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用語解説#流体解析#CFD#乱流モデル

流体解析・CFDとは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

流体解析・CFDとは、流体の流れ・圧力・温度の分布を計算で求め、製品の性能を試作前に確かめる技術です。メッシュや乱流モデルなどの主な機能、メリット・デメリット、構造解析との違い、費用相場、導入に向いている企業までをわかりやすく解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
流体解析・CFDとは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

流体解析とは、空気や水、油といった流体の流れ・圧力・温度の分布を、コンピュータで計算して可視化する技術です。CFD(Computational Fluid Dynamics、数値流体力学)とも呼ばれます。

流れや熱は実機で測りにくく、試作と風洞・実験を繰り返さないと性能が読めない領域でした。製品内部の流れや温度は、実測そのものが難しいこともあります。こうした課題を設計段階で減らす手段として検討されます。この記事では、基礎知識からメリット・デメリット、主な機能、費用相場、向いている企業までを整理しました。

  • できること:流体の流れ・圧力・温度の分布を計算し、製品の性能を試作前に見積もれます。
  • 計算の前提:解析対象をメッシュに分割し、乱流モデル(RANS・LESなど)を選んで計算します。
  • 扱える物理:単純な流れに加え、熱流体、混相流、燃焼・化学反応まで広がります。
  • 費用の目安:商用ソフトの多くは見積での提供で、オープンソースならライセンス費用はかかりません。

導入の分かれ目は、どの物理をどの規模で解きたいかです。まず主要な流れと熱から始め、実測で精度を確かめながら対象を広げましょう。


この記事でわかること

01

流体解析とは

流体解析は、CAE(Computer Aided Engineering)の一分野です。構造解析や電磁界解析と並ぶ解析手法で、製品の周りや内部の流れと熱を試作前に確かめられます。ここでは、計算の考え方、解析の手順、ソフトの種類を押さえます。

流体の方程式を数値で解く技術

流体解析は、流体の運動を表すナビエ・ストークス方程式を、コンピュータで数値的に解く技術です。計算したい空間を細かな格子(メッシュ)に分け、各点の速度・圧力・温度を求めます。

結果は、分布図やベクトルとして画面に表示されます。製品周りの空気抵抗や機器内部の冷却風の回り方、配管の圧力損失を数値で見積もれるのが特徴です。タンク内の撹拌の効き具合も、試作前に比べられます。流れには多くの場合、熱の移動や物質の混ざり合いも伴います。

解析の手順(メッシュ作成から可視化まで)

計算は、解析対象を数十万〜数千万個の格子に区切るメッシュ作成から始まります。次に、流体の物性や流入条件といった境界条件を設定し、ソルバーで計算を回します。

計算は、結果が安定するまで繰り返し収束させる方式が一般的です。最後に、流速・圧力・温度の分布を可視化して評価します。メッシュ作成と境界条件の設定は結果を大きく左右し、解析者の経験が表れる工程です。設定を誤ると、計算は回っても実機と合わない結果が出ます。

商用ソフトとオープンソース

流体解析ソフトには、商用のソルバーとオープンソースの選択肢があります。商用ソフトは対応物理が広く、メッシュ生成の自動化やサポート体制も整っています。

オープンソースはライセンス費用がかからず、ソースコードを改変して拡張できる点が強みです。一方で、メッシュ作成や設定、サポートは自前で賄わなければなりません。コマンド操作が中心で、GUIの手軽さは期待しにくいでしょう。結果の検証も使い手側の責任になるため、習熟した人材が前提です。

編集部メモ:導入の成否を分けるのは、ソルバーの高機能さではありません。「どの物理を、どの規模で解きたいか」が明確かどうかです。単純な流れの検討か、燃焼や混相を含む高度な解析かで、適した製品と費用は分かれます。


02

流体解析のメリット

流体解析のメリットは、試作前に流れと熱の挙動を画面上で確かめられることから生まれます。開発のスピードと、設計判断の確かさの両方を高められます。

  • 試作回数と検証期間を減らせる
  • 実測しにくい内部の流れを可視化できる
  • 設計案を短時間で比べられる
  • 設計の根拠を説明しやすくなる

試作回数と検証期間を減らせる

空気抵抗、冷却性能、圧力損失、撹拌効率は、以前は実機を作らないと分からない値でした。流体解析なら、こうした値を試作前に画面上で見積もれます。

有望な案に絞ってから試作に進めるため、作り直しの回数が減ります。風洞試験や実験が高くつく領域ほど、削減できる費用と期間は大きくなるでしょう。試作と実験の繰り返しがコストと期間に直結している開発ほど、手戻りの削減という形で効果が表れます。

