製造業IoTプラットフォームの比較|6つの選定軸と製品タイプ別の選び方
製造業向けIoTプラットフォームをエッジ収集・設備接続・分析AI・クラウド基盤・回線・価格の6軸で比較し、製品タイプ別の特徴と向いている企業を整理した比較記事。

製造業IoTプラットフォームを比較するときに見るべき軸は、エッジでのデータ収集、PLCや既存設備との接続性、分析・AI機能、クラウド基盤の種類、SIM・回線、価格の6つに整理できます。製品の機能を一覧で眺めるよりも、この6軸で自社の優先順位を決めるほうが、候補を早く絞り込めます。
製造業IoTプラットフォームは、Siemens Insights Hub(旧MindSphere)やPTC ThingWorx、日立Lumada、SORACOMなど数多くの選択肢があり、それぞれ得意分野が異なります。本記事では編集部が、エッジ収集・PLC設備接続・分析AI・クラウド基盤・SIM回線・価格という6つの軸で各製品を整理し、国内メーカー系・グローバル基盤系・クラウド/通信系という3つのタイプと製造業適合性スコアを通して、自社に合う基盤の絞り込み方を提示します。
結論:製造業IoTプラットフォーム選びは、製品の機能一覧を眺める前に「エッジ収集・PLC接続・分析AI・クラウド基盤・SIM回線・価格」の6軸で自社の優先順位を決めるのが近道です。多拠点統合を重視するならSiemens Insights HubやPTC ThingWorx、日立Lumadaなどのグローバル基盤系・国内メーカー系、FA機器との親和性や現場の使いやすさを重視するなら三菱電機e-F@ctoryなどの国内メーカー系、中小での始めやすさを重視するならSORACOM・Azure Digital Twins・AWS IoT SiteWiseなどのクラウド/通信系が有力候補です。設備直結のエッジ処理にはFANUC FIELD systemが向きます。
この記事でわかること
製造業IoTプラットフォームとは何か
製造業IoTプラットフォームとは、工場の設備やセンサーからデータを集め、蓄積・分析・可視化し、他システムと連携させる機能をまとめて提供する基盤です。スマートファクトリー化、つまりiotを使って工場をデータ駆動に変える取り組みの土台にあたります。個別のセンサーや分析ツールを一つずつ組み合わせる代わりに、プラットフォームがデータの流れ全体を受け持ちます。
製品選びが難しいのは、各製品が想定する出発点が異なるためです。設備メーカーが自社機器の制御ノウハウから発展させた製品もあれば、クラウド事業者がデータ基盤として提供する製品、通信事業者が回線とセットで提供する製品もあります。同じ「IoTプラットフォーム」という名前でも、得意な領域と前提とする体制がまったく違います。
そのため、機能の多さや知名度で選ぶと、自社の設備や人材体制に合わず使いこなせないことがあります。比較の出発点は、製品の機能ではなく自社が何を実現したいかです。次に挙げる6つの軸は、その「自社の優先順位」を製品の特性に対応づけるためのものです。
かつてのIoT基盤ブームと、その後の冷静な選別
製造業向けIoTプラットフォームは、一時期「導入すれば工場が変わる」という期待とともに数多く登場しました。その後、思ったほど成果が出ないという声も出て、市場は冷静な選別の局面に入っています。専門メディアでも、ブームだった製造業向けIoT基盤の現状を問う論考が出ています(日経クロステック等)。
この経緯が示すのは、プラットフォーム自体が成果を生むわけではないという点です。何を測り、どの判断を変えるかを決めずに基盤だけ導入しても、データが溜まるだけで終わります。製品比較に入る前に、自社の目的と現在地を整理しておくことが、選定の前提になります。目的が定まっていれば、6つの軸のどれを優先すべきかも自然に決まります。
製造業IoTプラットフォームを比較する6つの軸
製品を横断して比べるための実務的な軸は6つあります。すべてを満点で満たす製品はないため、自社にとって優先度の高い軸から評価すると判断が早まります。
エッジでのデータ収集
エッジとは、クラウドに送る前に現場側でデータを処理する仕組みです。すべてのデータをクラウドへ送ると通信量とコストがかさみ、リアルタイムの制御にも遅れが出ます。エッジで一次処理すれば、必要なデータだけをクラウドへ送り、現場では即時の判断ができます。
リアルタイム性が重要な工程や、通信を絞りたい環境では、エッジ処理の強い製品が向きます。FANUC FIELD systemはエッジ重視の設計で、CNCやロボットの稼働データを現場で処理する用途に強みがあります。設備のすぐそばでデータを解析するため、加工実績の可視化や設備の異常検知を低遅延で行える点が特徴です。
