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導入事例#流体解析#CFD#導入事例

流体解析ソフトの導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

流体解析ソフト(CFD)の導入事例を業種別に整理した記事。二輪・自動車、建設機械、プラント、電子部品の各分野で、メーカー公式に公表されている取り組みを取り上げます。川崎重工業のCFD工数75%削減やJFEエンジニアリングのNOx約20%低減など、効果が数値で確認できる事例を中心にまとめました。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
流体解析ソフトの導入事例|導入前の課題や導入後の効果を解説!

流体解析ソフトの導入事例を業種別に探している方に向けて、公開情報で確認できる取り組みを整理しました。対象は二輪・自動車、建設機械、プラント・環境設備、電子部品です。各事例は「導入前の課題」「採用した製品」「導入後の効果」の順にまとめています。後半では、成果が出た現場の共通点と、導入でつまずきやすい点も取り上げます。自社の設計対象に置き換えながら読み進めてください。

  • 効果が数値で公表されているのは、試作と実測に時間がかかっていた領域です
  • 報告されている効果は、解析工数の削減、開発期間の短縮、性能そのものの向上の3つに分かれます
  • 形状データの前処理を自動化した事例で、削減率が最も大きく出ています

流体解析は、実測を置き換える道具ではありません。試作の前に候補を絞り込む用途から始め、実測との一致を確かめながら適用範囲を広げる進め方が現実的です。


この記事でわかること

01

流体解析ソフトの基礎知識

事例を読む前に、流体解析の位置づけと製品の違いを確認します。同じ流体解析でも、対象とする現象によって使われる製品が変わります。ここでは3つの観点に絞って整理しました。

流体解析が担う範囲

流体解析は、気体や液体の流れを数値的に解く手法です。圧力や速度、温度の分布を求められます。実機では測りにくい内部の流れを可視化できる点が特徴といえるでしょう。試作の前に形状の候補を絞り込む用途で使われています。

対象は空気の流れだけではありません。事例では、コンクリートの流動やごみの燃焼も扱われています。固体と流体が混ざる現象です。扱える現象の幅は製品ごとに違います。解きたい対象から製品を選ぶことになるとお考えください。

事例に登場する製品の違い

汎用的に使われるのはSimcenter STAR-CCM+とAnsys Fluentです。どちらも複数の物理現象を組み合わせた解析に対応します。事例でも自動車や重機、プラントと幅広い分野で使われていました。

一方で、自由表面の流れに特化した製品もあります。FLOW-3Dがその代表です。鋳造やコンクリートの流動といった、液面の形が変わる現象の事例が中心を占めます。対象が絞られている分、同じ分野の事例を見つけやすいでしょう。

前処理と計算の分担

流体解析の工数は、計算そのものよりも形状データの準備に多く割かれます。CADデータの隙間を埋める作業や、計算用の格子を切る作業です。ここに時間を取られる現場は少なくありません。

事例で削減率が大きく出ているのは、この前処理を自動化した取り組みでした。計算を速くするだけでは足りないということです。製品を比べるときは、前処理の機能にも目を向けてください。

編集部メモ:流体解析の手法や用語の詳細は、流体解析ソフトの解説記事が参考になるでしょう。どの現象をどの製品で解いているかに注目すると、自社との違いを把握しやすいと考えています。


02

流体解析ソフトの事例を読むときのポイント

流体解析の事例は、対象とする現象が違うと効果の出方も変わります。自社に置き換えて読むために、次の3点を確認しておくと比較しやすくなります。

  • 解析の対象と扱う物理現象
  • 効果が出ている工程
  • 実測との突き合わせの有無

解析の対象と扱う物理現象

同じ流体解析でも、難易度には差があります。空気の流れだけを解くのか、熱や燃焼を組み合わせるのかで変わるためです。事例でも二輪車の冷却風のように、流れだけを扱うものがありました。一方で廃棄物焼却炉のように、燃焼と搬送を組み合わせるものも見られます。自社の対象はどちらに近いでしょうか。

