制御盤製作の費用|7社とも価格非公開のなかで筐体価格と公的統計から見る
制御盤製作(盤設計・製造)の主要7社について、費用が公式にどこまで分かるかを整理した記事。受託製作の金額を公開している会社はなく、公式に取れるのは筐体のカタログ価格だけでした。公的統計から算出できる単価の範囲と、その限界を見ていきます。

制御盤製作の費用は、ソフトウェアとは調べ方が変わります。受託製作なので料金表というものが存在せず、7社とも公式に金額を出していません。
この記事では、公式に金額が取れる範囲がどこまでなのかを整理します。筐体のカタログ価格と公的統計という2つの手がかりはありますが、どちらも制御盤そのものの費用ではない点を押さえておく必要があります。
記載内容は、各社の公式サイトと公式のプライスリスト、日本配電制御システム工業会が公開する統計を、編集部が2026年9月24日に確認したものです。相場情報サイトの金額は根拠として採用していません。
- 制御盤の受託製作価格を公式に金額提示している会社は、編集部が確認した範囲では見つからなかった
- 公式に金額が取れるのは標準品キャビネットのカタログ価格だけで、設計も部品も配線も含まない
- 公的統計で1面あたりの単価を算出できるのは配電盤で、制御盤ではない
この記事でわかること
制御盤製作の費用は公式に金額が出ていない
まず前提を押さえます。制御盤は一品一様の受託製作なので、料金プラン表という形式自体が成立しません。
- 7社とも受託製作の金額や見積もり事例を公式に掲載していない
- 金額が公式に取れるのは筐体のカタログ価格のみ
- 見積もりに必要な書類を公式に明示している会社もなかった
受託製作の価格は7社とも非公開
日東工業、河村電器産業、因幡電機産業、中立電機、サンリツ、内山電機製作所、橋本電業社の7社を確認しました。制御盤製作の金額を掲載している会社はありませんでした。
見積もり事例や参考価格の掲載もありません。導線は問い合わせフォームか電話に限られます。
見積もりに必要な書類も書かれていない
制御盤の見積もりでは、単線結線図や外形図、部品表といった資料が求められるのが一般的です。ただしこれらを必要書類として公式に明示している会社は、7社の中にありませんでした。
中立電機は設計の流れとして、引合い、打合せ・仕様確認、仕様書・打合せ図面、承認図、製作図、生産工程、完成商品という順序を公開しています。必要書類の明示ではありませんが、どの段階で図面が固まるかは読み取れます。
比較対象として扱いにくい会社もある
因幡電機産業には、制御盤の受託製作を独立したサービスとして紹介するページがありません。公式の記述は、検査装置や自動機の制御盤をパートナー会社との協業で提案するという一文だけです。
日東工業も注意が要ります。カスタム制御盤についての公式表記は、グループ会社である大洋電機製作所による総合システムプロデュースという形になっています。日東工業本体が受託製作を行うとは書かれていません。
制御盤で公式に金額が取れるのは筐体のカタログ価格だけ
唯一まとまった金額が公開されているのが、河村電器産業のプライスリストです。ただし対象は空の筐体です。
- 河村電器産業は86ページのプライスリストを公開している
- 2026年4月1日改定で、消費税は含まないと明記されている
- 掲載されているのは筐体の標準価格で、制御盤の完成品価格ではない
公開されている金額の例
鉄製の制御盤キャビネットでは、RXG 1050-16が61,000円と掲載されています。RXG 1080-25は94,100円、RXG 1014-30は158,000円です。いずれも標準価格で税別になります。
屋外用のPOGシリーズは、POG 1040-16が60,900円、POG 1014-25が150,000円です。小型のCCGシリーズは7,000円台から1万円前後の水準になっています。
この金額に含まれないもの
プライスリストの金額は、金属の箱そのものの価格です。制御盤として動かすために必要なものは何も含まれていません。
