握を実現しました。属人性の排除が、もともとの目的の1つに挙げられていた点も特徴でしょう。

編集メモ:この分野の事例で目を引くのは、効果が計画立案時間だけにとどまらない点です。リコーの納期遅延率や現品差は、計画が実態に合うようになった結果だと考えられます。編集部では、担当者の作業時間だけで効果を測るのは不十分だとみています。工場全体の指標も並べてご覧ください。


04

金属加工の生産スケジューラ事例

金属加工では、工程の進捗が見えにくい点が課題になります。ホワイトボードや紙での管理が残りやすい分野です。ここでは公開されている事例を取り上げます。

株式会社サカタ製作所は、FLEXSCHEを導入して働き方の改善につなげました。

  • 業界:金属加工(金属製折板屋根構成部品、ソーラーパネル取付金具)
  • 企業規模:従業員数175名(2023年12月時点)
  • 導入前後の変化:導入前は製造現場のホワイトボード管理に毎日20〜30分かかっていた。導入後はほとんど時間がかからなくなり、残業ゼロと育休取得率100%の実現を支えた

同社の最大の課題は、アナログな生産スケジュール管理でした。公式の記述によれば、作業の進捗や遅延をリアルタイムで確認できなかったとされています。製造現場ではホワイトボードを使い、生産指示書からの転記に毎日20〜30分を要していました。

導入後は、この作業がほとんど時間を要さなくなったと説明されています。急な予定変更にも対応できるようになりました。同社は残業ゼロと育休取得率100%を実現しました。2021年にはホワイト企業認定のGOLDを授与されています。削減率そのものの数値は公表されていません。

編集メモ:この事例が示しているのは、生産スケジューラの効果が労務面にも及ぶ点だと考えられます。計画が早く正確に組めれば、現場の残業も減らせるためです。編集部では、投資対効果を工数削減だけで測ると、採用や定着への影響を見落とすとみています。


05

化学・素材の生産スケジューラ事例

化学や素材の分野では、装置産業に近い生産形態が多くなります。設備の切り替えに時間がかかる点が計画の制約です。ここでは公開されている事例を取り上げます。

十条ケミカル・田中貴金属工業:JoySchedulerの活用

  • 業界:化学・貴金属(インキ・薬品、貴金属製品)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は計画立案が担当者の経験に依存していた。導入後は標準化された手順で計画を組めるようになった

両社はJoySchedulerの導入事例として公開されています。掲載元は東京ガスエンジニアリングソリューションズの公式サイトです。同じ製品の事例が化学と貴金属の両分野で公開されている点が特徴でしょう。

公開情報には、削減率などの定量的な効果の記載がありません。同じ製品を使う日鉄マイクロメタルの事例では、1/3から1/5という数値が公表されています。数値を参考にしたい場合は、生産形態の近い事例を合わせてご確認ください。

大研化学製造販売・ミツワケミカル:最適ワークスの活用

  • 業界:化学(電子材料、化学品製造)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は計画立案に時間がかかっていた。導入後はクラウド型のスケジューラで計画を組む体制に移行している

両社は最適ワークスの導入事例として、スカイディスクの公式サイトに掲載されています。同社の事例ページには業種タグが付与されており、中堅・中小の製造業が中心です。ほかにスザキ工業所、河村工機製作所、サイダ・UMSの事例も公開されています。

これらの事例でも、削減率の数値は公表されていません。ただし中小規模の製造業が導入している実績は読み取れます。自社の規模が近い場合、参考にできる範囲が広いでしょう。

編集メモ:この分野では、公表される数値が電機分野より少ない傾向が見られました。生産条件が競争力に直結するため、公開を控えていると考えられます。編集部では、この分野なら個別相談から情報を得るほうが早いとみています。公開事例だけでは判断材料が足りません。


06

生産スケジューラの事例を自社のケースに落とし込む

事例を読んだあとは、自社の条件に当てはめる作業が必要です。ここでは検討の順序を3つの手順に分けて整理します。

改善したい指標を1つ決める

まず、どの指標を改善したいのかを決めてください。計画立案時間なのか、納期遵守率なのか、在庫金額なのかで打ち手が変わります。指標が定まらないと、導入後の評価もできません。

リコーの事例では、複数の指標で効果が公表されていました。ただし同社も多品種少量への対応という明確な目的から始めています。まず1つに絞ってから広げる進め方が現実的でしょう。

計画に必要なデータを棚卸しする

次に、計画を組むために必要なデータが揃っているかを確認します。標準工数、段取り時間、設備ごとの制約が対象です。これらが紙や担当者の頭の中にある場合、まず取り出す作業から始まります。

日鉄マイクロメタルは、生産管理ソフトとの連携を課題の1つに挙げていました。データの供給元が決まっていないと、スケジューラは動きません。導入計画にはこの工程も入れてください。

