電気CAD・電装設計とは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!
電気CAD・電装設計とは何かを、機械CADとの違い(形状か接続関係か)、回路図・結線図・盤レイアウト図・ハーネス図、メリット・デメリット、主な機能、費用相場、向いている企業までわかりやすく解説します。

電気CADとは、制御盤や装置の回路図・配線図・端子表といった電気設計の図面を作る専用のCADです。電装設計とは、機器や装置に電気部品と配線を組み込む設計を指し、その図面作成を担うのが電気CADです。
配線を1本変えるたびに、端子表や部品表を手で直していませんか。図面と部品表が食い違い、現場で配線ミスが見つかることもあるでしょう。この記事では、基礎知識からメリット・デメリット、主な機能、費用相場、向いている企業までを整理しました。
- できること:シンボルの配置から配線番号・端子表・部品表(BOM)を自動生成し、回路の整合をチェックできます。
- 機械CADとの違い:機械CADが部品の「形状」を扱うのに対し、電気CADは部品同士の「接続関係」を扱います。
- 扱う図面:回路図(シーケンス図)・結線図・盤レイアウト図・ハーネス図を連動させて作れます。
- 費用の目安:多くの製品は構成やライセンスで価格が変わり、見積もりで確かめる形です。
制御盤や装置を継続的に設計する企業ほど、投資対効果が出やすくなります。製品選びでは、3D機械CADとの連携がどこまで要るかを最初に確かめましょう。
この記事でわかること
電気CADとは
電気CADは、電気設計に必要な図面を一貫して作るためのCADです。汎用CADが図面を線と図形で描くのに対し、電気CADは部品と配線を「接続関係」として扱います。ここでは、電気CADの役割と、扱う図面の種類を押さえます。
接続関係を扱う電気設計専用のCAD
電気CADは、電気部品のシンボルと、それらをつなぐ配線を接続関係として扱います。配線をつなぐと、その情報が端子表や部品表に自動で反映されます。
この連動が、汎用CADとの根本的な違いです。汎用CADや手作業では、配線を1本変えるたびに複数の図面と表を手で直す必要があります。そこで生じる転記ミスや不整合を、電気CADは大きく減らします。用途は制御盤に限らず、配電盤・分電盤やプラントの計装など、配線が関わる設計全般です。
回路図(シーケンス図)と結線図
回路図は、電気部品をシンボルで表し、論理的な接続を示す図面です。制御回路では、リレーやスイッチ、センサーの動作順序を示すシーケンス図として描きます。電気設計の起点となる図面で、ここでの配線情報が端子表や部品表のもとになります。
結線図は、部品や端子台の間を実際にどの線でつなぐかを示す図面です。配線番号や端子番号を伴い、現場の配線作業に使える形に落とし込みます。電気CADでは、回路図を描けば結線図や端子表が連動して作られます。論理と配線の整合を保ちやすくなるのが特徴です。
盤レイアウト図とハーネス図
盤レイアウト図は、制御盤の中に部品をどう配置するかを示す図面です。部品の大きさや発熱、配線スペースを考えながら機器を収めます。盤の製作や部品発注に使う情報は、この図面が起点です。回路図の部品情報と連動して、盤レイアウトを作れる製品もあります。
ハーネス図は、複数の電線をまとめた配線束(ワイヤーハーネス)を設計する図面です。配線の長さや経路、コネクタの仕様まで扱います。車両や装置のように、多数の配線を効率よく取り回す製品で欠かせません。
編集部メモ:まず自社が作る図面の種類と、機械CADとの連携の要否を整理しましょう。制御盤の回路図と端子表が中心なら、3D連携の手厚い製品までは要らないケースも多くあります。
電気CADのメリット
電気CADのメリットは、図面と表が連動することから生まれます。配線ミスの削減、見積もりや部品手配の効率化、設計の標準化という3つの場面で効果が表れます。
- 配線ミスや手戻りを減らせる
- 見積もりや部品手配が速く正確になる
- 過去の設計を流用して標準化できる
配線ミスや手戻りを減らせる