電気部品の調達、盤内の設計、配線、組立、通電検査、搬入据付はすべて別になります。この数字を制御盤の価格として読むと、実際の費用を大きく下回ります。
材質と寸法で筐体価格がどれだけ動くか
同じシリーズでも寸法によって価格が変わります。RXG 1050-16の61,000円に対し、RXG 1014-30は158,000円で約2.6倍です。
材質の影響はさらに大きくなります。鉄製のRXG 1070-30が89,400円なのに対し、ステンレス製のSRXG 1070-30は238,000円で約2.7倍です。屋外や洗浄環境で材質を変える場合、筐体だけで差が出ます。
制御盤の規模感を公的統計から見る
もう1つの手がかりが、日本配電制御システム工業会が公開する統計です。ただし制御盤そのものの単価は算出できません。
- 統計上、制御盤は「監視制御装置」という合算区分に含まれる
- その区分の数量単位は「面」ではなく「式」で、制御盤だけを分離できない
- 1面あたりの単価を出せるのは配電盤の区分に限られる
制御盤が属する統計区分
工業会の用語定義では、監視制御装置は受配電系統の監視・制御・保護を行う装置とされています。監視盤、保護継電器、制御盤、補助リレー盤、現場制御盤などを含むと明記されています。
2025年度の監視制御装置は361,840式で2,476億円です。ただし制御盤以外も合算されているうえ、単位が式なので、1面あたりの金額を取り出すことはできません。
配電盤なら単価を算出できる
閉鎖形配電装置の区分は、数量が面で公表されています。2025年度の特別高圧・高圧配電盤は62,526面で1,867億円、低圧配電盤は56,077面で921億円です。
ここから編集部が算出すると、特別高圧・高圧が1面あたり約298万円、低圧が約164万円になります。ただしこれは出荷金額を面数で割った機械的な平均で、個別案件の見積もり額ではありません。制御盤の相場としても使えません。
分電盤の水準
分電盤の区分では、2025年度の産業用分電盤が330,585台で804億円です。同様に算出すると1台あたり約24万円になります。
住宅用分電盤は2,424,755台で499億円なので、1台あたり約2万円です。盤の種類によって桁が変わることが、統計からも確認できます。
制御盤の費用を左右する要素は公式に書かれていない
盤のサイズや保護構造が費用に効くことは実務上知られています。ただしそれを公式に明示した記述は見当たりませんでした。
- 費用の変動要因を公式に列挙している会社は7社の中になかった
- 特殊仕様への対応を掲げる会社はあるが価格差の記載はない
- 認証取得品を別ラインナップとして持つ会社はある
公式に列挙されていない
盤のサイズ、保護構造、屋内外の別、部品メーカーの指定、塗装、配線工事の有無といった要素が費用を左右する、と書いている会社はありませんでした。
そのため、費用の内訳を各社の公式見解として示すことはできません。見積もりを取る際に、どの条件で金額が動くかを個別に確認する必要があります。
仕様の別建て対応
サンリツは、屋外仕様やクリーンルーム仕様、その他の特殊仕様、海外規格に準じた設計製作にも対応すると記載しています。標準とは別に扱われることが読み取れます。
日東工業は保護等級や海外認証を取得した製品を別のラインナップとして用意しています。認証品が別建てであること自体は公式に確認できますが、価格差は書かれていません。
納期とロット
内山電機製作所は、全工程を社内対応する仕組みによって短納期で提供すると掲げています。ただし具体的な日数の記載はありません。
橋本電業社は多品種少量生産への対応を明記しています。こちらも最小ロットの数値は示されていません。納期と数量の条件は、いずれも問い合わせて確認する項目になります。
制御盤の規格対応は公式表記を確認する
規格への対応は費用にも直結します。ただし公式に規格番号まで書いている会社は限られます。
- 規格番号を明示しているのは日東工業のみ
- ただしその認証はキャビネット筐体に対するもの
- UL508Aを公式に掲げている会社は7社の中になかった
規格番号を明示している会社
