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用語解説#品質管理システム#QMS#ISO9001

品質管理システム(QMS)とは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

品質管理システム(QMS)とは、検査記録・SPC・文書管理・CAPA・トレーサビリティを統合し、品質保証をデジタル化する仕組みです。QC・QAやISO9001との関係、主な機能、メリット・デメリット、紙・Excel管理との違い、向いている企業までを解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
品質管理システム(QMS)とは?基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

品質管理システム(QMS)とは、検査記録・不適合管理・是正処置・文書管理・トレーサビリティを統合し、品質保証のプロセスをデジタル化する仕組みです。

検査成績書をExcelで作り、過去の記録を探すのに時間がかかっていませんか。拠点ごとに様式が違い、全社の品質を見渡せないこともあるでしょう。ISO9001の審査前に、記録の整合確認に追われるケースもあります。こうした課題の解決策として検討されます。この記事では、基礎知識からメリット・デメリット、主な機能、費用相場、向いている企業までを整理しました。

  • できること:検査記録・SPC・文書管理・CAPA・トレーサビリティを統合し、品質データを一元管理できます。
  • 言葉の2つの意味:ISO9001が定める品質マネジメントの仕組みと、その運用を効率化するソフトウェアの両方を指します。
  • QC・QAとの関係:現場の検査記録(QC)と、出荷判定や品質保証(QA)を同じデータ基盤でつなぎます。
  • 選ぶときの起点:自社に関わる規格(ISO9001・IATF16949・FDA 21 CFR Part11)で、必要な機能の重さが決まります。

効果が出やすいのは、規制対応や複数拠点の品質統合が必要な企業です。検査量が少なく単一拠点で監査に対応できているなら、単機能ツールから始める選択肢も現実的です。


この記事でわかること

01

品質管理システム(QMS)とは

品質管理システムは、品質に関わるデータと業務プロセスを1つの仕組みで扱うためのソフトウェアです。英語ではQuality Management Systemと呼ばれ、QMSと略されます。ここでは定義と言葉の意味、QC・QAや規格との関係、他のシステムとの違いを押さえます。

品質データを一元管理する仕組み

QMSが統合するのは、検査結果の記録、規格値との比較と出荷判定、不適合時の是正処置です。手順書や規格書の文書管理、製品や部品の履歴をたどるトレーサビリティも含まれます。

製造業での主な目的は、Excelや紙、ACCESSで管理していた品質データの一元化です。記録がデジタルでつながるため、検索や分析、改ざん防止、監査対応がしやすくなります。医薬品・医療機器・自動車など規制の厳しい業界では、欠かせないシステムと位置づけられています。

QMSという言葉の2つの意味

QMSという言葉には2つの意味があり、混同しやすい用語です。1つは、ISO9001が定める品質マネジメントシステムです。品質を継続的に管理・改善するためのルールや体制を指します。もう1つは、その仕組みを支えるソフトウェア製品です。

前者は体制、後者は具体的なIT製品で、レイヤーが異なります。製造業で「導入したい」というとき、多くは後者を指します。体制としての品質マネジメントを、IT製品としてのQMSが下支えする構図です。この記事でも、ソフトウェアとしてのQMSを中心に扱います。

QC・QAとの関係

QC(品質管理)は、作り手の視点で、製品が基準どおりに作られているかを工程の中で確かめる活動です。QA(品質保証)は、ユーザーの視点で、製品が安全に使えることを社外に保証する活動です。QAは企画・設計から納品後の対応までを担い、その中にQCが含まれます。

QMSは、QCの現場で生まれた測定値を記録し、QAが行う出荷判定や是正処置の履歴を残す土台です。データが分断されていると、不具合が起きたときに履歴を追えなくなります。

ISO9001・IATF16949・FDA規制との関係

ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際規格です。2015年版では、PDCAとリスクに基づく考え方が取り入れられました。文書管理や是正処置の仕組みが審査の対象になり、QMSの機能もこの要求に沿って設計されています。

自動車業界のIATF16949が求めるのは、工程の監視へのSPC(統計的工程管理)の活用です。医薬品・医療機器のFDA 21 CFR Part11は、電子署名と監査証跡の要件を定めています。関わる規格によって、必要な機能の重さが変わります。

生産管理システム・ERPとの違い

生産管理システムは、生産計画や工程の進捗、在庫の管理を主な目的とします。ERPは、受発注・在庫・原価・会計などを統合する基幹システムです。どちらも「ものをどう作り、どう流すか」を扱う点で共通しています。

QMSが焦点を当てるのは、「作ったものの品質をどう保証し、記録に残すか」です。検査結果を生産管理に反映したい場合は、両者を連携させます。ERPの一機能として品質管理を担う製品もあり、この場合は同じ基盤の上で動きます。

