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選び方・ノウハウ#無人搬送車#AGV#AMR

無人搬送車の最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

無人搬送車(AGV・AMR)の選び方を、目的別・部門別・企業規模別の3つの切り口から整理しました。磁気誘導型からSLAM自律型までの種類と違い、搬送物や現場条件の数値化、フリート台数や上位システム連携などの選定ポイント、主要10製品の比較表までまとめています。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
無人搬送車の最適な選び方を徹底解説!おすすめの製品も紹介

無人搬送車は、工場や倉庫の運搬を人手から置き換える設備です。ただし、選ぶ段階で手が止まる現場が少なくありません。理由は、床にテープを敷く方式と自律走行する方式のどちらが自社に合うか、測る物差しが決まっていないためです。物差しがないまま見積を依頼すると、各社が別々の構成で回答し、比較ができなくなります。この記事では、目的・部門・企業規模という3つの切り口から選び方を整理しました。

  • 最初に誘導方式(磁気誘導かSLAM自律か)を決める
  • 搬送物の重量と形状で機種のクラスが決まる
  • 台数・運行管理ソフト・上位システム連携を順に確認する
  • 最後に安全対策と費用を3年単位の総額で見る

無人搬送車の選定では、誘導方式と搬送物の2点を確認すると、候補を大きく絞り込みやすくなります。残りの条件を順に確認すると、各社の見積を同じ構成で比べやすくなるでしょう。


この記事でわかること

01

無人搬送車の基礎知識

選び方に入る前に、無人搬送車が何をする設備なのかを押さえます。ここが曖昧だと、必要のない機能に費用を払うことになりかねません。3点に絞って確認しましょう。

無人搬送車が担う業務

無人搬送車は、工場や倉庫の構内搬送を自動で行う設備です。主な対象は、工程間の部品や仕掛品の運搬、倉庫の入出庫、完成品やパレットの構内搬送になります。搬送物に応じて、牽引型・低床型・フォーク型から車体を選べます。

人手の運搬を置き換えるため、夜間や休日の無人搬送にも使えるでしょう。稼働時間を延ばせる点が、省人化と並ぶ導入効果です。運ぶ動作そのものより、誰がいつ搬送の指示を出すかという運用設計が成果を左右します。

AGVとAMRの違い

AGVは、床に貼った磁気テープやQRコードに沿って、決まったルートを走ります。ルートが固定されるぶん停止位置の再現性が高く、費用も抑えやすい方式です。反面、経路を変えるには誘導体の貼り直しが必要です。

AMRは、レーザーやカメラで周囲の地図を作り、自己位置を推定しながら走ります。誘導体が要らないため、レイアウト変更や障害物にソフトの設定で対応できます。ルートが固定的ならAGV、変更が多いならAMRという考え方で整理すると検討しやすいでしょう。

選定でつまずきやすい理由

無人搬送車は、本体価格だけでは総額が見えません。充電ステーション、誘導体の敷設、運行管理ソフト、上位システムとの連携開発が後から積み上がるためです。台数が増えるほど、周辺の費用も比例して膨らむ点に注意が必要です。

さらに、床の平坦度や通路幅といった現場側の条件が性能を左右します。カタログには現れない部分だといえるでしょう。だからこそ、製品を見る前に自社の前提条件を数値で固める順序が要ります。順序を逆にすると、比較の土台そのものが崩れます。

編集部コメント:見積依頼の前に、対象エリアのレイアウト図を用意してください。そこへ「どこから・どこへ・1日何回」を書き込んでみましょう。ベンダーはこの動線図を起点に、台数とソフト構成を提案します。現場で測った実数があるほど、後工程の手戻りが減ります。


02

無人搬送車の種類

無人搬送車は、走るルートをどう決めるかで4つに分かれます。この誘導方式の違いが、費用と運用のしやすさをそのまま決めます。まず全体像をつかみましょう。

  • 磁気誘導型
  • 追従・ルート記憶型
  • SLAM自律型
  • ハイブリッド型

磁気誘導型

床に貼った磁気テープやQRコードを読み取って走る方式です。決まったルートを正確に、しかも安く走らせたい定型搬送に向きます。停止位置の再現性が高く、トラブル時の原因も切り分けやすい方式です。床にテープを貼るだけなので、工事の規模も小さく収まります。

