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メーカー・シェア#IoTプラットフォーム#メーカー#シェア

IoTプラットフォームメーカー10社の特徴|シェアの実態と母体となる事業の違い

製造業向けIoTプラットフォームの主要メーカー10社がどんな会社なのかを1社ずつ整理した記事。メーカー別シェアは公的機関7つを確認しても公表データが存在せず、そもそも市場分類として「製造業向けIoTプラットフォーム」という区分が確立していない。FA機器メーカー発の4社、総合電機と産業ソフトウェア発の3社、クラウドと通信発の3社という構成と、ThingWorxのVelotic移管をはじめとする提供元の変更までまとめる。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
IoTプラットフォームメーカー10社の特徴|シェアの実態と母体となる事業の違い

製造業向けIoTプラットフォームのメーカーには、シーメンスや三菱電機のようなFA機器の大手が並びます。そこにAWSやMicrosoftのようなクラウド事業者も加わります。同じ分類に入っていても、担っている層がまったく違います。

この記事では、主要10社がどんな会社なのかを1社ずつ見ていきます。よく検索されるシェアの実態、各社の母体、この1〜2年で続いている提供元と名称の変更までを会社単位で整理します。

記載内容は、各社の公式サイトと公式のプレスリリース、IR資料を、編集部が2026年9月22日に確認したものです。提供元の変更が相次いでいるため、検討時には最新の情報を確認してください。

  • IoTプラットフォームのメーカー別シェアを示す公的・業界団体のデータは存在しない(2026年9月22日時点)
  • ThingWorxは2026年3月16日にPTCから売却され、現在はVeloticの製品である
  • AWS IoT SiteWiseは本体こそ継続しているが、可視化層とエッジ処理層が新規受付を停止している

この記事でわかること

01

製造業向けIoTプラットフォームの主要メーカー10社【早見表】

IoTプラットフォームを手がけているのは、FA機器の大手だけではありません。総合電機、産業ソフトウェア専業、クラウド事業者、通信事業者が同じ分類に並びます。まずは全体像を一覧で押さえます。

  • 主要10社のうち、日本に本社を置くのは三菱電機・ファナック・日立製作所・東芝・ソラコムの5社
  • 主要10社のうち、完全にオンプレミスで動くのはファナックのFIELD system Basic Package
  • 主要10社のうち、この1年で提供元が変わったのはThingWorxの1製品

メーカー

本社

母体となる事業

製品

主な提供形態

Siemens AG

ドイツ・ベルリンおよびミュンヘン

FA機器・産業用ソフトウェア

Insights Hub(旧MindSphere)

クラウド

三菱電機株式会社

東京都千代田区

FA機器・総合電機

e-F@ctory

オンプレミスとクラウドの併用

ファナック株式会社

山梨県南都留郡忍野村

CNC・産業用ロボット

FIELD system Basic Package

オンプレミス

Schneider Electric SE

フランス・リュエイユマルメゾン

電機・エネルギー管理

EcoStruxure

クラウドとエッジ

株式会社日立製作所

東京都千代田区

社会インフラ・IT

Lumada/HMAX

公式に明示なし

株式会社東芝

神奈川県川崎市

社会インフラ・IT

Meister Factoryシリーズ

オンプレミスとクラウド

Velotic

米国マサチューセッツ州

産業用ソフトウェア

ThingWorx

公式に明示なし

Microsoft Corporation

米国ワシントン州

ソフトウェア・クラウド

Azure Digital Twins

クラウド

Amazon Web Services, Inc.

米国ワシントン州

クラウド

AWS IoT SiteWise

クラウドとエッジ

株式会社ソラコム

東京都港区

IoT通信

SORACOM

クラウド

担っている層が会社ごとに違う

同じ一覧に並んでいても、各社が担う範囲は揃っていません。ソラコムは通信回線を土台に、その上のネットワークとアプリケーション連携まで広げた構成です。

一方、Azure Digital Twinsはデジタルツインのモデリングとグラフの基盤で、デバイス管理とデータ取り込みは別のサービスが担います。横並びで機能を比べる前に、どこを担う製品かを揃える必要があります。

