プロセスシミュレーターのメーカー7社の特徴|シェアの実態と定常・動的の扱いの違い
プロセス解析ソフト(プロセスシミュレーター)の主要メーカー7社がどんな会社なのかを1社ずつ整理した記事。メーカー別シェアを無償公開している公的機関・業界団体は確認できず、7社のうち3社は非上場または非公開化されています。この8年で入れ替わった提供元と、この分野で最も間違えやすい定常・動的の扱いの違いを見ていきます。

プロセスシミュレーターを調べると、石油・化学の大手から制御機器のメーカーまで並びます。ところが提供元を確認しようとすると、旧ブランドのページに行き着くことが何度もあります。
この記事では、主要7社がどんな会社なのかを1社ずつ見ていきます。よく検索されるシェアの実態と、この分野で最も間違えやすい定常と動的の扱いの違いを会社単位で整理します。
記載内容は、各社の公式サイトと公式のプレスリリース、米国証券取引委員会への提出書類、公式のユーザーガイドを、編集部が2026年9月24日に確認したものです。旧ドメインの挙動は同日に実際にアクセスして確かめています。
- プロセスシミュレーターのメーカー別シェアを無償で公開している公的機関・業界団体は、編集部が確認した範囲では見つからなかった(2026年9月24日時点)
- 主要8製品のうち5製品は、2018年以降に提供元または親会社が変わっている
- 定常と動的を1つの製品で扱えるかは会社ごとに違い、別製品として売られている場合がある
この記事でわかること
プロセスシミュレーターの主要メーカー7社【早見表】
プロセスシミュレーターを手がけているのは、シミュレーションの専業メーカーだけではありません。制御システムや計測を本業とする会社も、買収を通じてこの分野に入っています。まずは全体像を一覧で押さえます。
- 主要7社のうち、日本に本社を置くのはオメガシミュレーション1社
- 主要7社のうち5社は、買収によってこの分野の製品を取得している
- 主要7社とも、公式サイトに価格の記載がない
メーカー | 本社 | 製品 | 取得の経緯 | 定常・動的の扱い |
|---|---|---|---|---|
Aspen Technology, Inc. | 米マサチューセッツ州 | Aspen Plus/Aspen HYSYS | 2025年3月にEmersonの完全子会社へ | 動的は別製品 |
AVEVA Group Limited | 英ケンブリッジ | AVEVA PRO/II Simulation | 2023年1月にSchneider Electricが取得 | 定常専用 |
Honeywell International Inc. | 米ノースカロライナ州 | UniSim Design Suite | 自社 | 動的は別オプション |
SLB N.V. | キュラソー | Symmetry | 2018年5月にVMGを取得 | 1つの環境で両方 |
Siemens AG | ドイツ | gPROMS Process | 2019年9月にPSEの買収を発表 | 1つの環境で両方 |
Datacor, Inc. | 米ニュージャージー州 | CHEMCAD | 2021年8月にChemstationsを取得 | 1つの環境で両方 |
株式会社オメガシミュレーション | 東京都新宿区 | Visual Modeler(OmegaLand) | 1997年に合弁で設立 | 完全にシームレス |
提供元の表記が古くなりやすい会社
CHEMCADの提供元をChemstations, Inc.と書いている資料が多く残っています。ただしDatacorが2021年8月4日に買収を発表し、2025年8月29日にはブランドを統合したと公式に告知しました。
現行の製品ページのタイトルも、Datacorの名義に旧社名を括弧で添える形になっています。chemstations.comは、トップがdatacor.comの製品ページへリダイレクトされます。
法人名そのものが変わった会社
SLBについては、ブランド名だけが変わったと説明されることがあります。ただし2025年10月7日の特別株主総会で定款が変更され、法人名がSLB N.V.になりました。
国外ではSLB LimitedとSLB Ltd.も使えます。米国証券取引委員会の登録名も、2025年9月12日までの旧名から現在の名称へ切り替わっています。
親会社を1社に決められない会社
オメガシミュレーションは、横河電機が85.1%、三井化学が14.9%を出資する会社です。横河電機のグループ会社一覧にも掲載されています。
ただし同社の公式サイトは、自社を横河電機グループとは一度も呼んでいません。会社概要も品質方針も、一貫して合弁会社という表現を使っています。
プロセスシミュレーターのメーカー別シェアと市場規模
7社が並んだところで、どこが最も使われているのかが気になります。ただしプロセスシミュレーターには、無償で確認できるメーカー別のシェアがありません。