判断のポイントは、現場で即座に処理すべきデータと、後からまとめて分析すればよいデータを切り分けられるかです。設備の緊急停止判断のように一瞬の遅れが問題になるデータはエッジ向き、月次の傾向分析のようなデータはクラウドで十分です。一方で、エッジ機器を各現場に置くと管理対象が増えるため、拠点数が多い場合は運用負荷とのバランスを見る必要があります。エッジとクラウドのどちらに寄せるかは、製品ごとの設計思想が分かれる部分でもあるため、自社の工程特性と照らして評価します。
PLC・既存設備との接続性
工場の設備の多くはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)で制御されており、ここからデータを取り出せるかが導入の成否を分けます。新しい設備は標準的な通信規格に対応していますが、古い設備は信号を直接読めないこともあります。
対応するプロトコルの種類が多い製品ほど、混在した設備からデータを集めやすくなります。PTC ThingWorxはOPC UAをはじめ多様な産業プロトコルに対応し、異なるメーカーの設備が混在する工場でも取り込みやすい点が強みです。長年にわたって設備を導入してきた工場では、新旧・複数メーカーの設備が混在していることが一般的で、こうした環境では対応プロトコルの広さが効いてきます。
逆に、自社が特定メーカーのFA機器で統一されている場合は、そのメーカー系の製品のほうがつなぎ込みが容易なこともあります。三菱電機e-F@ctoryのように同社のFA機器を前提に設計された基盤は、接続にかかる手間が少なく済みます。古い設備しかない場合は、外付けセンサーで稼働ランプや振動を検知する後付けの方法も選択肢になりますが、設備ごとに取得方法が変わるため、接続にどれだけ手間がかかるかを試算しておくことが、導入後の手戻りを防ぎます。
分析・AI機能
集めたデータをどこまで分析できるかも比較軸です。単純な可視化にとどまる用途なら標準機能で足りますが、予知保全や品質予測、需要予測まで踏み込むなら、AI・機械学習の機能や外部AIとの連携が判断材料になります。
Siemens Insights HubはSenseyeとの連携による予知保全、日立Lumadaは予知保全から処方的保全までを統合する分析機能を備えます。三菱電機e-F@ctoryはVIXIO連携で品質管理を強化するなど、分析の方向性も製品ごとに異なります。どこまでの分析を必要とするかを先に決めると、過不足のない製品を選べます。
注意したいのは、高度な分析機能は、それを使いこなすデータサイエンスのスキルを前提とすることが多い点です。AIや機械学習の機能があっても、学習させるデータの整備や結果の解釈ができなければ成果につながりません。社内に分析人材がいるか、外部支援を得られるかとあわせて評価する必要があります。まずは可視化から始め、運用が定着してから予測・最適化へ段階的に広げる進め方も、無理のない選択肢です。
クラウド基盤の種類(自社系 vs AWS/Azure)
プラットフォームが動くクラウド基盤も選定に影響します。大きく分けて、ベンダー独自のクラウドで提供される製品と、AWSやAzureといった汎用クラウド上で動く製品があります。
汎用クラウド系は、すでに自社がAWSやAzureを使っている場合に統合しやすく、Microsoft Azure Digital TwinsやAWS IoT SiteWiseはその代表です。従量課金で使った分だけ支払う形のため、スモールスタートにも向きます。基幹システムや他の業務データがすでに同じクラウド上にあれば、データの連携や運用の一元化がしやすくなります。
一方、ベンダー独自基盤の製品は、その製品の機能や設備との統合が最適化されている反面、クラウドの選択肢が固定される点を理解しておく必要があります。なお、Siemens Insights HubのようにAWS上で動く製品もあり、ベンダー系か汎用クラウド系かは製品ごとに確認が必要です。自社のクラウド方針が定まっているか、情報システム部門がどのクラウドの運用に慣れているかが、この軸の判断を左右します。クラウド方針が未確定の段階では、特定クラウドに強く依存しない構成を選んでおくと、後の方針変更に対応しやすくなります。
SIM・回線
離れた拠点や屋外の設備、あるいは社内ネットワークにつなぎにくい設備をIoT化する場合、通信回線そのものが論点になります。SIM回線を使えば、Wi-Fiや有線の敷設が難しい場所でも設備をつなげます。
