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用語解説#応力解析#FEM#線形解析

応力解析とは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

応力解析とは何かを、FEMの仕組みや線形・非線形の違い、応力集中・安全率の見方とあわせて解説します。メリット・デメリット、主な機能、活用場面、費用相場、構造解析との違い、向いている企業までを整理しました。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
応力解析とは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

応力解析とは、部品に力が加わったときに内部で生じる応力や変形を計算し、壊れずに使えるかを試作前に確かめる技術です。計算の中心には、形状を細かな要素に分割して解くFEM(有限要素法)が使われます。

実物を作って壊す試験だけでは、試作のたびに費用と時間がかかります。危険な条件も試しにくいでしょう。この記事では、基礎知識からメリット・デメリット、主な機能、費用相場、向いている企業までを整理しました。

  • できること:荷重をかけたときの応力の分布や変形量、安全率を、試作前に数値で確かめられます。
  • 計算の仕組み:形状をメッシュに分割するFEM(有限要素法)で、応力の分布を近似的に求めます。
  • 線形と非線形:小さな弾性変形なら線形解析、塑性・接触・大変形をともなうなら非線形解析を使います。
  • 結果の読み方:最大応力の数値だけで判断せず、特異点でないか、安全率がどの程度かまで確かめます。

導入の分かれ目は、扱う設計に非線形の現象が含まれるかと、結果を検証できる体制があるかです。まず線形解析と基本的な強度検討から始め、必要に応じて非線形へ広げましょう。


この記事でわかること

01

応力解析とは

応力解析は、荷重や圧力、温度差が加わった部品の内部をコンピュータ上で調べる解析です。機械部品や構造物に限らず、装置の架台や筐体、治具など、力がかかるものづくり全般で使われます。ここでは、定義、FEMの仕組み、線形と非線形の違い、結果を読む考え方を押さえます。

部品に生じる応力と変形を求める技術

応力とは、材料の内部に生じる単位面積あたりの力のことです。外から加わった荷重が、部品の中でどう伝わるかを表します。応力解析は、この応力と変形の分布をコンピュータ上で求める解析です。対象となる力には、荷重のほか圧力や温度差も含まれます。

求めた応力を材料が耐えられる強さと比べれば、壊れずに使えるかを判断できます。どこを補強すべきか、逆にどこは削っても問題ないかの見当もつけられるでしょう。設計図の段階で問題を洗い出せる点が、応力解析の大きな役割です。

計算の中心になるFEM(有限要素法)

FEMは、複雑な形状を小さく単純な形の集まりに分割して解く手法です。分割した一つひとつの小領域を要素、要素を分けてできた格子をメッシュと呼びます。要素ごとの計算を組み合わせることで、全体の応力や変形が求まる仕組みです。

単純な棒や板なら公式で解けますが、実際の部品は穴やリブ、曲面が入り組んでいます。FEMは、こうした複雑な形状でも応力の分布を近似的に求められます。手計算では解けない形状を扱えることが、FEMが広く使われる理由です。

線形解析と非線形解析

線形解析は、荷重と変形が比例すると仮定して解く解析です。変形が小さく、材料が弾性の範囲にとどまり、接触状態が変わらない場合に成り立ちます。計算が速く結果も解釈しやすいため、設計検証の出発点になるのが線形解析です。

非線形解析は、この前提が崩れる現象を扱います。対象は、大変形を扱う幾何学的非線形、塑性などを扱う材料非線形、接触を扱う接触非線形です。プレス成形やボルト締結、圧入など、現実の設計の多くに非線形の要素が含まれています。

応力集中・特異点と安全率

応力集中は、穴や段差、隅の角など形状が急に変わる部分で応力が局所的に高まる現象です。実際の破壊は、こうした部分から始まることが多くあります。一方で、鋭い角や点での拘束では、メッシュを細かくするほど応力が際限なく上がります。これは特異点と呼ばれる数値上の偽の値です。

安全率は、材料が耐えられる強さを発生する応力で割った値で、設計にどれだけ余裕があるかの指標です。1を下回れば壊れる可能性があり、大きすぎれば重く高コストな過剰設計になります。適切な値は、荷重の予測精度や材料のばらつきなどで決まります。

編集部メモ:応力解析の成否を分けるのは、結果を読み解ける担当者がいるかどうかです。最大応力の数値だけで判断せず、特異点でないか、安全率はどうかまで確かめてください。