弱点は、ルート変更のたびにテープの貼り直しが発生する点です。レイアウト変更が多い現場では、運用負荷とダウンタイムが積み上がります。テープの摩耗や汚れによる読み取り不良にも、定期清掃という保守の手間がかかります。

追従・ルート記憶型

作業者の後ろを追いかける追従モードと、一度通った経路を記憶して繰り返すモードを備えた方式です。誘導体の工事が要らないため、導入までの期間が短く済みます。小規模な試験導入にも向いた方式です。

現場の担当者だけで設定でき、低コストで小さく始めたい場合に向くでしょう。台車を押す作業が多く、経路が日によって変わる現場にも合います。ただし、多数台の統合制御や重量物の搬送には限界があります。人手運搬の一部を置き換える用途だと考えてください。

SLAM自律型

レーザーやカメラで周囲の地図を作り、自己位置を推定しながら走る方式です。誘導体がないため、レイアウト変更や障害物にソフトの設定だけで対応できます。人と同じ空間を動ける点が最大の強みです。

一方、導入時のマッピング調整には手間がかかります。反射の少ない広いフロアや、特徴の乏しい長い直線通路では自己位置の推定が不安定になりがちです。本体と構築の初期費用も、磁気誘導より高くなります。特徴の乏しい区画には、目印となる反射板を足す対策もあります。

ハイブリッド型

磁気誘導とSLAM自律を1台で切り替えて使う方式です。安定させたい区間は磁気、柔軟性が要る区間は自律と、区間ごとに使い分けられます。既存のAGV運用を残したまま、自律化を広げたい現場に向く方式です。

切り替えの設計が増えるぶん、運行設計の検討量は単一方式より多くなります。どの区間をどちらで走らせるかを、動線図の上で先に決めてください。移行の段取りが立てやすくなるはずです。安定重視の区間と柔軟性重視の区間を分けて考えると、整理しやすくなります。


03

【目的別】無人搬送車の選び方

ここからは、現場の優先課題ごとに選び方の起点を整理します。自社がどれに近いかで、見るべき方式と検討の重心が変わります。複数に当てはまる場合は、最も譲れない条件を主軸に据えてください。

定型ルートの搬送を最小投資で自動化したい

決まったルートの繰り返し搬送を、できるだけ安く自動化したい場合です。起点になるのは磁気誘導型で、床にテープを貼るだけで経路を作れます。誘導体の工事を避けたいなら、追従・ルート記憶型も候補に入ります。経路が決まっていれば、設定に要する期間も短く済むでしょう。

あわせて確認したいのは、今後どれだけレイアウトが動くかです。変更が年に数回までなら、貼り替えの手間は工事の軽さで十分に取り返せます。ルートが固定的な現場ほど、費用対効果は出やすくなります。

レイアウト変更が多い現場を自動化したい

什器や人が動き、通路の使い方が頻繁に変わる現場です。SLAM自律型が起点になり、地図の取り直しとソフト設定でルートを組み替えられます。誘導体の貼り直しによるダウンタイムが発生しません。

既存のAGVを残して段階的に自律化したい場合は、ハイブリッド型が選択肢に入ります。いずれも導入時のマッピング調整には時間が要ります。特徴の乏しい長い通路がないかを、事前に確認しておくと安心です。地図を作り直す頻度も、運用の手間として見積もっておきましょう。

パレット・重量物の荷役を自動化したい

パレット単位の荷役や重量物の搬送が主目的の場合です。無人フォークリフト(AGF)クラスが起点になり、最大3t級のパレットを扱える機種もあります。牽引型や低床型を組み合わせる構成も検討の対象です。

フォークの差し込み精度、パレット位置のばらつきの許容、保管ラックとの取り合いまで確認が要ります。軽量搬送より導入設計の難度は上がります。床の耐荷重と平坦度も、早い段階で調べておきましょう。実車でパレットを扱う試験をしてから、機種を選ぶと安心です。


04

【部門別】無人搬送車の選び方

同じ製品でも、主に使う部門が変われば評価すべき点が変わります。導入を進める部署と、日々動かす部署が違う点に注意が必要です。代表的な3部門で整理します。

生産技術部門

工程間の搬送を自動化し、ライン側への給材を安定させる立場です。見るべきは、運行管理ソフトの制御能力と、生産管理や製造実行システムとの連携方式になります。搬送指示を自動で出し、実績を戻せるかが判断の軸です。

