トレーサビリティシステムの費用|唯一公開されている月額3万5千円と非公開7製品の見方
トレーサビリティシステムの主要8製品について、価格が公式にどこまで公開されているかを整理した記事。金額を公開しているのはTrace eyeシリーズだけで、8製品のうち3つは識別・読み取り機器です。ソフトと機器を分けて見積もる考え方を見ていきます。

トレーサビリティシステムの費用を調べると、比較表が作れないことに気づきます。8製品のうち金額を公式に出しているのは1シリーズだけで、しかも残りの3つはソフトウェアですらありません。
この記事では、主要8製品の価格が公式にどこまで公開されているかを整理します。そのうえで、金額が出ていない製品について何を確認すれば規模がつかめるのかを見ていきます。
記載内容は、各社の公式サイトと公式のプレスリリース、法定開示を、編集部が2026年9月24日に確認したものです。第三者の媒体に出回っている金額は根拠として採用していません。
- 主要8製品のうち金額を公式に公開しているのはTrace eyeシリーズだけ
- 8製品のうち3つは識別・読み取り機器で、システムと同じ土俵では比較できない
- 無償トライアルの条件を公式に明記している製品は8製品の中になかった
この記事でわかること
トレーサビリティの価格は8製品中1シリーズだけが公開されている
この分野は価格の非公開が大半です。まず、どこまでが公式に確認できるのかを押さえます。
- 金額を公式に公開しているのはTrace eye FOOD-ProとMaterial-Proの2製品
- SmartF、Smart Craft、FutureStageはいずれも問い合わせが前提
- 機器3社のうちキーエンスは原則として価格を公開しない方針
公開されている2製品
Trace eye FOOD-ProとMaterial-Proの共通価格として、月額3万5千円からという金額が公式のプレスリリースに記載されています。機器費用は別途という条件が併記されています。
ただし税込か税別かは公式に明示されていません。製品ページ側ではなくリリースに書かれている金額なので、引用する際は出典まで押さえておく必要があります。
非公開のソフトウェア3製品
SmartFとSmart Craftは、公式サイトに金額の表示がありません。どちらも問い合わせや資料ダウンロードの導線だけが置かれています。
FutureStageについては、製造業向けページのHTMLソースを直接確認しましたが、価格・料金・金額のいずれの記載もありませんでした。掲載漏れではなく、公開しない方針と読めます。
機器3社の扱い
キーエンスは原則として価格を公開しない会社です。公式サイトに金額の記載はありません。
コグネックスは、詳細な製品価格を営業への問い合わせで案内する旨だけ記載しています。デンソーウェーブについては、今回の調査で機器の公式価格表を確認できませんでした。
トレーサビリティで唯一公開されているTrace eyeの価格
金額が確認できる唯一のシリーズなので、条件まで詳しく見ておきます。
- 月額3万5千円からで、機器費用は別途
- クラウド版とオンプレミス版の両方が提供されている
- モジュール単位での導入が可能と公式に記載されている
月額3万5千円からの内訳
この金額はソフトウェアの利用料です。ラベルプリンターやハンディターミナルといった機器の費用は含まれていません。
提供元のサトーは自動認識ハードウェアのメーカーでもあります。実際の導入では、システムと機器を組み合わせた構成になるため、月額だけでは総額が決まりません。
モジュール構成で範囲を変えられる
Trace eyeは原材料管理、製造管理、製品管理といったモジュールに分かれています。モジュール単位での導入が可能と公式に書かれています。
どこまでを対象にするかで費用が変わる構造です。FOOD-Proは食品製造業向け、Material-Proは化成品製造業向けという位置づけで、対象業種も分かれています。
導入効果として公表されている数値
サトーは2024年5月29日に、不二家の秦野工場での導入事例を発表しています。年間で棚卸し時間が約25%削減、紙の使用量が約75%削減されたという内容です。
金額の効果ではなく工数と資材の削減率として公表されています。費用対効果を試算する際は、自社の棚卸し工数に当てはめて考えることになります。
トレーサビリティは「システム」と「識別機器」で費用の見方が変わる
8製品を1つの表に並べると検討が噛み合わなくなります。提供物の層が違うためです。
- ソフトウェア5製品は月額や初期費用で語られる
- 機器3社は台数と設置環境で費用が決まる
- 実務ではどちらか一方だけでは完結しない
ソフトウェア側の費用構造
Trace eye、SmartF、Smart Craft、FutureStageは、工場内のモノの動きを記録して後から照会できるようにするシステムです。費用は利用料と初期構築費で構成されます。