SORACOMはIoT向けのSIM・回線を主軸とし、契約回線数は500万回線規模に達しています。SIMを挿すだけで通信を確保でき、既存設備への後付けや遠隔監視を小さく始めやすい点が強みです。閉域網接続でセキュリティを確保しながらクラウドへデータを送る構成も組めます。ただし回線サービスは収集・通信の基盤であり、生産管理や品質管理といった上位の分析は別の仕組みと組み合わせる前提になります。
価格・課金モデル
価格は、初期費用だけでなく課金モデルの形まで含めて比較します。月額固定、従量課金、回線単位など、製品によってコストの発生の仕方が異なり、規模や使い方によって総額が大きく変わります。
グローバル基盤系は多機能な反面、相応の費用がかかる傾向があり、PTC ThingWorxのようにスモールスターター向けのパッケージを用意する製品もあります。クラウド・通信系は従量課金や回線単位で小さく始められるため、検証段階の費用を抑えやすい類型です。重要なのは、導入時の費用に加えて運用・保守や分析を続けるランニングコストまで見込むことです。安く始められても、拡大時に費用が跳ね上がる課金モデルもあるため、将来の拡張を前提に試算する必要があります。
これら6つの軸で自社の優先順位が見えてきたら、実際の製品を条件で絞り込んで確認する段階に進めます。ITトレンドの製造業向けIoTプラットフォームカテゴリでは、対応する管理領域や企業規模などの条件で製品を絞り込み、比較できます。
製品タイプ別の特徴と向いている企業
製造業IoTプラットフォームは、出自によって大きく3つのタイプに分けられます。タイプごとに強みと前提が異なるため、まず自社がどのタイプに向くかを見極めると、候補を一気に絞れます。
国内メーカー系(Lumada・e-F@ctory・Meister)
日立Lumada、三菱電機e-F@ctory、東芝Meister Factoryシリーズは、設備や制御技術のノウハウを持つ国内メーカーが提供する基盤です。自社の設備やFA機器との親和性が高く、生産管理から保全まで広い領域をカバーします。各製品の要点を先に整理します。
日立Lumada:向いている企業は、多拠点の生産情報を統合し保全まで一気通貫で扱いたい大手・中堅メーカー。強みは生産管理・工程最適化・予知保全から処方的保全までの包括的な統合とグローバル多拠点実績。注意点は機能が広範で小規模には過剰になりやすいこと。価格感は個別見積もりの大規模向けで、初期から相応の投資を見込む水準です。
三菱電機e-F@ctory:向いている企業は、同社をはじめFA機器が多く現場オペレーターの使いやすさを重視する工場。強みはFA機器を統一インターフェースで扱える現場親和性と、SMKL(スマート化レベル指標)に沿った段階導入。注意点は他メーカー設備中心の環境では利点が薄れること。価格感は導入範囲に応じた段階的な構成で、小さく始めて広げやすい設計です。
東芝Meister Factoryシリーズ:向いている企業は、MES(製造実行システム)機能まで含めて生産現場をデジタル化したい中堅・大手。強みはMES統合と、ManufactXによるスモールスタート対応。注意点はシリーズ構成が広く、必要な範囲の見極めが要ること。価格感は導入モジュール次第で、検証から本格導入まで段階的に拡張できます。
いずれも国内メーカー系は大企業・中堅向けの色が強く、ごく小規模での導入には機能が過剰になることもあります。
編集部コメント:すでに国内メーカーのFA機器・PLCで設備を統一している工場であれば、接続の手間が少なく現場の定着も早いため、国内メーカー系が第一候補になります。特に三菱電機e-F@ctoryは現場親和性、日立Lumadaは多拠点・保全領域の統合力で評価できます。逆に多メーカー混在やクラウド主導の構成を志向する場合は、後述のグローバル基盤系・クラウド系のほうが合うことが多いと見ています。
グローバル基盤系(Insights Hub・ThingWorx・EcoStruxure)
Siemens Insights Hub(旧MindSphere)、PTC ThingWorx、Schneider Electric EcoStruxureは、世界規模で多拠点・多設備を統合してきた実績を持つ基盤です。海外拠点を含む工場群の情報を横断的に扱いたい企業に向きます。各製品の要点は次のとおりです。
