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選び方・ノウハウ#産業用ロボット#協働ロボット#ロボットメーカー

産業用ロボット・協働ロボット比較11選|メーカー別の強みと目的別の選び方【製造業向け】

産業用ロボットと協働ロボットを3つの製品タイプに分け、用途適合・協働対応・SIer/サポート・導入難易度・コストの5軸で主要11メーカーを整理。溶接・組立検査・搬送・多品種少量の目的別に選び方を解説した比較記事。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部

産業用ロボットや協働ロボットを比較するとき、メーカーのロゴと可搬重量・軸数の一覧表を並べても、自社に合う候補はなかなか絞れません。溶接やプレス搬送を高速で回す重作業向けの産業用ロボット、人と並んで組立・検査をこなす協働ロボット、基板実装やコネクタ挿入を高速で繰り返すスカラロボットでは、そもそも比べている土俵が違うからです。可搬重量が大きい=高性能というわけでも、協働対応=万能というわけでもありません。

この記事では、産業用ロボットと協働ロボットを製品タイプで整理し、用途適合・協働対応・SIer/サポート体制・導入難易度・コストという軸で、製造業で名前の挙がる主要11メーカーを並列に見ていきます。溶接・組立検査・搬送パレタイジング・中小の多品種少量という目的別に、どのメーカーやロボットが入口になるかをまとめました。製品の多さに圧倒される前に、まずは比較の枠組みを押さえることが近道になります。

結論:産業用ロボットは「総合大手のフルライン型」「協働ロボット特化・導入容易型」「スカラ・高速組立特化型」の3つの土俵に分かれ、自社が解決したい工程で入口になるメーカーが変わります。溶接や重搬送を自動化したい中堅以上は、フルライン型のファナック安川電機 MOTOMAN川崎重工ABBKUKA三菱電機 MELFA不二越が中心になります。人手不足の組立・検査を人と並んで自動化したい中小は、Universal Robotsオムロンデンソーウェーブなど協働ロボット特化・導入容易型から、基板実装やコネクタ挿入など高速・高精度な組立はエプソンのスカラから検討するのが現実的です。比較は「工程→タイプ→協働の要否→SIer・サポート・コストの3点確認」の順で進めると、最終候補を2〜3社に絞り込めます。


この記事でわかること

01

産業用ロボットは「製品タイプ」で候補が変わる

産業用ロボットの比較が難しいのは、同じ「ロボット」という名前でも、機械が想定している作業と現場環境が大きく異なるためです。先にタイプを把握すると、自社の工程に合わない候補を最初に外せます。産業用ロボットとはで基本構造を押さえてから比較に入ると、各タイプの位置づけが理解しやすくなります。

製造業で名前の挙がるロボットは、実務上おおむね次の3タイプに分かれます。溶接・搬送・プレスなど重作業を高速で回す「総合大手のフルライン型」、人と同じ空間で安全に作業できる「協働ロボット特化・導入容易型」、基板実装や精密組立を高速で繰り返す「スカラ・高速組立特化型」です。多くの大手はフルライン型に分類しつつ協働ロボットも持つため、両方の土俵にまたがる点も押さえておくと混乱しません。

総合大手のフルライン型は、可搬数kgの小型から1トン超の超大型まで機種が揃い、溶接・搬送・パレタイジング・プレス間搬送・塗装まで幅広い工程を1社でカバーできるのが特徴です。ファナック・安川電機・ABB・KUKA・川崎重工・三菱電機・不二越がこの系統で、いずれも自動車や電機の量産ラインで長く使われてきた実績があります。高速・高精度・高耐久で、24時間稼働の量産に向く一方、原則として安全柵で囲うことが前提で、ティーチング(動作教示)には専門知識が要り、システム構築をSIer(システムインテグレーター)に依頼する費用も大きくなりがちです。

協働ロボット特化・導入容易型は、人と同じ空間で安全柵なしでも運用しやすいように設計された協働ロボット(コボット)を主軸にするメーカーです。Universal Robots・オムロン・デンソーウェーブが代表例で、力やトルクを検知して人に触れると停止する安全機能を備え、リスクアセスメントを前提に柵を省ける場合があります。プログラミングが直感的で立ち上げが速く、多品種少量や工程変更の多いラインに向きます。一方で可搬重量や動作速度は産業用ロボットに劣り、重搬送や高速タクトの量産には不向きです。安全柵を省けるかどうかは作業内容次第で、必ずリスクアセスメントが必要になる点も誤解されやすいところです。