- プロセスシミュレーターのメーカー別シェアを無償公開している公的機関・業界団体は確認できなかった
- 各社ともプロセスシミュレーター単独の売上を開示していない
- 主要7社のうち3社は非上場または非公開化されており、事業規模そのものが外から見えない
シェアの数値は公開されていない
SiemensとHoneywell、SLBはいずれも上場企業ですが、決算で示すのはセグメント単位の数値です。プロセスシミュレーターだけを切り出した売上は開示されていません。
AspenTechは2025年3月12日にNasdaqの上場を廃止し、AVEVAも2023年1月19日にロンドン証券取引所の上場を取り消しています。Datacorも非上場で、いずれも個別の売上が公開されていません。
上場廃止の対価なら公表されている
シェアの代わりに使えるのが、非公開化の際に公表された金額です。EmersonはAspenTechの少数株主持分を1株265.00ドル、総額72億ドルで取得しました。
Schneider ElectricによるAVEVAの取得は1株3,225ペンスでした。一方でDatacorによるChemstationsの取得と、SLBによるVMGの取得は金額が公表されていません。
プロセスシミュレーターの提供元はこの8年で入れ替わった
この分野は2018年から2025年にかけて、提供元が次々に変わりました。製品名がほとんど変わっていないため、外からは分かりにくい変化です。
- AspenTechは2022年5月にEmersonが55%を取得し、2025年3月12日に完全子会社となった
- AVEVAは2023年1月18日にSchneider Electricの買収が完了し、翌日に上場を取り消している
- SymmetryとgPROMS、CHEMCADもいずれも買収によって現在の提供元に移っている
AspenTechは2段階でEmersonの傘下へ
第1段階は2022年5月16日です。Emersonが現金60億ドルと自社の産業ソフト事業を拠出し、完全希薄化後の55%を取得しました。旧株主が45%を保有する形です。
第2段階の提案は2025年1月27日、完了は2025年3月12日でした。1株265.00ドルで少数株主持分を取得し、その価値は72億ドルと公表されています。
SymmetryとgPROMSも買収で移った
Symmetryの前身はVMGのシミュレーション技術です。SLBは2018年5月に買収を完了したと公式に告知していますが、買収の発表日と金額は確認できませんでした。
gPROMSはProcess Systems Enterpriseの製品でした。Siemensは2019年9月16日に買収を発表し、財務条件は非開示とすることで両社が合意したと明記しています。
旧ドメインが引き起こす誤解
買収後に旧ドメインがどうなったかは、会社ごとにばらついています。virtualmaterials.comはSLBのSymmetry製品ページへ正しく転送されます。
一方でvmgsim.comはHTTP 403を返し、リダイレクトもされません。psenterprise.comに至ってはドメイン登録だけが維持され、Aレコードがないためサイトとして解決しません。
プロセスシミュレーターは定常と動的の扱いで分かれる
この分野で最も間違えやすいのが、定常計算と動的計算の扱いです。1つの製品で両方できる会社と、動的が別製品や別オプションになっている会社があります。
- Aspen PlusとAspen HYSYSの動的計算は、Dynamicsという名前の別製品として提供される
- AVEVA PRO/IIは定常専用で、動的はAVEVA Dynamic Simulationという別製品が担う
- UniSimは1製品で両方をカバーするが、動的機能はUniSim Dynamic Optionという別オプションで提供される
動的が別製品になっている会社
Aspen Plusの製品ページには、定常を意味する語が英語版にも日本語版にも本文中に出てきません。定常から動的への変換は、Aspen Plus Dynamicsの製品ページに書かれています。
AVEVA PRO/IIも同じです。公式の分類は逐次モジュール型の定常シミュレーターで、動的モデルへの変換はAVEVA Dynamic Simulationが担当します。
1つの環境で両方を扱う会社
Symmetryは定常と過渡の解析を統合していると公式に記載しています。gPROMS Processも方程式指向のソルバーで、定常と動的の両方をサポートすると明記されています。
CHEMCADは公式のユーザーガイドで、連続、バッチ、セミバッチのプロセスを扱い、定常と動的の両方を模擬できると書いています。
モデルが完全に同一である会社
最も踏み込んだ記述をしているのがオメガシミュレーションです。定常計算で使うモデルは動的計算のモデルと厳密に同一であると公式に書いています。