自社の対象がどちらに近いかで、参考になる事例が変わります。組み合わせる物理現象が多いほど、製品側に求められる機能も増えるとお考えください。

効果が出ている工程

公表されている効果は、工程ごとに性格が違います。CADデータの修正時間は準備工程の指標です。解析工数は実行工程、開発期間は全体の指標にあたります。同じ数字でも意味するものが異なるとご理解ください。

数値の大きさだけを比べても判断できません。自社のどの工程が詰まっているかを先に決めましょう。そのうえで同じ工程の数値を見比べるほうが、判断の材料になります。

実測との突き合わせの有無

解析結果が実機と合うかどうかは、導入の成果を左右します。事例のなかには、スランプ試験の結果と解析結果を比較して物性値を決めた取り組みがありました。精度をどう担保したかまで読み取れる事例です。

逆に、突き合わせの記述がない事例もあります。その場合、同じ精度が自社で出るとは限りません。効果の数値と合わせて、検証の手順が書かれているかも確認してください。


03

二輪・自動車の流体解析事例

二輪車や自動車では、冷却性能と空力が主な対象になります。試作と実走行での確認に時間がかかる領域です。ここでは公開されている事例を取り上げます。

川崎重工業:CFD工数を75%削減

  • 業界:輸送機器(二輪車)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前はモデル化に時間がかかり、最初の1ケースの解析に約1か月を要していた。導入後はCFD工数が75%減り、製品開発に適用できるようになった

同社はNinja H2R/H2の開発以前から流体解析を実施していました。しかしモデル化に時間がかかりすぎたとされています。製品開発にはまったく適用できなかったという記述です。最初の1ケースを解くのに約1か月を要していました。

解決の中心は前処理の自動化です。Javaマクロと組み合わせてCFD工数を75%削減しました。サーフェスラッピング機能ではCAD修正時間を85%短縮しています。性能面でも、設計要件を満たす範囲でラジエータ通風量を約40%向上させました。

いすゞ自動車・三菱自動車工業:汎用ソルバーの活用

  • 業界:輸送機器(自動車)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は個別の課題ごとに解析条件を組み立てていた。導入後は汎用ソルバーを共通基盤として使う体制に移行している

いすゞ自動車はAnsys Fluentの事例として公開されています。三菱自動車工業はSimcenter STAR-CCM+の事例です。いずれもメーカーの公式サイトに掲載されていました。自動車開発における流体解析の活用例にあたります。

両社の事例では、削減率などの定量的な効果が公表されていません。ただし大手完成車メーカーが汎用ソルバーを基盤に選んだ事実は残ります。数値を求める場合は、同じ製品を使う他業種の事例を合わせてご覧ください。

編集メモ:この分野で効果が大きいのは、前処理を自動化した取り組みだと考えられます。計算を速くする取り組みより差が出ていました。川崎重工業の75%という数値も、Javaマクロによる自動化とセットで語られていました。編集部では、解析ソフトの選定時に計算速度だけでなく前処理の作り込みやすさを見るべきだとみています。


04

建設機械・重機の流体解析事例

建設機械では、エンジンの熱疲労や搭載物の挙動が対象になります。実機が大きく試験費用も高い分野です。解析で事前に評価する動機が強く働きます。

コマツ:熱疲労の評価を5倍高速化

  • 業界:建設・鉱山機械
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は予知保全やエンジン寿命の予測に効率的な方法がなかった。導入後は定義した荷重条件下で設計寿命を1分以内に評価できるようになった

公式の記述では、フルスケールのシミュレーションに課題があったとされています。計算コストと時間がかかるためです。エンジン寿命を予測する効率的な手段を持っていませんでした。

導入後は、従来のCAE手法よりも5倍高速に熱疲労を評価できるようになりました。定義された荷重条件下であれば、設計寿命を1分以内で評価できるとされています。使われているのはAnsysのFluentとMechanicalを中心とした組み合わせです。

KYB:ミキサー車の排出性能を4倍に

  • 業界:建設機械(コンクリートミキサー車)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は生コンの排出性能を設計段階で予測できなかった。導入後は各部寸法が排出性能に及ぼす影響を明確にできるようになった