タクトに合わせて必要台数を算出する役割も担います。ピーク時間帯に複数台が同じ通路を使う条件で、渋滞が起きないかを確認してください。稟議に載せる投資回収の数字も、この部門が組み立てます。実証で得た稼働データが、そのまま説明の根拠になります。

製造部門

現場で搬送車と並んで働く立場です。重視すべきは、呼び出しや停止の操作が簡単か、異常時に誰でも復帰させられるかという点になります。専任の担当を置けない現場ほど、この扱いやすさが定着を左右するでしょう。

作業者の動線と搬送車の経路が交差しないかも、現場の目で確認が要ります。導入前から現場を巻き込み、運用ルールを一緒に決めてください。現場が納得していない経路は、結局のところ使われなくなります。操作パネルの表示や音での合図も、受け入れやすさに効きます。

物流・倉庫部門

入出庫や出荷ピッキングの省人化を担う立場です。棚ごと作業者のもとへ運ぶGTP方式や、自動倉庫と連動する構成が検討の中心になります。倉庫管理システムとの連携範囲が、効果の大きさを決めます。

出荷の波動に対して台数が見合うかも、投資判断の重要な材料です。在庫の密度とピーク時の出荷量を、数値で押さえておきましょう。棚搬送は物量が一定以上ないと、投資に見合う効果が出にくくなります。倉庫の通路幅と棚の配置も、方式の選択を左右します。


05

【企業規模別】無人搬送車の選び方

企業規模は、置ける人員と投資の決め方に直結します。規模そのものではなく、規模から生じる制約で選び方が変わります。3つの段階で見ていきましょう。

中小企業

専任の担当者を置けず、製造や保全の兼務者が設備の面倒を見る体制が一般的です。現場だけで設定と復帰ができる方式を選んでください。追従・ルート記憶型や磁気誘導型のように、工事と設定が軽い構成が現実的です。導入後の問い合わせ窓口が国内にあるかも、確認しておきましょう。

1〜2台の単機導入から始め、月額のリース契約で初期投資を抑える方法もあります。上位システムとの自動連携は後回しにしてかまいません。人が呼び出す運用でも、省人化の効果は十分に測れます。

中堅企業

複数ラインや複数の建屋を持ち、搬送量が必要台数に影響する段階です。3台を超えると人手の交通整理が限界を迎えるため、運行管理ソフトの調停能力が重要になります。後から台数を増やせるライセンス体系かも確認しておきたい点です。拠点をまたぐ標準化も、この段階から意識しておくと後が楽になります。

社内に生産技術の担当がいる場合が多く、上位システムとの連携も検討範囲に入ります。ただし、一度に全工程へ広げると調整が追いつきません。1工程で実証し、横展開する順序を守りましょう。

大企業

拠点が多く、標準化とグローバルの保守体制が判断に効きます。自動倉庫や倉庫管理システムと一体で構築する提案が中心になります。要件定義から稼働まで、半年以上を見込む案件も珍しくありません。

確認項目は、フリート制御の上限台数、安全規格への適合、複数拠点へ横展開しやすいかの3点です。稟議の階層が深く、投資回収の根拠を数字で示す必要があります。実証のデータを早めに取っておくと、説明が通りやすくなります。保守契約の範囲と応答時間も、比較の対象に入れてください。


06

自社に合った無人搬送車の選定ポイント

ここまでの3つの切り口を、自社の条件に当てはめる手順です。上から順に確認していけば、手戻りをほぼ防げます。5つの項目を順に見ていきましょう。

  • 搬送物と現場条件を数値で固める
  • 誘導方式と可搬重量を決める
  • フリート台数と運行管理ソフトを確認する
  • 上位システムとの連携範囲を決める
  • 安全対策と実証の計画を立てる

搬送物と現場条件を数値で固める

最初に、搬送物の重量と形状、1搬送あたりの距離、1日の搬送回数を書き出します。ピーク時間帯の集中度と、何分以内に運び終える必要があるかも含めてください。この数字が、必要台数の根拠になります。図面に動線を書き込むと、抜けも見つけやすいでしょう。

現場環境も同時に測ります。床の材質と平坦度、段差やスロープ、通路幅、有人フォークとの混在度合いが対象です。ここが曖昧なまま見積を依頼すると、各社が別々の構成で回答し、比較ができなくなります。