スカラ・高速組立特化型は、水平多関節(スカラ)構造で、上から下への部品挿入や基板実装、ネジ締め、コネクタ挿入といった作業を高速・高精度で繰り返すことに特化したロボットです。エプソンがこの分野で高いシェアを持ちます。決まった工程を高速で大量にこなす用途では6軸より効率的ですが、複雑な姿勢制御や立体的な作業には向かず、用途が組立系に偏る点が前提になります。

自社が「溶接や重搬送を自動化したい」のか「人手不足の組立・検査を人と並んで補いたい」のか「基板実装を高速化したい」のかで、入口になるタイプが変わります。この見極めができていないまま機種を比べると、協働ロボットに重作業を期待してタクトが出ない、逆に多品種少量の現場に大型の産業用ロボットを入れて段取り替えが回らない、といったミスマッチが起こります。

3タイプは排他的ではなく重なり合う領域もあります。フルライン型の大手はほぼ全社が協働ロボットも展開しており、産業用と協働の両方を1社で揃えることも可能です。重要なのは、各メーカーが「何を主戦場に設計してきたか」を見極めることです。長く主戦場にしてきた領域は機種の選択肢も保守網も厚く、後から加えた領域は対応はしていても選べる機種やノウハウが限られることがあります。

編集部コメント:相談を受ける現場でも、最初に「どの工程を自動化したいか」を1つに絞った企業ほど、その後の比較がスムーズに進む傾向があります。タイプを決めずに全メーカーを横並びにすると、性格の違うロボットが混ざって判断軸がぼやけ、検討が長期化しやすい点に注意してください。


02

産業用ロボットを比較する5つの軸

製品タイプを絞ったあとは、次の5軸で具体的に比較すると、自社に合うかどうかを判断できます。どの軸も、見落とすと導入後に追加費用や立ち上げの手戻りが発生しやすいポイントです。編集部は【用途適合・協働対応・SIer/サポート体制】を中心の観点に据え、これに導入難易度とコストを加えた5軸で各メーカーを整理しました。具体的な選定手順は産業用ロボットの選び方でも解説しています。

1つ目は用途適合です。ロボットの用途は大きく、溶接、搬送・パレタイジング、組立・検査、プレス間搬送、塗装などに分かれます。溶接ならアーク溶接のトーチ制御や教示のしやすさ、搬送なら可搬重量とリーチ(動作範囲)、組立なら繰り返し精度と協働の可否、塗装なら防爆対応というように、工程ごとに見るべき仕様が変わります。自社が最も困っている工程を主軸に評価すると判断がぶれません。可搬重量や軸数の数字だけを横並びにしても、工程に対する向き不向きは見えてこない点に注意が必要です。

2つ目は協働対応の有無です。安全柵を省いて人と並んで作業させたい場合は、力・トルク検知などの安全機能を備えた協働ロボットが前提になります。ただし「協働ロボット=柵不要」ではなく、作業内容・速度・可搬重量に応じてリスクアセスメントを行い、必要なら安全柵や安全領域の設定が求められます。協働ロボットは設置面積を抑え、レイアウト変更にも柔軟ですが、産業用ロボットに比べて動作が遅く可搬重量も小さいため、量産の高速タクトには届かないことが多くなります。

3つ目はSIer・サポート体制です。ロボットは本体を買えば動くものではなく、ハンドや治具、安全装置、周辺機器を組み合わせてシステムとして構築する必要があり、この設計・構築をSIerが担います。SIerの費用は本体価格と同等かそれ以上になることも珍しくなく、メーカーごとに連携できるSIerの数や、純正の周辺機器・パートナーエコシステムの充実度が異なります。導入後の保守・部品供給・故障時の対応スピードも、稼働率に直結する重要な観点です。

4つ目は導入難易度です。ティーチング(動作教示)の方式は、ティーチングペンダントで1点ずつ教える方式、PCでオフラインプログラミングする方式、手で動かして覚えさせるダイレクトティーチ方式などがあります。協働ロボットは直感的な操作で立ち上げが速い傾向があり、産業用ロボットは自由度が高い反面、専門知識を持つ人材か外部委託が必要になりがちです。社内に教示できる人材がいるか、いない場合は誰が運用するかを前提に難易度を見ます。