そのためモデルに変更を加えずに、定常と動的の計算を行き来できると説明されています。同社の沿革によると、動的が先で定常は2003年のV2で追加されました。
石油・化学に軸足を置くプロセスシミュレーターのメーカー2社
ここからは会社ごとに見ていきます。まずは石油精製や化学プラントの設計を主戦場としてきた2社です。
- 2社とも非公開化されており、買収前の旧ブランドのページが各所に残っている
- 2社とも公式サイトに価格の記載がなく、金額は問い合わせでしか分からない
- AspenTechはトークン制、AVEVAはFlexというサブスクリプション体系を公式に示している
Aspen Technology, Inc.(Aspen Plus/Aspen HYSYS)
Aspen Plusは化学、ポリマー、ライフサイエンスを主な対象とする定常のシミュレーターです。Aspen HYSYSは上流の石油・ガスから中流のLNG、精製までを担当します。
物性はAspen Propertiesという独立した製品で提供されます。公式には37,000成分、127の物性パッケージ、500万を超えるデータ点と相互作用パラメータを備えると記載されています。
ライセンスはトークン制です。会社全体のトークンプールから必要な分を引き出し、使い終わると戻す仕組みで、地域をまたいで共有できると公式に説明されています。
最新として掲示されているのはV15です。ただし正確なリリース日は公表されておらず、Aspen PlusとAspen HYSYS個別の製品バージョン番号もありません。
AVEVA Group Limited(AVEVA PRO/II Simulation)
AVEVA PRO/II Simulationは、逐次モジュール型の定常シミュレーターです。公式には石油・ガスの生産、精製、石油化学、化学、医薬、ポリマープラントのモデリングが対象とされています。
物性は自社固有のパッケージ名ではなく、業界標準の熱力学的手法とSimSciおよび外部データバンクの物性データという表現になっています。SimSciは今もデータの出所名として使われています。
注目したいのは、同社が自社製品の世代を公式に説明している点です。次世代の方程式指向プラットフォームとしてAVEVA Process Simulationを挙げ、これを未来の設計シミュレーションと位置づけています。
同じFAQでは、逐次モジュール型のソルバーを持つ製品群をレガシーと表現しています。ただしPRO/IIの提供終了に関する公式声明は確認できませんでした。
制御・計装の大手が提供するプロセスシミュレーター3社
次は、制御システムや計測機器を本業としながらプロセスシミュレーターを持つ3社です。プラントの運転や現場の設備とつながる点が共通します。
- 3社とも制御システムや計測の事業を本体に持ち、プラント運用との連携を前提にしている
- Honeywellはトークン制、Siemensは製品コード単位のモジュール課金を公式に示している
- Siemensのみアカデミックプログラムの存在を公式に記載している
Honeywell International Inc.(UniSim Design Suite)
UniSim Design Suiteは、定常と動的のモデルを作成できるシミュレーターです。ただし公式のドキュメントでは、基本環境が定常で動的はUniSim Dynamic Optionとして提供されると書き分けられています。
物性は固有のブランド名を持ちません。外部データベースとしてDIPPRとDortmund Data Bankを公式に列挙しています。さらにCALSEP PVTSim Nova、Schneider Spiral Crude、Haverly H/CAMSも挙げられています。
ライセンスはトークンベースです。年間の固定トークンに加えて、繰越と繰戻によって事業サイクルに合わせられると公式のFAQ資料に記載されています。
会社名には注意が必要です。2026年6月29日から、事業はHoneywell Technologiesとして運営されています。ただしデラウェア州への定款修正に社名変更は含まれず、登記名はHoneywell International Inc.のままです。
SLB N.V.(Symmetry)
Symmetryは、定常と過渡の解析を統合したシミュレーターです。構成はSymmetry Process、Pipe、Flare、Field、Thermo、dynamicsの6つに分かれています。
物性はSymmetry Thermoという独立した製品です。80を超える熱力学物性パッケージと、100を超える物性値を持つ約5,500の純成分データベースを備えると公式に記載されています。
検証の基盤として、米国国立標準技術研究所の熱力学研究センターが挙げられています。CAPE-OPENにも対応します。