日東工業は、保護等級のIEC60529、キャビネットのUL50とUL50E、NEBS GR-63-CORE、低電圧指令のEN62208を挙げています。番号まで書いている唯一の会社です。
ただしこれらはキャビネット、つまり筐体に対する認証です。制御盤としての認証ではない点を区別しておく必要があります。
規格体系名までの会社
サンリツは、日本工業規格、日本電機工業会規格、日本配電制御システム工業会規格、公共建築工事標準仕様書を基準とすると記載しています。規格の体系名までで、個別の番号はありません。
中立電機と橋本電業社はISO9001の取得を掲げています。内山電機製作所は工業会の会員であることを記載しています。いずれも盤そのものの規格番号は確認できませんでした。
UL508Aへの言及がない
工業用制御盤の規格であるUL508Aについて、公式に対応を掲げている会社は7社の中にありませんでした。
輸出向けの設備で認証が必要な場合、対応可否は個別に確認することになります。日東工業のUL50とUL50Eは筐体の規格なので、これをもってUL508A対応とは読めません。
制御盤の見積もりで条件をそろえる
7社とも金額が非公開である以上、比較は見積もりで行うことになります。そろえるべき条件を整理します。
- 含まれる工程の範囲を項目ごとに分けて出してもらう
- 設計のみ、製作のみといった切り分けの可否を確認する
- 会社によって工場の所在地と規模が大きく違う
工程の範囲をそろえる
橋本電業社は制作プロセスを公開しています。設計・部品発注、板金加工、配線作業、社内検査、シーケンサのソフト設計・検証、出荷という6段階です。
この各段階がどこまで見積もりに含まれるかは会社によって変わります。特に通電検査と現地立ち上げの扱いは金額差が出やすいため、項目を分けて提示してもらうのが確実です。
どこから請けてもらえるか
中立電機は、盤類から機械製品、ソフト開発までオーダーメイドの設計対応が可能で、OEM受注生産にも対応すると記載しています。
橋本電業社は設計から製作、シーケンサのソフト設計、現地設備の立ち上げまで一貫して行うとしています。新規設備の初期設計から相談できるとも書かれています。設計だけ、製作だけという切り分けが可能かは、各社に確認する項目になります。
会社の規模と拠点
7社の規模には大きな開きがあります。日東工業は連結5,358名で8つの生産拠点、河村電器産業は連結3,415名です。
一方でサンリツは55名、内山電機製作所は52名、橋本電業社は100名という規模です。中立電機は名古屋を中心に8つの工場を持ちます。搬入先との距離や対応できるロットは、この規模差に影響されます。
制御盤メーカー各社の費用面での位置づけ
ここまでの内容を会社単位で整理します。金額が出ていない以上、公開情報の性格で分かれます。
- 筐体の価格が分かるのは河村電器産業
- 認証の範囲が分かるのは日東工業
- 受託の範囲が分かるのは中立電機と橋本電業社
筐体から積み上げたい場合
河村電器産業のプライスリストは、筐体の費用を先に把握したい場合に使えます。寸法と材質で価格がどう動くかが分かるため、盤の外形が決まっていれば下地の金額を押さえられます。
日東工業も総合カタログに価格を掲載していますが、個別の品番と金額は今回の調査では取得できませんでした。1412ページの総合カタログが2026年2月に発行され、2025年10月6日以降の適用価格を掲載していることまでが確認できています。
認証が必要な場合
日東工業は、保護等級や海外認証を番号つきで公開している唯一の会社です。輸出向けや特定の保護構造が求められる案件では、確認の起点になります。
ただし繰り返しになりますが、公開されているのは筐体の認証です。盤としての規格対応は別途確認が必要です。
設計から任せたい場合
中立電機と橋本電業社は、受託できる範囲を公式に説明しています。中立電機はOEM受注生産まで、橋本電業社は現地立ち上げまでを挙げています。
内山電機製作所は全工程の社内対応を掲げており、加工から配線、銘板製作まで業務内容を列挙しています。工程を外に出さない体制が短納期の根拠として説明されています。