5つ目はコストです。協働ロボットは本体数百万円規模から始められるものが多く、産業用ロボットは機種により本体だけで数百万〜一千万円超まで幅があります。さらにここに前述のSIer費用、ハンドや治具、安全装置、設置工事、教育の費用が加わるため、本体価格だけで比較すると総額を見誤ります。導入後の保守契約や部品交換、稼働を支える人件費まで含めた総保有コストで見る必要があります。

協働対応とSIer費用で総額が大きく変わる

5軸のうち、初期の絞り込みに効くのが協働対応の要否、総額を左右するのがSIer費用です。安全柵を省いて人と並べたいなら協働ロボット特化型が入口になり、量産ラインで柵ありの高速運用ならフルライン型が中心になります。ここで土俵が大きく分かれるため、最初に協働の要否を決めると候補が半分以下に絞れます。

一方、見積もりで驚かれやすいのがSIer費用です。同じ本体でも、ハンドや治具の設計、安全装置、既存ラインとの接続、ティーチングまで含めると、システム全体では本体価格の数倍に達することもあります。協働ロボットは立ち上げが比較的容易で内製しやすい反面、複雑な工程ではやはりSIerの支援が要ります。本体価格の安さだけで選ぶと、システム構築費で逆転することがあるため、最初から総額で比較する姿勢が欠かせません。

編集部コメント:5軸のうち最も候補を絞り込む効果が大きいのは協働対応の要否です。人と並べるのか、柵で囲って高速で回すのかを最初に確定させると、それだけで対象外のメーカーを機械的に外せます。逆に協働の要否があいまいなまま可搬重量や速度の数字を比べ始めると、工程に合わないロボットを選ぶ結果になりがちです。


03

総合大手のフルライン型7社の位置づけ

ここでは総合大手のフルライン型を、得意領域と協働対応・注意点をあわせて見ていきます。いずれも産業用ロボットのフルラインを持ち、加えて協働ロボットも展開しているため、産業用と協働を1社で揃えたい場合の候補にもなります。各社のスコアや詳細仕様は更新されるため、最終判断の前にカテゴリページで最新情報を確認する形が確実です。

ファナックは、世界最大級の産業用ロボットメーカーで、小型から超大型まで産業用のフルラインを揃え、協働ロボットCRXシリーズも持ちます。強みは機種の網羅性と信頼性、そして黄色い機体で知られる保守網の厚さです。向いている用途は溶接・搬送・組立・プレス間搬送まで幅広く、量産ラインを1社で揃えたい中堅・大手に向きます。協働対応はCRXで、SIerやパートナーが多く周辺機器も豊富です。一方で機能が広く設定の自由度が高い分、使いこなすにはティーチングの知識が要り、システム全体の費用も大きくなりやすい点が前提になります。

安川電機 MOTOMANは、サーボモータやインバータで培った技術を背景に、溶接分野で特に強みを持つメーカーです。アーク溶接・スポット溶接の実績が豊富で、溶接電源との連携や教示のしやすさに定評があります。産業用のGPシリーズに加え、協働ロボットHCシリーズも展開します。向いている用途は溶接の自動化を中心に搬送・ハンドリングまで広く、自動車・金属加工の現場に適します。協働対応はHCシリーズで、人協働の溶接・ハンドリングにも対応します。溶接以外の特殊用途では他社と比較したほうが選択肢が広がる場合もあります。

川崎重工は、国産で最も歴史の長いロボットメーカーの一つで、溶接・搬送の量産ラインで実績を重ねてきました。強みは大型搬送・溶接の堅牢さと、双腕協働ロボットduAroのユニークさです。duAroは人の両腕のように2本のアームを持ち、人の作業スペースにそのまま置き換えやすい設計で、組立・検査・箱詰めなどに向きます。向いている用途は重搬送・溶接から協働の細かな組立まで幅広く、協働対応はduAroが担います。大型機は設置スペースと電源・架台の検討が必要で、用途によってSIerとの綿密な設計が前提になります。

三菱電機 MELFAは、FA(ファクトリーオートメーション)機器を総合的に手がける強みを活かし、PLC(シーケンサ)やサーボ、ビジョンとの統合に優れたメーカーです。MELFAシリーズは小型・中型の組立・搬送に強く、協働ロボットASSISTAも展開します。向いている用途は電機・電子部品の組立・検査・搬送で、三菱電機のFA機器で揃えている工場では制御系の統合がしやすい点が利点です。協働対応はASSISTAで、簡易な教示で立ち上げやすい設計です。大型の重搬送やフルラインの超大型機では、フルラインの厚い他社のほうが選択肢が広がる場合があります。