日本に本社を置く5社

三菱電機、ファナック、日立製作所、東芝、ソラコムが日本の会社です。このうちファナックのFIELD system Basic Packageは、パブリッククラウド上で動く記述がなく、工場内に置く専用機か仮想マシンで動きます。

海外勢のうちシーメンス、シュナイダー、Microsoft、AWSは日本法人を持ちます。Veloticについては、公式サイトに日本語の独立サイトや日本拠点の記載がありません。

クラウド事業者は契約主体に注意する

AWSの日本での契約主体は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社です。株式会社ではなく合同会社で、2022年2月1日から全顧客の契約主体になっています。

Microsoftの日本法人は日本マイクロソフト株式会社で、1986年2月設立、従業員3,230名です。契約や請求の窓口がどの法人かは、稟議の段階で確認しておく項目になります。

02

IoTプラットフォームのメーカー別シェアと市場規模

10社が並んだところで、どこが国内で最も使われているのかが気になります。ただしIoTプラットフォームにも、メーカー別のシェアを示すデータがありません。

  • 総務省・経済産業省・情報処理推進機構をはじめ7機関を確認したが、ベンダー別シェアの公表はない
  • 情報通信白書はスマートフォンや半導体ではシェア図表を載せているが、IoTだけは台数と導入率にとどまる
  • 富士経済の調査34品目には「IoTプラットフォーム」という区分自体が存在しない

公的機関にシェアの統計はない

総務省の情報通信白書、経済産業省のものづくり白書、情報処理推進機構のDX動向を確認しました。ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会、日本ロボット工業会、電子情報技術産業協会も同様です。いずれにもベンダー別シェアの公表はありません。

情報通信白書に載るIoT関連の図表は、世界のIoTデバイス数と企業の導入状況だけです。同じ白書がスマートフォンや半導体、クラウドインフラではベンダー別シェアの図表を載せていることと対照的です。

市場規模は分母がすべて違う

矢野経済研究所の工場デジタル化市場は、2024年度見込みで1兆8,420億円、2023年度実績で1兆7,670億円です。ユーザー企業がITベンダーへ発注した金額ベースで、プラットフォーム利用料を含みます。

富士経済のデジタルファクトリー関連世界市場は、2030年予測で12兆5,472億円です。ただしこれは34品目の合計で、内訳はPLM/PDMが7,850億円、MESが6,100億円といった構成になります。

IDCのアジア太平洋のIoT支出は2025年で2,410億米ドルですが、こちらは日本を除いた数値です。地域も集計基準も年度の区切りも揃わないため、これらの数値を並べて比較することはできません。

「製造業向けIoTプラットフォーム」という区分が存在しない

富士経済の調査対象34品目には、IoTプラットフォームという品目がありません。PLM/PDM、MES、SCADAといった個別の品目に分解されています。

つまり業界の公式な市場分類として、この括りがまだ確立していないということです。シェアが出てこない理由の一端は、ここにあります。

03

IoTプラットフォームは母体となる事業で3つに分かれる

順位で選べない以上、各社が何を母体としているかで整理するのが現実的です。母体の違いは、どこまで自社製品でまかなうかの違いになります。

  • FA機器メーカー発の製品は、自社の制御機器との組み合わせを前提に設計されている
  • 総合電機と産業ソフトウェア発の製品は、業種ごとのノウハウをソリューションとして束ねる
  • クラウドと通信発の製品は、機器を限定せず収集と基盤の提供に軸足を置く

FA機器メーカー発の4社

シーメンス、三菱電機、ファナック、シュナイダーエレクトリックがここに当たります。自社のPLCやCNC、サーボとの接続を前提に組まれており、既存設備と同じメーカーなら導入の敷居が下がります。

この4社は、現場機器から情報システムまでを層に分けて説明する点も共通しています。どの層に何を置くかという設計図が先にあり、そこに自社製品が並ぶ構造です。

総合電機と産業ソフトウェア発の3社

日立製作所、東芝、Veloticがここに入ります。特定の制御機器に縛られず、業種ごとの課題に合わせたソリューション群として提供する点が特徴です。

日立と東芝は、自社の工場やインフラ事業で使ってきた知見をそのまま製品名にしています。Veloticは2026年に発足した新しい会社で、旧GE Vernovaと旧PTCの製品群を引き継いでいます。

