AI外観検査のメーカー9社の特徴|シェアの実態と母体となる事業の違い
AI外観検査の主要メーカー9社がどんな会社なのかを1社ずつ整理した記事。メーカー別シェアは調査会社も公的機関も公表しておらず、検索上位に出る「注目ランキング」は市場シェアではない。FA機器メーカー発の4社、マシンビジョン専業と研究所発の2社、AIスタートアップ発の3社という構成と、学習枚数や検出精度の数値に付く条件までまとめる。

AI外観検査のメーカーを調べると、キーエンスやオムロンのようなFA機器の大手から、設立数年のAIスタートアップまで並びます。母体となる事業が違うため、どこまでを製品として提供するかも変わります。
この記事では、主要9社がどんな会社なのかを1社ずつ見ていきます。よく検索されるシェアの実態、各社の母体、製品ラインアップの動きまでを会社単位で整理します。
記載内容は、各社の公式サイトと公式カタログ、公式のプレスリリースを、編集部が2026年9月22日に確認したものです。学習に必要な枚数などの数値は、公式が示している条件と合わせて記載しています。
- AI外観検査のメーカー別シェアを示す公的・業界団体・調査会社のデータは存在しない(2026年9月22日時点)
- 検索上位に出る「注目ランキング◯%」は第三者サイトの閲覧度指標で、市場シェアではない
- コグネックスのIn-Sight D900は、現行の2Dビジョンシステム一覧に掲載されていない
この記事でわかること
AI外観検査の主要メーカー9社【早見表】
AI外観検査を手がけているのは、画像処理機器の大手だけではありません。研究所発のソフトウェア会社や、独自のAI技術を持つスタートアップも参入しています。まずは全体像を一覧で押さえます。
- 主要9社のうち、日本に本社を置くのは三菱電機・キーエンス・オムロン・CKD・システム計画研究所・MENOU・VRAIN Solution・HACARUSの8社
- 主要9社のうち、上場しているのは三菱電機・キーエンス・オムロン・CKD・VRAIN Solution・コグネックスの6社
- 主要9社のうち、設立が2010年代以降なのはMENOUとVRAIN Solutionの2社
メーカー | 本社 | 母体となる事業 | 製品 | 設立 |
|---|---|---|---|---|
三菱電機株式会社 | 東京都千代田区 | FA機器・総合電機 | MELSOFT VIXIO | 1921年 |
株式会社キーエンス | 大阪市東淀川区 | センサ・計測機器 | VSシリーズ/IVシリーズ | 1974年 |
オムロン株式会社 | 京都市下京区 | FA機器・制御機器 | FHシリーズ AI機能 | 1948年 |
CKD株式会社 | 愛知県小牧市 | 空気圧制御機器・自動機械 | Facilea/Facilea AI | 1943年 |
Cognex Corporation | 米国マサチューセッツ州 | マシンビジョン専業 | VisionPro Deep Learning | 公式に明示なし |
株式会社システム計画研究所 | 東京都渋谷区 | 研究所発のソフトウェア開発 | gLupe | 1977年 |
株式会社MENOU | 東京都中央区 | AIスタートアップ | 検査AI MENOU | 2019年 |
株式会社VRAIN Solution | 東京都中央区 | 製造業向けAI | Phoenix Vision/Phoenix Eye | 2020年 |
株式会社HACARUS | 京都市中京区 | AIスタートアップ | HACARUS Check ZERO | 2014年 |
提供する範囲が会社ごとに違う
同じ一覧に並んでいても、製品として提供する範囲は揃っていません。オムロンとキーエンスはコントローラやカメラを含むシステムとして提供します。
三菱電機のMELSOFT VIXIOとコグネックスのVisionPro Deep Learningはソフトウェア単体です。MENOUはソフトウェアが主ですが、カメラ・レンズ・照明・治具を統合した撮像ソリューションまで掲げています。
スタートアップ3社の位置づけ
MENOU、VRAIN Solution、HACARUSの3社は、AIそのものを軸にした会社です。MENOUは2019年6月設立で資本金1億円、HACARUSは2014年設立で京都市に本社を置きます。
VRAIN Solutionは2020年3月16日設立で、東証グロースに上場しています。HACARUSは法人株主として大阪ガス、三菱電機、ダイキン工業など14社以上を公式に掲載しています。
1社だけ製品の性質が違う