現状の作業時間を測っておく

最後に、現在の作業時間を記録しておきましょう。サカタ製作所は毎日20〜30分という具体的な数字を持っていました。だからこそ導入後の変化を説明できています。

測っていなければ、効果があったかどうかも示せません。計画立案にかかる時間、変更が発生したときの対応時間を、導入前に記録してください。


07

事例からわかる成功事例の共通点

公開されている事例を並べると、成果が出ている取り組みには共通点が見られます。ここでは3点を取り上げます。

  • 属人化の解消を目的に掲げている
  • 基幹システムとの連携を先に整えている
  • 導入前の作業時間を把握している

属人化の解消を目的に掲げている

成果が出ている事例では、目的の1つに属人性の排除が挙げられています。日鉄マイクロメタルは、経験を積んだスタッフしか計画を組めない状態を課題としていました。

作業時間の短縮だけを目的にすると、担当者が変わったときに元へ戻ります。誰が担当しても同じ計画を組める状態を目指すほうが、効果が長続きすると考えられます。

基幹システムとの連携を先に整えている

リコーの事例では、Asprova導入の前段階として基幹システムの整備が行われていました。受注や在庫のデータが揃っていなければ、計画の精度は上がりません。

スケジューラを先に入れて後からデータを整える順序では、効果が出るまでに時間がかかります。連携先を決めてから導入する手順のほうが確実でしょう。

導入前の作業時間を把握している

効果を数値で説明できている事例は、導入前の状態を数字で持っていました。サカタ製作所の毎日20〜30分、日鉄マイクロメタルの6時間近くがその例です。

比較の基準がなければ、改善したかどうかを社内で共有できません。測る対象は作業時間に限りません。納期遅延の件数や在庫金額でも同じことがいえます。


08

事例から学ぶつまずきやすいポイント

一方で、導入時につまずきやすい点も事例から読み取れます。ここでは3点と回避策を取り上げます。

  • データ整備の工数を見込んでいない
  • 計画の前提が現場と合っていない
  • 公開数値をそのまま自社に当てはめる

データ整備の工数を見込んでいない

スケジューラは、標準工数や段取り時間がなければ計算できません。これらが整理されていない工場では、導入作業の大半がデータ整備になります。ソフトの設定より時間がかかる場合も出てきます。

回避するには、導入を決める前にデータの所在を確認してください。紙にしかない情報がどれだけあるかを数えておきましょう。そのうえで整備の期間を計画に組み込む必要があります。

計画の前提が現場と合っていない

計算上は流せる計画でも、現場では動かないことがあります。設備の癖や作業者の熟練度が反映されていないためです。結果として計画が守られず、元の運用に戻ってしまいます。

回避するには、最初の計画を現場と突き合わせる場を設けましょう。実際に流せるかを確認し、合わない箇所は制約として登録します。この往復を経ないまま本番へ進むのは避けてください。

公開数値をそのまま自社に当てはめる

事例に出てくる3分の1や15分の1といった数値は、その企業の従来手法との比較値です。生産形態や品種数が違えば、同じ製品でも同じ数値にはなりません。前提を確認せずに引用するのは避けましょう。

回避するには、導入前に自社の現状値を測っておくことです。何にどれだけ時間がかかっているかを記録しておきましょう。他社の数値は、期待値ではなく参考値として扱ってください。


09

まとめ

生産スケジューラの導入事例では、効果が3つの形で現れていました。計画立案時間の短縮、リードタイムの短縮、在庫や納期遅延の改善です。リコーは納期遅延率を3分の1未満、現品差を約15分の1に改善しました。日鉄マイクロメタルは計画変更の作業時間を1/3から1/5に短縮しています。サカタ製作所のように、労務面の改善につながった例も見られました。共通していたのは、属人化の解消を目的に掲げ、導入前の作業時間を数字で把握していたことです。製品ごとの違いは生産スケジューラの比較記事を、費用は生産スケジューラの費用をご覧ください。

生産スケジューラ(APS)比較表

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よくある質問

Q生産スケジューラの導入でどれくらいの効果が出ていますか?
A

リコーの事例では複数の指標で効果が公表されています。1日当たりの納期遅延率が3分の1未満になり、生産リードタイムは約半分に短縮されました。生産計画の立案時間もほぼ2分の1になっています。棚卸しの際の現品差は約15分の1になったとされ、仕掛在庫も半減しました。日鉄マイクロメタルでは、大幅なスケジュール変更にかかる作業時間が1/3から1/5に短縮されています。導入前は6時間近くかかっていた作業です。

Qどの指標を見て効果を判断すればよいですか?
A

指標ごとに性格が違うため、改善したいものを先に決める必要があります。計画立案時間は担当者の作業量を示す指標です。リードタイムや納期遅延率は工場全体の流れを表し、在庫金額はその結果として動きます。リコーの事例で納期遅延率や現品差まで改善しているのは、計画が実態に合うようになった結果だと考えられます。担当者の作業時間だけで効果を測ると、工場全体への影響を見落とします。

Q導入前に何を準備すればよいですか?
A

計画に必要なデータの棚卸しが必要です。標準工数、段取り時間、設備ごとの制約が揃っていなければ、スケジューラは計算できません。これらが紙や担当者の頭の中にある場合、まず取り出す作業から始まります。リコーの事例では、導入の前段階として基幹システムの整備が行われていました。日鉄マイクロメタルも生産管理ソフトとの連携を課題の1つに挙げています。データの供給元を決めてから導入する手順のほうが確実です。

Q中小規模の工場でも導入されていますか?
A

されています。サカタ製作所は従業員数175名で、FLEXSCHEを導入しました。導入前は製造現場のホワイトボード管理に毎日20〜30分かかっていましたが、導入後はほとんど時間を要さなくなったとされています。同社は残業ゼロと育休取得率100%を実現し、2021年にホワイト企業認定のGOLDを授与されました。最適ワークスの事例でも、大研化学製造販売、スザキ工業所、河村工機製作所など中堅・中小の製造業が公開されています。

Q導入でつまずきやすい点はどこですか?
A

3つあります。1つ目はデータ整備の工数を見込んでいない場合で、標準工数や段取り時間が整理されていない工場では導入作業の大半がデータ整備になります。2つ目は計画の前提が現場と合っていない場合です。設備の癖や作業者の熟練度が反映されていないと、計算上は流せる計画でも現場では動かず、元の運用に戻ってしまいます。3つ目は公開数値をそのまま自社に当てはめることで、生産形態や品種数が違えば同じ数値にはなりません。

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