まとめ|制御盤製作の費用の調べ方
制御盤は受託製作なので、料金表が存在しません。7社とも公式に金額を出しておらず、見積もりを取ること以外に費用を知る方法はありませんでした。
公式に金額が取れるのは河村電器産業のプライスリストですが、これは空の筐体の価格です。設計も部品も配線も検査も含まれていません。制御盤の価格として読むと実態から大きく外れます。
公的統計から1面あたりの単価を算出することもできますが、面数が公表されているのは配電盤の区分です。制御盤が含まれる監視制御装置は単位が式で、他の装置と合算されているため分離できません。統計の数字を制御盤の相場として使うことはできません。
結局のところ、盤の外形と仕様を固めたうえで複数社から見積もりを取り、工程の範囲を項目ごとにそろえて比べるのが確実な方法になります。会社ごとの違いを整理したい場合は制御盤製作の比較記事を、依頼先の選び方は制御盤製作の選び方をご覧ください。会社の一覧は制御盤製作(盤設計・製造)のカテゴリページにまとめています。
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よくある質問
Q制御盤製作の費用は公式に分かりますか?
受託製作の金額を公開している会社は、編集部が確認した範囲では見つかりませんでした。制御盤は一品一様の受託製作なので、料金プラン表という形式自体が成立しません。導線は問い合わせフォームか電話に限られます。公式に金額が取れるのは河村電器産業が公開している標準品キャビネットのプライスリストだけですが、これは空の筐体の価格であり、制御盤の完成品価格ではありません。
Qキャビネットの価格はいくらですか?
河村電器産業が86ページのプライスリストを公開しています。2026年4月1日改定で、消費税は含まれていないと明記されています。鉄製の制御盤キャビネットではRXG 1050-16が61,000円、RXG 1080-25が94,100円、RXG 1014-30が158,000円です。屋外用のPOG 1040-16は60,900円です。ただしこの金額に含まれるのは金属の箱そのものだけで、電気部品の調達、盤内の設計、配線、組立、通電検査、搬入据付はすべて別になります。
Q公的統計から制御盤の単価は分かりますか?
分かりません。日本配電制御システム工業会の統計では、制御盤は「監視制御装置」という区分に含まれます。この区分は監視盤、保護継電器、補助リレー盤なども合算しているうえ、数量の単位が「面」ではなく「式」のため、制御盤だけを分離できません。1面あたりの単価を算出できるのは配電盤の区分で、2025年度の特別高圧・高圧配電盤は62,526面で1,867億円、低圧配電盤は56,077面で921億円です。ここから編集部が算出すると1面あたり約298万円と約164万円になりますが、これは配電盤の数字であり制御盤の相場ではありません。
QUL508Aに対応している会社はどこですか?
工業用制御盤の規格であるUL508Aについて、公式に対応を掲げている会社は7社の中にありませんでした。規格番号まで明示しているのは日東工業だけで、保護等級のIEC60529、キャビネットのUL50とUL50E、NEBS GR-63-CORE、低電圧指令のEN62208を挙げています。ただしこれらはキャビネット、つまり筐体に対する認証であり、制御盤としての認証ではありません。サンリツは日本工業規格、日本電機工業会規格、日本配電制御システム工業会規格を基準とすると記載していますが、個別の規格番号はありません。
Q見積もりでは何をそろえればよいですか?
見積もりに必要な書類を公式に明示している会社は7社の中にありませんでした。ただし工程の範囲をそろえることは重要です。橋本電業社は制作プロセスとして、設計・部品発注、板金加工、配線作業、社内検査、シーケンサのソフト設計・検証、出荷という6段階を公開しています。この各段階がどこまで見積もりに含まれるかは会社によって変わるため、特に通電検査と現地立ち上げの扱いを項目ごとに分けて提示してもらうのが確実です。