CKDのFacileaは、外観検査装置ではなく画像処理のビジュアルプログラミングツールです。ブロックを積み重ねてプログラムを作る仕組みで、AI機能はFacilea AIとして別製品になっています。
外観検査の用途に使えますが、検査装置として他社と横並びに比べると製品の性質を誤って捉えることになります。
AI外観検査のメーカー別シェアと市場規模
9社が並んだところで、どこが最も使われているのかが気になります。ただしAI外観検査にも、メーカー別のシェアを示すデータがありません。
- 富士経済と矢野経済研究所の公開プレスリリースに、メーカー別シェアの記載はない
- 経済産業省の生産動態統計に、外観検査装置や画像処理装置に相当する品目が確認できない
- ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェアの世界市場は、2029年予測で657億円
調査会社もシェアを出していない
富士経済の画像処理システム市場に関するプレスリリースは、2024年版から2026年版まで確認しました。掲載されているのは地域別の内訳までで、メーカー別シェアはありません。
矢野経済研究所のFAカメラ/マシンビジョン世界市場のプレスリリースも同様です。経済産業省の生産動態統計にも、外観検査装置や画像処理装置に相当する品目は見当たりません。
検索で見かける「ランキング」はシェアではない
この分野を検索すると、企業データベース系のサイトが上位に並びます。そこに出てくる「注目ランキング」の数値は、そのサイトが独自に算出した注目度や閲覧度の指標です。
市場シェアではありません。比較記事のなかにはこの数値を引用しているものもありますが、どの会社がどれだけ売っているかを示すものではないため、選定の根拠にはできません。
市場規模は画像処理システム全体で見る
富士経済の2026年版調査では、画像処理システムの単体機器の世界市場が2025年実績で7,978億円です。ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェアは、2029年予測で657億円となっています。
この657億円は2025年比で187.2%の伸びという予測です。市場としては小さいものの、伸び率では画像処理システムのなかでも高い部類に入ります。
AI外観検査のメーカーは母体となる事業で分かれる
順位で選べない以上、各社が何を母体としているかで整理するのが現実的です。母体の違いは、既存の設備とどうつなぐかの前提を変えます。
- FA機器メーカー発の製品は、自社のPLCやコントローラとの接続を前提に設計されている
- マシンビジョン専業と研究所発の会社は、既存の画像処理システムへのAI追加も想定する
- AIスタートアップ発の会社は、学習と運用のしやすさを製品の軸に置く
FA機器メーカー発の4社
三菱電機、キーエンス、オムロン、CKDがここに当たります。自社のシーケンサやコントローラとの接続が前提にあり、既存設備と同じメーカーなら信号のやり取りで悩みにくい構成です。
この4社は、AIとルールベースの処理を同じ検査フローで扱える点も共通しています。AIですべてを判定するのではなく、寸法や文字はルールベースで処理する設計です。
専業とスタートアップの5社
コグネックスとシステム計画研究所は、画像処理そのものを本業としてきた会社です。gLupeはキーエンスの画像処理システムとの連携にも対応します。
MENOU、VRAIN Solution、HACARUSの3社は、学習させる手間をどう減らすかを製品の軸にしています。少ない枚数で学習できることや、専門知識なしで操作できることを前面に出しています。
この先はグループごとに見る
ここからは9社を3つのグループに分けて、1社ずつ見ていきます。まずFA機器メーカー発の4社、次にマシンビジョン専業と研究所発の2社、最後にAIスタートアップ発の3社という順です。
各社の情報は、いずれも編集部が2026年9月22日に公式サイトと公式カタログで確認したものです。
FA機器メーカー発のAI外観検査4社
まずはFA機器を母体とする4社です。既存のラインに組み込むことを前提にしており、接続方式や対応機種が型番レベルで公開されています。
- 三菱電機のMELSOFT VIXIOは、良品学習であればGPUが不要だと明記している
- オムロンのAI欠陥学習検査が使えるのは、コントローラ2機種に限られる
- CKDのFacilea AIは、学習枚数の上限を30枚以内として購入前サポートの条件に示している
三菱電機株式会社(MELSOFT VIXIO)