編集部メモ:ISO9001の認証は、QMSソフトを入れれば自動的に取れるわけではありません。ソフトは組織の運用を効率化し、証跡を残しやすくする道具だと考えてください。


02

品質管理システムのメリット

QMSの利点は、品質データが1つの基盤につながることから生まれます。記録を探す、書き写す、突き合わせるといった手間が減り、監査や拠点管理の負担も軽くなります。

  • 過去の記録をすぐに探し出せる
  • 測定値の転記ミスが減る
  • 監査の準備にかかる負担が減る
  • 複数拠点の品質を同じ基準で見渡せる

過去の記録をすぐに探し出せる

紙やExcelでは、過去の検査データや不適合の履歴を探すだけで時間を取られます。QMSなら記録が一元化されているため、必要なデータをすぐに呼び出せます。

傾向の分析もしやすくなり、同じ不具合が繰り返されていないかを確かめられるでしょう。特定の担当者しかファイルの構造を知らない、という属人化も起こりにくくなります。担当者が抜けても運用が止まらない点は、現場にとって安心材料です。

測定値の転記ミスが減る

測定器や検査装置から値を直接取り込めば、手で書き写す工程そのものがなくなります。ノギスやマイクロメータの値を転記していた寸法検査が、典型的な例です。

入力の手間と誤記のリスクを同時に減らせるため、検査員は測定そのものに集中できます。規格値との比較や成績書の発行も自動化でき、検査後の事務作業も軽くなるでしょう。検査の電子化を最初の一歩に選ぶ企業では、これが導入の主目的になります。

監査の準備にかかる負担が減る

紙やExcelの運用では、審査前に大量のファイルから記録を探す作業に追われがちです。QMSでは、検査記録・変更履歴・是正処置がシステム上で紐づいて残ります。

必要な記録をその場で提示できるため、審査準備の負担を抑えられるでしょう。いつ誰が値を変更したかも自動で残るため、ISO9001の審査やFDAの査察で証跡を示せます。是正処置の進み具合も仕組みの中で追えるため、不適合対応の抜け漏れを防げます。

複数拠点の品質を同じ基準で見渡せる

拠点ごとにExcelで管理していると、ファイルがばらばらになり、全社の品質を見渡せません。突き合わせのたびに、様式の違いを読み替える手間も発生します。

QMSで複数拠点のデータを集約すれば、全社で同じ基準の品質データを扱えるようになります。拠点ごとに様式の違うExcelを突き合わせる作業はなくなるでしょう。本社の品質部門が、全社の品質を同じ仕組みで可視化できる点も利点です。


03

品質管理システムのデメリット

QMSは、入れるだけで効果が出るシステムではなく、費用と現場の手間がかかります。いずれも進め方で抑えられるため、対処法とあわせて押さえておきましょう。

  • 導入費用と現場への定着に手間がかかる
  • 目的が曖昧だと二重管理が残る
  • 既存システムとの連携に工数が要る

導入費用と現場への定着に手間がかかる

QMSの導入には費用がかかるうえ、現場が新しい入力の流れに慣れるまで定着の手間も要ります。業種特有のカスタマイズには、追加の費用がかかる場合もあります。統合型の製品は、小規模な工場では機能過多になりやすい点にも注意が必要です。

対処法:最も困っている領域から、単機能で始めてください。統計解析ツールや検査記録の電子化から着手すれば、費用と現場の負担を抑えられます。効果を確かめてから、対象の業務を広げる進め方が現実的です。

目的が曖昧だと二重管理が残る

解決したい課題が明確でないまま導入すると、かえって運用の負荷だけが増えることがあります。Excelで困っていない業務まで一度に移そうとすると、現場の反発を招きがちです。結局、紙やExcelとの二重管理が残るケースもあります。

対処法:自社の検査量・拠点数・規制要件と照らし、どの業務から移すかを先に決めます。移す業務を、困っている領域に絞り込んでください。Excelで困っていない業務は、無理に移さなくても構いません。

既存システムとの連携に工数が要る

検査結果を生産管理に反映するには、生産管理システムやERPとの連携が必要です。連携には相応の手間がかかるため、導入の計画に最初から織り込んでおく必要があります。

対処法:どのデータをどちらのシステムで持つかを、導入前に整理してください。トレーサビリティは、検査記録・ロット情報・工程履歴を紐づけて実現します。ERPの一機能として品質管理を持つ製品を選ぶ方法もあります。