実測しにくい内部の流れを可視化できる

機器内部の流れや温度、配管内の圧力変化は、センサーを置ける場所が限られます。実機では、全体像をつかみにくい領域です。

流体解析なら、内部のどこで流れが滞り、どこで温度が上がるかを分布として見られます。点の測定値ではなく面で把握できるため、問題の箇所を特定しやすくなります。形状だけでは判断できない流れの挙動も、目に見える形で確かめられるのが強みです。原因の見当がつけば、対策の検討にもすぐ移れるでしょう。

設計案を短時間で比べられる

形状や流路、ファンの配置を変えながら、複数の案を短時間で評価できます。実機を毎回作り直す必要がないため、試せる案の数が増えます。

設計の幅を広げながら、有望な案に絞り込めるのが利点です。電子機器の冷却や装置の空力のように、案を多く比べたい分野ほど効果が表れます。条件を少しずつ振った比較も、画面上なら手軽に行えるでしょう。設計の良し悪しを数値で比べられるため、担当者の勘に頼る判断も減らせます。

設計の根拠を説明しやすくなる

流れの問題を、分布図として目で見て共有できます。なぜその形状を選んだのかを、社内や顧客に図で示せるのが利点です。

数値と図がそろった説明は、関係者の合意を得やすくなります。解析結果を蓄積していけば、設計のノウハウが個人ではなく組織に残ります。似た製品を設計するときに、過去の検討を下敷きにできる点も心強いところです。担当者が替わっても、検討の経緯をたどり直せるでしょう。


03

流体解析のデメリット

流体解析は便利な反面、使いこなすまでの負担が小さくありません。いずれも進め方で軽くできるので、対処法とあわせて押さえておきましょう。

  • 設定次第で結果が大きく変わる
  • ライセンス費用と計算環境の負担が大きい
  • 解析を担う人材が要る

設定次第で結果が大きく変わる

流体解析は、構造解析などに比べて設定の自由度が高い手法です。メッシュ・乱流モデル・境界条件の選び方で、結果が大きく変わります。設定を誤ると、計算は回っても実機と合わない結果が出ます。

対処法:要所では、実測値と解析結果を突き合わせて精度を確かめましょう。解析と実測を組み合わせ、自社の製品で精度を検証しながら使うことが前提です。合わせ込んだ設定は、社内の標準として残してください。

ライセンス費用と計算環境の負担が大きい

本格的な商用ソフトはライセンス費用が高く、大規模な計算にはHPC環境が要ります。燃焼や混相を伴う解析は、単純な流れより計算負荷が格段に高くなります。並列ライセンスの追加が前提になる場合もあるでしょう。

対処法:最初から最も複雑な現象を解こうとせず、主要な流れと熱から始めるのが基本です。必要に応じて混相や反応へ広げれば、計算資源と費用を抑えられます。数年先に要りそうな物理も見込んで対応範囲を確かめると、乗り換えを避けやすくなります。

解析を担う人材が要る

解析者には、流体力学の知識とソフトの習熟が求められます。人材がいない段階で高機能な商用ソフトを入れると、使いこなせず運用が形骸化しがちです。ハードだけでなく、人材の面でもコストがかかると考えておきましょう。

対処法:まず設計者が扱いやすいツールで、一部の検討から試してください。扱う物理が高度になった段階で、専用ソフトへ広げる進め方が無理なく定着します。専門人材が薄い組織ほど、日本語サポートの手厚さも選定の軸に入れておくと安心です。


04

流体解析の主な機能

流体解析ソフトの中核になるのは、次の5つの機能です。どこまで対応しているかは製品で差があり、比較するときの軸になります。

  • メッシュ生成:解析対象を細かな格子に分割し、計算の土台を作る
  • 乱流モデル(RANS):乱れを時間平均で扱い、平均的な流れを実用的な時間で求める
  • 乱流モデル(LES・DNS):渦をより細かく直接計算し、流れの時間変化を捉える
  • 熱流体解析:流れと熱伝達を同時に計算する
  • 混相流・燃焼・連成の解析:気液の混ざり合いや化学反応、構造との連成を扱う

それぞれの中身を見ていきましょう。

メッシュ生成

解析対象を小さな格子に区切り、計算の土台を作る機能です。形状に沿った構造格子と、複雑形状に対応しやすい非構造格子に大きく分かれます。

流れが急変する箇所や、壁近くの薄い層(境界層)は細かく分割しないと精度が出ません。ただし細かくするほど、計算時間とメモリ消費は増えます。精度と計算負荷の釣り合いを取るメッシュ設計が、実用性を決める要素です。多くの製品は自動メッシュ機能を備え、ポリヘドラルやカットセルなどの方式があります。