FutureStageはAWS上のプライベート環境とオンプレミスの両方に対応し、導入期間は最短3か月とされています。構築を伴うため、利用料だけでは総額が決まりません。
機器側の費用構造
キーエンスのレーザマーカやコードリーダ、コグネックスのDataManシリーズ、デンソーウェーブのハンディターミナルは、台数で費用が積み上がります。
キーエンスのレーザマーカMD-Xシリーズは、ヘッド内部に2次元コードリーダを内蔵し印字と読み取りを1台で完結させる構成です。1台あたりの単価は高くなりますが、工程あたりの台数は限られます。
両方が要る前提で予算を組む
コードを刻む機器と読む機器がなければ、システム側にデータが入りません。逆に機器だけでは記録の照会ができません。
Trace eyeの価格に「機器費用は別途」と書かれているのは、この構造を反映したものです。予算を組む段階では、ソフトと機器を分けて見積もる必要があります。
トレーサビリティの機器側にかかる費用
機器3社はいずれも価格が非公開ですが、費用がどう積み上がるかは公式情報から読み取れます。
- 印字する機器と読み取る機器で役割が分かれる
- 印字と読み取りを1台で兼ねる構成もある
- コードの種類によって必要な機器が変わる
印字と読み取りを分けるか兼ねるか
キーエンスのレーザマーカMD-Xシリーズは、ヘッド内部に2次元コードリーダを内蔵しています。印字した直後に読み取りまで1台で完結する構成です。
これに対して、印字を別工程で行い読み取りだけをコードリーダで担う構成もあります。コグネックスのDataManシリーズには固定式とハンドヘルド、コードの品質を検証する機器が揃っています。工程あたり何台必要かで総額が変わります。
扱うコードの種類で条件が変わる
デンソーウェーブはQRコードの仕様を開発した会社で、マイクロQRコードやrMQRコードにも対応しています。狭い場所に印字する必要があれば、対応するコード仕様と機器の組み合わせが決まります。
金属部品への直接刻印を読み取る場合は、ラベルの読み取りとは異なる機器が要ります。コグネックスは1D、2D、ラベルベース、直接刻印の各コードに対応すると記載しています。
ラベルを使う場合の消耗品
ラベルで運用する場合、プリンターの本体費用に加えてラベルとリボンが継続的に必要になります。Trace eyeの価格に機器費用が含まれないのは、この部分が運用条件で大きく変わるためです。
刻印であれば消耗品は不要ですが、機器の単価は上がります。どちらが安く付くかは、生産量と対象製品の材質で決まります。
トレーサビリティシステムの費用を左右する要素
公式情報から、費用が動く要素を整理します。金額が非公開でも、変数は公式に書かれていることがあります。
- トレース単位がロットか個体かで記録量が変わる
- 対象とする工程の範囲で導入するモジュールが変わる
- 拠点や取引先をつなぐかどうかで構成が変わる
ロット単位か個体単位か
Trace eye、SmartF、FutureStageはロット単位を公式に明記しています。受入・仕掛品・製品・出荷のロット番号から実績情報を照会する形です。
これに対して機器側は個体単位に対応します。製品個々へのシリアルナンバー印字や、複数部品の2次元コード一括読み取りが挙げられています。個体まで追うかどうかで、印字工程と記録量の両方が変わります。
対象工程の範囲
SmartFは原料受入検査、工程内検査、製品検査登録という区切りで機能が分かれています。Trace eyeも原材料管理、製造管理、製品管理のモジュール構成です。
全工程を一度に対象にするか、検査工程だけから始めるかで費用が変わります。モジュール単位で導入できる製品では、この範囲が見積もりの主要な変数になります。
拠点をまたぐかどうか
Trace eye Material-Proには、自社工場だけでなく取引先や海外工場、外部倉庫をつなぐという記載があります。
拠点が増えれば必要なライセンスと機器が増えます。単一工場での導入と、サプライチェーン全体を対象にする導入では、想定すべき規模が変わります。
トレーサビリティの無償トライアルで確認できる範囲
金額が非公開の製品でも、試せる手段が用意されている場合があります。ただし条件の公開度は低い分野です。
- SmartFは導入支援付きの無料トライアルを案内している
- コグネックスはオンサイトでの製品デモを公式に案内している
- 期間や機能制限まで公式に明記している製品は確認できなかった
ソフトウェア側の試用
SmartFは導入支援付きの無料トライアルを公式サイトで案内しています。ただし期間や機能制限の条件は記載されていません。
Smart Craftは無料相談と資料ダウンロードの案内にとどまります。トライアルの提供を明示した記述は確認できませんでした。
機器側のデモ
コグネックスはオンサイトでの製品デモを公式に案内しています。こちらも条件の記載はありません。
機器は現物の設置環境で読み取り精度が変わります。実際のワークで試せるかどうかは、見積もり前に確認しておく価値があります。
