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メーカー・シェア#産業用PC#メーカー#シェア

産業用PCのメーカー8社の特徴|シェアの実態と長期供給の開示の違い

産業用PCの主要メーカー8社がどんな会社なのかを1社ずつ整理した記事。メーカー別シェアを無償公開している公的機関・業界団体は存在せず、生産動態統計にも産業用コンピュータという品目自体がない。設備に据え置く立場で最も効く長期供給の開示を軸に、期間を公開する国内3社・欧州発2社・ボックス型3社という構成で各社の立ち位置を見る。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
産業用PCのメーカー8社の特徴|シェアの実態と長期供給の開示の違い

産業用PCのメーカーを調べると、国内の総合電機からドイツや台湾のメーカーまで並びます。設備に何年も据え置く機器なので、性能よりも先に確認しておきたいことがあります。

この記事では、主要8社がどんな会社なのかを1社ずつ見ていきます。よく検索されるシェアの実態、この分野で最も差が出る長期供給の開示、資本関係の変化までを会社単位で整理します。

記載内容は、各社の公式サイトと公式カタログ、公式のプレスリリース、IR開示を、編集部が2026年9月22日に確認したものです。供給年数は公式の表記そのままで記載しています。

  • 産業用PCのメーカー別シェアを無償で公開している公的機関・業界団体は存在しない(2026年9月22日時点)
  • 供給や保守の年数を公式に明示しているのは、主要8社のうち4社にとどまる
  • コンテックは2022年にダイフクの完全子会社となり、上場を廃止している

この記事でわかること

01

産業用PCの主要メーカー8社【早見表】

産業用PCを手がけているのは、この分野の専業メーカーだけではありません。総合電機やFA機器の大手も、自社の制御機器と組み合わせる形で参入しています。まずは全体像を一覧で押さえます。

  • 主要8社のうち、供給や保守の年数を公式に明示しているのはNEC・日立・ベッコフ・三菱電機の4社
  • 主要8社のうち、日本に本社を置くのはコンテック・三菱電機・NEC・日立インダストリアルプロダクツの4社
  • 主要8社とも、公式サイトに価格の記載がない

メーカー

本社

母体となる事業

製品

供給年数の明示

日本電気株式会社

東京都港区

総合電機・IT

FC98-NXシリーズ

型番ごとに月単位で公開

株式会社日立インダストリアルプロダクツ

東京都千代田区

産業機器

HF-Wシリーズ

同一モデルを5年間供給

三菱電機株式会社

東京都千代田区

FA機器・総合電機

MELIPC

生産中止と修理対応を公開

Beckhoff Automation GmbH & Co. KG

ドイツ・フェアル

FA機器

Industrial PC/CX

産業用PC 6年/組込PC 10年

Siemens AG

ドイツ

FA機器・総合電機

SIMATIC IPC

旧版ブローシャに4〜6年

株式会社コンテック

大阪市西淀川区

産業用コンピュータ

ボックスコンピュータBXシリーズ

記載なし(設計寿命7年)

Advantech Co., Ltd.

台湾

産業用コンピュータ

IPC/ARKシリーズ

記載なし

ADLINK Technology Inc.

台湾

産業用コンピュータ

DLAPシリーズほか

記載なし

日本での窓口になる会社

海外に本社を置く3社はいずれも日本法人を持ちます。シーメンス株式会社、ベッコフオートメーション株式会社、ADLINKジャパン株式会社です。Advantechの日本拠点は東京都台東区浅草にあります。

ただし各社の日本法人には会社概要のページがなく、資本金や従業員数、設立年は公式サイトから確認できませんでした。

同名の別法人に注意する

アドバンテックという名前の法人は日本国内に複数あります。半導体向け真空配管を手がける株式会社アドバンテックや、技術者派遣のアドバンテック株式会社は、台湾のAdvantechとは無関係です。

検索すると無関係な会社が上位に出ることがあります。問い合わせ先を決めるときは、住所まで含めて確認してください。

Windows版とLinux版で販売会社が違う会社

日立のHF-Wは、WindowsのHF-Wシリーズを株式会社日立インダストリアルプロダクツが扱います。LinuxのHF-W/LXは株式会社日立産業制御ソリューションズの担当です。