02

応力解析のメリット

応力解析の利点は、設計の強度を形にする前に何度でも確かめられることから生まれます。試作の削減から形状の改善まで、設計者が手応えを感じやすい4つを挙げます。

  • 試作前に強度を確かめられる
  • 軽量化の検討を進めやすい
  • 実機では試しにくい条件も検証できる
  • 弱い箇所がひと目で分かる

試作前に強度を確かめられる

実物を作って壊してみる試験では、試作のたびに費用と時間がかかります。応力解析なら、形状や材料を変えながら画面上で何度でも強度を検証できます。強度不足が試作前に見つかるため、作り直しの回数が減るのが利点です。

試作にかかっていた費用と時間を圧縮でき、開発期間の短縮にもつながります。過剰な肉厚のような設計の無駄も、設計段階で見つけられるでしょう。試作の失敗や強度不足の手戻りに悩む現場ほど、効果を実感しやすくなります。

軽量化の検討を進めやすい

応力が高い箇所と低い箇所が分かるため、どこを厚くし、どこを削れるかの見当がつきます。強度を確保したまま、無駄な肉厚や重量を減らす検討を進めやすくなります。

安全率が大きすぎる設計は、重く高コストになりがちです。軽量化は材料費の削減に直結し、輸送コストの低減にも効きます。多めに取っていた肉厚を根拠を持って見直せる点も、心強いところです。設計の品質とコストの両方によい影響をもたらすでしょう。

実機では試しにくい条件も検証できる

実機試験では再現しにくい極端な荷重条件も、計算なら安全に試せます。危険をともなう条件の確認に、試験設備や試作品を用意する必要がありません。荷重の大きさや向きを変えた検討も、同じモデルで繰り返し計算できます。

安全性が厳しく問われる装置や構造物では、この点が大きな利点です。壊れたときの影響が大きい製品ほど、事前に余裕を確かめておく価値は高まります。安全性の根拠を数値で示せるため、社内外への説明にも使えるでしょう。

弱い箇所がひと目で分かる

結果は色分けされた応力の分布図で表示され、応力が高い箇所や変形が大きい箇所がすぐに分かります。数値の表を読み込まなくても、どこに力が集中しているかをつかめる点が便利です。

穴や段差、隅の角などの応力集中部を見つけたら、角を丸める、肉を増やすといった対策を画面上で試せます。実際の破壊は集中部から始まることが多く、先に手を打てる安心感は大きいでしょう。形状を直して解き直せば、応力が下がったかをその場で確認できます。


03

応力解析のデメリット

応力解析は、導入すれば自動的に正しい答えが出るものではありません。いずれも手順と体制で避けられる範囲なので、対処法とあわせて押さえておきましょう。

  • 設定しだいで結果が変わる
  • 特異点の値を最大応力と取り違えやすい
  • 非線形解析は計算が重く、扱いが難しい

設定しだいで結果が変わる

FEMの結果は、メッシュの切り方や境界条件、材料データの精度に大きく左右されます。メッシュが粗すぎると応力を低く見積もり、固定や荷重の与え方が実際と違えば結果もずれます。同じ形状でも答えが変わるため、結果を鵜呑みにするのは危険です。

対処法:メッシュを細かくして、答えが安定するかを確かめてください。簡単な条件での手計算や、実機試験の結果とも突き合わせます。この検証を手順に組み込めば、解析の信頼性を保てます。

特異点の値を最大応力と取り違えやすい

鋭い角や点で固定した拘束、集中荷重をかけた箇所では、応力が収束しない特異点が生じます。この値を最大応力として判断すると、必要のない過剰な補強につながります。特異点は実際の応力ではなく、計算モデルの単純化によって生じる値です。

対処法:鋭い角には現実に近いフィレットを設け、集中荷重は面で分散させてください。応力集中部のメッシュを段階的に細かくし、値が際限なく上がり続けるなら特異点を疑います。ある細かさで落ち着けば、実在の集中応力と考えてよいでしょう。

非線形解析は計算が重く、扱いが難しい

塑性や接触、大変形を正しく捉えるには、非線形解析が欠かせません。ただし線形解析より計算が重く、設定が難しいうえ、計算が収束しないリスクもあります。材料モデルや接触条件の設定には、専門知識が求められます。

対処法:まず線形解析で全体の傾向をつかみ、塑性域に入りそうな箇所だけを非線形で詳しく解いてください。社内で精度を確かめながら適用範囲を段階的に広げると、誤った判断を避けやすくなります。扱う設計に非線形が含まれるなら、それに対応できる製品を選ぶ必要があります。