乱流モデル(RANS)

現実の流れの多くは、渦が複雑に入り混じる乱流です。RANSは、乱れを時間平均で扱い、平均的な流れを求める手法です。計算量が比較的少なく、製品設計で最も広く使われています。多くの設計検討は、RANSで十分な精度を得られます。

代表的なのは、自由流に強いk-εモデルと、壁近くの流れや逆圧力勾配に強いk-ωモデルです。両者の長所を組み合わせたSST k-ωは、剥離が重要な流れでよく選ばれます。壁近くを精度よく解くには、境界層に細かいメッシュが要ります。

乱流モデル(LES・DNS)

LESは、大きな渦を直接計算し、小さな渦だけをモデルで扱う手法です。流れの時間変化や、騒音・燃焼のように渦の挙動が効く現象で精度が上がります。

そのぶん計算量が大きく、細かいメッシュと長い計算時間を要します。適用には、相応のHPC(高性能計算)環境が前提です。DNSは、乱流のすべてのスケールをモデルなしで直接解く手法を指します。精度は最も高いものの計算量が膨大で、主に研究用途や限られた条件の検証に使われます。

熱流体解析

流れと熱伝達を同時に扱う解析機能です。電子機器の発熱がファンの風でどう冷えるか、空調の気流で室内の温度がどう分布するかを計算します。

エンジン周りの熱がどう広がるかといった、流れと温度が絡む問題も対象です。多くの製品は流れの計算を起点に、熱伝達や物質拡散まで扱えます。ポンプ・配管・空調の定常熱流体解析も、製造業でよく使われる用途です。電子機器の冷却設計やデータセンターの空調設計は、代表的な適用先といえます。

混相流・燃焼・連成の解析

混相流解析は、気体と液体、固体粒子など複数の相が混ざる流れを扱う機能です。タンク内の気液の混ざり方や噴霧、キャビテーション、粉体の流れを計算します。

製品によっては、燃焼や化学反応を伴う流れ、流れが生む騒音、回転機械まで扱えます。構造との連成(流体構造連成・FSI)に対応する製品も少なくありません。扱う物理が増えるほど、必要なメッシュの細かさや計算規模も大きくなります。ライセンス費用や習熟の負担も増える点に注意してください。


05

流体解析の主な活用場面

流体解析が使われるのは、流れや熱が製品の性能を左右する開発です。担当する立場によって、解きたい現象と求める精度が変わります。代表的な3つの場面を見ていきましょう。

電子機器・データセンターの冷却設計

熱設計の担当者が、電子機器の発熱をどう逃がすかを検討する場面です。ファンの配置や流路を変えながら、冷却風の回り方と温度分布を確かめます。

製品の小型化・高密度化が進むほど、需要が高まる領域です。機器内部の温度は実測しにくいため、分布として見られる利点が大きく効きます。求められるのは、流れと熱を一体で解ける熱流体解析の機能です。データセンターの空調設計でも、室内の気流と温度の偏りを事前に確かめる用途で使われています。

自動車・装置の空力と回転機械の設計

製品開発の担当者が、空気抵抗や風の流れを検討する場面です。自動車や装置の外形を変えながら、空力性能を試作前に比べます。

ポンプやファンのような回転機械では、流れの性能がそのまま製品の品質に直結します。風騒音が問題になる製品では、渦の変動を捉えるLESを重要な箇所に絞って使うのが定石です。まずRANSで全体を検討してから細部へ進むのが、現実的な進め方でしょう。どこまで細かく解くかは、求める精度と使える計算資源で決まります。

配管・化学プラントの流れと撹拌

プロセス設計や生産技術の担当者が、配管やタンク内の流れを検討する場面です。配管・ダクトの圧力損失や、撹拌の効き具合を数値で見積もります。

化学プラントでは、気液の混ざり方や反応を伴う流れが対象になります。混相流や反応まで扱える製品が要り、計算負荷も高くなりがちです。必要な物理の範囲を先に整理し、HPC環境やライセンスの追加を見込んでおきましょう。エンジン内の燃焼や化学反応を扱う開発も、同じく計算負荷の高い領域にあたります。


06

流体解析の費用相場

流体解析の費用は、ライセンス、対象物理を広げるモジュール、並列ライセンスの組み合わせで決まります。大規模な計算を回すなら、HPC環境の費用も加わります。商用ソフトの多くは構成や並列数で価格が変わるため、見積での提供です。オープンソースはライセンス費用がかかりませんが、サポートは別途で、人材が前提になります。