不二越は、ベアリングや工具などの素形材技術を背景に持つメーカーで、産業用ロボットのMZ/CZシリーズと協働ロボットCZ10を展開します。強みは溶接・搬送・スポット溶接の量産用途と、コストを抑えた実用的なラインナップです。向いている用途は自動車・金属加工の溶接・搬送で、協働対応はCZ10が担い、人と並ぶ組立・ハンドリングにも対応します。知名度では上位の総合大手にやや譲るものの、用途が合えば堅実な選択肢で、SIerやサポートの体制を事前に確認しておくと安心です。

ABBは、スイスに本拠を置くグローバル大手で、IRBシリーズの産業用ロボットを世界の自動車・電機ラインに供給してきました。強みはグローバルな実績とラインナップの広さ、そして協働ロボットYuMi(双腕)・GoFa・SWIFTIなど協働領域の豊富さです。向いている用途は溶接・搬送・組立・塗装まで幅広く、海外拠点を含めた標準化を進めたいグローバル企業に向きます。協働対応はYuMi・GoFaなどで、精密な双腕組立から人協働の搬送までカバーします。国内のSIer・サポート体制は導入前に確認しておくと、立ち上げや保守がスムーズです。

KUKAは、ドイツの大手で、自動車産業のボディ溶接・組立ラインに強い実績を持つメーカーです。強みは自動車の量産ラインで磨かれた重作業ロボットと、力覚センサを内蔵した協働ロボットLBR iiwaの先進性です。LBR iiwaは関節ごとにトルクセンサを備え、繊細な力加減が必要な精密組立・はめ合いに向きます。向いている用途は自動車のボディ・パワートレイン系から協働の精密組立まで広く、協働対応はLBR iiwaが担います。高機能な分コストは高めになりやすく、国内のサポート・SIer網を確認しておくことが前提になります。

編集部コメント:フルライン型7社はいずれも産業用と協働の両方を持ちますが、主戦場は分かれています。溶接なら安川や川崎・KUKA、FA統合なら三菱、網羅性と保守網ならファナック、グローバル標準化ならABB・KUKA、コスト重視の溶接搬送なら不二越、というように、自社の主工程に正面から応えるメーカーを軸に据えると選びやすくなります。どの社も柵あり高速運用が本領で、協働は補完という位置づけで見ると役割を取り違えにくくなります。


04

協働ロボット特化・導入容易型とスカラ特化型

次に、人と並んで作業する協働ロボットを主軸にする導入容易型と、高速組立に特化したスカラ型を見ていきます。フルライン型とは設計思想も導入の進め方も異なるため、土俵を分けて評価することが重要です。

Universal Robotsは、協働ロボットを世界で広めた代表的なメーカーで、URシリーズと豊富な周辺機器エコシステム(UR+)が特徴です。強みは直感的なプログラミングによる立ち上げの速さと、ハンドやビジョンなどの周辺機器が「UR+」として認証され、組み合わせやすい点にあります。向いている用途はネジ締め・組立・検査・マシンテンディング(工作機械への着脱)など多品種少量の工程で、社内人材でも比較的扱いやすい設計です。協働対応はシリーズ全体が前提です。一方で可搬重量や速度は産業用ロボットに劣り、重搬送や高速量産には不向きで、安全柵省略にはリスクアセスメントが必要な点も同じです。

オムロンは、センサやビジョン、制御機器を総合的に手がける強みを活かし、ビジョンを統合した協働ロボットTMシリーズと、自律走行する搬送ロボット(モバイルロボット)LDシリーズを展開します。強みはカメラ・画像処理を内蔵したTMによる検査・ピッキングと、TMをLDに載せて「動く協働ロボット」として工程間を移動させられる点です。向いている用途は外観検査・ピッキング・搬送の組み合わせで、人手不足のラインを柔軟に補えます。協働対応はTMが担い、LDは無人搬送を担当します。可搬重量や速度の制約はほかの協働ロボットと同様で、量産の高速工程には不向きです。

