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比較#構造解析#CAE#FEM

おすすめの構造解析ソフトを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

構造解析ソフト主要7製品を、対応解析の範囲・ソルバーの実績・操作性とプリポスト環境・ライセンス形態・サポート体制の5項目で比較。7製品中6製品が個別見積もりとなる費用の内訳と、解析専任の人数や内製化の段階に応じた選定ポイントまで解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部
おすすめの構造解析ソフトを比較!基礎知識やできること、選び方までをわかりやすく解説!

構造解析ソフトは、部品や製品に力・熱・振動がかかったときの挙動を、FEMで計算するソフトです。同じ「構造解析対応」でも、静的応力までの製品もあれば、動解析・非線形・FSIまで扱う製品もあります。範囲を確かめずに選ぶと、必要な解析ができずに別のソフトを買い足すことになりかねません。この記事では主要7製品を同じ軸で並べ、解析テーマと体制から候補を絞る手順を整理しました。

  • 解析専任がおらず設計者がCAEを兼務するなら、設計者向けのマルチフィジクス製品
  • 解析専任が1〜数名で複数のテーマを1本で回すなら、ミドルレンジの総合FEM
  • 大規模モデルや非線形・FSIが日常業務なら、ハイエンドの汎用FEM
  • 外注解析を内製化するなら、線形静解析と固有値解析から段階的に

最初の分かれ目は、必要な解析範囲が応力までで足りるかどうかです。最終判断の前に、評価ライセンスで自社の実モデルを一通り解いてください。


この記事でわかること

01

構造解析ソフトの基礎知識

構造解析ソフトは、FEM(有限要素法)で構造物の力学的な挙動を計算するソフトです。対象は線形静解析から座屈・非線形・連成解析まで幅広く、製品ごとに守備範囲が違います。比較に入る前に、扱う範囲と用語を押さえておきましょう。

構造解析と応力解析の違い

構造解析は、物体に力・熱・振動などの負荷がかかったときの挙動全般を扱う解析の総称です。応力解析は、静的な荷重に対する応力・ひずみ・変形を求める分野にあたります。つまり応力解析は、構造解析の一部です。

静的荷重が主で、共振や衝撃の評価が要らない製品なら、応力解析中心でも運用は回ります。振動・衝撃・非線形のいずれかが業務に出る企業は、構造解析全般に対応する製品を選んでください。後から別のソフトを買い足す事態を避けられます。

構造解析が扱う解析の種類

構造解析の範囲には、静的応力、固有値、周波数応答、過渡応答、座屈の各解析が入ります。さらに非線形(材料・幾何学的・接触)、衝撃・落下、流体構造連成(FSI)も対象です。

自動車部品のNVH対策や回転体の共振回避は、固有値と周波数応答の組み合わせで解きます。製品の落下衝撃の評価には、動解析と接触非線形の両方が必要です。板金のプレス成形は複数の非線形が同時に絡むため、成形に特化したソルバーが効くこともあります。

線形解析と非線形解析の境目

線形解析は、変形が小さく、材料が弾性域に収まり、境界条件が変わらない前提で計算します。計算時間が短く、解が安定しやすい点が利点です。

ボルト締結部の接触やゴムの大変形では、線形の前提が成り立ちません。塑性変形を伴う衝突も同じで、非線形解析が必要になります。中堅製造業では、線形は社内で回し、非線形は外注している状態がよく見られます。内製化の次のステップとして、非線形に対応するソフトを検討する流れが一般的です。

ハイエンド・ミドルレンジ・設計者向けの3層

構造解析ソフトは、想定する使い手と守備範囲から3つの層に分けると整理しやすくなります。ハイエンドの汎用FEMは、大規模モデルや非線形・FSIまでほぼ全領域を扱います。ミドルレンジの総合FEMは、複数の解析テーマを1つの環境で回せる製品です。

設計者向けの製品は、設計者がCADモデルを持ち込み、手元で1次評価を回すことを前提にしています。層が上がるほど、初期費用と保守料、習熟の負担も大きくなる傾向です。

編集部メモ:「構造解析対応」の中身は、製品によって大きく違います。設計者向けでは、静的応力と簡易な固有値解析までという場合もあります。機能一覧と公式の事例ページを突き合わせてください。