誘導方式と可搬重量を決める

前の数値をもとに、磁気誘導かSLAM自律かを決めます。判断材料は、誘導体の工事を許容できるかと、今後レイアウトがどれだけ動くかの2点です。この一段目が、費用と拡張性のすべてに波及します。

可搬重量は、カタログの上限ではなく安全率を見て選んでください。上限ぎりぎりの運用では加減速時の安定性が落ち、停止距離も伸びます。将来の搬送物の変化も見込み、ひとつ上のクラスを検討すると安全側に立てます。牽引型では、連結する台車の総重量も能力に効くでしょう。

フリート台数と運行管理ソフトを確認する

複数台を同時に動かすなら、配車と経路を調停する運行管理ソフトが中枢になります。台数が2〜3台までなら、人手の調整でもしのげるでしょう。それを超えると、交差点や狭い通路で渋滞やデッドロックが起きます。

確認するのは、想定台数にソフトが追従できるか、増設時にライセンスや制御能力が頭打ちにならないかです。既存の充電ステーション数で回るかも見ておきましょう。充電待ちで実稼働が落ちないかも、台数の計算に織り込みましょう。増設計画があるなら、その台数を前提に選んでください。

上位システムとの連携範囲を決める

倉庫管理や製造実行システムから搬送指示を自動で出し、実績を戻す仕組みまで組むかを決めます。ここまで組むと人が指示を出す手間が消え、省人化の効果が一段上がります。どこまで自動で連携し、どこは人が介在するかの線引きを先に決めてください。

確認すべきは、連携方式、リアルタイム性、既存システム側の改修範囲の3点です。連携が入った瞬間に設計の工数が乗り、費用も期間も跳ね上がります。まず人が呼び出す運用から始め、効果を見て広げる二段構えも有効です。

安全対策と実証の計画を立てる

人と同じ空間で動かす以上、安全対策は必須の確認項目です。障害物の検知範囲、停止距離、復帰の手順は、現場で検証しておくことが重要です。止まりすぎて搬送が進まない過剰停止と、止まりきれないリスクの調整が運用のカギになります。

費用は本体だけでなく、周辺工事・システム構築・運用保守も積み上がります。だからこそ、効果の見えやすい1工程で1〜2台の実証から始めましょう。稼働率と搬送時間を実測してから台数を増やすと、投資回収の根拠も数字で示せます。


07

【比較表】無人搬送車の主要製品

製品データとして数値化できる5項目を、製造業適合性スコアで横並びにしました。工程管理・在庫管理・現場操作性・中小適合・生産管理の5つを、5段階で評価しています。並びは中小適合の高い順です。下へ向かうほど、想定する企業規模と導入の重さが上がります。

順位

製品

提供元

工程管理

在庫管理

現場操作性

中小適合

生産管理

価格の目安

1

CarriRo(キャリロ)

ミラボット(旧ZMP事業)

3

3

4

4

5年リース 月額34,000円〜/月額定額 98,000円〜

2

Doog サウザー(Thouzer)

株式会社Doog

3

3

4

4

構成により見積。誘導体工事不要で低コスト導入が可能

3

愛知機械テクノシステム Carry Bee

愛知機械テクノシステム株式会社

3

3

4

4

型・台数により見積。磁気誘導で比較的低コスト

4

オムロン モバイルロボット LD/HDシリーズ

オムロン株式会社

4

3

4

3

4

台数・周辺機器・システム連携により要見積

5

LexxPluss 搬送ロボット

株式会社LexxPluss

4

3

4

3

4

台数・運行管理構成により要見積

6

MiR(Mobile Industrial Robots)AMR

Mobile Industrial Robots(MiR)

4

3

4

3

機種・モジュール・台数により要見積

7

ダイフク 無人搬送車(AGV・AMR)

株式会社ダイフク

4

4

3

2

4

システム構築前提で個別見積。投資規模は大きい

8

村田機械 無人搬送車(AGV)

村田機械株式会社

4

4

3

2

システム構成により個別見積

9

ロジスネクスト 無人フォークリフト・AGV

株式会社ロジスネクスト

4

3

3

2

機種・誘導方式・台数により要見積

10

ギークプラス(Geek+)搬送ロボット

ギークプラス株式会社

4

4

3

2

台数・棚・WMS連携により要見積

CarriRoは提供元が二度変わっている点に注意が必要です。もとは株式会社ZMPの製品でしたが、2024年3月にコラボット株式会社へ事業譲渡されました。同社は現在のミラボット株式会社で、三浦工業グループに属します。ZMP社自体も、2025年4月にROBO-HI株式会社へ社名を変更しました。旧社名で調べると、現行の窓口にたどり着きにくくなります。問い合わせ先を確かめておくと確実です(2026年7月時点)。