04

品質管理システムの主な機能

QMSの機能は、品質保証の流れに沿って大きく次の5つに分けられます。製品によってどの機能が厚いかが異なり、得意領域がはっきり分かれています。

  • 検査記録の管理:測定値・規格値・出荷判定を一元化し、成績書を発行する
  • SPC(統計的工程管理):管理図や工程能力指数で工程の異常を見つける
  • 文書管理:手順書・規格書・図面を最新の正本として管理する
  • CAPA(是正処置・予防処置):不適合の原因分析から再発防止までを記録する
  • トレーサビリティ:製品や部品の履歴を、材料や工程までさかのぼってたどる

それぞれの中身を見ていきましょう。

検査記録の管理

測定値や規格値、出荷判定を一元化する機能です。紙やExcelの検査成績書をシステムに置き換え、規格値との比較や成績書の発行を自動化します。

測定器や検査装置から値を直接取り込める製品もあり、手入力の工程を省けます。タブレットでの現場入力に対応しているかも、製品を比べる際の観点の1つです。記録にはロット情報を紐づけられるため、後述するトレーサビリティの土台にもなります。

SPC(統計的工程管理)

検査データを統計的に分析し、管理図や工程能力指数Cpkで工程の異常を早く見つける機能です。Cpkは、工程が規格内にどれだけ安定して収まっているかを示す指標です。

値が大きいほど、ばらつきが小さく安定していることを表します。過去データの集計だけでなく、リアルタイムで管理図に異常を表示する製品もあります。自動車業界で重要特性に求められるのは、高い工程能力を継続して保つことです。手作業の集計では、その水準を保つのが難しくなるでしょう。

文書管理

手順書・規格書・図面などを最新の正本として管理し、版数や承認の履歴を残す機能です。古い手順書での作業や、承認されていない文書の流用を防げます。

ISO9001が求める文書管理も、この機能が支える領域です。医薬品・医療機器向けの製品には、電子署名と監査証跡の機能もあります。作成・変更・削除の操作を時刻付きで残し、FDA 21 CFR Part11の要件に応えます。

CAPA(是正処置・予防処置)

CAPAは、Corrective Action and Preventive Actionの略です。不適合への対応を管理する機能を指します。原因の分析、再発防止策の実行、その記録までを一連のワークフローで扱います。

属人的になりがちな不適合対応を、仕組みとして回せる点が特徴です。対応の経過がシステムに残るため、抜け漏れを防げます。ISO9001では是正処置の仕組みが審査の対象になり、この記録がそのまま監査の証跡になります。

トレーサビリティ

製品や部品が「いつ・どの工程で・どの材料を使って・誰が作ったか」をたどれるようにする機能です。検査記録・ロット情報・工程履歴を紐づけて記録することで実現します。

不具合が起きたとき、影響範囲を特定して該当ロットだけを回収できます。リコール時の被害を最小限に抑えるのが、この機能の役割です。どこまで統合的に備えるかは製品ごとに差があり、ERPと一体で履歴を扱う製品もあります。


05

品質管理システムの主な活用場面

QMSが使われるのは、品質の記録を人手で集め、突き合わせている場面です。担当する立場によって、求めるものが変わります。代表的な3つの場面を見ていきましょう。

検査データの取り込みと工程の監視

品質管理の担当者や検査員が、日々の検査結果を記録し、工程の状態を監視する場面です。検査の電子化は、QMS導入の最初の一歩に選ばれやすい用途にあたります。

求められるのは、測定器からの自動取り込みと、現場で入力しやすい操作性です。集めたデータを管理図に表示すれば、工程の異常を早い段階でつかめます。検査量が多く、Excelの集計や成績書の発行に時間を取られている現場ほど効果が大きいでしょう。

ISO9001・IATF16949の監査対応

品質保証の担当者が、認証の審査や監査に備えて記録を整える場面です。すでにISO9001を取得し、紙やExcelで運用している企業がよく当てはまります。

求められるのは、文書の版数管理と、変更履歴や是正処置の記録が紐づいて残ることです。IATF16949ならSPCの記録、FDA対応なら電子署名と監査証跡が外せません。これから認証を目指す企業が先に導入すれば、記録の仕組みを最初から整えられます。

不適合の是正処置とロットの特定

品質保証や製造の担当者が、不良や不適合が起きたときに対応する場面です。原因を分析し、再発防止策を実行して、その経過を記録します。

求められるのは、是正処置のワークフローと、ロットをさかのぼれるトレーサビリティです。影響範囲を早く絞り込めれば、回収するロットを最小限にとどめられるでしょう。対応の履歴が残るため、同じ不適合が繰り返されていないかも確かめられます。


06

品質管理システムの費用相場

品質管理システムの費用は、機能を統合した製品か、特定の業務に絞った単機能ツールかで大きく変わります。統計解析や検査記録の電子化から始めるなら、統合型より負担を抑えやすくなります。関わる規格を意識せずに選ぶと、使わない高機能に費用を払うことになりかねません。製品の費用に加え、既存システムとの連携や現場への定着にかかる手間も見込んでおきましょう。