同じ製品名でもOSによって窓口が変わるため、問い合わせ先を間違えると話が進みません。どちらのOSを前提とするかを先に決めてください。

02

産業用PCのメーカー別シェアと市場規模

8社が並んだところで、どこが最も使われているのかが気になります。ただし産業用PCにも、無償で確認できるメーカー別のシェアがありません。

  • 経済産業省の生産動態統計に「産業用コンピュータ」という品目は存在しない
  • 電子情報技術産業協会の統計にも、産業用PC単独の区分はない
  • 富士経済の調査にはメーカー別シェアがあるが、数値は有料で企業名リストのみが無償公開されている

公的統計に品目がない

経済産業省の生産動態統計で該当しそうなのは、電子計算機及び情報端末の調査票です。ただし品目の内訳は汎用コンピュータ、パソコン、外部記憶装置、プリンタ、金融端末などで、産業用コンピュータやFAコンピュータという区分はありません。

一般社団法人電子情報技術産業協会の公開統計も、パーソナルコンピュータやサーバ、産業用電子機器受注統計が中心で、産業用PC単独の統計はありません。公的な数値から市場規模を取り出すことはできない状況です。

企業名までは公開されている

民間で唯一メーカー別シェアを扱っているのが富士経済の注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査で、2025年10月24日に刊行されています。対象はデスクトップ、スリムタワー、ラックマウント、ボックスなどの筐体型産業用コンピュータです。

シェアの対象企業として挙がるのは日本電気、東芝、日立インダストリアルプロダクツ、コンテック、シーメンス、富士通とその他です。市場規模と各社のシェア率は有料版のみで、無償のサンプルでは伏せられています。

調査の対象と検討候補はずれることがある

この企業名リストには東芝と富士通が入っています。一方、今回扱う8社のうちAdvantech、ベッコフ、ADLINK、三菱電機は挙がっていません。

調査会社が見ている市場の切り取り方と、実際に検討する候補は必ずしも一致しません。シェアの順位で候補を絞ると、要件に合う会社を見落とすことがあります。

03

産業用PCは長期供給の開示で分かれる

順位で選べない以上、設備に据え置く立場で最も効く軸は何かを考える必要があります。この分野では、長期供給をどう開示しているかが会社の性格をそのまま表します。

  • NECは型番ごとに出荷開始・出荷停止・保守終了を月単位で公開している
  • 日立は同一モデルを5年間供給し、修理は7年・10年・12年から選べる
  • コンテック・Advantech・ADLINKは、産業用PC本体の供給年数を公式に明示していない

月単位まで公開する会社がある

NECは型番ごとに供給期間と保守期間を月単位で公開しています。たとえばデスクトップ型のFC-S13Gは2025年11月から2030年10月まで供給し、保守は標準で2037年10月まで、延長で2040年10月までです。

ここまで細かく開示している会社は多くありません。設備の更新計画を立てるうえで、この情報の有無は大きく効きます。

年数で示す会社

日立は同一モデルを5年間供給すると明記し、修理はセンドバックで7年、10年、12年から選べる形です。ベッコフは産業用PCで6年、組込みPCで10年と年数を示し、部品を最大6か月分在庫しています。

三菱電機は年数ではなく、生産中止の時期と修理対応の終了時期を型番ごとに案内する方式です。示し方が会社ごとに違うため、年数の横並び比較はできません。

この先はグループごとに見る

ここからは8社を3つのグループに分けて、1社ずつ見ていきます。まず供給と保守の期間を公開する国内3社、次に欧州発の2社、最後にボックス型を軸とする3社という順です。

各社の情報は、いずれも編集部が2026年9月22日に公式サイトで確認したものです。

04

供給と保守の期間を公開する国内の産業用PCメーカー3社

まずは供給や保守の期間を公式に開示している国内3社です。開示の細かさには差がありますが、いずれも計画を立てる材料が揃います。

  • NECのファンレス機FC-A22Kは2020年12月から2028年9月まで供給される
  • 日立のHF-W2000は2029年7月31日まで供給され、修理は最大10年受け付ける
  • 三菱電機のMELIPCは生産中止が進み、現行品はMI2532-WとMI2332-Wに絞られている

日本電気株式会社(FC98-NXシリーズ)

正式名称はFC98-NXシリーズで、デスクトップ、2Uラックマウント、省スペース、エントリー、ファンレスボックスというラインアップです。型番ごとに供給期間と保守期間が月単位で公開されています。