外観検査ソフトウェアで、良品学習と異常箇所学習の2つの方式を持ちます。良品学習は良品の特徴を覚えて「いつもと違う」を検出するため、想定していない不良にも反応します。異常箇所学習は不良品画像1枚からでもモデルを生成できます。
産業用カメラはGigE VisionのVer.2.0とGenICamのVer.3.2.0に準拠したものが使えます。1台のPCにカメラ8台、シーケンサ4台まで接続でき、タスクは4つまで同時実行できます。アクセスできるのはMELSEC iQ-R、iQ-F、Q、Lの各シリーズです。
導入の敷居を下げる材料が複数あります。良品学習AIのみを使う場合はGPUが不要だと明記されており、2か月の開発ライセンスは198,000円です。インストーラには30日間使えるテンポラリライセンスが付き、東京・名古屋・大阪・広島・福岡のテストラボは無料で利用できます。
株式会社キーエンス(VSシリーズ/IVシリーズ)
VSシリーズはAIと光学ズームを搭載したビジョンシステムです。不良品学習AIと良品学習AIを持ち、ZoomTraxという光学ズームによってレンズの選定も交換も不要だとしています。
IV4シリーズはAI搭載の画像センサです。1クリックで10,000通り以上の撮像条件から特徴が際立つ推奨画像を自動抽出します。画像1枚を登録するだけの学習サーチと、文字を学習する学習OCRを備えます。
学習枚数について具体的な数字を出している点が特徴です。公式の解説では、学習には最低でも数十枚のOKとNGの画像が必要だとしたうえで、同社の特殊撮像技術を使えば20枚での構築も可能だとしています。この20枚は従来手法の1000枚との対比として示された数値です。テスト機の無償貸し出しと、画像処理ラボの無償利用も用意されています。
オムロン株式会社(FHシリーズ AI機能)
画像処理システムのFHシリーズに、AI機能を追加する構成です。AI機能は3種類あり、それぞれ必要なものと対応コントローラが違います。
AI欠陥学習検査は別売のソフトインストーラが必要で、対応するのはFH-5552とFH-5551の2機種のみです。AIキズ抽出フィルタも別売ソフトが要ります。AIファインマッチングだけは追加ソフト不要で、FHシリーズ全機種で使えます。
過検出がゼロになるよう自動調整するという説明には注記が付いており、これは事前学習用に格納した全サンプル画像に対する検出率を指します。接続はEtherCATでNJ/NXシリーズと組み合わせ、統合開発環境はSysmac Studioです。カメラは最大2040万画素で、可視光から1,700ナノメートルまで見えるSWIRカメラも用意されています。
CKD株式会社(Facilea/Facilea AI)
Facileaは画像処理のビジュアルプログラミングツールです。ブロックを積み重ねてプログラムを作り、最大100のプログラムフローを組めます。複数カメラの接続と、PLCやロボット、アクチュエータとの外部連携に対応します。
AI機能はFacilea AIという別製品です。ノーコードで学習でき、機能は画像ごとにラベルを分ける分類と、領域ごとにラベルを分けるセグメンテーションの2つです。購入前サポートの条件として学習枚数の目安が示されており、セグメンテーションは3ラベル以内で30枚以内、分類は1種類あたり5枚以上で30枚以内となっています。
Facileaは2020年5月12日発売で希望小売価格98,000円、Facilea AIは2024年1月31日発売で690,000円です。Facilea AIの動作環境はNVIDIA GeForce RTXの50、40、30シリーズが指定されています。無償サンプル配布もありますが、同業他社からの申し込みは断る場合があるとしています。
マシンビジョン専業と研究所発の外観検査メーカー2社
続いて、画像処理そのものを本業としてきた2社です。どちらも既存の検査システムにAIを足す使い方を想定しています。
- コグネックスのVisionPro Deep Learningは、クラスごとに数枚で学習する少ないサンプルモードを持つ
- gLupeは不良箇所とそれ以外を大雑把にマーキングするだけで学習できる
- gLupeは2026年7月14日にIntel CPUのみでの動作に対応した
Cognex Corporation(VisionPro Deep Learning)
AIを使ったPCベースの画像解析ソフトウェアです。ツールは4つに分かれます。位置決めやカウントのBlue Locateと、欠陥検出とセグメンテーションのRed Analyzeです。残る2つは分類のGreen Classifyと、文字認識のBlue Readになります。