02

構造解析ソフトの基本的な選び方

構造解析ソフトを選ぶ際には、自社に必要な解析範囲を先に確定させることが重要です。範囲が決まらないまま製品を並べると、機能の有無だけの比較になってしまいます。次の3段階で絞り込みましょう。

必要な解析種別を3年先まで洗い出す

線形静解析、固有値、周波数応答、過渡応答、座屈、非線形、熱応力、最適化、FSIを一覧にします。そのうえで、今後3年以内に自社で必要になる種別を社内で合意してください。

外注している解析テーマも、将来の内製化を見込んで一覧に入れておきます。先の領域まで含めて確認すると、買い替えのコストを抑えられます。合意した一覧をベンダーに渡し、対応可否を回答してもらう方法が最も漏れの少ない進め方です。

具体的な解析テーマで対応可否を確かめる

機能一覧の粒度は、ベンダーの定義によって違います。「非線形対応」とあっても、材料非線形までか、大変形や接触まで含むかで意味が大きく変わります。

「金属の弾塑性と接触の同時計算」のように、解きたいテーマを具体的に示して回答をもらってください。あわせて公式の事例ページで、自社の業界に近い採用例があるかも確かめましょう。表面的な機能リストでの行き違いを減らせます。とくに非線形や動解析は、後から対応できないと気づく落とし穴になりやすい領域です。

評価ライセンスで自社の実モデルを解く

営業デモや画面の写真だけでは、実務での解析リードタイムを見積もれません。評価ライセンスを取得し、簡略版で構わないので自社の実モデルを使いましょう。

メッシュ作成から結果の取得までを一通り試すと、解析1件あたりの工数を把握できます。CADデータの取り込み形式や、形状変更時の再メッシュの手順も確かめてください。メッシュ作成に想定の3倍の時間がかかり、解析が回らなくなった例は、どの層の製品でも見られます。


03

構造解析ソフトの比較項目

製品を並べるときは、同じ物差しを当てる必要があります。構造解析ソフトで見るべき項目は次の5つです。まず一覧で全体像をつかみましょう。

比較項目

見るべきポイント

対応解析の範囲

線形・動解析・非線形・FSIのうち、自社が3年以内に使う種別に対応するか

ソルバーの実績

自社の業界や、取引先・外注先で使われている実績があるか

操作性とプリポスト環境

モデル作成から結果の可視化までが1つの製品で完結するか。設計者でも扱えるか

ライセンス形態と必要本数

ノードロック・フローティング・トークン制のどれか。ピーク時の本数が足りるか

サポート体制

国内の窓口から日本語で技術支援や講習を受けられるか

対応解析の範囲

静的応力だけで足りるのか、動解析・非線形・FSIまで踏み込むのかを見る項目です。ハイエンドの汎用FEMは、ほぼ全領域をカバーします。設計者向けの製品では、動解析や高度な非線形が制限される場合があります。

モータの設計では、電磁界解析で得た電磁力を構造解析に渡し、振動まで評価する流れが一般的です。構造単体の製品では対応できないことが多いため、構造・電磁・熱を1製品で扱えるかも確かめてください。

ソルバーの実績

同じFEMでも、ソルバーごとに得意な領域と業界での採用実績が違います。大規模線形や振動の解析で、長く使われてきたソルバーが存在するのが一例です。非線形・FSIの領域で実績を積んできたソルバーもあります。

取引先のティア1メーカーや外注先の解析会社が、どのソルバーを使っているかも見てください。データの受け渡しに影響するためです。公式の事例やユーザー会の発表資料を当たると、業界別の採用傾向をつかめます。同規模の中堅企業での運用事例があるかも、判断材料に加えましょう。

操作性とプリポスト環境

メッシュ作成、境界条件の設定、結果の可視化は、解析にかかる時間の大半を占めることがあります。プリポストが同じ製品に含まれるか、別製品と組み合わせるかで運用の負荷が変わります。プリポストが直感的に使えるかは、ソルバーの性能と同じくらい重要です。

解析専任がいればハイエンドでも運用できますが、設計者全員で使うなら設計者向けのUIが有利です。STEPなどCADデータの取り込み形式と、形状変更時の再メッシュの手順も確かめましょう。

ライセンス形態と必要本数

主な形態は、ノードロック、フローティング、トークン制の3つです。ノードロックは特定のPCに固定し、フローティングは同時に使う本数で管理します。トークン制は、モジュールごとにトークンを消費する方式です。