条件が書かれていない前提で問い合わせる
8製品を通じて、トライアルの期間や機能制限まで公式に示している例はありませんでした。
そのため、試用の可否だけでなく、期間・対象機能・費用の有無を個別に確認する必要があります。無償と書かれていても、初期設定が有償になる場合があります。
トレーサビリティシステムの見積もりで条件をそろえる
7製品が非公開である以上、比較は見積もりで行うことになります。そろえるべき条件を整理します。
- ソフトと機器を分けて見積もる
- Trace eyeは複数の会社が販売しているため窓口で条件が変わる可能性がある
- 最新バージョン番号を公開している製品は8製品の中になかった
ソフトと機器を分ける
同じ工場のトレーサビリティでも、システムの利用料と機器の購入費では見積もりの出し方が違います。台数と工程数を先に確定させてから依頼するほうが、比較しやすい形で回答が返ります。
Trace eyeのように「機器費用は別途」と明記されている製品では、別途の中身がどこまでを指すのかを確認しておく必要があります。
販売窓口を確認する
Trace eyeは、日立システムズ、NECネクサソリューションズ、内田洋行、福岡情報ビジネスセンターといった複数の会社が公式サイトで取り扱いを掲載しています。
提供元のサトーが直販のみという構造ではありません。窓口によって構築支援の範囲や条件が変わる可能性があるため、どこから見積もりを取るかも比較の対象になります。
バージョンと提供形態を確認する
8製品とも、最新バージョン番号を公式に公開していません。世代による機能差を比べたい場合は、直接確認することになります。
提供形態はTrace eyeとFutureStageがクラウドとオンプレミスの両方、SmartFとSmart Craftがクラウドのみです。オンプレミスを前提にするなら、選択肢は2製品に絞られます。
トレーサビリティシステム主要製品と費用面での位置づけ
ここまでの内容を製品単位で整理します。
- 金額の目安が立つのはTrace eyeシリーズだけ
- SmartFとSmart Craftはクラウド専業で初期費用の構造が読めない
- FutureStageは基幹システムの一機能という位置づけ
Trace eye FOOD-Pro/Material-Pro
月額3万5千円からという目安があるため、この分野で唯一予算感をつかめる製品です。機器費用が別途である点と、税表記が公式に示されていない点は押さえておく必要があります。
クラウド版とオンプレミス版の両方があり、モジュール単位で範囲を変えられます。小さく始めて広げる構成が取りやすい製品です。
SmartFとSmart Craft
どちらもクラウドのみの提供で、金額は非公開です。SmartFは製造業向けの業務改善プラットフォームとして、生産管理や品質管理を含む広い機能を持ちます。
Smart Craftは2021年6月設立のスタートアップで、工程管理・品質管理・在庫管理を一気通貫で扱います。導入事例では生産量や不良率の改善が公表されていますが、費用の記載はありません。
FutureStage
トレーサビリティ専用製品ではなく、生産管理システムの一機能という位置づけです。ロット単位の照会機能を持ちます。
導入期間は最短3か月とされています。トレーサビリティだけを目的にするか、生産管理全体を入れ替えるかで、検討の枠組みが変わります。
まとめ|トレーサビリティシステムの費用の調べ方
トレーサビリティは、8製品のうち金額が公式に出ているのがTrace eyeシリーズだけという分野です。月額3万5千円からで、機器費用は別途という条件が付きます。
残る7製品は問い合わせが前提です。ただし金額が非公開でも、トレース単位、対象工程の範囲、拠点数といった費用の変数は公式に書かれています。これらを先に決めておけば、見積もりの精度は上がります。
もう1つ押さえておきたいのが、8製品のうち3つが識別・読み取り機器だという点です。同じ表に並べても比較になりません。ソフトウェアと機器を分けて見積もり、両方を足して総額を組むのが実態に合った進め方になります。
製品ごとの違いを機能面から整理したい場合はトレーサビリティシステムの比較記事をご覧ください。提供元の会社から見たい場合はトレーサビリティシステムのメーカー記事にまとめています。製品の一覧はトレーサビリティシステムのカテゴリページにまとめています。
トレーサビリティシステムのおすすめ製品
FutureStage
株式会社日立システムズ
日立の統合基幹パッケージ。双方向ロットトレース
Smart Craft
株式会社Smart Craft
国産初SaaS型MES。ロットトレース標準搭載
SmartF
株式会社ネクスタ
ITトレンド生産管理レビューNo.1。初期30万円〜
コグネックス DataManシリーズ
コグネックス株式会社
産業用画像ベースバーコードリーダのグローバルリーダー