最新はSymmetry 2026.2です。次期の2027.1について、2027年第1四半期から32ビット版のインストーラーを提供しないと公式に予告されています。
Siemens AG(gPROMS Process)
gPROMS Processは方程式指向のプラットフォームです。第一世代のプロセスシミュレーターの機能をすべて備え、さらに次世代の機能を1つの環境に収めたと公式に説明されています。
物性は製品コード単位で構成されます。標準がgPROMS Propertiesで、AIChEのDIPPR純成分データバンクとSAFT系のモデルが加わります。KBC MultiflashとOLIは第三者製のオプションです。
所属はSiemens Digital Industriesのプロセスオートメーション部門です。設計ソフトを扱うSiemens Digital Industries Softwareの配下ではない点に注意してください。
アカデミックプログラムの存在は公式に記載されています。大学に対して全機能のライセンスを商用価格の一部で提供すると書かれていますが、具体的な条件は公表されていません。
独立系と国内発のプロセスシミュレーター2社
最後は、大手グループの制御事業に属さない2社です。1社は米国の独立系、もう1社は国内の合弁会社になります。
- 2社とも定常と動的を1つの環境で扱う設計になっている
- オメガシミュレーションは運転訓練シミュレーターを事業の筆頭に掲げている
- 2社とも主力製品の価格は公開していない
Datacor, Inc.(CHEMCAD)
CHEMCADは、連続とバッチ、セミバッチのプロセスを扱えるシミュレーターです。公式のユーザーガイドに、定常と動的の両方を模擬できると明記されています。
モジュールは6つに分かれます。定常のCC-STEADY STATE、動的のCC-DYNAMICS、バッチ蒸留のCC-BATCHが3つ目までです。ほかに熱交換器のCC-THERM、配管と安全弁のCC-SAFETY NET、物性のCC-FLASHがあります。
ただしこのモジュール名は、現行のWebサイトにはほとんど掲載されていません。根拠はPDFのユーザーガイドで、その著作権表記も2021年のままになっています。
買収前の創業年についても公式内で説明が分かれます。2021年のプレスリリースは1988年から供給しているとし、2026年の公式ブログは1967年に米海軍の資金でCHESSとして開発されたと説明しています。
株式会社オメガシミュレーション(Visual Modeler/OmegaLand)
Visual Modelerは、化学や石油化学、石油精製のプラントを対象とするプラントシミュレータです。OmegaLandは、このVisual Modelerをコアとするプラットフォームにあたります。
物性はDIPPR Project No. 801 Databaseを使用すると公式に明記されています。この分野で物性データベース名をここまで明示している例は限られます。
事業の筆頭に掲げているのは運転訓練シミュレータです。通常対応、異常時対応、非定常対応、緊急時対応という4つの訓練分類を公式に示しています。
会社は1997年4月1日設立、資本金5,000万円、従業員40名です。2023年4月時点で、世界に500システム以上の実績があると公表されています。
プロセスシミュレーターのメーカーが想定している企業規模
同じプロセスシミュレーターでも、導入の前提は会社ごとに違います。設計の段階で使うのか、運転訓練まで含めるのかで選ぶ相手が変わります。
- 設計段階の検討が中心ならAspenTechやAVEVA、CHEMCADが候補になる
- 運転員の訓練まで含めるならオメガシミュレーションやHoneywellの守備範囲が効く
- 大学や研究機関での利用ならSiemensがアカデミックプログラムを公式に用意している
設計の検討が中心の会社
プラントの設計段階でフローシートを組む用途なら、定常の計算が主になります。Aspen PlusやAVEVA PRO/II、CHEMCADはこの範囲で長く使われてきました。
ただし後から動的の検討が必要になった場合、AspenTechとAVEVAは別製品の追加になります。最初から動的を見込むなら、1つの環境で扱える製品のほうが総額を読みやすくなります。
運転員の訓練まで含める会社
運転訓練シミュレータを構築するなら、オメガシミュレーションが専門です。横河電機のCENTUM VPと同じグラフィック環境の部品を使うため、実際の制御画面に近い訓練ができます。
HoneywellのUniSimも、公式にデジタルツインや運転改善を用途に挙げています。すでにその会社の制御システムを使っているかどうかが、判断の材料になります。
大学や研究機関で使う会社
Siemensは、大学向けに全機能のライセンスを商用価格の一部で提供すると公式に記載しています。ただし席数の上限や期間、割引率は公表されていません。