同社の課題は、コンクリートミキサー車の高性能化と開発コストの削減でした。生コンクリートの物性や排出性能、混練性能を予測できる解析ツールが必要だったとされています。

取り組みで特徴的なのは、精度の担保の仕方です。スランプ試験の結果とFLOW-3Dの解析結果を比較しました。そのうえで生コンの物性値を決めています。因子の組み合わせを排出性能に特化させた場合、排出性能を4倍にできると確認されました。

編集メモ:KYBの事例は参考になるでしょう。実測と解析を突き合わせて物性値を決める手順が明記されています。流体解析では、入力する物性値の精度が結果を左右するためです。編集部では、材料の挙動が複雑な対象ほど実測との照合工程を導入計画に組み込む必要があるとみています。


05

プラント・環境設備の流体解析事例

プラント分野では、燃焼や排ガスの挙動が対象になります。規制物質の排出量が設計要件に直結する領域です。解析で事前に予測する価値が高いといえます。

JFEエンジニアリングは、廃棄物焼却炉の開発に流体解析を適用しました。

  • 業界:総合エンジニアリング(廃棄物処理・環境プラント)
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前はごみの不均一性により定常状態の維持が難しく、燃焼変動が発生していた。導入後は開発期間が約30%短縮し、NOx排出濃度も約20%低減した

公式の記述では、ごみの不均一性が課題として挙げられています。連続的に炉内へ供給することが難しいためです。その結果として定常状態を維持できず、燃焼変動が発生していました。搬送と燃焼の両方を扱う点が、この分野の難しさでしょう。

同社は多様な条件の解析結果から燃焼現象を定量的に把握しました。そのうえで対向流燃焼方式を開発しています。開発期間は約30%短縮され、NOx排出濃度は約20%低減しました。燃焼安定性も改善したとされ、発電効率の向上にもつながっています。

編集メモ:この事例が示しているのは、解析の効果が開発期間だけにとどまらない点だと考えられます。NOx排出濃度の低減は、解析で燃焼方式そのものを見直せた結果でした。編集部では、解析の投資対効果を工数削減だけで測ると過小評価になる場合があるとみています。


06

電子部品・住宅設備の流体解析事例

電子部品や住宅設備では、熱の逃がし方や送風性能が対象になります。製品が小型で内部の流れを測りにくい分野です。可視化の価値が高いといえるでしょう。

アルプス電気:自由表面流れの解析

  • 業界:電子部品
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は内部の流れを実測で確認していた。導入後は自由表面を含む流れを解析で評価できるようになった

同社はFLOW-3Dの事例として公開されています。掲載元はフローサイエンスジャパンの公式サイトです。液面の形が変わる自由表面の流れを対象とした活用例にあたります。電子部品の製造工程では、こうした流れを扱う場面が出てきます。

公開されている情報には、削減率などの定量的な効果の記載がありません。同じ製品を使う事例のなかには、KYBのように数値が公表されているものもあります。数値を参考にしたい場合は、対象現象の近い事例を合わせてご確認ください。

パナソニック エコシステムズ:構造解析との連成

  • 業界:住宅設備・空調機器
  • 企業規模:非公表
  • 導入前後の変化:導入前は流れと構造を個別に評価していた。導入後は両者を連成させた解析を実施している

同社の事例は、scFLOWとMSC Nastranを組み合わせた連成解析として公表されています。流体の力が構造に与える影響を、一連の計算として扱う取り組みです。2つの製品をまたぐ運用になります。

送風機器では、風量と静粛性の両立が設計課題になります。流れだけを解いても振動や騒音の評価には届きません。連成解析はその隙間を埋める手段にあたります。複数分野の解析を組み合わせる方向性を示す事例といえるでしょう。

編集メモ:電子部品や住宅設備の分野では、公表される数値が他分野より少ない傾向が見られました。製品の競争力に直結する情報のため、公開を控えていると考えられます。編集部では、この分野なら個別相談から情報を得るほうが早いとみています。公開事例だけでは判断材料が足りません。