学習の負荷を下げる仕組みとして、少ないサンプルモードとロバストモードがあります。少ないサンプルモードはクラスごとにわずか数枚の画像で結果を出し、ロバストモードはカメラの傾きや照明の変動、ホワイトバランスのずれに対応します。
ナスダックに上場するマシンビジョン専業のメーカーで、取得または出願した特許は1,400件以上です。なお同社のIn-Sight D900については、現行の2Dビジョンシステム一覧に掲載がありません。この点は後半のセクションで扱います。
株式会社システム計画研究所(gLupe)
独自のAI技術による画像検査ソフトウェアです。ラインアップはPC検査装置のgLupe Inspectorと小型のgLupe miniです。ほかに検査結果を集計・分析するgLupe Monitorと、開発キットのSDKがあります。
学習の操作が簡単な点を前面に出しています。不良箇所とそれ以外の場所を大雑把にマーキングするだけで、機械学習の知識がなくても検査AIを構築できるとしています。不良品サンプルが1つあれば試せるうえ、1枚の画像内にある複数の傷を使って学習と評価ができます。
キーエンスのVJシリーズ、XG-X、CV-Xといった画像処理システムと連携でき、判定結果をPLCに書き込めます。2025年5月13日に良品学習機能が追加され、2026年7月14日にはIntel CPUのみでの動作に対応しました。1977年11月10日設立、従業員132名の研究所発のソフトウェア会社です。
AIスタートアップ発の外観検査メーカー3社
最後に、AIそのものを軸とする3社です。3社とも学習の手間をどう減らすかを製品の中心に据えていますが、アプローチが分かれます。
- MENOUは画像生成AIで欠陥画像を作り、サンプルが足りない状況に対応する
- VRAIN Solutionはモデルを作るソフトと現場で検査するソフトを分けている
- HACARUSはスパースモデリングを源流とする独自AIで、少量の良品のみから学習する
株式会社MENOU(検査AI MENOU)
検査項目をブロック化し、フローチャートで組み立てる構成です。学習の操作は画像の不良箇所を赤く塗るマウス操作で、外部の入出力機器やPLCとの連携設定もノーコードで済みます。
欠陥サンプルが集まらない場合への備えとして、画像生成AIで欠陥画像を生成する機能を持ちます。不良品学習だけでなく良品学習にも対応し、不良の難易度が簡単な場合に有効だとしています。ラインアップは検査AI MENOUのほか、品質管理向けのMENOU-QCと、推論エンジンを提供するMENOU-SDKです。
ソフトウェアだけでなく、カメラ・レンズ・照明・治具を統合した撮像ソリューションまで手がけます。2019年6月設立で資本金1億円、本社は東京都中央区日本橋本石町です。
株式会社VRAIN Solution(Phoenix Vision/Phoenix Eye)
モデルを作る側と現場で使う側でソフトを分けています。Phoenix VisionはアノテーションからAIモデルの構築、検証までを担当し、検出方法として分類、検出、領域抽出、良品学習の4種類を持ちます。
Phoenix Eyeは現場で検査を実行するソフトです。独自開発のAIアルゴリズムとルールベースを併用するハイブリッド検査で、カメラやPLCなどの現場設備と直接接続することもできます。このほか異音振動検査のPhoenix Analyzerも持ちます。
導入前の無料ワークテストを用意しています。現場確認から製品の撮像、AI検査モデルの検証、複数モデルの比較検討、報告書と説明までを無料でサポートするという内容です。2020年3月16日設立で、東証グロースに上場しています。
株式会社HACARUS(HACARUS Check ZERO)
スパースモデリングを源流とした独自のAIにより、少量の良品のみで学習して短時間で立ち上げられる点を掲げています。英語版の説明では、数十枚の良品画像で足りるとしています。
ソフトウェアをセットアップ済みのPCとして提供します。ロボット連携モデルも用意されています。i-WRIST、VTV-9000、三菱電機のMELFA FRシリーズ、ファナックのCRXシリーズ、デンソーウェーブのCOBOTTAシリーズに対応します。
公式サイトに価格を掲載している数少ない会社です。構成は1,980,000円、3,500,000円、6,000,000円の3段階になっています。2022年3月28日のプレスリリースでは、鋳造品やプレス加工品などの複雑な形状の立体物について、全方位から0.1ミリの不具合まで検出できるとしています。
AI外観検査で注意したい製品ラインアップの動き
各社の顔ぶれが見えたところで、製品側で起きている動きを押さえます。外観検査の設備は長く使うため、生産中止や一覧からの消失は確認しておきたい情報です。