配線を変更すれば、端子表も部品表も自動で更新されます。転記ミスや図面間の不整合が起きにくくなるのが利点です。配線を1本変えるたびに、複数の図面と表を見比べる必要もありません。
整合チェックを使えば、配線番号の重複や未接続の端子を設計段階で潰せます。図面が完成してから現場で配線ミスが見つかると、手戻りは大きくなるでしょう。設計段階で潰しておけば、その手戻りを抑えられます。図面の修正に追われる時間が減るぶん、設計そのものに時間を割けます。
見積もりや部品手配が速く正確になる
部品表は、盤製作の部品手配や顧客への見積もりの起点になる情報です。回路図から自動で作れるため、集計の手間が減ります。手作業で起きがちだった集計ミスや漏れも減らせるでしょう。
設計変更は部品表に正しく反映され、見積もりや調達にも行き渡ります。図面と発注が食い違う心配も要りません。部品を1点差し替えるたびに、表を直す作業に追われることもなくなります。設計から製作・調達までを、一貫した情報でつなげられるのは心強い点です。
過去の設計を流用して標準化できる
配線番号や端子情報を一元管理できれば、過去の図面を新しい設計に流用しやすくなります。類似製品の設計を標準化する土台にもなるでしょう。
同じような盤を繰り返し設計する企業では、シンボルや回路のテンプレートを蓄積できます。設計のスピードと品質が、担当者によらず安定するでしょう。特定の担当者しか設計できない状態からも、抜け出しやすくなります。属人化しがちな電気設計のノウハウを、データとして組織にためられるのも利点です。
電気CADのデメリット
電気CADは、導入してすぐに効果が出るソフトではありません。どれも計画の段階で手を打てるので、対処法とあわせて押さえておきましょう。
- シンボルと部品データの初期整備が要る
- 操作の習熟に時間がかかる
- 連携機能が手厚いほど費用がかさむ
シンボルと部品データの初期整備が要る
自動生成や流用の効果を得るには、自社で使う部品のデータベースとシンボルの整備が欠かせません。この登録作業は、導入初期の負担になります。整備を省くと自動生成の効果が十分に出ず、導入が形骸化しがちです。
対処法:効果を急がず、よく使う部品から段階的に整備してください。導入時にどこまでデータを整えるかを先に決めておくと、定着しやすくなります。登録にかかる工数も、導入計画に見込んでおきましょう。
操作の習熟に時間がかかる
汎用CADや手作業に慣れた設計者が移行するには、教育期間が必要です。機能が豊富な製品ほど、使いこなすまでの時間は長くなります。汎用CADの操作に近い製品なら、移行の負担は比較的軽く済むでしょう。
対処法:全図面を一斉に切り替えず、効果が見えやすい設計から移行しましょう。習熟の期間をあらかじめ計画に織り込むと、立ち上げでつまずきにくくなります。段階的に進めた企業ほど、現場の混乱を抑えて定着させている傾向があります。
連携機能が手厚いほど費用がかさむ
本格的な製品は、ライセンス費用も相応にかかります。3D機械CADとの連携が手厚い製品ほど、価格と習熟の負担も大きくなるでしょう。機械CAD側の環境とあわせた構成が前提になる製品もあります。
対処法:自社の設計に3D連携がどこまで要るかを、導入前に見極めてください。回路図と端子表が中心なら、連携の手厚い製品は過剰投資になりかねません。判断に迷うなら、一部の図面から試して効果を確かめましょう。
電気CADの主な機能
電気CADの作業効率を支えているのは、次の4つの機能です。製品を比べるときも、この4つの対応範囲が判断材料になります。
- シンボル管理と配線の自動採番:部品記号を配置して配線でつなぎ、配線番号を自動で振る
- 端子表・部品表の自動生成:回路図の情報から、端子表・部品表(BOM)・接続表を作る
- 回路の整合チェック:配線番号の重複や未接続など、電気設計特有のエラーを検出する
- 機械CADとの連携:機械CADのデータと重ね合わせ、盤内の収まりや干渉を確かめる
それぞれの中身を見ていきましょう。
シンボル管理と配線の自動採番
回路図上で、電気部品のシンボルを配置し、配線でつなぐ機能です。シンボルが表すのは部品の実物の形ではなく、論理的な接続です。JIS図記号など、日本の設計慣習への対応度は製品ごとに違います。
