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選び方・ノウハウ#電磁界解析#磁場解析#選び方

電磁界解析ソフトの最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

電磁界解析ソフトの選び方を、目的別・部門別・企業規模別の3つの切り口から解説。低周波・高周波・設計者向けという3種類の違い、代表モデルで確かめる精度、3年分の総額の出し方、よくある4つの失敗と回避策までを整理します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
電磁界解析ソフトの最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

電磁界解析ソフトは製品名を耳にする機会が多い一方、選ぶ段階で手が止まりがちです。どの軸で測れば自社の解析対象に合うかが、整理されていないためでしょう。低周波のモーター設計に強い製品と、高周波のEMC設計に強い製品は、内部のソルバー方式が違います。ここを取り違えると、導入後に狙った解析が回らない事態になります。この記事では、目的・部門・企業規模の3つの切り口から選び方を整理しました。製品名を覚える前に、まず測る物差しを決めましょう。

  • 解析対象が低周波か高周波かを最初に決める
  • 必要な連成(熱・構造・回路)の範囲を、いまと将来で分ける
  • 既存のCAD・CAE環境との連携とサポート体制を確認する
  • 最後に3年単位の総額で稟議の数字を組み立てる

電磁界解析ソフトの選定は、解析対象とソルバー方式のふたつを整理すると、系統が見えてきます。続けて連成の範囲や既存環境との連携を確認すると、狙った解析を回せる製品を見極めやすくなるでしょう。


この記事でわかること

01

電磁界解析ソフトの基礎知識

選び方に入る前に、電磁界解析ソフトが何を担うのかを押さえます。ここが曖昧なままだと、使わない機能に費用を払うことになりかねません。3点に絞って確認しましょう。

電磁界解析ソフトが担う業務

電磁界解析ソフトは、磁界や電磁波の分布を計算で求めるソフトウェアです。モーターやトランス、コイル、アクチュエータ、センサーが主な対象になります。試作の前に効率やトルク、損失を数値で確かめられる点が導入の狙いです。

扱う物理は、静磁界・動磁界・誘電・高周波に分かれます。どの物理に対応しているかで、解ける問題の範囲が決まってくるでしょう。回転機の損失やトルクリプルの評価から、コイルやコネクタの電磁界評価まで用途は広がっています。EVや車載機器の設計では、重要度がとくに上がってきました。

試作・実測との使い分け

電磁界解析は、実測を置き換えるためのものではありません。試作の前に条件を振って当たりを付け、実機で最終確認する使い方が基本になります。狙いは、試作回数と設計の手戻りを減らすことです。

実測との照合は、精度の担保にも要ります。自社の既知のモデルで解析値と実測値を突き合わせておくと、以降の判断が速くなります。照合の材料がないまま解析結果だけで判断すると、数値の妥当性を説明できません。製品を選ぶ段階でも、この照合に使える代表モデルを1つ用意しておいてください。

選定でつまずきやすい理由

電磁界解析ソフトは製品ごとに守備範囲が違い、カタログを並べても差が読み取りにくい状況です。対応物理の表記が似ていても、得意な周波数帯や形状は製品ごとに分かれます。提供元の統合や改称も続いており、旧名称で調べると現行の窓口にたどり着きにくい事情もあります。

差が出るのは、自社の代表モデルを解いたときの精度と計算時間です。カタログには載らない部分といえるでしょう。専用テンプレートの有無や非線形材料の扱いでも、使い勝手は大きく変わります。だからこそ、軸を先に決めてから製品を見る順序が要ります。

編集部コメント:製品を先に見ると、機能の多さで判断してしまいがちです。自社がどの物理を、どれだけの頻度で解くのかを先に言葉にしてみてください。


02

電磁界解析ソフトの種類

電磁界解析ソフトは、得意とする解析対象で3つに分かれます。この分類を押さえておくと、候補を比較しやすくなります。まず全体像をつかみましょう。

  • 低周波・モーター解析特化型
  • 高周波・EMC解析特化型
  • 複数物理対応の設計者向け型

低周波・モーター解析特化型

回転機や磁気回路の解析に的を絞った製品群です。軸になるのはFEM(有限要素法)の磁場ソルバーです。モーター向けの専用テンプレートと材料データベースを備えます。

損失・トルク・効率を高い精度で作り込みたい場合の第一候補になるでしょう。インバータ駆動や制御との連携、鉄損やトルクリプルの評価まで一連で回せます。非線形材料や過渡解析の扱いに強く、量産開発の標準ツールとして使われてきました。一方で高周波のアンテナや電波伝搬は主用途から外れるため、その領域は別系統に任せる前提になります。