複数人が同時に解析を回すならフローティング、モジュールを柔軟に切り替えたいならトークン制が向きます。本数が足りないと、繁忙期にライセンス待ちで解析が止まります。担当者の人数だけでなく、夜間バッチや教育中の利用も数えて見積もってください。

サポート体制

トラブル時の問い合わせ先と、応答までの速さを見る項目です。国内の代理店や開発元から日本語で支援を受けられるかどうかで、解析業務の継続性が変わります。

海外製の製品では本社サポートが前提になり、技術的な問い合わせに時間がかかることも少なくありません。講習会や受託解析、教育支援まで国内の窓口で受けられる製品もあります。日本語のドキュメントが整っているかも見ておくと安心です。導入後の育成計画とあわせて確認しましょう。


04

自社に合った構造解析ソフトの選定ポイント

同じ構造解析ソフトでも、解析専任の人数と内製化の進み具合によって最適な層は変わります。自社の体制に当てはめて、優先順位を付け直しましょう。よくある4つの型で整理します。

解析専任がおらず、設計者がCAEを兼務する企業

設計者が使いこなせるよう、操作性と対応解析の範囲のバランスを見ましょう。年商100億円規模で解析専任が1名以下なら、設計者向けの製品が起点として現実的です。設計プロセスに組み込みやすく、教育コストも抑えられます。

電機・精密機器で構造・電磁・熱をひと通り評価したい場合にも、有力な選択肢になるでしょう。本格的な非線形動解析が必要になった段階で、ミドルレンジを併用する2層体制に進む企業もあります。設計者が自ら解析を回す経験を積むと、設計と解析の間の翻訳コストが下がります。

解析専任が2〜4名いる中堅企業

まず確かめたいのは、対応解析の範囲とサポート体制です。年商300億円規模で解析専任が2〜4名なら、ミドルレンジの総合FEMが中核になりやすいでしょう。

振動・落下衝撃・熱応力を1つの環境で扱えるため、運用の簡素化と教育コストの削減を狙えます。ただし極端な大変形非線形やFSIの最先端事例では、ハイエンドに及ばないこともあります。最も負荷の重いテーマは、評価ライセンスで先に検証しましょう。

解析専任が5名以上で、複数拠点で解析を回す企業

ソルバーの実績と対応解析の範囲を最優先にしてください。年商500億円超で解析専任が5名以上なら、ハイエンドの汎用FEMを基幹に据える体制が定着しています。

1次評価用に、設計者向けの製品を併用する2層体制も一般的です。基幹ソフトは、取引先のティア1メーカーや外注先が使うソルバーとの整合も判断材料になります。拠点間でモデルを受け渡すなら、ライセンス形態と本数の設計も欠かせません。ハイエンドほど初期教育の負荷が大きいため、社内ガイドラインの整備も並行させてください。

外注解析から内製化を進める企業

外注している解析テーマを、社内で再現できる範囲から始めてください。よく見られるのは3段階の進め方です。まず線形静解析と固有値を社内化し、次に非線形と動解析を加えます。FSIや高度な非線形は、最後の段階で内製化するのが一般的です。

各段階の間に1〜2年の運用期間を置くと、解析プロセスの標準化と担当者の育成が間に合います。最初から最終形に投資すると、運用と教育が追いつかず、十分に活用されない可能性があります。

編集部メモ:体制を広げるときは、解析ガイドラインも整えてください。結果の妥当性を確かめる検証(V&V)の手順も欠かせません。実機試験との照合手順が無いと、解析結果が設計判断に使われなくなります。


05

構造解析ソフトの費用相場

構造解析ソフトは、主要7製品のうち6製品が個別見積もりです。必要なモジュールの組み合わせや本数で金額が大きく動くため、相場の金額は示しにくい分野といえます。見積もりを動かす内訳と、公開されている目安を整理しました。

費用の内訳

費用を左右する要因

公開されている目安(2026年時点)

ソフトウェア本体

必要なソルバーモジュールの組み合わせ。構造単体か、熱・流体・電磁まで含めるか

通常ライセンス年額23.8万円(税抜、1PC)(価格を公開する唯一の製品)