対応物理や計算規模から製品を絞り込むなら、流体解析ソフト(CFD)カテゴリが便利です。製品ごとの特徴は、流体解析ソフトの比較記事でも整理しています。


07

流体解析と構造解析の違い

流体解析と構造解析は、どちらもCAEの一分野で、製品の性能を試作前に計算で確かめる手法です。違いは、解く対象が流体の流れか、構造物の力学的な挙動かにあります。

観点

流体解析(CFD)

構造解析

解く対象

空気や水などの流れ・圧力・温度

部品や構造物の応力・変形・振動

計算の方法

空間を格子に分け、ナビエ・ストークス方程式を解く

有限要素法(FEM)で構造物をモデル化して解く

代表的な用途

空力・冷却・配管・撹拌の設計

静解析・固有値解析・座屈などの力学的な検証

設定の自由度

高い。メッシュ・乱流モデル・境界条件で結果が大きく変わる

流体解析に比べると低い

実務で差が出るのは、設定の自由度です。流体解析は設定の組み合わせが多く、結果が設定に左右されやすい手法です。そのぶん、解析者の経験と実測との突き合わせがより重要になります。

両者は競合するものではなく、流体構造連成(FSI)で組み合わせて使う場面もあります。流れと構造の両方が性能に効く製品なら、連成に対応するソフトが候補になるでしょう。


08

流体解析の導入が向いている企業・向いていない企業

流体解析が効くかは、業種そのものより、流れや熱が製品性能を左右するかで決まります。試作や実験のコストの重さと、解析人材を置けるかも分かれ目です。自社がどちらに当てはまるかを確かめてください。

流体解析の導入が向いている企業

空力・冷却・配管・撹拌のように、流れや熱が製品の価値を左右する設計を扱う企業です。試作と風洞・実験の繰り返しが、コストと期間に直結しているためです。

機器内部の流れや温度を実測できず、設計判断に困っている企業も適しています。電子機器の冷却、自動車・装置の空力、化学プラントの撹拌・反応が典型です。設計案を多く比べたい分野ほど、投資対効果が出やすくなります。解析を担える人材を社内に置けるなら、効果を安定して得やすいでしょう。

流体解析の導入が向いていない企業

流れや熱が製品性能の主役でない企業では、効果が出にくい場合があります。既存設計を大きく変えず、実測中心で開発を回せている企業も同様です。

解析人材を確保・育成する体制がない企業も、いきなりの本格導入には向きません。高機能な商用ソフトを入れても使いこなせず、運用が形骸化しがちです。この場合は、軽量なツールで一部を試し、効果を見極めてから広げましょう。導入そのものを目的にせず、解きたい流れや熱の課題があるかを先に確かめてください。


09

まとめ

流体解析(CFD)とは、流れ・圧力・温度の分布を計算で求め、製品の性能を試作前に確かめる技術です。試作回数の削減と、実測しにくい内部現象の可視化に効果があります。

最初に決めるのは、どの物理をどの規模で解くかです。単純な流れと熱で足りるのか、混相流や燃焼まで要るのかで、適した製品と費用が分かれます。

一方で、設定次第で結果が変わるため、実測で精度を確かめる運用と人材が欠かせません。主要な流れと熱から始め、必要に応じて段階的に広げてください。製品ごとの対応物理は流体解析ソフト(CFD)カテゴリで比較できます。

流体解析ソフト(CFD)比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
scFLOW ロゴ
scFLOWCadence Design Systems(日本: エムエスシーソフトウェア株式会社/株式会社ソフトウェアクレイドル)要見積もり任意ポリヘドラル自動メッシュと日本語サポート詳細を見る
COMSOL Multiphysics ロゴ
COMSOL MultiphysicsCOMSOL要見積もり電磁・音響・熱・構造を強連成できる汎用マルチフィジクス詳細を見る
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よくある質問

QCFD(流体解析)とは何ですか?
A

CFD(数値流体力学)とは、空気や水などの流れと、それに伴う熱や物質の輸送をコンピュータ上で数値的に解く技術です。形状を細かなメッシュに分割し、流速・圧力・温度の分布を試作前に把握できます。

Q乱流モデルとは何ですか、なぜ重要なのですか?
A

現実の流れの多くは乱流で、すべての渦を直接計算するのは計算負荷が大きすぎます。そこでRANS(k-ε/k-ω/SST)やLESなどの乱流モデルで近似します。対象や求める精度に応じてモデルを選ぶことが結果の信頼性を左右します。

Qどのような企業が流体解析に向いていますか?
A

冷却・空調・送風など熱流体設計を行う企業、ポンプ・ファン・配管など流れ性能が品質に直結する製品の開発企業に向いています。試作・実験の回数削減と設計の最適化に効果が出ます。

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