この先はグループごとに見る

ここからは10社を3つのグループに分けて、1社ずつ見ていきます。まずFA機器メーカー発の4社、次に総合電機と産業ソフトウェア発の3社、最後にクラウドと通信発の3社という順です。

各社の情報は、いずれも編集部が2026年9月22日に公式サイトで確認したものです。

04

FA機器メーカー発のIoTプラットフォーム4社

まずはFA機器を母体とする4社です。自社の制御機器との組み合わせが前提にある一方、他社機器への対応の広さには差があります。

  • シーメンスのInsights Hubは、接続用機器で13種類のプロトコルを設定できる
  • 三菱電機は製造現場のIoT化レベルを16マスで評価するSMKLという物差しを提示している
  • ファナックのFIELD system Basic Packageは、接続台数が5台から100台までのライセンス区分を持つ

Siemens AG(Insights Hub)

設備データの収集から文脈づけ、可視化、分析、アプリ化までを一気通貫で担うSaaSです。機能はInsights Hub OEEやEnergy Managerなどです。Asset Health & Maintenance、Quality Predictionも用意されています。

接続用のMindConnect IoT2050では、13種類のプロトコルを設定できます。S7、OPC UA、Modbus TCP、Rockwell、Sinumerik、IEC61850、MTConnect、BACnetなどです。ファナックのCNC向けのFanucFocasも設定対象に含まれます。

Insights Hub Start for Freeという無償枠があり、期間は無制限です。Asset Manager、Visual Flow Creator、Developer Cockpit、Insights Hub Monitorが含まれます。有償テナントへそのまま移行できます。なお資産数などの上限は公開されていません。

三菱電機株式会社(e-F@ctory)

単一の製品ではなく、FA製品群とソフトウェア、パートナー連携を束ねたソリューション体系です。生産現場、エッジコンピューティング、ITシステムという3階層で構成が示されています。

この会社で特徴的なのがSMKLという評価軸です。データ収集、見える化、観える化、診える化という4段階と、設備・作業者からサプライチェーンまでの4軸を掛け合わせ、16マスで現場のIoT化レベルを評価します。簡易判定ツールも提供されています。

自社製品の説明ではなく、現在地を測る物差しから入る点が他社と違います。パートナーはe-F@ctory Allianceとして1,000社を超えます。なおGENESISを開発するICONICSは、2025年4月1日に社名を変更しました。現在はMitsubishi Electric Iconics Digital Solutionsです。

ファナック株式会社(FIELD system Basic Package)

工場内に設置するオンプレミスのデータ活用基盤です。クラウドサービスではなく、専用機のFIELD BASE Proか、VMware ESXi上の仮想マシンで動きます。

データ入力はMTConnect、OPC UA、Modbus/TCP、REST-APIの4方式です。最短のデータ収集周期は自社製CNCのサーボデータで1ミリ秒、自社製ロボットで100ミリ秒、それ以外で500ミリ秒となっています。接続台数は5、10、20、30、50、70、100台のライセンス区分で、70台と100台は仮想マシン版のみです。

CNCプログラムのバックアップやマクロ変数の読み書きまで含む点が、工作機械メーカーらしい構成です。なお旧製品のMT-LINKiは開発を終了しており、この製品が後継にあたります。

Schneider Electric SE(EcoStruxure)

Connected Products、Edge Control、Apps・Analytics・Servicesという3層のアーキテクチャです。製造業向けはEcoStruxure Plant and Machineという領域が担当します。

展開済みのサイト数は480,000件以上、接続している機器は10億台超と公表されています。クラウド接続サービスはMicrosoft Azure IoTの技術を利用しています。Edge Control層にはEcoStruxure Automation ExpertやMachine Expertが並びます。

産業用ソフトウェアのAVEVAを傘下に持ち、2023年1月18日に完全子会社化を完了しました。2026年6月30日には、産業データ基盤のCogniteを31億米ドルの全額現金取引で取得する最終契約を発表しています。この買収は合意の段階で、完了はまだです。