高周波・EMC解析特化型

アンテナ・高速基板・EMC/EMIを対象とする製品群です。備えるソルバーはMoM(モーメント法)やFDTD(時間領域差分法)などになります。対象に応じて使い分けられる構成が中心です。

開放空間の放射や広帯域の時間応答は、FEMだけでは扱いにくい領域といえます。周波数帯や形状の異なる課題を抱える設計では、ソルバーを選べる構成が役立ちます。通信機器や車載レーダーの設計が主戦場になるでしょう。ただし低周波のモーター解析は特化型が優位のため、用途を高周波に振り切る判断が要ります。

複数物理対応の設計者向け型

電磁だけでなく熱・応力・音響なども一つのライセンスで扱える製品群です。専任の解析担当を置かず、設計者自身が手元で回す使い方を想定しています。

価格が明示された年額制や無償トライアルを用意する製品もあり、導入の障壁は低めです。電磁から熱、応力までを一通り自分で確認したい設計部門に向きます。電子部品やセンサーのように、複数の物理が絡む小型製品とも相性がよいでしょう。ただし大規模な非線形動解析や専用モーターテンプレートでは、特化型に及ばない領域が残ります。


03

【目的別】電磁界解析ソフトの選び方

同じ電磁界解析ソフトでも、何をしたいかで優先すべき軸が変わります。製造業でよくある3つの目的を取り上げました。自社に近いものから読んでください。

モーターの効率とトルクを作り込みたい

解析対象を低周波に定め、専用テンプレートと材料データの厚みを優先します。回転機は非線形材料と回転運動を扱うため、汎用の磁場ソルバーだけでは作業量が膨らむためです。

確認したいのは、鉄損やトルクリプル、コギングの評価が標準で回せるかどうかです。インバータ駆動を含む回路連携の可否も、あわせて見ておきます。国内での検証事例が多い製品ほど、立ち上げの相談がしやすくなるでしょう。材料データベースに自社で使う電磁鋼板が入っているかも、早い段階で聞いておくと安全です。

アンテナやEMC/EMIの適合を確かめたい

高周波側のソルバーを持つかどうかで、候補が大きく変わります。開放空間の放射や広帯域の応答は、低周波向けの構成では精度も計算効率も出ないためです。

対象に応じてMoMやFDTD、有限要素を切り替えられる製品が有利になります。基板・筐体・ケーブルまで含めて評価するなら、モデル規模に耐える並列計算の可否も確認してください。試験前の当たり付けに使うなら、規格の試験条件を再現できるかも見ておきます。低周波の磁場解析は、別系統に任せる前提で選びます。

設計探索を自動化して試作回数を減らしたい

パラメータ最適化やAIサロゲートの有無を軸に選びます。スロット形状やマグネット配置など、振る条件が多い設計では手作業の試行錯誤が工数を押し上げるためです。

多目的最適化を回せる構成なら、設計工数とリードタイムを縮められます。ただし学習データの準備と精度の検証が前提になり、追加モジュールやトークンの消費も伴います。導入初期から全機能を使い切れる組織は多くありません。まず基本解析を定着させ、効果の見込めるテーマから段階的に広げてください。


04

【部門別】電磁界解析ソフトの選び方

日常の使い方が部門ごとに違うため、電磁界解析ソフトで確認すべき点も異なります。電磁界解析ソフトを日常的に使う3つの部門で整理しました。複数部門で共有する場合は、条件の厳しいほうに合わせます。

設計部門

製品の形状を決めながら解析を回す部門です。1件あたりの所要時間が短いほど、設計の中で試せる案の数が増えます。

優先したいのは、使用中の3D CADから形状を取り込む手間の少なさです。形状変更を解析へ反映する流れが滑らかなら、手戻りが目に見えて減ります。専任の担当を置かない場合は、テンプレートやガイドの充実度も判断材料になるでしょう。操作の重い構成を選ぶと、結局は解析担当へ丸投げする形に戻りかねません。

解析・CAE専門部門

大規模モデルや連成解析を担う部門です。精度と計算規模を優先して確認するため、設計部門とは重視する条件が変わります。

確認したいのは、並列計算やHPC環境への対応と、非線形材料や過渡解析の扱いです。電磁から熱・構造への連成を回すなら、スイート内で完結するかどうかも作業効率に影響します。既存のCAE資産と同じ系統でそろえると、ライセンスとスキルを流用できるでしょう。設計部門からの依頼を受ける立場なら、モデルの受け渡し形式と標準化のしやすさも判断に入れてください。