デンソーウェーブは、自動車部品大手デンソーのロボット部門で、小型協働ロボットCOBOTTAと産業用小型6軸VSシリーズを展開します。強みは卓上に置ける小型軽量のCOBOTTAによる手軽な自動化と、精密組立・検査で実績のあるVSシリーズの高精度です。向いている用途は卓上での検査・組立・ピッキングや、ラボ・研究用途、小型部品の精密組立で、限られたスペースに導入しやすい点が利点です。協働対応はCOBOTTAが担います。可搬重量が小さく大物搬送には不向きで、用途が小型・精密に寄る点を踏まえて選ぶ形になります。

エプソンは、スカラ(水平多関節)ロボットで高いシェアを持つメーカーで、高速・高精度な組立に特化してきました。強みは基板実装・コネクタ挿入・ネジ締めなど決まった工程を高速で大量にこなす能力と、独自の振動制御による位置決めの速さ・正確さです。6軸ロボットやビジョンも展開しますが、主戦場はスカラによる高速組立です。向いている用途は電子部品・精密機器の量産組立で、タクトを詰めたい工程に適します。協働ロボットは主軸ではないため、人と並ぶ柵なし運用が前提なら協働特化型と比較する形になります。立体的・複雑な姿勢制御が必要な工程には、スカラより6軸が向く点も押さえておきます。

編集部コメント:協働特化・導入容易型は「人手不足を柔軟に補う」のが本領で、量産の高速タクトを期待すると物足りなさが出ます。一方エプソンのスカラは「決まった工程を高速で大量に」が得意で、柔軟性より速度・精度が要る現場に向きます。協働の柔軟さと、スカラの高速性は別の価値であり、自社の工程がどちらを必要としているかで選ぶと外しにくくなります。


05

目的別の選び方

製品タイプと比較軸が整理できたら、自社の主工程に当てはめると候補が具体化します。ここでは代表的な4つの目的別に、入口になるメーカー・ロボットの目安を示します。同じ目的でも規模や精度要件で最適解は変わるため、最後は実際の工程条件で絞り込むことが前提です。

溶接の自動化向け

アーク溶接やスポット溶接を自動化したい場合は、溶接に実績の厚いフルライン型が中心になります。溶接電源との連携や教示のしやすさで定評のある安川電機 MOTOMAN、自動車ボディの溶接ラインで磨かれたKUKA、国産で溶接搬送の歴史が長い川崎重工が入口です。コストを抑えた溶接搬送なら不二越も候補になります。溶接は治具やトーチ、溶接条件の作り込みが品質を左右するため、溶接に強いSIerと組めるかが成否を分けます。本体選びと同じくらい、SIerの溶接実績を確認することが重要です。

組立・検査向け(協働ロボット)

人手不足の組立や外観検査を、人と並んで自動化したい場合は協働ロボットが本命です。立ち上げの速さと周辺機器の豊富さならUniversal Robots、ビジョンを内蔵した検査・ピッキングならオムロンのTM、卓上の精密組立・検査ならデンソーウェーブのCOBOTTAが入口になります。繊細な力加減が要るはめ合いや精密組立なら、力覚センサ内蔵のKUKA LBR iiwaやファナックCRXなど大手の協働も候補です。協働でも安全柵省略にはリスクアセスメントが必要なため、作業内容に応じた安全設計を前提に検討します。

搬送・パレタイジング向け

重量物の搬送や箱の積み付け(パレタイジング)を自動化したい場合は、可搬重量とリーチの大きいフルライン型が中心です。機種の網羅性が高いファナック、大型搬送に強い川崎重工、グローバルで搬送実績の豊富なABBが入口になります。工程間を無人で運びたいなら、オムロンのLDのような自律走行搬送ロボットを組み合わせる選択肢もあります。重搬送は架台・床耐荷重・安全柵のレイアウトまで含めた設計が必要で、設置環境の条件を早めに確認すると手戻りを防げます。

中小・多品種少量で人手不足対策

多品種少量で工程変更が多く、専任のロボット人材を置きにくい中小製造業では、立ち上げが速く内製しやすい協働ロボットが現実的です。エコシステムが豊富で社内人材でも扱いやすいUniversal Robots、ビジョン込みで検査・搬送を柔軟に組めるオムロン、小型で省スペースなデンソーウェーブのCOBOTTAが入口になります。高速の量産組立が主目的ならエプソンのスカラも候補です。中小では本体価格だけでなく、SIer費用を抑えて内製でどこまで運用できるか、補助金の活用可否まで含めて総額で判断すると投資の回収が見えやすくなります。