05

総合電機と産業ソフトウェア発のIoTプラットフォーム3社

続いて、特定の制御機器に縛られない3社です。3社とも、この1〜2年で会社そのものや製品の位置づけが動いています。

  • 日立のLumadaは現在「価値創出の仕組み」と定義され、実体のソリューション群はHMAXが担う
  • 東芝のMeisterを提供していた東芝デジタルソリューションズは、2026年4月1日に東芝へ吸収合併された
  • ThingWorxは2026年3月16日にPTCからの売却が完了し、Veloticの製品になった

株式会社日立製作所(Lumada/HMAX)

2016年にIoTプラットフォームとして始まりましたが、現在の公式定義は「データから価値を創出するための日立のアプローチ」です。製品というより、事業区分でありKPIとして扱われています。

実体のソリューション群はHMAX by Hitachiが担います。製造業向けのHMAX Industryには、予兆診断的中率95%以上のBuilMiraiがあります。回答精度90%以上の産業機器運用・メンテナンス支援AIエージェントや、診断回答時間10秒以内の現場サポートAIナビも公開されています。

IRではLumada売上収益比率というKPIで管理されており、2025年度実績は40%、2027年度目標は50%です。長期目標はLumada 80-20として、売上収益比率80%と調整後EBITA率20%を掲げています。

株式会社東芝(Meister Factoryシリーズ)

収集のMeister IoT、蓄積のMeister DigitalTwin、活用のMeister Appsという3層で構成されます。クラウド版がMeister ManufactXで、部門や工場をまたぐ連携はMeister DigitalTwin Connectorが担います。

機能で目を引くのが5M1E見える化です。特定の工程を軸に、人・設備・材料・方法・測定・環境を時系列で並べて可視化し、原因究明を支援します。このほかトレーサビリティ、分析データ出力、設備見える化があり、基盤にはスケールアウト型データベースのGridDBを採用しています。

提供元は株式会社東芝です。長くこの製品を担ってきた東芝デジタルソリューションズ株式会社は、2026年4月1日に東芝へ吸収合併され、法人としては存在しません。

Velotic(ThingWorx)

産業データを接続して文脈づけ、リアルタイムに可視化し、アプリを素早く開発する基盤です。アプリケーションとしてThingWorx Connected Work Cellがあります。Real-time Production Performance MonitoringやDigital Performance Managementも並びます。

現場機器との接続は、同じポートフォリオのKepware Serverが担当します。Kepware Serverは150以上のプリビルトドライバを持ち、レガシーPLCから最新のPLC、DCSやSCADAまでを橋渡しします。現行バージョンはThingWorx 10.2です。

2026年に発足した独立系の会社で、TPGが出資しています。売上3億米ドル超、従業員1,200名超、27カ国で顧客8,000社超という規模です。旧GE VernovaのProficyと、旧PTCのKepwareとThingWorxを統合した構成になっています。

06

クラウド事業者と通信発のIoTプラットフォーム3社

最後に、クラウドと通信を母体とする3社です。機器を限定しない分、どこまでを自社で用意し、どこから他のサービスと組み合わせるかが分かれます。

  • AWS IoT SiteWiseは1ゲートウェイあたり最大100台のOPC UAサーバーを接続できる
  • Azure Digital Twinsはモデリングとグラフの基盤で、デバイス管理はIoT Hubが担う
  • ソラコムのIoT SIMは180を超える国と地域に対応し、提供回線数は700万回線以上である

Amazon Web Services, Inc.(AWS IoT SiteWise)

産業機器のデータを収集、保存、整理、監視するマネージドサービスです。取り込み、アセットモデル化、分析、可視化、保存、他サービス連携という6つのブロックで構成されます。

1つのゲートウェイに最大100台のOPC UAサーバーを接続できます。Modbus TCPとEtherNet/IPはDomaticaとのパートナーシップ経由で対応します。ストレージはHot、Warm、Coldの3階層で、Coldは顧客が管理するS3を使います。

注意が必要なのは提供状況です。本体は継続していますが、一部の機能が2025年11月7日から新規顧客の受付を停止しました。対象は可視化層のSiteWise Monitorと、エッジ処理のData Processing Packです。既存顧客は継続利用できます。

移行先としてはAmazon Managed Grafanaが案内されています。ただしアセット単位のアクセス制御がないという制約があります。

Microsoft Corporation(Azure Digital Twins)