オメガシミュレーションも、体験版の酢酸ビニル製造プラントモデルを研究用途に開放しています。このモデルは日本学術振興会第143委員会で作成されたもので、引用条件が公式に示されています。
プロセスシミュレーターを調べるときの注意点
最後に、調べる過程で引っかかりやすい点を整理します。この分野は公式サイトの更新が追いついておらず、そのまま引用すると誤りが混ざります。
- 製品名と同じ名前のドメインが、無関係の会社や売却中のドメインになっている例がある
- 買収後も旧組織の説明が公式サイトに残っており、現状と一致しない
- 似た名前の別製品があり、プロセスシミュレーターではないものと混同しやすい
ドメイン名から辿ると別の会社に着く
gPROMSを調べるときに注意したいのがドメインです。psenterprise.comは登録だけが残りサイトとして解決せず、gproms.comは売却用のパーキングページになっています。
さらにpse.comは、米国ワシントン州の電力・都市ガス事業者であるPuget Sound Energyのサイトです。略称から辿ると、まったく無関係の会社に着いてしまいます。
旧SimSciのドメインも同様です。www.simsci.comはPRO/IIの製品ページではなく、AVEVAのWonderwareというHMI・SCADA系のページへ着地します。
公式サイトに旧組織の説明が残っている
日本ハネウェル株式会社の会社概要は、すでに分離済みの事業を今も自社事業として列挙しています。エアロスペース・防衛事業は2026年6月29日に、冷媒事業などは2025年10月30日に分離されました。
AspenTechでは、会社ページに買収の記述があります。一方でAspen PlusとAspen HYSYSの製品ページ4本には、Emersonという語が1度も出てきません。emerson.com側にAspen Plusの製品ページもありません。
AVEVAの英語版利用規約も、運営主体が旧社名のAVEVA Group Plcのままです。商号は2023年4月18日にLimitedへ変更されています。
似た名前の別製品と混同しやすい
Siemensには、名前が似ていてもプロセスシミュレーターではない製品があります。Process SimulateはTecnomatixの製品で、ロボットや人の作業を3Dで検証する製造工程向けのソフトです。
COMOSはプラントのデータをライフサイクルで管理するソフト、SIMITは仮想コミッショニングと運転訓練のツールです。化学プロセスのフローシート計算に該当するのはgPROMSだけになります。
ドメインが移った製品では、旧URLの転送先にも注意が必要です。gPROMSの旧日本語URLは、現在は火災検知器のページなど無関係なページへ転送されます。
まとめ|プロセスシミュレーターメーカーの全体像
プロセスシミュレーターのメーカー別シェアは、無償で確認できる公的な数値がありません。主要7社のうち3社は非上場または非公開化されており、事業規模そのものが外から見えない状況です。
この8年で提供元が大きく動きました。AspenTechは2025年3月にEmersonの完全子会社となり、AVEVAは2023年1月にSchneider Electricの傘下へ移っています。SymmetryとgPROMS、CHEMCADもそれぞれ買収で移りました。
実務で効くのは定常と動的の扱いです。AspenTechとAVEVAは動的が別製品、Honeywellは別オプションになります。SLBとSiemensとDatacorは、1つの環境で両方を扱う設計です。
調べる際は、ドメイン名から辿らないでください。製品の略称と同じドメインが無関係の会社だったり、売却中だったりする例が複数あります。
プロセス解析ソフト(プロセスシミュレーター)のおすすめ製品
CHEMCAD
Datacor(旧Chemstations)
中堅プラント・受託エンジに向くモジュラー構成
UniSim Design Suite
日本ハネウェル合同会社
定常と動的を1つの環境で行き来できるプロセスシミュレータ
Symmetry
シュルンベルジェ株式会社
プロセスと配管網・フレアを同一熱力学で統合するシミュレータ
Visual Modeler(OmegaLand)
株式会社オメガシミュレーション
横河と三井化学の技術から生まれた国産プラントシミュレータ
gPROMS Process
シーメンス株式会社
数式ベースの計算エンジンで定常と動的をつなぐ設計環境
Aspen Plus
AspenTech(Emerson傘下)
精密化学・ポリマー・電解質に強い定常プロセスシミュレーター
プロセス解析ソフト(プロセスシミュレーター)比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| CHEMCAD | Datacor(旧Chemstations) | 要見積もり | 中堅プラント・受託エンジに向くモジュラー構成 | 詳細を見る | |