配線をつなぐと、配線番号が自動で振られます。番号は結線図や端子表にも引き継がれる仕組みです。配線を変えれば、関連する図面と表がまとめて更新されます。よく使うシンボルや回路は、テンプレートとして登録して呼び出せます。
端子表・部品表の自動生成
回路図に配置した部品の情報を集計し、部品表(BOM)を自動で作る機能です。端子表や接続表も、配線情報から連動して生成される仕組みです。メーカーが提供する部品データを取り込める製品もあります。
部品を差し替えたり配線を変えたりすれば、各表も自動で更新されます。できあがった部品表は、見積もりや部品手配の元データになる情報です。ケーブルリストを出力できる製品もあります。自動生成の精度は、登録した部品データの整備状況に左右されます。
回路の整合チェック
電気設計特有のエラーを、ソフトが自動で検出する機能です。対象になるのは、同じ配線番号の重複や、端子の接続の矛盾です。
未接続のまま残った端子も洗い出せます。汎用CADでは、こうした電気的なつながりの確認を人の目に頼ることになります。図面を目で追って確かめていた作業を、設計段階の自動チェックに置き換えられる仕組みです。
機械CADとの連携
機械CADのデータと電気CADのデータを重ね合わせる機能です。盤内のスペースに部品が収まるかを、設計段階で確かめられます。
配線が機械部品と干渉しないかも、あわせて確認できる仕組みです。ハーネス設計では、配線の長さや経路を機械的な構造と合わせて検討します。回路設計と3D機械CADを連携させれば、盤内の配線の取り回しも画面上で確かめられます。連携できる機械CADの種類や連携の深さは、製品ごとの差が大きい部分です。
電気CADの主な活用場面
電気CADが使われるのは、電気と配線が関わる設計全般です。担当する立場によって、求める機能の範囲が変わります。代表的な3つの場面を見ていきましょう。
制御盤・装置の回路設計
制御盤メーカーや装置メーカーの電気設計者が、回路図と端子表を作る場面です。盤や装置を繰り返し設計するため、図面と部品表の連動が効きます。
求められるのは、設計変更のたびに端子表や部品表を手で直す作業をなくすことです。変更が頻繁な現場ほど、手直しの手間は積み上がります。回路のテンプレートを蓄積すれば、類似の盤の設計も速くなるでしょう。この用途では、3D機械CADとの密な連携までは要らないケースも多くあります。
見積もり・部品手配のための部品表作成
盤製作会社の設計担当者が、見積もりや部品手配に使う部品表を作る場面です。部品表は、顧客への見積もりと調達の起点になります。
求められるのは、設計変更が部品表に正しく反映され、図面と発注が食い違わないことです。部品表を回路図から自動で作れれば、集計ミスや漏れも減らせます。設計から製作・調達までを一貫した情報でつなぐことが、導入の大きな動機になっています。部品表作成に手間がかかっている企業ほど、効果を実感しやすいでしょう。
ワイヤーハーネスとメカトロニクス設計
車両や設備、装置のメーカーで、多数の配線を取り回す設計者の場面です。配線の長さや経路、コネクタの仕様まで扱います。
機械設計者と電気設計者が同じ装置を扱うため、両者のデータを重ね合わせる必要が出てくる領域です。盤内のスペースや配線の干渉を、設計段階で確かめることが求められます。近年は、電気と機械を連携させてメカトロニクス設計を効率化するニーズが高まっています。製品選びの分かれ目は、ハーネス機能の強さと3D機械CADとの連携です。
電気CADの費用相場
電気CADの費用は、製品の構成やライセンス形態で大きく変わります。価格を公開せず、見積もりで確かめる形の製品が多いのが実情です。AutoCAD Electricalは、AutoCADのサブスクリプションに含まれています。3D機械CADとの連携が手厚い製品ほど、ライセンス費用も相応にかかると考えておきましょう。
製品ごとの価格や提供形態は、ITトレンドの電気CAD(電気設計・電装設計)カテゴリで比較できます。公開価格のある製品は、電気CADの費用の解説記事で確認できます。
電気CADと機械CADの違い
電気CADの理解に最も役立つのが、機械CADとの比較です。同じ装置を設計していても、両者が扱う情報は根本的に違います。