生産管理などのスコアが「-」の製品は、機能がないという意味ではありません。評価の登録がない項目です。製品ごとの詳しい比較は無人搬送車の比較記事で扱っています。


08

無人搬送車の選び方で失敗しないための注意点

導入でつまずく原因の多くは、製品選定そのものより現場側の前提にあります。事前に知っておけば、稟議の段階で対策を示せるでしょう。よくある5つを、回避策とあわせて挙げます。

床条件と段差を甘く見る

床の凹凸、目地、勾配、わずかな段差でも、走行の安定性や積載物の揺れに影響します。とくに重量物の搬送では、床の平坦度と耐荷重が制約になります。段差の解消やスロープの調整が、先に必要になるでしょう。

回避策:候補を絞る前に、走行エリアの床を実測してください。追加の床補修が要る場合は、その工事費も見積に含めます。実車を持ち込んだ走行テストで確かめるのが確実です。実測した値は、そのままベンダーへ共有しましょう。

レイアウト変更の多さを見誤る

今後の変更頻度を確認せずに磁気誘導を選ぶと、貼り直しとダウンタイムが積み上がる原因になりかねません。運用の負荷が想定を超え、結局は止まったままになります。増設や新ラインの計画は、生産計画側にも確認が要ります。

回避策:3年先までの増設やライン変更の計画を、選定前に社内で確認しておきましょう。変更が見込まれるなら、自律型かハイブリッド型を検討します。工事の軽さだけで決めないことが大切です。貼り替えに要する時間も、見積の段階で聞いておきましょう。

現場の合意形成を後回しにする

よくあるのが、搬送車が作業者や有人フォークの動線とぶつかり、現場から敬遠されるケースです。使われない設備になり、投資を回収できません。通路を共有する時間帯や優先順位も、決めないままでは混乱します。

回避策:導入前から現場の作業者を巻き込み、動線と運用ルールを一緒に設計することが大切です。異常時の復帰手順も現場で決めます。使う人が納得した経路でなければ定着しません。試運転の段階から、実際に使う人に触ってもらいましょう。

過剰停止で稼働率が出ない

安全側に振りすぎると停止が多発し、想定した搬送能力を発揮できません。費用対効果の前提が崩れ、投資回収の計算も成り立たなくなります。人の通行が多い時間帯ほど、停止の回数は増えていきます。

回避策:検知範囲と停止条件は、現場で実測しながら調整する前提で計画してください。実証の段階で、ピーク時間帯の稼働率を測ります。調整の期間を工程表に組み込んでおきましょう。停止からの復帰が自動か手動かも、稼働率を左右します。

全工程へ一括で展開する

最初から全工程へ広げると、複数の課題が同時に発生し、対応が追いつかなくなりがちです。原因の切り分けができず、立ち上げが長期化します。現場の負担も同時に増え、改善への協力が得にくくなります。

回避策:効果の見えやすい1工程で実証を行い、稼働データを取ってから横展開してください。複数台が同じ通路を使う条件も、実証に必ず混ぜます。結果としては、そのほうが早く安く済みます。1工程目で固めた運用ルールが、そのまま横展開のひな形になるでしょう。

編集部コメント:見落とされやすいのがバッテリーと充電の設計です。連続稼働を見込んでいたのに、充電待ちで実稼働が想定の7〜8割にとどまる例があります。充電方式と必要なステーション数を、ピーク時の稼働シナリオで確認しておくと安心です。


09

まとめ

無人搬送車の選定は、誘導方式と搬送物の2点から始まります。この2つで機種の系統がほぼ決まるためです。種類は磁気誘導型・追従型・SLAM自律型・ハイブリッド型の4つに分かれます。

方向が定まったら、5つの項目を順に確認します。搬送物と現場条件の数値化、誘導方式と可搬重量、フリート台数と運行管理ソフトが前半です。後半は、上位システムとの連携範囲と、安全対策や実証の計画になります。よくある失敗は、床条件の軽視とレイアウト変更の見誤りです。合意形成の不足、過剰停止、一括展開にも注意が必要です。