品質保証・EMC評価部門

試験前の当たり付けと、不適合が出たときの原因切り分けに使う部門です。設計変更の前に対策の効きを数値で示せると、手戻りが小さくなります。

必要になるのは高周波側のソルバーと、実測との照合のしやすさです。試験規格に沿った条件を再現できるか、結果を報告書の形で出せるかも確認してください。評価部門が単独で回す場合は、習得性とサポート体制の比重が上がります。設計部門と同じ製品でそろえておくと、モデルの受け渡しで手戻りが起きにくくなるでしょう。


05

【企業規模別】電磁界解析ソフトの選び方

企業規模そのものより、規模から来る制約が判断を分けます。専任担当の有無、ライセンス本数、稟議の通し方の3点です。自社の体制に近いところを見てください。

中小企業

専任の解析担当を置けない前提で選びます。設定も判断も設計者自身が抱えるため、習得性と相談先の近さが定着を左右するためです。

価格が明示された年額制の製品なら予算を組みやすく、稟議も通しやすくなります。無償トライアルの期間を使い、自社の代表モデルを自分で解けるところまで確かめてください。日本語のドキュメントと問い合わせ窓口が近いかどうかも、あわせて確認したい条件です。初期設定や操作研修を支援してもらえるかまで聞いておくと、立ち上げが早まります。

中堅企業

設計部門と解析担当が分かれ始める規模です。誰がどこまで回すかを決めないと、ライセンスが遊ぶか足りなくなるかのどちらかに振れます。

使用頻度に差がある場合は、ライセンスを融通し合える形態が選択肢に入ります。解析条件やモデルの作り方を標準化しておくと、担当者が替わっても結果の再現性を保てるでしょう。拠点をまたぐ利用があるなら、ライセンスサーバーの置き方も先に決めてください。部門をまたいで使う場合は、条件の厳しい側に合わせて仕様を決めるのが安全です。

大企業

既存のCAE資産と全社標準との整合が判断を左右します。電磁単体で選ぶより、熱・構造・回路まで含めた解析環境の一部として見るほうが現実的です。

すでにスイートが入っているなら、同系統を選ぶと連携と運用の負担が軽くなります。稟議では単価より、数年分の総額と移行コストが問われます。海外拠点を含む標準化が絡む場合は、現地でのサポート体制まで確認しておくと安全でしょう。全社一斉ではなく、部門単位の段階展開で影響範囲を抑える進め方も検討に値します。


06

自社に合った電磁界解析ソフトの選定ポイント

目的・部門・規模で方向が見えたら、具体的な条件に落とし込みます。ここからは順番が大切です。上から順に確認すると、手戻りが減ります。

  • 解析対象と必要な物理を決める
  • ソルバー方式と精度を代表モデルで確かめる
  • 必要な連成の範囲をいまと将来で分ける
  • CAD・回路・既存CAEとの連携を確認する
  • ライセンス形態と3年分の総額を出す

解析対象と必要な物理を決める

最初に決めるのは、何をどの周波数帯で解くかです。低周波のモーター・磁場か、高周波のアンテナ・EMCかで、必要なソルバーも候補も分かれます。

あわせて、静磁界・動磁界・誘電・高周波のどれが要るかを書き出してください。解析の頻度とモデル規模も仮置きします。この2つが決まらないと、総額もライセンス本数も出せません。曖昧なまま価格や知名度で選ぶと、系統ごと乗り換える事態になりかねません。ここが以降のすべての判断の土台になると考えてください。

ソルバー方式と精度を代表モデルで確かめる

カタログの対応表ではなく、自社の代表モデルで確かめます。対応をうたっていても、精度と計算時間は問題の中身によって変わるためです。

試用やベンダー支援の場で、既知の実測値や理論値と照合してください。見るのは許容誤差に収まるか、設計サイクルに耐える時間で解けるかの2点です。メッシュ生成がどこまで自動化されているかも、日々の工数を左右します。ベンダーが公開する検証事例があれば、事前に目を通しておくと当たりを付けやすくなるでしょう。

必要な連成の範囲をいまと将来で分ける

連成は、いま必要な範囲と将来必要になる範囲を分けます。損失が熱を生み、電磁加振が振動と騒音を生むため、電磁単独では評価が閉じない場面があるためです。

温度上昇やNVHを評価するなら、熱・構造との連成を条件に含めてください。一方で連成を厚くすると、操作もデータ管理もライセンスも複雑になります。当面不要な分まで揃えるのは過剰投資です。将来分は拡張の余地を見る程度にとどめます。いま評価したい項目を書き出せば、必要な連成の範囲は自然に決まってきます。