07

流体解析ソフトの事例を自社のケースに落とし込む

事例を読んだあとは、自社の条件に当てはめる作業が必要です。ここでは検討の順序を3つの手順に分けて整理します。

解きたい現象を1つに絞る

まず、どの現象を解きたいのかを1つに決めてください。空気の流れなのか、液面の形が変わる流れなのかで候補が変わります。燃焼まで含めるかどうかでも、候補は絞られます。

事例を見ると、対象が絞られているほど効果も明確に出ていました。KYBはコンクリートの排出性能、JFEエンジニアリングは炉内の燃焼です。いずれも対象が具体的でした。最初から複数の現象を欲張ると、評価の軸も定まりません。

詰まっている工程を特定する

次に、現在どの工程に時間がかかっているかを把握します。形状データの準備なのか、計算の実行なのか、結果の評価なのかで打ち手が変わるためです。工程ごとに効果の出る施策は違います。

川崎重工業の事例では、モデル化の時間がボトルネックだと明記されていました。そのうえで前処理の自動化に取り組んでいます。自社のボトルネックが同じでなければ、同じ数値は再現しないとお考えください。

実測データとの照合方法を決める

最後に、解析結果が正しいかをどう確かめるかを決めます。既存製品の実測値があれば、それと一致するかを最初の検証課題にできるでしょう。手元のデータを棚卸ししてみてください。

KYBはスランプ試験の結果と解析結果を比較していました。この手順があるからこそ、その後の設計検討に解析を使えています。照合の手段がない対象から始めると、結果を信じてよいかの判断がつきません。


08

事例からわかる成功事例の共通点

公開されている事例を並べると、成果が出ている取り組みには共通点が見られます。ここでは3点を取り上げます。

  • 前処理の自動化に踏み込んでいる
  • 実測との照合手順を持っている
  • 対象を1つの設計課題に絞っている

前処理の自動化に踏み込んでいる

数値の大きい事例ほど、形状データの準備工程に手を入れています。川崎重工業はJavaマクロとサーフェスラッピングを組み合わせました。結果としてCFD工数75%削減とCAD修正時間85%短縮を実現しています。

計算そのものを速くする取り組みだけでは、ここまでの削減率は出にくいでしょう。解析を日常的に回す体制を作るうえで、準備工程の自動化が効いているとみてよいと考えられます。

実測との照合手順を持っている

成果が出ている事例では、解析結果を実測と突き合わせる工程が明記されています。KYBのスランプ試験との比較がその一例です。工程として組み込まれている点に意味があります。

照合の工程があることで、解析結果を設計判断に使えるようになります。逆にこの工程がないまま適用範囲を広げると、結果の妥当性を誰も保証できません。導入計画に組み込んでおきたい要素でしょう。

対象を1つの設計課題に絞っている

効果が公表されている事例は、いずれも解く対象が具体的でした。コマツはエンジンの熱疲労です。JFEエンジニアリングは炉内の燃焼と搬送を対象にしていました。

対象が絞られていると、効果を測る指標も定まります。工場全体や製品全体を一度に対象にすると、どこが良くなったのかを示せません。小さく始めて広げる進め方が、結果的に早いと考えられます。


09

事例から学ぶつまずきやすいポイント

一方で、導入時につまずきやすい点も事例から読み取れます。ここでは3点と回避策を取り上げます。

  • モデル化の工数を見込んでいない
  • 物性値の精度を軽視する
  • 公開数値をそのまま自社に当てはめる

モデル化の工数を見込んでいない

川崎重工業は導入以前、最初の1ケースの解析に約1か月を要していました。計算時間ではなくモデル化の時間が原因です。準備工程が長いと、解析が製品開発の速度に追いつきません。

回避するには、製品選定の段階で手順を実際に試してください。CADデータの取り込みや格子生成を自社の形状で動かしてみることです。何日かかるかを測っておけば、導入後の見込みが立ちます。

物性値の精度を軽視する

流体解析の結果は、入力する物性値に大きく左右されます。コンクリートや溶融金属のように挙動が複雑な材料では注意が必要です。カタログ値をそのまま使っても実機と合いません。