デンソーウェーブ QRコードソリューション
株式会社デンソーウェーブ
QRコード発明企業。SQRC/rMQR等の独自技術
Trace eye Material-Pro
株式会社サトー
化学・素材・鉄鋼向けプロセス型トレーサビリティ
トレーサビリティシステム比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| FutureStage | 株式会社日立システムズ | ハイブリッド | 日立の統合基幹パッケージ。双方向ロットトレース | 詳細を見る | |
| Smart Craft | 株式会社Smart Craft | サブスクリプション | 国産初SaaS型MES。ロットトレース標準搭載 | 詳細を見る | |
| SmartF | 株式会社ネクスタ | サブスクリプション | ITトレンド生産管理レビューNo.1。初期30万円〜 | 詳細を見る | |
| コグネックス DataManシリーズ | コグネックス株式会社 | オンプレミス | 産業用画像ベースバーコードリーダのグローバルリーダー | 詳細を見る | |
| デンソーウェーブ QRコードソリューション | 株式会社デンソーウェーブ | ハイブリッド | QRコード発明企業。SQRC/rMQR等の独自技術 | 詳細を見る | |
| Trace eye Material-Pro | 株式会社サトー | 要見積もり | 化学・素材・鉄鋼向けプロセス型トレーサビリティ | 詳細を見る | |
| キーエンス トレーサビリティソリューション | 株式会社キーエンス | オンプレミス | レーザマーカ+コードリーダのハード統合トレース | 詳細を見る | |
| Trace eye FOOD-Pro | 株式会社サトー | 要見積もり | 食品製造業向けトレーサビリティ。HACCP対応 | 詳細を見る |
よくある質問
Qトレーサビリティシステムの価格は公式に分かりますか?
主要8製品のうち金額を公開しているのはTrace eyeシリーズだけです。FOOD-ProとMaterial-Proの共通価格として月額3万5千円からという金額が公式のプレスリリースに記載され、機器費用は別途という条件が併記されています。ただし税込か税別かは公式に明示されていません。SmartF、Smart Craft、FutureStageは問い合わせが前提で、FutureStageについては製造業向けページのHTMLソースを確認しても価格・料金・金額のいずれの記載もありませんでした。キーエンスは原則として価格を公開しない方針です。
Qなぜ8製品を同じ表で比較できないのですか?
提供物の層が違うためです。Trace eye、SmartF、Smart Craft、FutureStageは工場内のモノの動きを記録して照会するソフトウェアで、費用は利用料と初期構築費で構成されます。一方キーエンス、コグネックス、デンソーウェーブはコードを刻む機器と読む機器を提供しており、費用は台数と設置環境で決まります。評価軸そのものが違うため、同じ表に並べても比較になりません。実務ではどちらか一方だけでは完結しないので、分けて見積もったうえで合算する必要があります。
QTrace eyeの月額3万5千円には何が含まれますか?
ソフトウェアの利用料です。ラベルプリンターやハンディターミナルといった機器の費用は含まれておらず、公式にも「機器費用は別途」と明記されています。提供元の株式会社サトーは自動認識ハードウェアのメーカーでもあるため、実際の導入ではシステムと機器を組み合わせた構成になります。なお原材料管理、製造管理、製品管理といったモジュール単位での導入が可能とされているので、対象範囲によっても費用が変わります。クラウド版とオンプレミス版の両方が提供されています。
Qトレーサビリティシステムに無償トライアルはありますか?
SmartFは導入支援付きの無料トライアルを公式サイトで案内していますが、期間や機能制限の条件は記載されていません。Smart Craftは無料相談と資料ダウンロードの案内にとどまります。機器側ではコグネックスがオンサイトでの製品デモを公式に案内しています。編集部が確認した範囲では、8製品を通じてトライアルの期間や機能制限まで公式に明記している例はありませんでした。試用の可否だけでなく、期間・対象機能・費用の有無を個別に確認する必要があります。
QTrace eyeはサトーから直接買うのですか?
複数の会社が販売しています。日立システムズ、NECネクサソリューションズ、内田洋行、福岡情報ビジネスセンターが、それぞれ自社の公式サイトで取り扱いを掲載しています。提供元の株式会社サトーが直販のみという構造ではありません。窓口によって構築支援の範囲や条件が変わる可能性があるため、どこから見積もりを取るかも比較の対象になります。なおサトーホールディングス株式会社という商号は2025年4月1日以降は存在せず、現在の法人は株式会社サトーです。