CAD・回路・既存CAEとの連携を確認する

解析モデルの形状はCADから、駆動条件は回路や制御から来ます。使用中のツールから取り込めるかどうかで、日々の運用効率が変わるためです。

社内にすでにCAEスイートがあるなら、同系統を選ぶとライセンスとスキルを流用できます。特定のスイートに縛られたくない場合は、単体で完結する製品を選ぶ判断もあるでしょう。CAD構成は現在だけでなく、3〜5年後まで見て決めてください。形状変更を解析へ反映する手順も、試用の段階で一度通しておくと安心です。

ライセンス形態と3年分の総額を出す

単価ではなく、3年分の総額で比べます。ライセンス費のほかに、HPCやサーバー、教育、保守の費用が積み上がるためです。

価格が公開された年額制もあれば、個別見積もりやトークン制の製品もあります。トークン制は大規模並列に強い一方、利用量が読みにくい点に留意してください。見積もりを取るときは、想定する解析の本数とモデル規模を先に示すと金額が揃います。効果は試作回数の削減や設計手戻りの減少、リードタイム短縮で見積もってください。


07

【比較表】電磁界解析ソフトの主要製品

製品データとして数値化できる4項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。工程管理・品質管理・現場操作性・中小適合の4つを5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順です。上から下へ向かうほど、想定する企業規模と導入の重さが上がります。

順位

製品

提供元

工程管理

品質管理

現場操作性

中小適合

価格の目安

1

COMSOL Multiphysics

COMSOL

4

4

4

4

コアCOMSOL+モジュール課金。教育機関向けも

2

Femtet

ムラタソフトウェア株式会社

4

4

4

4

通常ライセンス 年額23.8万円(税抜、1PC)。60日無償トライアル有

3

JMAG

株式会社JSOL

4

4

3

2

商用ライセンスは非公開・個別見積もり。教育機関向けのみ公開価格あり(Plan1 30万円/1式+年間更新5万円、Plan3 90万円/3式+年間更新15万円)

4

Ansys Maxwell

Ansys, Inc.(Synopsys傘下)

4

4

3

2

Ansysトークン契約。HPC追加で変動

5

CST Studio Suite

ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)

4

4

3

2

SIMULIA契約

6

Simcenter Flux(旧 Altair Flux)

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア

4

4

3

2

Altair Unitsトークン制

7

Simcenter MAGNET

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア

4

4

3

2

Simcenter契約

この順位は中小適合の高さで並べたもので、製品の総合的な評価を表すものではありません。製品ごとの詳しい比較は電磁界解析ソフトの比較記事で扱っています。


08

電磁界解析ソフトの選び方で失敗しないための注意点

導入でつまずく組織には共通したパターンがあります。事前に知っておけば、稟議の段階で対策を示せるはずです。よくある4つを回避策とあわせて挙げます。

解析対象とソルバーが合っていない

起こりやすいのが、主目的が低周波なのに高周波寄りの製品を選ぶ、あるいはその逆の取り違えです。狙った解析の精度も計算効率も出ず、系統ごとの入れ替えになります。

回避策:選定の起点を解析対象とソルバー方式に置いてください。知名度や価格から入らないことが大切です。試用の段階で自社の代表問題を実際に解き、精度と計算時間を自分の目で確かめましょう。カタログ上の対応周波数だけで判断しないことが、こうした選定ミスを避けるうえで重要です。

連成の範囲を決めずに選ぶ

当面不要なマルチフィジックスまで揃えてしまうと、費用と運用の負担が過大になりがちです。逆に、温度や騒音の評価が必要なのに電磁単独で導入して後から困るケースもあります。どちらも運用が始まってから影響が表れます。

回避策:いま必要な連成と将来必要な連成を切り分けてください。将来分は、拡張の余地があるエコシステムを選ぶにとどめます。評価したい項目を先に書き出せば、過不足は見えてきます。連成を厚くするほど操作もデータ管理も複雑になる点は、あらかじめ織り込んでおきましょう。

習熟と運用体制を見込まない

教育や時間を確保しないまま高機能な製品を導入すると、現場で使われずに放置されるおそれがあります。高機能でも誰も回せなければ、投資は回収できません。

回避策:トレーニング、日本語サポート、運用時間の確保を導入計画に組み込んでください。習得性とサポートを選定軸として明示することも要ります。誰が何時間使うのかまで決めておくと安全です。専任を置くのか設計者が片手間で回すのかで、求める習得性の水準も変わります。