06

産業用ロボット選定で外しやすい注意点

ロボット選定でつまずく原因の多くは、本体スペックの優劣ではなく前提の見誤りにあります。導入後に後悔しやすい観点を先に押さえておくと、候補の比較精度が上がります。

最も多いのが、本体価格だけで総額を見誤ることです。ロボットは本体に加えてSIerによるシステム構築費、ハンド・治具、安全装置、設置工事、教育費が必要で、システム全体では本体価格の数倍になることもあります。本体が安くてもSIer費用がかさんで総額で逆転する例は珍しくないため、見積もりは必ずシステム一式の総額で取り、複数のSIerから相見積もりを取ることが大切です。

次に多いのが、協働ロボットへの過度な期待です。協働ロボットは人と並べる柔軟さが魅力ですが、可搬重量や速度は産業用ロボットに劣り、量産の高速タクトには届きません。また「協働=安全柵不要」と思い込むと危険で、作業内容・速度・可搬重量に応じてリスクアセスメントが必要になり、場合によっては安全領域や柵の設定が求められます。協働の利点と制約を正しく理解したうえで、工程に合うかを見極めることが重要です。

ティーチング工数の見落としも落とし穴です。産業用ロボットは自由度が高い分、教示や調整に専門知識と時間がかかり、社内に人材がいなければ外部委託が前提になります。多品種で段取り替えの多い現場では、品種ごとの教示や調整の工数が運用コストとして積み上がります。誰が教示し、誰が日々運用するのかを導入前に決めておかないと、立ち上がっても動かし続けられない事態になりかねません。

SIerとサポート体制の確認不足も見過ごされがちです。同じメーカーでも、自社の工程や地域に対応できるSIerがいるか、故障時に何日で復旧できるか、部品供給は安定しているかで、稼働率は大きく変わります。特に海外メーカーは本体性能が高くても、国内のSIer網や保守体制が薄いと立ち上げや復旧に時間がかかることがあります。本体の比較と同時に、メーカーごとのSIer・サポート体制を必ず確認しておくと安全です。

もう一つ見落とされやすいのが、スペック表の数字だけで判断してしまうことです。可搬重量や繰り返し精度、軸数が同じでも、実際の工程での使い勝手は治具・ハンド・ビジョンとの組み合わせや、教示のしやすさで大きく変わります。カタログ上は同じに見える機種でも、自社の実際の作業(誰が・どの部品を・どのタクトで扱うか)に当てはめて評価すると差が見えてきます。可能なら実機デモや既存導入事例の見学を経てから最終判断すると、数字だけでは分からない適合性を確認できます。

編集部コメント:ここで挙げた注意点はいずれも、スペック表だけを見ていると見落としやすいものばかりです。特に「総額で見ているか」と「誰が教示・運用するか」は、導入後の定着を大きく左右するため、本体メーカーの比較と並行して、SIer・サポート体制と運用人材の手当てまで含めて検討することをおすすめします。


07

まとめ|工程を決めてから候補を2〜3社に絞る

産業用ロボット・協働ロボットの比較は、メーカー名から入るのではなく、自社が自動化したい工程を決めることから始めると失敗しにくくなります。溶接・搬送パレタイジング・組立検査・多品種少量のどれが主目的かを言語化し、対応する製品タイプ(フルライン型/協働特化型/スカラ特化型)を選び、協働の要否を確定し、SIer・サポート体制・総額の3点を確認すれば、最終候補は2〜3社に絞れます。

言い換えると、比較の順序は「工程→タイプ→協働の要否→3つの確認」です。この順序を守ると、メーカーの多さに圧倒されることなく、自社にとって意味のある軸で深く比べられます。逆に最初から全メーカーを同じ表で並べようとすると、性格の違うロボットが混在して判断軸がぼやけ、決め切れないまま検討が長期化します。溶接なら安川・川崎・KUKA、網羅性ならファナック、グローバル標準化ならABB・KUKA、FA統合なら三菱、コスト重視の溶接搬送なら不二越、人と並ぶ組立検査ならUniversal Robots・オムロン・デンソーウェーブ、高速組立ならエプソン、というように、主工程に正面から応えるメーカーを軸に据えるのが近道です。

製造業適合性スコアを使って実際の各社ロボットを用途・協働対応・コストの同一軸で見比べたい場合は、ITトレンドの産業用ロボットカテゴリで条件を絞り込み、候補を比較できます。基本構造から押さえたい場合は産業用ロボットとは、選び方の手順を詳しく知りたい場合は産業用ロボットの選び方もあわせて確認すると、検討がスムーズに進みます。