環境全体をデジタルモデル化し、ツイングラフを作るPaaSです。モデル定義にはDTDLという言語を使い、現行はバージョン3になります。

デバイス管理とデータの取り込みはIoT Hubが担い、こちらはモデリング、グラフ、クエリを担当します。業界共通のオントロジとしてスマートビル、スマートシティ、エネルギーグリッドが用意されています。履歴はAzure Data Explorerと接続して自動で蓄積できます。

用途の列挙に工場は含まれますが、製造業専用のユースケースページや製造業向けのオントロジは用意されていません。なお提供終了のアナウンスは出ておらず、Microsoftのライフサイクルの2026年廃止リストにも含まれていません。

株式会社ソラコム(SORACOM)

IoT向けのデータ通信を土台に、ネットワークサービスとアプリケーション連携サービスを重ねた3層構成です。SORACOM AirのIoT SIMは180を超える国と地域に対応し、提供回線数は700万回線以上になります。

対応する通信規格は3G、LTE、LTE-M、5G、2G、NB-IoT、衛星通信です。SIMの形状はカード型、チップ型、iSIM、eSIMプロファイルから選べます。データ収集のHarvest、ダッシュボードのLagoon、ローコード開発のFluxなどが上の層に並びます。

製造業向けの公式ページがあり、予知保全、生産ラインの最適化、省人化、安全管理などを挙げています。2014年11月10日設立で、2017年にKDDIが子会社化し、2024年3月26日に東証グロースへ上場しました。plan-Dの初期費用は990円、基本料金は月385円です。

07

IoTプラットフォームで続く提供元と名称の変更

各社の顔ぶれが見えたところで、この分野でいま起きていることを押さえます。IoTプラットフォームは長く使う基盤ですが、この1〜2年で提供元と名称の変更が相次いでいます。

  • ThingWorxはPTCからTPGへ売却され、ptc.comの製品URLはvelotic.comへ転送される
  • MindSphereは旧名称で、現行はInsights Hubである
  • Edgecrossコンソーシアムは2026年3月31日に解散している

提供元が変わった製品がある

PTCは2025年11月5日にKepwareとThingWorxの事業をTPGへ譲渡する最終契約を発表し、2026年3月16日に完了しました。ptc.comのThingWorxのURLは、現在velotic.comへ転送されます。

ThingWorxをPTCの製品として紹介している資料は、現在の提供元と一致しません。問い合わせ先を間違えると検討そのものが進まないため、先に確認してください。

旧名称で流通している製品がある

シーメンスのMindSphereは旧名称で、現行はInsights Hubです。契約文書上の改称反映日は2023年4月26日ですが、ドキュメントサイトのドメインは今もmindsphere.ioのままです。

日立のLumada Data CatalogやLumada DataOps Suiteという名称も、現行の製品ページには存在しません。現在はPentahoブランドに統一されています。

枠組みそのものが終わった例もある

三菱電機のe-F@ctoryを説明する資料には、Edgecrossが構成要素として出てくることがあります。ただし一般社団法人Edgecrossコンソーシアムは2026年3月31日に解散しています。

現在のe-F@ctory公式ページと2025年10月版の総合カタログに、Edgecrossの記載はありません。構成要素として書かれた資料を見かけたら、いつ時点のものかを確認してください。

08

IoTプラットフォームを提供する会社が想定している企業規模

提供元の動きが見えたところで、次は各社がどの規模の現場を想定しているかです。編集部では製造業適合性スコアとして、製品ごとに5段階で評価しています。

  • 中堅・中小製造業との相性が5点なのは、SORACOMとAzure Digital Twinsの2製品
  • シーメンス、シュナイダー、日立、AWSの4製品は2点で、大規模を前提としている
  • 現場利用しやすさは三菱電機のe-F@ctoryが5点で最も高い

小さく始めやすい会社

中堅・中小製造業との相性は、予算やIT体制に対する導入の敷居を見る軸です。ソラコムのSORACOMとAzure Digital Twinsが5点で最も高くなっています。

どちらも回線1本、あるいは小さなモデル1つから始められる料金体系を持ちます。SORACOMの対象企業規模は中小から大手までをカバーしています。

大規模を想定している会社

シーメンスのInsights Hub、シュナイダーのEcoStruxure、日立のLumada、AWS IoT SiteWiseは2点です。シュナイダーと日立は、対象企業規模が大手のみとなっています。