観点 | 電気CAD | 機械CAD |
|---|---|---|
扱う対象 | 部品同士の接続関係(回路・配線) | 部品の立体形状や寸法 |
図面上の表現 | シンボルで論理的な接続を示す | 形状そのものを表す |
主なデータ・図面 | 回路図・結線図・盤レイアウト図・ハーネス図 | 3Dの形状データ・機械図面 |
主な使い手 | 電気設計者・制御設計者 | 機械設計者 |
電気図面を描く場合 | 配線番号・端子表・部品表を自動で作れる | 電気設計特有の機能がなく、手作業が増える |
最大の違いは、形状を扱うか、接続関係を扱うかです。電気CADの回路図に描かれるシンボルは、部品の実際の形ではなく、つながり方を示す記号です。見ている情報が違うため、両者は別々のCADで設計するのが一般的になっています。
一方で、機械設計と電気設計は無関係ではありません。盤内のスペースや配線の取り回しは、機械的な構造と密接に関わります。ただし連携が常に必要なわけではなく、自社の設計にどこまで要るかで適した製品が変わります。
電気CADの導入が向いている企業・向いていない企業
電気CADが効くかは、業種そのものより、電気図面の作成頻度と設計変更の多さで決まります。部品表連携や機械CADとの連携の要否も分かれ目です。自社がどちらに当てはまるかを確かめてください。
電気CADの導入が向いている企業
制御盤や装置の電気設計を継続的に行う企業です。繰り返し設計するほど、図面と部品表の連動やテンプレート流用の効果が積み上がります。
設計変更のたびに端子表や部品表を手で直している企業も適しています。見積もり用の部品表作成に手間がかかっている企業も候補でしょう。ハーネスを多く扱う企業なら、3D連携機能の価値も大きくなります。機械設計と密に連携したい装置メーカーも同様です。
電気CADの導入が向いていない企業
電気図面の作成頻度が低く、たまの簡単な回路図で済む企業です。専用の電気CADを導入しても、投資を回収しにくいでしょう。
シンボルや部品データを整備する人手を割けない企業も、自動生成の効果が出ません。導入が形骸化するおそれもあります。まずは汎用CADで回し、図面量や設計変更が増えた段階で電気CADを検討するほうが現実的です。図面と部品表の連動で解きたい課題が先にあるかが、分かれ目です。
まとめ
電気CADとは、制御盤や装置の電気図面を作る専用CADです。シンボルの配置から配線番号・端子表・部品表を自動生成し、回路の整合をチェックできます。機械CADが形状を扱うのに対し、電気CADは部品同士の接続関係を扱います。
最初に決めるのは、機械CADとの連携がどこまで要るかです。回路図と部品表が中心で足りるのか、ハーネスや3D連携まで要るのかで、適した製品が分かれます。
一方で、部品データの初期整備と操作の習熟には時間がかかります。よく使う部品から段階的に整備してください。製品ごとの対応範囲は電気CAD(電気設計・電装設計)カテゴリで比較できます。
電気CAD(電気設計・電装設計)のおすすめ製品
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電気CAD(電気設計・電装設計)比較表
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よくある質問
Q電気CADと機械CADは何が違いますか?
機械CADは部品の「形状」を設計するのに対し、電気CADは部品同士の「接続関係」(回路・配線)を設計します。回路図から部品表や結線情報を自動生成できる点が電気CAD特有の強みです。
Q電気CADで何ができますか?
回路図・結線図の作図、制御盤の部品レイアウト、ワイヤーハーネスの設計、回路図と連動した部品表(BOM)の自動生成などができます。手作業に比べ転記ミスや整合性の確認の手間を減らせます。
Qどのような企業が電気CADに向いていますか?
制御盤や装置の電気設計、機械の電装設計、ワイヤーハーネス設計を継続的に行う企業に向いています。図面と部品表の整合や設計の標準化・流用が課題になっている場合ほど効果が出ます。