04

応力解析の主な機能

応力解析ソフトの機能は、前処理・解析・後処理という流れに沿って並んでいます。この流れは、ほとんどの応力解析ソフトに共通します。

  • メッシュ作成と材料設定:形状を要素に分割し、ヤング率などの材料特性を与える
  • 境界条件の設定:どこを固定し、どこにどれだけの力をかけるかを指定する
  • ソルバーによる計算:連立方程式を解き、各要素の応力と変形を求める
  • 結果の表示と評価:応力の分布図や変形図、安全率の分布を表示する

それぞれの中身を見ていきましょう。

メッシュ作成と材料設定

前処理の中心は、3D CADなどで作った形状にメッシュを切る作業です。形状を小さな要素に分割し、FEMで計算できる状態に整えます。あわせて、ヤング率やポアソン比といった材料の特性も設定の対象です。

要素を細かくするほど精度は上がりますが、計算量も増えていきます。そのため、応力集中部だけを細かく切るなど、精度と計算時間の釣り合いを取る設定が必要です。CADとの連携やメッシュ作成の手間は、製品によって差が出る部分です。

境界条件の設定

境界条件とは、部品をどこで固定するか(拘束)と、どこにどれだけの力をかけるか(荷重)の設定です。メッシュと材料の設定に続いて行う、前処理の仕上げにあたる作業です。荷重には、力のほか圧力や温度差を与えることもできます。

同じ形状でも、境界条件しだいで答えが変わります。実際の取り付け方や力のかかり方に近づけることが、結果の信頼性を左右する要素です。点での固定や集中荷重は特異点の原因になるため、与え方には注意が要ります。

ソルバーによる計算

設定を終えたモデルは、ソルバーが連立方程式を解いて計算します。各要素の応力と変形を求め、それを組み合わせて全体の結果を出す仕組みです。線形解析は計算が速く、非線形解析は計算が重くなります。

非線形解析にどこまで対応できるかは、製品によって差があります。多くのソフトは、応力解析を起点に固有値解析や座屈解析、疲労解析へ広げられる構成です。扱う設計に必要な解析の種類が揃っているかが、製品を見るときの軸になります。

結果の表示と評価

後処理では、計算結果を応力の分布図や変形図、安全率の分布として表示します。応力や変形の大きさは、色分けで示すのが一般的です。安全率の分布を見れば、材料の強さに対する余裕が部位ごとに分かります。

応力の指標は複数あり、降伏の判定に広く使われるのが相当応力(ミーゼス応力)です。繰り返し荷重による疲労や、引張に弱い材料の評価では最大主応力に注目します。評価したい破壊の形に合った指標を選ばないと、数値の読み違いにつながるため注意が必要です。


05

応力解析の主な活用場面

応力解析が使われるのは、荷重に耐えられるかを試作前に確かめたい場面です。担当する立場によって、解く対象と求める精度が変わります。代表的な3つの場面を見ていきましょう。

設計者が部品の強度とたわみを確かめる

機械設計の担当者が、普段の設計の延長で部品の強度を確認する場面です。ブラケットに重い装置を取り付けたときのたわみや、配管に圧力をかけたときの肉厚の余裕などを調べます。

対象の多くは金属部品が弾性範囲で小さくたわむ程度の検討で、線形解析で足ります。3D CADの形状をそのまま使える製品なら、設計と解析を行き来しやすくなるでしょう。設計変更のたびに強度を確かめ、試作後の手戻りを減らす使い方が中心です。

解析担当者が接触や塑性をともなう現象を評価する

研究開発や解析専任の担当者が、線形解析では捉えられない現象を詳しく評価する場面です。ボルト締結や圧入、プレス成形、樹脂やゴムの部品などが対象になります。

接触面積の変化や塑性変形、大変形を含むため、線形解析では実態と大きくずれます。正しく捉えるには、非線形解析が欠かせません。設定や結果の読み解きに専門知識が要るため、専任の担当を置ける体制が前提になります。手計算や実機試験との突き合わせで、精度を確かめながら進めます。

生産技術の担当者が装置の架台や治具を検討する

生産技術や設備設計の担当者が、装置の架台や筐体、治具の強度を確かめる場面です。重い装置を支える架台では、たわみと応力の両方に余裕があるかが確認の対象です。強度を確保しつつ無駄な重量を減らす、軽量化の検討にも使われます。

振動が問題になる装置なら、応力解析に加えて固有値解析を組み合わせます。細長い柱や薄板を使う構造では、座屈解析も必要です。電子機器の基板まわりのように、小さな部品にかかる力を調べる用途もあります。