製品ごとの価格は、ITトレンドの品質管理システム(QMS)カテゴリで比較できます。価格帯の詳細は、品質管理システムの費用の解説記事にまとめています。


07

品質管理システムと紙・Excel管理の違い

QMSを導入する最大の動機は、紙やExcelでの品質管理が抱える限界を解消することです。両者の違いは、記録の探しやすさと、変更の証跡が残るかどうかに表れます。

観点

品質管理システム

紙・Excel

記録の検索・分析

一元化され、すぐに呼び出せる

ファイルが分散し、探すのに時間がかかる

変更の証跡

いつ誰が変更したかが自動で残る

後から書き換えられ、履歴が残らない

測定値の入力

測定器から直接取り込める

手で転記するため、誤記が起こりうる

複数拠点の管理

同じ基準のデータを集約できる

拠点ごとに様式が異なり、全社で見渡せない

運用の担い手

仕組みとして回せる

ファイルの構造を知る担当者に依存しやすい

導入の負担

費用と、現場への定着の手間がかかる

追加の費用をかけずに続けられる

最大の違いは、変更の証跡です。Excelは値を後から書き換えられるため、いつ誰が変えたかを示せません。ISO9001の審査やFDAの査察で求められる証跡に、そのままでは応えられないのが実情です。

一方で、紙やExcelは追加の費用をかけずに続けられます。検査量が少なく、今の運用で監査に対応できているなら、急いで置き換える必要はありません。


08

品質管理システムの導入が向いている企業・向いていない企業

QMSが効くかは、企業規模そのものより、検査量・拠点数・規制要件の3つで決まります。この3つは時間とともに変わるため、判断も固定的ではありません。自社が今どちらに当てはまるかを確かめてください。

品質管理システムの導入が向いている企業

ISO9001に加え、IATF16949やFDAの規制への対応が必要な企業です。規格が求める監査証跡や工程能力の記録は、手作業では維持が難しくなります。

検査の量が多く、Excelでの集計や成績書の発行に時間を取られている企業も向いています。複数拠点で品質を統一的に管理したい企業も、効果が出やすい層です。Excelの属人化や改ざんリスクに限界を感じているなら、導入を検討する時期と考えてよいでしょう。

品質管理システムの導入が向いていない企業

検査の量が少なく、単一拠点で完結している企業です。今の紙やExcelの運用で監査に対応できているなら、統合型のQMSは過剰になりやすいでしょう。

この場合は、最も困っている領域から単機能で始めるほうが現実的です。統計解析ツールや検査記録の電子化が、その代表例です。ただし拠点が増えたり、IATFやFDAの対応が必要になったりすれば、判断は変わります。単機能で先に着手しておくと、将来の品質統合へ移行しやすくなります。


09

まとめ

品質管理システム(QMS)とは、品質保証の業務をデジタル化する仕組みです。検査記録やSPC、文書管理、CAPAなどを1つの基盤で統合します。ISO9001が定める品質マネジメントの体制を、ソフトウェアとして下支えします。

最初に決めるのは、自社に関わる規格です。ISO9001なら文書管理と是正処置、IATF16949ならSPCが中心になります。FDA対応では、電子署名と監査証跡が欠かせません。

検査量が少なく単一拠点なら、単機能ツールから始める選択肢もあります。現場への定着や他システムとの連携の手間も見込んでください。製品ごとの対応規格は品質管理システム(QMS)カテゴリで比較できます。

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よくある質問

Q品質管理システム(QMS)とは何ですか?
A

品質管理システム(QMS)とは、検査記録・規格値・是正処置・文書管理など、品質に関わる業務を一元的に管理する仕組みやソフトウェアを指します。紙やExcelで分散していた品質情報をデジタルで統合し、トレーサビリティや改ざん防止、分析を行いやすくします。

QQMSとQC・QAはどう違いますか?
A

QC(品質管理)は不良品を出さないための検査や工程管理といった現場活動、QA(品質保証)は顧客に品質を約束する仕組みづくりを指します。QMSはこれらの活動を支える管理システムであり、QC・QAの記録や手順をデジタルで運用するための基盤と位置づけられます。

Q品質管理システムとISO9001はどのような関係がありますか?
A

ISO9001は品質マネジメントシステムの国際規格で、文書管理・記録・是正処置などの要求事項を定めています。品質管理システム(ソフトウェア)は、これらの要求事項を満たす運用を効率化するツールであり、ISO9001認証の維持・運用を支援する役割を持ちます。

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