KYBが試験結果との比較から物性値を決めていたのは、この問題への対処でした。回避するには、対象材料の実測データを事前に用意しましょう。最初の解析でその再現を確認する手順を置いてください。

公開数値をそのまま自社に当てはめる

事例に出てくる75%や4倍といった数値は、その企業の従来手法との比較値です。比較の基準が違えば、同じ製品を入れても同じ数値にはなりません。前提を確認せずに引用するのは避けましょう。

回避するには、導入前に自社の現状値を測っておくことです。何にどれだけ時間がかかっているかを記録しておきましょう。他社の数値は、期待値ではなく参考値として扱ってください。


10

まとめ

流体解析の導入事例では、効果が3つの形で現れていました。解析工数の削減、開発期間の短縮、製品性能の向上です。川崎重工業のCFD工数75%削減は前処理の自動化によるものでした。JFEエンジニアリングのNOx排出濃度約20%低減は、燃焼方式そのものを見直した成果です。効果の性格が事例ごとに違う点は押さえておきたいところでしょう。共通していたのは、解く対象を1つの設計課題に絞り、実測との照合手順を持っていたことでした。製品ごとの違いは流体解析ソフトの比較記事を、費用の考え方は流体解析ソフトの費用をご覧ください。

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よくある質問

Q流体解析の導入でどれくらいの効果が出ていますか?
A

公表されている効果は3つの形に分かれます。解析工数の削減では、川崎重工業がSimcenter STAR-CCM+とJavaマクロの組み合わせでCFD工数を75%削減し、サーフェスラッピング機能でCAD修正時間を85%短縮しています。開発期間の短縮では、JFEエンジニアリングがAnsys Fluentなどの活用により約30%短縮しました。製品性能そのものの向上では、KYBがFLOW-3Dで排出性能を4倍にできると確認し、JFEエンジニアリングはNOx排出濃度を約20%低減しています。効果の性格が事例ごとに違う点は押さえておく必要があります。

Qどの工程に効果が出やすいですか?
A

数値が大きく出ているのは、形状データの前処理を自動化した取り組みです。川崎重工業は導入以前、モデル化に時間がかかりすぎて製品開発に適用できず、最初の1ケースの解析に約1か月を要していました。この準備工程を自動化したことで75%という削減率につながっています。計算そのものを速くする取り組みだけでは、ここまでの削減率は出にくいと考えられます。製品を比べる際は、計算速度だけでなく前処理の機能にも目を向けてください。

Q解析結果が実機と合うかはどう確かめますか?
A

KYBの事例が参考になります。同社はコンクリートミキサー車の開発にあたり、スランプ試験の結果とFLOW-3Dの解析結果を比較して生コンの物性値を決めました。この照合工程があったうえで、因子の組み合わせを排出性能に特化させた場合に排出性能を4倍にできると確認しています。流体解析は入力する物性値の精度が結果を左右するため、材料の挙動が複雑な対象ほど実測との照合工程を導入計画に組み込む必要があります。

Q事例に出てくる製品はどう使い分けられていますか?
A

汎用的に使われているのはSimcenter STAR-CCM+とAnsys Fluentで、どちらも複数の物理現象を組み合わせた解析に対応します。事例でも自動車、重機、プラントと幅広い分野で使われていました。一方でFLOW-3Dは自由表面の流れに特化しており、コンクリートの流動のように液面の形が変わる現象の事例が中心です。scFLOWの事例では、パナソニック エコシステムズがMSC Nastranと組み合わせた連成解析を実施しています。解きたい現象から製品を選ぶことになります。

Q公表されている数値をそのまま期待してよいですか?
A

できません。事例に出てくる75%や4倍といった数値は、その企業の従来手法との比較値です。比較の基準が違えば、同じ製品を導入しても同じ数値にはなりません。川崎重工業の場合はモデル化の時間がボトルネックであり、その工程を自動化したからこその削減率でした。自社のボトルネックが別の工程にあるなら、同じ数値は再現しません。導入前に自社の現状値を測っておき、他社の数値は期待値ではなく参考値として扱ってください。

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