デスクトップのFC-S13Gは2025年11月から2030年10月までの供給で、保守は標準2037年10月、延長2040年10月までです。ファンレスのFC-A22Kは2020年12月から2028年9月までの供給で、保守は2035年9月までとなっています。

対応OSはWindows 11 IoT LTSC 2024とWindows 10 IoT LTSC 2021です。Windows Server IoT 2025から2019、MIRACLE LINUX 9.4にも対応します。拡張スロットはデスクトップで最大7、2Uラックで最大5、エントリーで最大2という構成です。なおカタログPDFと公式ページで保守期間の記載が1年ずれている箇所があるため、確認の際は注意してください。

株式会社日立インダストリアルプロダクツ(HF-Wシリーズ)

同一モデルを5年間供給すると公式に明記しています。修理はセンドバックで7年、10年、12年の受付モデルから選ぶ形です。

HF-W7500のモデル65と60は2027年11月30日まで供給し、修理は納入日から最大12年または2037年11月30日までの短い方です。HF-W2000のモデル68と65は2029年7月31日まで供給し、修理は最大10年または2039年7月31日までとなります。

拡張スロットはHF-W7500が最大5、HF-W6500が最大6、HF-W2000が最大3です。対応OSはWindows Server IoT 2025から2019までです。Windows 11とWindows 10のIoT Enterprise LTSCにも対応します。

2018年11月1日設立、2019年4月1日営業開始の会社で、日立製作所の100%出資になります。

三菱電機株式会社(MELIPC)

現行品はMI2532-WとMI2332-Wです。MI2532-Wは第13世代のCore i7-13700TEを載せ、16コアで動きます。OSはWindows 11 IoT Enterprise LTSC 2024、メモリはDDR5-4800の32GB、ストレージはmSATA SSDの1TBです。

動作温度は0〜55℃、耐振動はHDDなしで3Grmsのランダム5〜500Hz、耐衝撃は20Gの正弦半波11msです。拡張スロットはPCIe x4とx16が各1つで、CC-Link IE TSNの通信ソフトウェアライセンスが同梱されます。PCIeボード冷却用のファンは、使わない場合は取り外せます。

注意したいのがラインアップの縮小です。MI1002-Wは2023年7月、MI5122-VWとMI2012-Wは2026年4月に生産中止となります。MI3321G-Wと3315G-Wは2026年10月です。修理対応は生産中止から5年または7年で、いずれも公式に案内されています。

05

欧州発の産業用PCメーカー2社

続いて、ドイツに本社を置く2社です。どちらもFA機器を本業とし、自社の制御システムと組み合わせる前提で設計されています。

  • ベッコフは産業用PCで6年、組込みPCで10年と年数を明示している
  • SiemensのSIMATIC IPCは命名体系が世代交代しており、日本語サイトは旧世代の記述が残る
  • SIMATIC IPC BX-39Aはファンレスで、腐食性ガス耐性の規格まで公開されている

Beckhoff Automation GmbH & Co. KG(Industrial PC/CX)

製品系列は超小型のC60xx、盤内設置型のC6xxx、C69xx、DINレールに取り付ける組込みPCのCX、パネルPC、コントロールパネルという構成です。

長期供給については、産業用PCで合計6年、組込みPCで合計10年と英語版に明記しています。部品は最大6か月分を在庫するとしています。ただし日本語ページにはこの年数の記載がありません。

1980年創業のドイツの会社で、2025年の売上は12億4,000万ユーロ、従業員は5,450名です。日本法人のベッコフオートメーション株式会社は2011年から横浜に本社を置いています。個別型番の動作温度や耐振動は、取扱説明書で確認する必要があります。

Siemens AG(SIMATIC IPC)

命名体系が世代交代しています。旧世代はIPC227EやIPC827Dといった型番でしたが、現行はIPC BX-39AやPX-39Aという新しい命名です。日本語サイトの製品説明は旧世代の記述が残っており、グローバルの現行型番と食い違っています。

現行のIPC BX-39Aは取扱説明書に仕様が細かく載っています。動作温度は水平設置で0〜55℃、拡張カード2枚なら0〜50℃、垂直設置で0〜50℃から40℃、吊り下げ設置で0〜30℃です。保護等級はIP20、耐振動はDIN IEC 60068-2-6準拠、耐衝撃はIEC 60068-2-27準拠となっています。