- コグネックスのIn-Sight D900は、現行の2Dビジョンシステム一覧に掲載されていない
- オムロンのFH-5552とFH-5551は、公式に生産中止予定と注記されている
- 生産中止予定のこの2機種が、AI欠陥学習検査に対応する唯一のコントローラである
現行一覧から外れた製品がある
コグネックスのIn-Sight D900は、ディープラーニングを載せたビジョンシステムです。ただし製品ページは2Dビジョンシステムのカテゴリページへ転送され、現行の一覧には掲載されていません。
一方でサポートサイトには製品ページが残り、ソフトのIn-Sight ViDiはバージョン1.9.1が2025年6月4日にリリースされています。生産終了の公式アナウンスは見当たりませんが、現行製品として扱うと実態とずれます。
生産中止予定の機種がAI機能の対応機種になっている
オムロンのFH-5552とFH-5551は、公式サイトに生産中止予定と注記され、代替機種としてFH-5053系が案内されています。この2機種は、AI欠陥学習検査に対応する唯一のコントローラでもあります。
代替機種でAI欠陥学習検査が使えるかは、公式の対応表で確認する必要があります。長く使う設備なので、対応機種と生産計画の両方を見てから決めてください。
製品の種類が違うものが同じ一覧に並ぶ
CKDのFacileaは画像処理のビジュアルプログラミングツールで、外観検査装置ではありません。用途としては外観検査に使えますが、コントローラとカメラを含むシステムとは製品の性質が違います。
ソフトウェア単体、システム一式、セットアップ済みPCと、提供される形が会社ごとに異なります。見積もりを取る前に、何が含まれて何が別途必要かを揃えて確認してください。
AI外観検査のメーカーが想定している企業規模
製品の動きが見えたところで、次は各社がどの規模の現場を想定しているかです。編集部では製造業適合性スコアとして、製品ごとに5段階で評価しています。
- 中堅・中小製造業との相性が5点なのは、MENOUの検査AI MENOU
- キーエンスとHACARUSが4点で続き、コグネックスの2製品は2点である
- 品質管理適合性は10製品中8製品が5点で、この分野では差がつきにくい
小さく始めやすい会社
中堅・中小製造業との相性は、予算や体制に対する導入の敷居を見る軸です。MENOUの検査AI MENOUが5点で最も高くなっています。
キーエンスのVSシリーズとIVシリーズ、HACARUS Checkが4点で続きます。この3製品は対象企業規模も中小から大手までをカバーしています。
中堅・大手を想定している会社
コグネックスのVisionPro Deep LearningとIn-Sight D900は2点です。三菱電機、gLupe、VRAIN Solution、オムロン、CKDが3点で、いずれも対象企業規模は中堅と大手になります。
これは機能の優劣ではなく、想定しているライン規模と体制の差です。多拠点運用適合性ではVisionPro Deep Learningが5点で最も高くなります。
品質管理では差がつきにくい
品質管理適合性は、検査や記録の作り込みやすさを見る軸です。この分野では10製品中8製品が5点で、CKDとIn-Sight D900のみ4点です。
つまり品質管理の軸では会社選びの決め手になりません。現場利用しやすさではMENOU、キーエンス、オムロンが5点で並びます。なおこのスコアは編集部の評価で、2026年9月時点の採点です。
AI外観検査を調べるときの注意点
最後に、AI外観検査のメーカーを調べるときに引っかかりやすい点をまとめます。この分野は数値が独り歩きしやすく、条件を落とすと誤解につながります。
- 学習枚数や検出精度の数値には、公式が付けている条件がある
- 検索上位の比較記事が引用している「ランキング%」は市場シェアではない
- 無償と明記されている制度と、問い合わせ導線だけの制度が混在している
数値は条件とセットで見る
オムロンの過検出ゼロは、事前学習用に格納した全サンプル画像に対する検出率という注記が付きます。キーエンスの20枚は、特殊撮像技術を使ったうえで従来手法の1000枚と対比した数値です。
HACARUSの0.1ミリは、鋳造品やプレス加工品などの複雑な形状の立体物を全方位から検出した場合の話です。三菱電機の約10秒は良品学習の場合で、測定に使ったPCの条件は示されていません。条件を落として数値だけを比べると、実際の現場では再現しません。
ランキングをシェアと読み替えない
企業データベース系のサイトが出す「注目ランキング」の数値は、そのサイトの閲覧度や注目度に基づく指標です。市場シェアではありません。