ライセンス費だけで総額を見積もる

ライセンス費だけを根拠に稟議を通してしまう例は少なくありません。HPC費やトークン消費、保守、教育費が抜けたまま総額を見積もることになります。結果として、運用段階に入ってから予算が逼迫します。

回避策:想定する解析の頻度と規模を提示し、比較可能な見積もりを取ってください。そのうえで3年分の総額で数字を組み立てましょう。試作回数の削減やリードタイム短縮を効果として並べると、説明もしやすくなります。安く導入しても誰も使わなければ、二重作業が残って結局は高くつきます。


09

まとめ

電磁界解析ソフトの選定は、解析対象を低周波か高周波かで見極めるところから始まります。この1点で必要なソルバー方式と候補の系統が変わるためです。種類は3つに分かれます。低周波・モーター解析特化型、高周波・EMC解析特化型、複数物理対応の設計者向け型です。

方向が定まったら、5つの条件を順に確認しましょう。必要な物理、代表モデルでの精度検証、連成の範囲、CADや回路との連携、3年分の総額です。よくある失敗は4つあります。対象とソルバーの不一致、連成範囲の未決定、体制の見込み違い、総額の過小評価です。

製品ごとの比較は電磁界解析ソフトの比較記事、費用は電磁界解析ソフトの費用の解説記事で扱っています。

電磁界解析・磁場解析ソフト比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
Femtet ロゴ
Femtetムラタソフトウェア株式会社サブスクリプション8物理現象を年額制で扱える設計者CAE詳細を見る
COMSOL Multiphysics ロゴ
COMSOL MultiphysicsCOMSOL要見積もり電磁・音響・熱・構造を強連成できる汎用マルチフィジクス詳細を見る
Ansys Maxwell ロゴ
Ansys MaxwellAnsys, Inc.(Synopsys傘下)要見積もりAnsysエコシステム内の低周波電磁界ソルバー詳細を見る
JMAG ロゴ
JMAG株式会社JSOL要見積もり国内モーター設計の事実上の標準詳細を見る
Simcenter Flux(旧 Altair Flux) ロゴ
Simcenter Flux(旧 Altair Flux)シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア要見積もりモーター・アクチュエータ向け電磁界解析詳細を見る
Simcenter MAGNET ロゴ
Simcenter MAGNETシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア要見積もりSimcenterスイートの電磁界解析詳細を見る
CST Studio Suite ロゴ
CST Studio Suiteダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)要見積もり高周波電磁界・EMC/EMI解析の定番詳細を見る
EMSolution ロゴ
EMSolutionサイエンス ソリューションズ株式会社要見積もり回路と運動方程式まで連成できる国産の三次元電磁界解析ソフト詳細を見る

よくある質問

Q電磁界解析ソフトは低周波と高周波で分けて選ぶべきですか?
A

はい、まず分けて考えるのが基本です。モーター・トランス・磁気回路などの低周波はFEM(有限要素法)ベースの磁場解析が主軸で、JMAGやAnsys Maxwell、Altair Fluxが向きます。アンテナ・EMC/EMIなどの高周波は対象に応じてMoMやFDTDなどを使い分けられるCST Studio Suiteのような製品が有利です。両方を一定レベルで扱いたい場合は、複数物理を一括で扱える設計者向けCAEを検討します。

QFEM・MoM・FDTDのソルバーはどう違いますか?
A

FEM(有限要素法)は汎用性が高く、低周波の磁場や複雑形状の問題まで幅広く扱えます。MoM(モーメント法)は開放空間のアンテナ放射解析に向き、FDTD(時間領域差分法)は広帯域の時間応答やEMC解析に向きます。解析対象によって適したソルバーが異なるため、自社の主用途に合う方式を備えた製品を選ぶことが重要です。一つの製品で複数ソルバーを使い分けられる場合もあります。

Q導入前に試用評価(PoC)で何を確認すればよいですか?
A

カタログ値ではなく自社の代表モデルを使い、実測値や理論値と照合した解析精度、設計サイクルに耐える計算時間、必要なマルチフィジックス連成や使用中CAD・回路条件の取り込み、担当者が支援なしで基本解析を回せる習得性、日本語サポートの応答速度を確認します。あわせてHPCや保守を含む3年TCOで費用を見積もると、本格導入後の手戻りを減らせます。

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