Siemens Insights Hub:向いている企業は、海外拠点を含む多工場を統合しつつ独自アプリで業務を拡張したい大手。強みはグローバル多拠点対応、Mendixによるアプリ構築、Senseye連携の予知保全。注意点は活用に専門人材が要り、フル活用には体制構築が前提なこと。価格感は中堅・大手向けで、利用範囲に応じた相応の費用を見込む水準です。
PTC ThingWorx:向いている企業は、複数メーカーの設備が混在し幅広いプロトコルで取り込みたい工場。強みはOPC UAなど多様な産業プロトコル対応とAR連携による現場UX。注意点は機能が広く設計の自由度が高いぶん構築負荷があること。価格感はスモールスターター向けパッケージもあり、検証から始めやすい選択肢が用意されています。
Schneider Electric EcoStruxure:向いている企業は、エネルギーコストの比率が高くCO2・電力の最適化を重視する大規模工場。強みはエネルギー管理の最適化に最高水準の強みと大規模グローバル導入実績。注意点は省エネ以外の用途では他製品と比較検討が要ること。価格感は大規模導入前提で、効果を電力・原価換算して評価するのが前提です。
いずれのグローバル基盤系も多機能で拡張性が高い反面、使いこなすには相応の体制とコストが必要で、中小規模では機能を持て余す可能性があります。
編集部コメント:海外拠点を含む複数工場を横断で管理したい大手・中堅には、グローバル基盤系が最も要件を満たしやすいと考えます。多メーカー設備の取り込みならPTC ThingWorx、エネルギーコスト最適化ならSchneider EcoStruxure、アプリ拡張と予知保全のバランスならSiemens Insights Hubという選び分けが目安です。ただし導入には社内のIT/データ人材か外部パートナーの確保が前提で、体制が整わないまま選ぶと機能を活かしきれません。
クラウド・通信系(Azure Digital Twins・AWS IoT SiteWise・SORACOM)
Microsoft Azure Digital Twins、AWS IoT SiteWise、SORACOMは、汎用クラウドや通信回線を基盤とするタイプです。従量課金や回線単位で小さく始められるため、スモールスタートや段階的な拡張に向きます。各製品の要点を整理します。
Microsoft Azure Digital Twins:向いている企業は、すでにAzureを使い、工場や設備をデジタル空間にモデリングして検証したい企業。強みは従量課金によるコスト障壁の低さとAzure資産との統合。注意点は生産管理など上位機能は作り込みが要ること。価格感は使った分だけの従量課金で、中小でも小さく始めやすい水準です。
AWS IoT SiteWise:向いている企業は、すでにAWSを使い製造現場のデータ収集・可視化を業務に組み込みたい企業。強みは現場データの収集・可視化と業務プロセスへの組み込みやすさ、公開された検証データ。注意点は同じく上位の分析・管理は別途構築が前提なこと。価格感は従量課金で、検証から段階的に拡張できます。
SORACOM:向いている企業は、離れた拠点や屋外設備の遠隔監視を回線起点で後付けしたい中小〜中堅。強みはSIM回線を軸にした導入の手軽さと閉域網接続によるセキュリティ確保。注意点は回線・収集が中心で上位の分析は別の仕組みと組み合わせる前提なこと。価格感は1日あたり数円規模の通信コストからで、中小に適します。
これらクラウド・通信系は収集・基盤の役割が中心で、生産管理や品質管理の上位機能は自社開発や他システムとの連携で補う前提になる点に注意が必要です。
設備直結型(FANUC FIELD system)
FANUC FIELD system:向いている企業は、FANUCのCNCやロボットを多く使い、稼働監視や予知保全をエッジ中心で低遅延に実現したい工場。強みは設備直結のエッジ処理による加工実績の可視化と異常検知の即時性。注意点は工場単位のエッジ設計のため拠点横断の統合には別基盤との組み合わせが要ること。価格感はFANUC設備を前提とした構成で、対象設備の規模に応じます。設備直結型として独自の位置づけにあり、上記の類型と組み合わせて検討する選択肢になります。
編集部コメント:検証段階のコストを抑えて小さく始めたい企業、あるいは離れた拠点や屋外設備の遠隔監視から入りたい企業には、クラウド・通信系が最も着手しやすいと見ています。回線起点ならSORACOM、すでにAzure/AWSを使っているならAzure Digital TwinsやAWS IoT SiteWiseが自然な選択です。ただし生産管理や品質管理といった上位機能は別途の作り込みが前提になるため、「収集・可視化の基盤」と割り切って使うのが現実的です。