比較記事のなかにはこの数値をそのまま引用しているものがありますが、選定の根拠にはできません。調査会社も公的機関も、この分野のメーカー別シェアを公表していないのが実態です。
無償制度の中身を確かめる
無料と明記されているのは、三菱電機のテストラボと30日間のテンポラリライセンス、キーエンスのテスト機無償貸し出しと画像処理ラボです。VRAIN Solutionの無料ワークテストと、gLupeの無料AI検証も該当します。
一方、MENOUとHACARUS、コグネックスについては無料という明示が確認できませんでした。お試しの導線があっても、費用がかかる場合があります。申し込む前に条件を確認してください。
まとめ|AI外観検査メーカーの全体像
AI外観検査は、FA機器メーカー発の4社、マシンビジョン専業と研究所発の2社、AIスタートアップ発の3社という構成の分野です。母体の違いが、提供される範囲と既存設備とのつなぎ方の違いになります。
メーカー別のシェアは公表されていないため、ランキングで選ぶことはできません。検索上位に出る「注目ランキング」も市場シェアではないため、判断の材料にはなりません。
すでに同じメーカーのシーケンサを使っているならFA機器メーカー発、既存の画像処理システムにAIを足したいなら専業と研究所発が起点です。学習用のサンプルが集まらない状況なら、少ない枚数での学習や画像生成に対応する会社を先に当たってください。
なお本記事の各社の情報は、編集部が2026年9月22日に各社の公式サイトと公式カタログ、プレスリリースで確認したものです。市場規模の数値は富士経済の公表資料によります。
AI外観検査・画像検査システムのおすすめ製品
Cognex In-Sight D900
コグネックス株式会社
AI一体型スマートビジョン検査機
キーエンス 画像処理システム VSシリーズ/画像センサ IVシリーズ
株式会社キーエンス
ハードからソフトまでトータル提供のAI外観検査
MELSOFT VIXIO
三菱電機株式会社
三菱電機FA機器群とシームレス連携のAI外観検査
MENOU(MENOU-TE / MENOU-RN)
株式会社MENOU
ノーコードAI画像検査。少量画像で内製化を実現
OMRON FHシリーズ AI
オムロン株式会社
欠陥抽出AI搭載。熟練者の感性を再現
HACARUS Check
株式会社HACARUS
スパースモデリングで少量データAI検査
AI外観検査・画像検査システム比較表
| ロゴ | 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|---|
| Cognex In-Sight D900 | コグネックス株式会社 | 要見積もり | AI一体型スマートビジョン検査機 | 詳細を見る | |
| キーエンス 画像処理システム VSシリーズ/画像センサ IVシリーズ | 株式会社キーエンス | オンプレミス | ハードからソフトまでトータル提供のAI外観検査 | 詳細を見る | |
| MELSOFT VIXIO | 三菱電機株式会社 | 要見積もり | 三菱電機FA機器群とシームレス連携のAI外観検査 | 詳細を見る | |
| MENOU(MENOU-TE / MENOU-RN) | 株式会社MENOU | 要見積もり | ノーコードAI画像検査。少量画像で内製化を実現 | 詳細を見る | |
| OMRON FHシリーズ AI | オムロン株式会社 | オンプレミス | 欠陥抽出AI搭載。熟練者の感性を再現 | 詳細を見る | |
| HACARUS Check | 株式会社HACARUS | 要見積もり | スパースモデリングで少量データAI検査 | 詳細を見る | |
| VisionPro Deep Learning(ViDi) | コグネックス株式会社 | オンプレミス | FA用世界初のディープラーニング画像解析 | 詳細を見る | |
| Facilea / Facilea AI(CKD) | CKD株式会社 | 要見積もり | 傷・打痕の検出や部品判定を行う画像処理・外観検査AIツール | 詳細を見る | |
| Phoenix Vision / Eye | 株式会社VRAIN Solution | オンプレミス | 4種AIアルゴリズム使い分け。リピート率90%以上 | 詳細を見る | |
| gLupe | 株式会社システム計画研究所 | オンプレミス | 不良画像1枚で学習。立体物・大型部品に強いAI検査SDK | 詳細を見る |
よくある質問
QAI外観検査の主要メーカーはどこですか?