| UniSim Design Suite | 日本ハネウェル合同会社 | 要見積もり | 定常と動的を1つの環境で行き来できるプロセスシミュレータ | 詳細を見る | |
| Symmetry | シュルンベルジェ株式会社 | 要見積もり | プロセスと配管網・フレアを同一熱力学で統合するシミュレータ | 詳細を見る | |
| Visual Modeler(OmegaLand) | 株式会社オメガシミュレーション | 要見積もり | 横河と三井化学の技術から生まれた国産プラントシミュレータ | 詳細を見る | |
| gPROMS Process | シーメンス株式会社 | 要見積もり | 数式ベースの計算エンジンで定常と動的をつなぐ設計環境 | 詳細を見る | |
| Aspen Plus | AspenTech(Emerson傘下) | 要見積もり | 精密化学・ポリマー・電解質に強い定常プロセスシミュレーター | 詳細を見る | |
| AVEVA PRO/II Simulation | AVEVA Group Limited(Schneider Electric傘下) | 要見積もり | 設計〜運転デジタルツインを志向するプロセスシミュレーター | 詳細を見る | |
| Aspen HYSYS | AspenTech(Emerson傘下) | 要見積もり | 油ガス・石油精製・天然ガス処理に最適化 | 詳細を見る |
よくある質問
Qプロセスシミュレーターの主要メーカーはどこですか?
石油・化学に軸足を置くのがAspen Technology, Inc.(Aspen PlusとAspen HYSYS)とAVEVA Group Limited(AVEVA PRO/II Simulation)の2社です。制御・計装の大手ではHoneywell International Inc.(UniSim Design Suite)、SLB N.V.(Symmetry)、Siemens AG(gPROMS Process)の3社があります。ほかに独立系のDatacor, Inc.(CHEMCAD)と、国内の株式会社オメガシミュレーション(Visual Modeler/OmegaLand)です。
Qプロセスシミュレーターのメーカー別シェアはどこで分かりますか?
編集部が2026年9月24日に確認した範囲では、無償で公開している公的機関・業界団体は見つかりませんでした。上場している3社も決算ではセグメント単位の数値しか示していません。さらにAspenTechは2025年3月12日にNasdaq、AVEVAは2023年1月19日にロンドン証券取引所の上場を終えており、Datacorも非上場のため、7社のうち3社は事業規模そのものが外から見えない状況です。
QCHEMCADの提供元はChemstationsではないのですか?
現在はDatacor, Inc.です。Datacorは2021年8月4日にChemstationsの買収を発表し、2025年8月29日に「Chemstations is officially operating under the Datacor name.」と公式に告知しました。2025年9月には傘下5ブランドをDatacorに統合しています。chemstations.comはトップがdatacor.comの製品ページへリダイレクトされ、現行の製品ページのタイトルもDatacor名義に旧社名を括弧で添える形です。
QAspen Plusは動的シミュレーションもできますか?
本体は定常が基本で、動的はAspen Plus Dynamicsという別製品です。Aspen HYSYSも同様にAspen HYSYS Dynamicsが別にあります。編集部が確認した範囲では、Aspen Plusの製品ページ(英語版・日本語版とも)の本文に定常を意味する語が出てきません。AVEVA PRO/IIも公式分類が逐次モジュール型の定常シミュレーターで、動的はAVEVA Dynamic Simulationの担当です。一方Symmetry、gPROMS Process、CHEMCADは1つの環境で両方を扱えます。
QgPROMSを調べるときに注意することはありますか?
ドメイン名から辿らないでください。旧提供元のpsenterprise.comはドメイン登録だけが残りAレコードがないためサイトとして解決せず、gproms.comは売却用のパーキングページです。さらにpse.comは米国ワシントン州の電力・都市ガス事業者Puget Sound Energyのサイトで、まったく無関係です。また名前の似たSiemens Process SimulateはTecnomatixの製造工程向け製品で、化学プロセスのシミュレーターではありません。