特徴的なのは腐食性ガス耐性の開示です。ISA-71.04のSeverity Level G1からG3に対応するとしています。ファンレスで回転部品がなく、メンテナンスフリーを掲げます。長期供給は4年から6年と修理・保守部品5年という記載がありますが、これは2018年前後のブローシャによるもので、現行世代の年数は確認できませんでした。

06

ボックス型を軸とする産業用PCメーカー3社

最後に、ボックス型を中心に展開する3社です。3社とも供給年数の明示はありませんが、別の形で情報を出しています。

  • コンテックは設計寿命7年と、保証を最大6年まで延長できるサービスを公開している
  • コンテックはWindows OSライセンスの供給期限を年月で公開している
  • AdvantechとADLINKは、分野別には供給年数を示すが産業用PC本体では明示していない

株式会社コンテック(ボックスコンピュータBXシリーズ)

シリーズは超小型のBX-U、盤内向けのBX-C、薄型のBX-T、高拡張のBX-M、鉄道・車載向けのBX-R、ファン空冷のEPC-C5000という構成です。NVIDIA Jetsonを載せたエッジAI向けのDXシリーズもあります。

長期供給については、長期安定供給を前提とした設計思想とIntelの長期供給版部品の採用を掲げるのみで、年数の明示はありません。代わりに公開されているのが設計寿命7年という数値と、保証期間3年を延長サービスで最大6年まで伸ばせる仕組みです。

もう1つ有用なのがOSライセンスの供給期限です。Windows 11 IoT Enterprise 2024 LTSCが2034年6月30日までと年月で公開されています。Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCは2031年11月30日までです。BX-T5000は第13世代Coreを載せたファンレス機で、BX-M2500は完全自然空冷の構成になります。

Advantech Co., Ltd.(IPC/ARKシリーズ)

ラックマウントのIPC-610シリーズ、ファンレス組込みのARK-1000から6300、UNOシリーズ、AI向けのIPC-730という構成です。

長期供給はLongevity Servicesとして、EOLの6か月前通知、長期購入への対応、部品リストの管理を掲げています。ただし産業用PC本体について何年供給するかという年数の明示は見当たりませんでした。

個別のデバイスでは年数を示す例もあります。ただしIPCやARKといった主力シリーズには当てはまりません。動作温度や耐振動の値も、個別のデータシートで確認する必要があります。

ADLINK Technology Inc.(DLAPシリーズほか)

日本語サイトに載る現行系列は、第8世代と第9世代のCoreを載せたDLAP-3000からDLAP-4000、Xeon対応のDLAP-8000です。ほかにCOM Express、COM-HPC、SMARC、VPX、鉄道用堅牢コンピュータのAVA、パネルPC、医療用PCを扱います。

長期供給は分野別に記述があります。COM Expressモジュールで7年から10年、Type 2のドロップイン交換で10年の延命、堅牢システムで10年以上、医療分野で5年から7年という内容です。

ただしDLAPなど産業用PC本体の供給年数は明示されていません。日本法人はADLINKジャパン株式会社で、英文名はADLINK Technology Japan Corporationです。

07

産業用PCメーカーの資本関係の変化

各社の顔ぶれが見えたところで、資本関係の動きを押さえます。産業用PCは長く使う機器なので、提供元の安定性も判断材料になります。

  • コンテックは2022年にダイフクの完全子会社となり、東証2部の上場を廃止した
  • ADLINKはAUOが約33%を保有する筆頭株主となっている
  • 日立インダストリアルプロダクツは2018年11月1日設立、2019年4月1日営業開始の会社である

上場を廃止して傘下に入った会社

コンテックは2022年2月4日にダイフクが公開買付を公表し、完全子会社となりました。東証2部の上場は廃止されています。公式のプロフィールでも親会社がダイフクと明記されています。

独立系の産業用PCメーカーとして紹介している資料は、現在の状況と一致しません。マテリアルハンドリングの大手の傘下にある点は、物流設備との組み合わせでは強みにもなります。

筆頭株主が変わった会社

ADLINKは2020年2月5日にAUOが取締役会で公開買付を決議し、1株57ニュー台湾ドルで5%から30%の取得を実施しました。現在はAUOが子会社分を含めて約33%を保有する筆頭株主です。