FA機器を母体とするのが三菱電機株式会社(MELSOFT VIXIO)、株式会社キーエンス(VSシリーズ/IVシリーズ)、オムロン株式会社(FHシリーズ AI機能)、CKD株式会社(Facilea/Facilea AI)の4社です。画像処理を本業としてきたのがCognex Corporation(VisionPro Deep Learning)と株式会社システム計画研究所(gLupe)の2社です。AIを軸とするのが株式会社MENOU、株式会社VRAIN Solution、株式会社HACARUSの3社になります。
QAI外観検査のメーカー別シェアはどこで分かりますか?
メーカー別シェアを示すデータはありません。富士経済の画像処理システム市場に関するプレスリリースは2024年版から2026年版まで確認しましたが、掲載は地域別の内訳までです。矢野経済研究所のFAカメラ/マシンビジョン世界市場のプレスリリースにも記載がなく、経済産業省の生産動態統計にも該当する品目がありません。検索上位に出る企業データベース系サイトの「注目ランキング◯%」は、そのサイトが独自に算出した注目度や閲覧度の指標であり、市場シェアではありません。
QAI外観検査は何枚の画像から学習できますか?
会社によって条件が違うため、数値は条件とセットで見る必要があります。三菱電機のMELSOFT VIXIOは異常箇所学習で不良品画像1枚からモデルを生成でき、良品学習なら約10秒でモデルが作れるとしています。gLupeは不良品サンプルが1つあれば試せるとしています。キーエンスは最低でも数十枚のOKとNGの画像が必要としたうえで、同社の特殊撮像技術を使えば20枚での構築も可能としており、これは従来手法の1000枚との対比です。CKDのFacilea AIは購入前サポートの条件として30枚以内を目安に示しています。
QAI外観検査の無料トライアルはありますか?
無料と明記されているものと、そうでないものが混在します。三菱電機は東京・名古屋・大阪・広島・福岡のテストラボが無料で、インストーラには30日間のテンポラリライセンスが付きます。キーエンスはテスト機の無償貸し出しと画像処理ラボの無償利用を掲げています。VRAIN Solutionの無料ワークテストと、gLupeの無料AI検証も該当します。一方、MENOU、HACARUS、コグネックスについては無料という明示が確認できませんでした。お試しの導線があっても費用がかかる場合があるため、申し込む前に条件を確認してください。
QAI外観検査のメーカーを調べるときに注意する点はありますか?
製品ラインアップの動きです。コグネックスのIn-Sight D900は、製品ページが2Dビジョンシステムのカテゴリページへ転送され、現行の一覧に掲載されていません。オムロンのFH-5552とFH-5551は公式に生産中止予定と注記されており、この2機種がAI欠陥学習検査に対応する唯一のコントローラです。またCKDのFacileaは外観検査装置ではなく画像処理のビジュアルプログラミングツールで、コントローラとカメラを含むシステムとは製品の性質が違います。