製造業適合性スコアで見る各製品の位置づけ
ITトレンドでは、製造業の観点から各製品を独自のスコアで評価しています。機能の有無だけでなく、多拠点対応・中小適合・現場の使いやすさ・コストといった実務的な軸でどこに強いかを示すもので、製品の向き不向きを判断する手がかりになります。
多拠点対応(multi_plant)の観点では、Insights Hub・ThingWorx・EcoStruxure・Lumada・SORACOMが最高水準にあります。海外を含む拠点横断でデータを統合したい企業は、この軸の強い製品を軸に検討すると要件を満たしやすくなります。一方でFANUC FIELD systemは工場単位のエッジ中心設計のため、拠点統合より個別工場の設備監視に向く位置づけです。
中小適合(sme_fit)では、SORACOM・Azure Digital Twins・AWS IoT SiteWiseといったクラウド・通信系が高く評価されます。従量課金や回線単位で始められることが、小規模でも導入しやすい理由です。逆にInsights Hub・EcoStruxure・Lumadaは大企業向けの色が強く、中小がフル機能を導入すると費用や運用が見合わないことがあります。
現場の使いやすさ(shopfloor_usability)では、三菱電機e-F@ctoryがFA機器の統一UIで高く、ThingWorxやFANUC FIELD systemも現場向けのインターフェースを備えます。データを使う主体が現場のオペレーターである場合、この軸は定着を左右します。コスト最適化(cost_management)の観点では、エネルギー管理に強いEcoStruxure、従量課金のAzure Digital Twins、通信コストを抑えるSORACOMが高く評価されます。
コスト最適化の軸は、エネルギーコストの比率が高い工場や、通信費を抑えたい多拠点・遠隔監視の用途で特に効いてきます。EcoStruxureは電力・エネルギーの最適化に強みを持ち、SORACOMは回線単位の低コストで遠隔の設備をつなげます。どちらも「コスト」という同じ軸ですが、エネルギーコストを下げたいのか通信コストを下げたいのかで、合う製品は変わります。スコアの数字だけでなく、その根拠となる強みの中身まで見ることが、自社に合う製品の見極めにつながります。
これらのスコアは、どの製品が優れているかという順位づけではなく、自社が重視する軸でどの製品が合うかを見るためのものです。多拠点を重視するのか、中小での始めやすさを重視するのか、現場の使いやすさを重視するのかによって、選ぶべき製品は変わります。複数の軸を同時に重視したい場合は、すべてを最高点で満たす製品を探すより、最も外せない軸を1つか2つ決めて、そこで強い製品から候補を絞るほうが現実的です。
製造業IoTプラットフォーム選定で失敗しやすいポイント
製品選定でつまずく原因は、製品の優劣そのものより、選び方の前提にあることが多くあります。代表的な失敗パターンを押さえておくと回避しやすくなります。
1つ目は、機能の多さで選んでしまうことです。多機能な製品ほど高機能に見えますが、使わない機能はコストと運用負荷になります。自社が実現したいことに必要な機能を満たしているかで判断するほうが、結果的に費用対効果が高くなります。
2つ目は、既存設備との接続を軽視することです。導入後に「古い設備からデータが取れない」と判明し、追加投資や設計のやり直しが発生するケースがあります。特に長年使ってきた設備が多い工場では、PLCの世代や通信規格が混在し、想定より接続に手間がかかることが珍しくありません。選定の早い段階で、自社の主要設備からデータを取得できるか、取れない設備には外付けセンサーなど代替手段があるかを確認しておくと、この手戻りを防げます。可能であれば、本格導入の前に数台で接続を試すと、つなぎ込みの難易度を実地で把握できます。
3つ目は、全社一斉導入を狙うことです。効果検証のないまま広く導入すると、費用対効果が見えず予算が続かなくなります。効果の大きい工程から小さく始め、成果を確認してから広げる進め方がリスクを抑えます。
4つ目は、運用・分析の人材を見込まないことです。導入して終わりではなく、データを使い続ける体制がなければ効果は出ません。社内人材が不足する場合は、外部パートナーやベンダーの支援も含めて体制を設計する必要があります。
5つ目は、価格モデルの誤算です。安く始められても、拠点やデータ量が増えると費用が跳ね上がる課金モデルもあります。将来の拡張を前提に総額を試算しておくことで、後からの想定外を避けられます。