AUOはディスプレイの大手で、産業用途への展開を進めています。開発の方向性に影響する可能性があるため、長期の採用を考えるなら押さえておく情報です。

分社で生まれた会社

日立インダストリアルプロダクツは2018年11月1日に設立され、2019年4月1日から営業を開始しました。日立製作所の大型産業機器事業の吸収分割によって発足した会社です。

公式サイトは設立日として2018年11月1日を掲げています。営業開始日と混同されやすいため、資料に書くときは区別してください。

08

産業用PCメーカーが想定している企業規模

資本関係の動きが見えたところで、次は各社がどの規模の現場を想定しているかです。編集部では製造業適合性スコアとして、製品ごとに5段階で評価しています。

  • 中堅・中小製造業との相性が4点なのはコンテックとADLINKの2製品
  • 保全管理適合性はNECと日立が5点で最も高い
  • シーメンス、ベッコフ、日立は2点で、大規模を前提としている

小さく始めやすい会社

中堅・中小製造業との相性は、予算や体制に対する導入の敷居を見る軸です。コンテックとADLINKが4点で最も高く、どちらも対象企業規模に中小が含まれます。

Advantech、三菱電機、NECが3点で続きます。1台から相談しやすいかどうかは、選定の初期段階で効いてくる条件です。

保守を前提とした設計の会社

保全管理適合性は、設備の保守や部品交換のしやすさを見る軸です。NECと日立が5点で最も高くなっています。

この2社は、型番ごとの供給期間と保守期間を公開している会社でもあります。開示の姿勢と評価が一致した形です。コンテックが4点で続きます。

大規模を前提としている会社

シーメンス、ベッコフ、日立が2点です。シーメンスとベッコフは自社の制御システムと組み合わせる前提が強く、日立は大型の産業設備が母体になります。

生産管理適合性では三菱電機が5点で最も高くなります。MELIPCにCC-Link IE TSNの通信ソフトウェアライセンスが同梱される構成が効いています。なおこのスコアは編集部の評価で、2026年9月時点の採点です。

09

産業用PCを調べるときの注意点

最後に、産業用PCのメーカーを調べるときに引っかかりやすい点をまとめます。この分野は公式サイトの情報が型番単位で分散しており、世代交代も進んでいます。

  • 日本語サイトと英語サイトで、掲載されている型番の世代が違う会社がある
  • カタログと公式ページで保守期間の記載がずれている例がある
  • 価格を公式に掲載している会社は8社のうち1社もない

世代交代に注意する

SiemensのSIMATIC IPCは、旧世代のIPC227EやIPC827Dから、現行のIPC BX-39AやPX-39Aへ命名体系が変わりました。日本語サイトの製品説明は旧世代の記述が残っています。

三菱電機のMELIPCも、公式サイトには生産中止予定の型番が並んでいます。現行品はMI2532-WとMI2332-Wの2つです。製品一覧に載っているという理由だけで現行品と判断しないでください。

同じ会社の資料でも数値がずれる

NECのカタログPDFと公式の供給・保守期間のページでは、エントリー機の保守終了年が1年ずれています。カタログは2034年1月と2037年1月、Webページは2035年1月と2038年1月です。

更新のタイミングの違いによるものと考えられます。保守の終期を前提に計画を立てるなら、どちらの資料の値かを明記したうえで、営業窓口に確認してください。

価格は見積もりでしか分からない

8社とも公式サイトに金額の記載がありません。NECには希望小売価格を改定したという告知がありますが、金額そのものは会員向けです。

拡張スロットの数やOSの種類、保守年数の選び方で構成が変わるため、総額は要件を固めてからでないと出ません。候補を2〜3社に絞ってから見積もりを取るのが現実的です。

10

まとめ|産業用PCメーカーの全体像

産業用PCは、供給と保守の期間を公開する国内3社、欧州発のFA機器メーカー2社、ボックス型を軸とする3社という構成の分野です。開示の姿勢が、そのまま会社の性格を表しています。

メーカー別のシェアは無償では公開されていないため、ランキングで選ぶことはできません。公的統計にも産業用コンピュータという品目自体がありません。

更新計画を年単位で固めたいならNECや日立、既存の制御機器と揃えたいなら三菱電機やシーメンス、ベッコフ、小さく始めたいならコンテックやADLINKが起点です。いずれの場合も、その型番が何年買えて何年修理してもらえるかを、公式の表記で確認してから決めてください。