これらは機能の優劣ではなく、想定している設備規模の差です。多拠点運用適合性ではシーメンス、Velotic、シュナイダー、日立、ソラコムが5点で並びます。

現場での使い勝手に差が出る

現場利用しやすさは、工場現場での端末操作やUIのしやすさを見る軸です。三菱電機のe-F@ctoryが5点で、10製品のなかで最も高くなっています。

VeloticのThingWorx、ファナック、SORACOMが4点で続きます。残る6製品は3点です。なおこのスコアは編集部の評価で、2026年9月時点の採点です。

09

IoTプラットフォームを調べるときの注意点

最後に、IoTプラットフォームのメーカーを調べるときに引っかかりやすい点をまとめます。この分野は用語の粒度が揃わず、提供元も名称も動きやすくなっています。

  • 本体の提供が続いていても、主要機能が新規受付を停止している場合がある
  • 公式サイト内で数値が食い違っている会社があるため、出典を確認する必要がある
  • バージョン番号として流通していても、公式には存在しない表記がある

「提供終了」と「機能の新規停止」を分けて見る

AWS IoT SiteWiseは、サービス本体の提供終了アナウンスを出していません。ただし可視化層のMonitorとエッジ処理のData Processing Packが、2025年11月7日から新規顧客の受付を停止しています。

新規に導入する立場では、可視化層が使えないことは大きな制約です。本体が続いているという情報だけで判断すると、検討が進んでから行き詰まります。

公式サイト内の食い違いに注意する

シュナイダーのEcoStruxure紹介ページは、本文で45,000以上の開発者とシステムインテグレーターとしています。一方で同じページのFAQは、20,000人を超えるシステムインテグレータとしています。

三菱電機のGENESISも、製品ページはGENESIS、e-F@ctory紹介ページはGENESIS64と表記が混在します。数値や製品名を引用するときは、どのページを見ているかを明示してください。

公式にないバージョン表記を使わない

日立の統合報告書にはLumada 3.0という表記があり、ドメインナレッジで強化したAIを活用してLumadaを進化させたものと定義されています。一方、Lumada 1.0やLumada 2.0という表記は公式資料に見当たりません。

ファナックも同様で、正式名称はFIELD system Basic Packageです。単独のFIELD systemという商品ページは存在せず、旧URLは自動転送されます。

10

まとめ|IoTプラットフォームメーカーの全体像

製造業向けIoTプラットフォームは、FA機器メーカー発の4社、総合電機と産業ソフトウェア発の3社、クラウドと通信発の3社という構成の分野です。担っている層が揃っていないため、母体の違いを押さえずに機能だけを並べると比較になりません。

メーカー別のシェアは公表されていないため、ランキングで選ぶことはできません。そもそも業界の市場分類に「製造業向けIoTプラットフォーム」という区分が確立しておらず、統計でも個別品目に分解されています。

すでに同じメーカーの制御機器を使っているならFA機器メーカー発、業種の課題ごとに任せたいなら総合電機発、小さく始めたいならクラウドと通信発が起点です。ただしこの1〜2年は提供元と名称の変更が続いているため、問い合わせ先の確認を先に済ませてください。

なお本記事の各社の情報は、編集部が2026年9月22日に各社の公式サイトとプレスリリース、IR資料で確認したものです。市場規模の数値は、矢野経済研究所、富士経済、IDCの各公表資料によります。