06

応力解析の費用相場

応力解析ソフトの多くは個別見積もりで、ライセンスの形態や構成によって価格が変わります。年額制やトークン制の汎用ソルバーのほか、3D CADのアドオンとして組み込む製品もあります。導入時は、ソフトの費用に加えて担当者の教育や検証の手間も含めて計画しましょう。

製品ごとの条件は、ITトレンドの応力解析ソフトカテゴリで比較できます。製品ごとの特徴は、応力解析ソフトの比較記事で確認してください。


07

応力解析と構造解析の違い

応力解析と構造解析は重なる部分が多く、実務では区別せずに使われることもあります。構造解析は、荷重や振動を受けたときの挙動全般を扱う広い概念です。応力解析は、そのうち応力と変形に注目した解析にあたります。

観点

応力解析

構造解析

扱う範囲

荷重を受けたときの応力と変形

荷重や振動を受けたときの挙動全般

主な解析の種類

静的な荷重に対する応力・変形の計算

静解析・動解析・固有値解析・座屈解析など

分かること

応力の分布、変形量、安全率

固有の振動数、座屈の起きやすさ、時間とともに変化する力への応答など

位置づけ

構造解析の中で最も基本的で、使用頻度が高い

応力解析を含む大きな枠組み

必要になる場面

部品の強度・剛性の確認

振動が問題になる装置、細長い柱や薄板を使う構造

応力解析は、構造解析の中でもっとも基本的で、使用頻度の高い解析と位置づけられます。静的な荷重に対する強度や剛性の確認なら、応力解析で足りる場面が多いでしょう。

一方、振動や座屈、繰り返し荷重による疲労が関わる設計では、応力解析だけでは完結しません。自社の製品にどんな現象が関わるかを整理すると、応力解析の先に必要な解析が見えてきます。


08

応力解析の導入が向いている企業・向いていない企業

応力解析が効くかは、業種そのものより、形状の複雑さや強度要求の厳しさで決まります。試作の難しさや、繰り返し検討の多さも分かれ目です。自社がどちらに当てはまるかを確かめてください。

応力解析の導入が向いている企業

複雑な形状の部品を扱い、強度や軽量化が品質に直結する設計をしている企業です。荷重条件が複雑で、手計算では強度を見積もれない部品を扱う企業にも向きます。

試作や実機試験に費用と時間がかかる製品を持つ企業では、手戻りの削減という形で効果が表れます。安全性の根拠を数値で示す必要がある装置や構造物、設計変更を繰り返して最適な形状を探す開発も同様です。軽量化の要求が強い分野ほど、解析で何度も検証できる価値は大きくなるでしょう。

応力解析の導入が向いていない企業

部品が単純な形状で、経験則や規格、手計算で十分に強度を見積もれている企業です。試作が安価で短期間にできる製品なら、実機で確かめるほうが速い場面もあります。

解析を扱える人材や教育に投資できる体制がない企業も、すぐの内製化には向きません。まず一部の検討を外部の解析サービスに任せ、効果を確かめてから内製化を考えるのが現実的です。応力解析を目的にするのではなく、解きたい強度の課題が先にあるかが分かれ目になります。


09

まとめ

応力解析とは、部品に生じる応力や変形を計算し、壊れずに使えるかを試作前に確かめる技術です。計算の中心はFEMで、試作回数の削減や軽量化の検討に効果があります。

最初に見極めるのは、線形解析で足りるか、非線形解析まで要るかです。塑性・接触・大変形が関わる設計なら、非線形に対応した製品が必要になります。振動や座屈が問題になるなら、構造解析へ広げられるかも確かめましょう。

結果はメッシュや境界条件で変わるため、特異点や安全率まで読み解ける担当者と検証の手順が欠かせません。製品は応力解析ソフトカテゴリで比較できます。

応力解析ソフト比較表

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よくある質問

Q応力解析とは何ですか?
A

応力解析とは、部品や構造物に荷重がかかったときに内部に生じる応力やひずみを計算し、壊れないか・変形が許容範囲かを評価する解析です。多くは有限要素法(FEM)を用い、試作前に強度を確認できます。

Q線形解析と非線形解析はどう違いますか?
A

線形解析は荷重と変形が比例する範囲を前提とした高速な解析で、小さな変形の強度評価に向きます。大変形・接触・材料の塑性などが関わる場合は非線形解析が必要で、計算負荷は高くなりますが現実に近い評価ができます。

Q解析結果の安全率はどう見ればよいですか?
A

安全率は材料の許容応力を発生応力で割った余裕の度合いです。応力集中部や特異点では値が過大に出ることがあるため、メッシュの収束確認や相当応力・主応力の使い分けを踏まえて判断する必要があります。

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