なお本記事の各社の情報は、編集部が2026年9月22日に各社の公式サイトと公式カタログ、プレスリリース、IR開示で確認したものです。供給年数は公式の表記をそのまま記載しています。

産業用PC(FA・組込みPC)比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
ADLINK Industrial PC ロゴ
ADLINK Industrial PCADLINKジャパン株式会社(ADLINK Technology)要見積もりエッジAI対応の産業用コンピュータ詳細を見る
三菱電機 産業用PC MELIPC ロゴ
三菱電機 産業用PC MELIPC三菱電機株式会社要見積もりシーケンサと親和性の高いエッジコンピュータ詳細を見る
CONTEC ボックスコンピュータ ロゴ
CONTEC ボックスコンピュータ株式会社コンテック要見積もり長期供給と耐環境性に強いFA専用PC詳細を見る
NEC ファクトリコンピュータ FCシリーズ ロゴ
NEC ファクトリコンピュータ FCシリーズ日本電気株式会社要見積もり長期保守に定評ある国産ファクトリコンピュータ詳細を見る
Advantech 産業用コンピュータ ロゴ
Advantech 産業用コンピュータアドバンテック株式会社要見積もり世界大手の豊富な産業用PCラインナップ詳細を見る
Beckhoff Industrial PC ロゴ
Beckhoff Industrial PCベッコフオートメーション株式会社(Beckhoff Automation)要見積もりPCベース制御の代表格詳細を見る
Siemens SIMATIC IPC ロゴ
Siemens SIMATIC IPCシーメンス株式会社要見積もりFA世界標準の産業用PC詳細を見る
日立産業用コンピュータ HF-Wシリーズ ロゴ
日立産業用コンピュータ HF-Wシリーズ株式会社日立インダストリアルプロダクツ要見積もり供給終了日と修理可能期間を型番単位で公表する国産産業用PC詳細を見る

よくある質問

Q産業用PCの主要メーカーはどこですか?
A

供給と保守の期間を公開しているのが日本電気株式会社(FC98-NXシリーズ)、株式会社日立インダストリアルプロダクツ(HF-Wシリーズ)、三菱電機株式会社(MELIPC)の国内3社です。欧州発がBeckhoff Automation GmbH & Co. KGとSiemens AG(SIMATIC IPC)の2社、ボックス型を軸とするのが株式会社コンテック、Advantech Co., Ltd.、ADLINK Technology Inc.の3社になります。

Q産業用PCのメーカー別シェアはどこで分かりますか?
A

無償で公開しているものはありません。経済産業省の生産動態統計に産業用コンピュータやFAコンピュータという品目自体が存在せず、一般社団法人電子情報技術産業協会の統計にも産業用PC単独の区分はありません。民間では富士経済の注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査(2025年10月24日刊)がメーカー別シェアを扱っていますが、数値は有料版のみで、無償公開されているのは企業名のリストだけです。

Q産業用PCは何年買えて何年修理してもらえますか?
A

会社によって示し方が違います。NECは型番ごとに供給期間と保守期間を月単位で公開しており、FC-S13Gは2025年11月から2030年10月まで供給し保守は標準2037年10月・延長2040年10月までです。日立は同一モデルを5年間供給し修理は7年・10年・12年から選べます。ベッコフは産業用PCで6年、組込みPCで10年と明示しています。コンテック、Advantech、ADLINKは産業用PC本体の供給年数を公式に明示していません。

Q三菱電機のMELIPCは今どの型番が買えますか?
A

現行品はMI2532-WとMI2332-Wの2つです。MI1002-Wは2023年7月、MI5122-VWとMI2012-Wは2026年4月、MI3321G-Wと3315G-Wは2026年10月に生産中止となります。修理対応は生産中止から5年または7年で、いずれも公式に案内されています。製品一覧に載っているという理由だけで現行品と判断せず、生産中止案内を確認してください。

Qコンテックは独立系のメーカーですか?
A

現在はダイフクの完全子会社です。2022年2月4日にダイフクが公開買付を公表し、東証2部の上場は廃止されています。公式のプロフィールでも親会社がダイフクと明記されています。独立系の産業用PCメーカーとして紹介している資料は現在の状況と一致しません。なおマテリアルハンドリングの大手の傘下にある点は、物流設備との組み合わせでは強みにもなります。

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