基礎知識は無人搬送車の解説記事、費用は無人搬送車の費用の解説記事で扱っています。

無人搬送車(AGV・AMR)比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
LexxPluss 搬送ロボット ロゴ
LexxPluss 搬送ロボット株式会社LexxPluss要見積もり磁気誘導とSLAM自律を1台で切り替える国産ハイブリッドAMR詳細を見る
オムロン モバイルロボット LD/HDシリーズ ロゴ
オムロン モバイルロボット LD/HDシリーズオムロン株式会社要見積もりレーザーSLAMで誘導体レス自律走行、最大100台を統合制御するAMR詳細を見る
MiR(Mobile Industrial Robots)AMR ロゴ
MiR(Mobile Industrial Robots)AMRMobile Industrial Robots(MiR)要見積もり直感的な設定と豊富なモジュールで内部搬送を段階導入できる自律搬送ロボット詳細を見る
ZMP CarriRo(キャリロ) ロゴ
ZMP CarriRo(キャリロ)株式会社ZMP要見積もり追従搬送から自律走行まで段階導入できる物流支援ロボット詳細を見る
Doog サウザー(Thouzer) ロゴ
Doog サウザー(Thouzer)株式会社Doog要見積もり誘導体レスの追従・簡易自律で低コストに省人化する搬送ロボット詳細を見る
愛知機械テクノシステム Carry Bee ロゴ
愛知機械テクノシステム Carry Bee愛知機械テクノシステム株式会社要見積もり磁気テープを貼るだけで導入できる低コストAGV詳細を見る
ダイフク 無人搬送車(AGV・AMR) ロゴ
ダイフク 無人搬送車(AGV・AMR)株式会社ダイフク要見積もり自動倉庫・搬送システムと一体で構築できる物流最大手のAGV/AMR詳細を見る
村田機械 無人搬送車(AGV) ロゴ
村田機械 無人搬送車(AGV)村田機械株式会社要見積もり自動倉庫・クリーン搬送と連携、医薬・食品・精密分野に実績詳細を見る
ギークプラス(Geek+)搬送ロボット ロゴ
ギークプラス(Geek+)搬送ロボットギークプラス株式会社要見積もり棚ごと運ぶGTP方式で出荷物流を自動化する世界シェア上位の搬送ロボット詳細を見る
ロジスネクスト 無人フォークリフト・AGV ロゴ
ロジスネクスト 無人フォークリフト・AGV株式会社ロジスネクスト要見積もり有人フォークの知見を生かした無人フォークリフト(AGF)と牽引/低床AGV詳細を見る

よくある質問

QAGVとAMRの違いは何ですか?
A

AGV(無人搬送車)は床の磁気テープやQRコードなどの誘導体に沿って決まったルートを走る方式が中心で、定型搬送を安価・正確に行えます。AMR(自律走行搬送ロボット)はレーザーやカメラで周囲をマッピングして自己位置を推定し、誘導体なしで自律走行する方式で、レイアウト変更や障害物にソフト設定で柔軟に対応できます。一般に、ルートが固定的ならAGV、変更が多く人や什器が動く環境ならAMRが向きます。

Q無人搬送車の導入費用はどのくらいかかりますか?
A

費用は本体・周辺設備/付帯工事・SIer/システム構築・運用保守の4区分で積み上がります。1工程で1〜2台の単機導入なら本体中心で数百万円規模に収まることもありますが、複数台のフリート運用に運行管理ソフトや上位システム(WMS/MES)連携が加わると、SIer費用と周辺設備が積み上がり数千万円規模に達するのが一般的です。構成・現場・連携範囲で大きく変わるため実額は要見積となり、初期費用と年間の保守費を分けて複数年のTCOで比較することが重要です。

Q無人搬送車の導入で失敗しないためのコツはありますか?
A

まず搬送物・距離・動線・物量を数値で固め、誘導方式と可搬重量を決めてから候補を絞ります。床の段差や平坦度、今後のレイアウト変更の多さを事前に確認し、磁気誘導かSLAM自律かを慎重に選ぶことが重要です。さらに、いきなり全工程へ展開せず効果の見えやすい1工程で1〜2台のPoCを行い、稼働率や搬送時間を実測してから横展開します。現場の作業者を巻き込んで動線と運用ルールを一緒に設計することも、定着の大きなカギになります。

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