まとめ|自社に合う製造業IoTプラットフォームの絞り込み方
製造業IoTプラットフォームの比較は、エッジ収集・PLC接続性・分析AI・クラウド基盤・SIM回線・価格の6軸で自社の優先順位を決めることから始まります。そのうえで、国内メーカー系・グローバル基盤系・クラウド/通信系のどのタイプが自社の規模や体制に合うかを見極めると、候補を効率よく絞れます。
多拠点統合を重視するならグローバル基盤系や国内メーカー系、中小での始めやすさを重視するならクラウド・通信系、現場の使いやすさやFA機器との親和性を重視するなら国内メーカー系、というように、重視する軸で向く製品は変わります。製造業適合性スコアは、その判断を裏づける手がかりになります。実際に他社がどの製品でどんな課題を解いたかは、導入事例とあわせて見ると、自社への当てはめがしやすくなります。
候補を絞り込んだら、各製品の対応領域や企業規模の条件を具体的に比べる段階です。ITトレンドの製造業向けIoTプラットフォームカテゴリでは、条件で製品を絞り込み、比較できます。
製造業向けIoTプラットフォームのおすすめ製品
日立 Lumada
株式会社日立製作所
2024年度売上3兆円超。IT×OT協創モデル
✓ 日本最大のDXブランド売上3兆円超
三菱電機 e-F@ctory
三菱電機株式会社
約130社・5,200件超導入。Alliance約300社
✓ 5,200件超の豊富な実績
PTC ThingWorx
PTC Inc.
IIoTプラットフォーム世界シェア約31%
✓ IIoT世界シェア約31%
FANUC FIELD system
ファナック株式会社
Edge Heavy思想。CNC・ロボットに最適なIoT
✓ Edge Heavy思想でセキュリティ高
東芝 Meister Factoryシリーズ
東芝デジタルソリューションズ株式会社
統合データモデル「Meister DigitalTwin」でCPS実現
✓ Meister DigitalTwinでCPS実現
Microsoft Azure Digital Twins
Microsoft Corporation
従量課金制で参入障壁最低。DTDL標準
✓ 従量課金で参入障壁最低
製造業向けIoTプラットフォーム比較表
| 製品名 | ベンダー | 価格モデル | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|
| 日立 Lumada | 株式会社日立製作所 | 要見積もり | 2024年度売上3兆円超。IT×OT協創モデル | 詳細を見る |
| 三菱電機 e-F@ctory | 三菱電機株式会社 | 要見積もり | 約130社・5,200件超導入。Alliance約300社 | 詳細を見る |
| PTC ThingWorx | PTC Inc. | サブスクリプション | IIoTプラットフォーム世界シェア約31% | 詳細を見る |
| FANUC FIELD system | ファナック株式会社 | 要見積もり | Edge Heavy思想。CNC・ロボットに最適なIoT | 詳細を見る |
| 東芝 Meister Factoryシリーズ | 東芝デジタルソリューションズ株式会社 | 要見積もり | 統合データモデル「Meister DigitalTwin」でCPS実現 | 詳細を見る |
| Microsoft Azure Digital Twins | Microsoft Corporation | サブスクリプション | 従量課金制で参入障壁最低。DTDL標準 | 詳細を見る |
| Siemens Insights Hub(旧MindSphere) | シーメンス株式会社 | サブスクリプション | Xceleratorエコシステム統合のIoTプラットフォーム | 詳細を見る |
| Schneider Electric EcoStruxure | シュナイダーエレクトリック株式会社 | サブスクリプション | 480,000台超導入。エネルギー管理に圧倒的強み | 詳細を見る |
| AWS IoT SiteWise | Amazon Web Services (AWS) | サブスクリプション | 産業データの大規模収集・整理・監視 | 詳細を見る |
| SORACOM | 株式会社ソラコム | サブスクリプション | IoT SIM 1日10円〜。500万回線超のIoT通信基盤 | 詳細を見る |