製造業向けIoTプラットフォーム比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
日立 Lumada ロゴ
日立 Lumada株式会社日立製作所要見積もり2024年度売上3兆円超。IT×OT協創モデル詳細を見る
三菱電機 e-F@ctory ロゴ
三菱電機 e-F@ctory三菱電機株式会社要見積もり約130社・5,200件超導入。Alliance約300社詳細を見る
ThingWorx(旧 PTC ThingWorx) ロゴ
ThingWorx(旧 PTC ThingWorx)PTC Inc.サブスクリプションIIoTプラットフォーム世界シェア約31%詳細を見る
FANUC FIELD system ロゴ
FANUC FIELD systemファナック株式会社要見積もりEdge Heavy思想。CNC・ロボットに最適なIoT詳細を見る
東芝 Meister Factoryシリーズ ロゴ
東芝 Meister Factoryシリーズ株式会社東芝要見積もり統合データモデル「Meister DigitalTwin」でCPS実現詳細を見る
Microsoft Azure Digital Twins ロゴ
Microsoft Azure Digital TwinsMicrosoft Corporationサブスクリプション従量課金制で参入障壁最低。DTDL標準詳細を見る
Siemens Insights Hub(旧MindSphere) ロゴ
Siemens Insights Hub(旧MindSphere)シーメンス株式会社サブスクリプションXceleratorエコシステム統合のIoTプラットフォーム詳細を見る
Schneider Electric EcoStruxure ロゴ
Schneider Electric EcoStruxureシュナイダーエレクトリック株式会社サブスクリプション480,000台超導入。エネルギー管理に圧倒的強み詳細を見る
AWS IoT SiteWise ロゴ
AWS IoT SiteWiseAmazon Web Services (AWS)サブスクリプション産業データの大規模収集・整理・監視詳細を見る
SORACOM ロゴ
SORACOM株式会社ソラコムサブスクリプションIoT SIM 1日10円〜。500万回線超のIoT通信基盤詳細を見る

よくある質問

Q製造業向けIoTプラットフォームの主要メーカーはどこですか?
A

FA機器を母体とするのがSiemens AG(Insights Hub)、三菱電機株式会社(e-F@ctory)、ファナック株式会社(FIELD system Basic Package)、Schneider Electric SE(EcoStruxure)の4社です。総合電機と産業ソフトウェアを母体とするのが株式会社日立製作所(Lumada/HMAX)、株式会社東芝(Meister Factoryシリーズ)、Velotic(ThingWorx)の3社です。クラウドと通信を母体とするのがMicrosoft Corporation(Azure Digital Twins)、Amazon Web Services, Inc.(AWS IoT SiteWise)、株式会社ソラコム(SORACOM)の3社になります。

QIoTプラットフォームのメーカー別シェアはどこで分かりますか?
A

メーカー別シェアを示す公的・業界団体のデータはありません。総務省の情報通信白書、経済産業省のものづくり白書、情報処理推進機構のDX動向、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会、日本ロボット工業会、電子情報技術産業協会のいずれにも公表がありません。情報通信白書はスマートフォンや半導体、クラウドインフラではベンダー別シェアの図表を載せていますが、IoTだけは台数と導入率にとどまります。調査会社の公開プレスリリースにも記載はありません。

QThingWorxはPTCの製品ではないのですか?
A

提供元が変わっています。PTCは2025年11月5日にKepwareとThingWorxの事業をTPGへ譲渡する最終契約を発表し、2026年3月16日に完了しました。現在はTPGが出資する独立系のVeloticが提供しています。ptc.comのThingWorxのURLはvelotic.comへ転送されます。VeloticはGE Vernovaの旧Proficy事業も引き継いでおり、売上3億米ドル超、従業員1,200名超、顧客8,000社超という規模です。

QAWS IoT SiteWiseは使えなくなるのですか?
A

本体は継続しています。ただし可視化層のSiteWise Monitorと、エッジ処理のSiteWise Edge Data Processing Packが、2025年11月7日から新規顧客の受付を停止しました。公式アナウンスは2025年10月13日です。既存顧客は継続利用できますが、新規に導入する場合は可視化層が使えません。移行先としてAmazon Managed Grafanaが案内されていますが、アセット単位のアクセス制御がないという制約があります。

QIoTプラットフォームの市場規模はどれくらいですか?
A

「製造業向けIoTプラットフォーム」に限定した市場規模の統計は存在しません。近い数値として、矢野経済研究所の工場デジタル化市場が2024年度見込みで1兆8,420億円、2023年度実績で1兆7,670億円です。これはユーザー企業がITベンダーへ発注した金額ベースで、プラットフォーム利用料を含みます。富士経済のデジタルファクトリー関連世界市場は2030年予測で12兆5,472億円ですが、34品目の合計値です。地域も集計基準も揃わないため、これらを並べて比較することはできません。

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