産業用ロボット(協働ロボット対応)比較表

製品名ベンダー価格モデル特徴
ファナック ロボット(CRXシリーズ含む)ファナック株式会社要見積もり
  • 世界最大級の導入実績と高い稼働率
  • 小型から超大型・協働まで幅広い機種選択
  • 世界規模のサービス・サポート網
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安川電機 MOTOMAN(GP/HCシリーズ)株式会社安川電機要見積もり
  • 溶接ロボットでの世界的な実績
  • 自社サーボ技術による高速・高精度動作
  • 協働機HCシリーズで省人化に対応
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Universal Robots URシリーズUniversal Robots(ユニバーサルロボット)要見積もり
  • 協働ロボット世界トップクラスのシェアと実績
  • 現場で組める導入の容易さ
  • UR+による豊富な周辺機器エコシステム
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三菱電機 MELFA(FRシリーズ/ASSISTA)三菱電機株式会社要見積もり
  • FA機器と統合した一体的な自動化
  • FRシリーズの高速・高精度動作
  • 協働ロボットASSISTAで人協働に対応
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オムロン TMシリーズ/モバイルロボLDオムロン株式会社要見積もり
  • ビジョンと統合した自動化が容易
  • 協働ロボットと自律搬送ロボを組み合わせ可能
  • センシング・制御技術による現場対応力
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ABB IRBシリーズ/YuMi・GoFaABB要見積もり
  • グローバル大手の幅広い産業用ロボット
  • 双腕YuMi・協働GoFaなど協働対応
  • 世界的なサポート網と高い信頼性
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KUKA 産業用ロボット/LBR iiwaKUKA要見積もり
  • 自動車産業向けの強さと豊富な実績
  • 力覚を備えた協働ロボットLBR iiwa
  • グローバルなサポート網
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デンソーウェーブ COBOTTA/VSシリーズ株式会社デンソーウェーブ要見積もり
  • 小型・高速・高精度な動作
  • 可搬性の高い協働ロボットCOBOTTA
  • デンソーグループの品質と組立ノウハウ
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EPSON スカラ/6軸ロボットセイコーエプソン株式会社要見積もり
  • スカラロボットで世界的に高いシェア
  • 高速・高精度な組立性能
  • ビジョン機能との組み合わせで位置決め・検査に対応
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Kawasaki Robotics Rシリーズ/duAro川崎重工業株式会社(Kawasaki Robotics)要見積もり
  • 産業用ロボットの老舗としての豊富な実績
  • 溶接・搬送など重工程への対応力
  • 双腕協働ロボットduAroで人手作業を自動化
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不二越 MZ/CZシリーズ(協働CZ10)株式会社不二越(NACHI)要見積もり
  • 溶接・搬送に対応する国産産業用ロボット
  • 小型から大型まで幅広い機種
  • 協働ロボットCZ10で人手作業を自動化
詳細を見る

よくある質問

Q産業用ロボットと協働ロボットはどう違いますか?
A

産業用ロボットは溶接や重搬送などを高速・高精度・高耐久で行う一方、原則として安全柵で囲って運用します。協働ロボットは力・トルク検知などの安全機能を備え、人と同じ空間で作業しやすい設計ですが、可搬重量や速度は産業用に劣ります。なお協働ロボットでも安全柵を省くには作業内容に応じたリスクアセスメントが必要です。

Q産業用ロボットは何を基準にメーカーを選べばよいですか?
A

まず自動化したい工程(溶接・搬送・組立検査・多品種少量など)を決め、対応する製品タイプ(総合大手のフルライン型/協働ロボット特化型/スカラ特化型)を絞り込むことが出発点です。そのうえで用途適合・協働対応・SIer/サポート体制・導入難易度・コストの5軸で評価すると、候補を2〜3社に絞り込めます。

Q産業用ロボットの導入費用は本体価格だけで判断してよいですか?
A

本体価格だけでは総額を見誤ります。ロボットの導入には本体に加えて、SIerによるシステム構築費、ハンドや治具、安全装置、設置工事、教育費が必要で、システム全体では本体価格の数倍になることもあります。複数のSIerからシステム一式の総額で相見積もりを取り、総保有コストで比較することが重要です。