ライセンスの形態と本数

ノードロックかフローティングか。同時に使う本数や、トークン制の消費量

公開なし

並列計算の追加

大規模モデルを解くためのHPCトークンや並列ライセンスの追加

公開なし

年間保守

保守契約の範囲。ハイエンドほど初期費用・保守料とも高い傾向

公開なし

教育・社内の技術蓄積

研修の量、解析ガイドラインや計算条件の標準化にかける工数

公開なし

本体の価格だけで比べると総額を見誤ります。モジュール構成やフローティングの本数で、最終的な費用は数倍変わることもあります。必要な構成を先に決めてから見積もりを取ってください。


06

【比較表】構造解析ソフトのランキング

比較軸のうち、製品データとして数値化できる4項目を横並びにしたものが次の表です。工程管理・品質管理・現場操作性・中小適合を、製造業適合性スコア(5段階評価)で示しました。並びは中小適合の高い順です。上から下へ向かうほど、想定する企業規模と導入の重さが上がります。評価が設定されていない項目は「-」としています。

順位

製品

提供元

工程管理

品質管理

現場操作性

中小適合

価格の目安

1

MIDAS NFX

MIDAS Information Technology

4

4

4

4

マイダスアイティジャパン経由で個別見積もり

2

Femtet

ムラタソフトウェア株式会社

4

4

4

4

通常ライセンス 年額23.8万円(税抜、1PC)。60日無償トライアル有

3

Ansys Mechanical

Ansys, Inc.(Synopsys傘下)

4

4

3

2

個別見積もり。HPCトークン追加でスケール

4

Abaqus(SIMULIA)

ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)

4

4

3

2

SIMULIAトークン制。3DEXPERIENCE契約も

5

MSC Nastran

Cadence Design Systems(日本: エムエスシーソフトウェア株式会社/株式会社ソフトウェアクレイドル)

4

4

3

2

Hexagonトークン契約。並列ライセンス追加で価格変動

6

ADINA

ADINA R&D(Bentley Systems)

4

4

3

2

Bentley契約またはADINA契約。モジュール構成で変動

7

Simcenter 3D

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア

4

4

3

2

Simcenterスイート契約で個別見積もり

この分野は、提供元の資本関係の変化が続いている点にも注意が必要です。Ansysは、2025年7月にSynopsysの完全子会社となりました。MSC Nastranは、2026年2月からCadence Design Systemsの製品です。Hexagonのデザイン&エンジニアリング事業が、同社へ売却されたことによる変更です。見積もりの際は、現在の提供元と窓口を確かめてください(2026年7月時点)。製品ごとの詳しい情報は、構造解析ソフトカテゴリで確認できます。


07

構造解析ソフトの主要製品の詳細

ここからは表に挙げた7製品を、順位の並びのまま見ていきます。強みだけでなく、向かないケースもあわせて示しました。自社の解析テーマと体制に照らしながら読み進めてください。

MIDAS NFX

韓国のMIDAS ITが開発する総合FEMで、構造・熱・流体・最適化を1つに統合した製品です。線形静解析から非線形・接触、熱応力、動解析、疲労解析までを1つの環境でカバーします。

CADライクなUIで設計者も扱いやすく、設計者向けCAEを内製化する中堅製造業に向きます。国内ではマイダスアイティジャパン経由の個別見積もりです。

注意点:大規模な非線形動解析では、ハイエンドのソルバーに劣ります。航空宇宙のフルスケール解析にも向きません。

Femtet

ムラタソフトウェアが開発する、設計者向けのマルチフィジクスCAEです。応力・電磁波・磁場・電場・熱伝導・流体・圧電・音響の8つの物理現象を、1つのライセンスで扱えます。通常ライセンスは年額23.8万円(税抜、1PC)です(2026年時点)。60日間の無償トライアルも用意されています。

国産で日本語サポートが受けやすく、CAEを段階的に立ち上げる中堅・中小製造業が主な対象です。

注意点:大規模な非線形動解析や本格的なFSIには、対応しない領域があります。

Ansys Mechanical

Synopsys傘下のAnsysが提供する汎用構造ソルバーです。Workbenchに統合され、構造・熱・流体・電磁の連成まで広げやすい点が強みです。航空宇宙・自動車での実績があり、検証データやベンチマーク事例も公開されています。

解析専任チームを持つ中堅・大手企業に向きます。価格は個別見積もりで、HPCトークンの追加で計算規模を広げる仕組みです。

注意点:フル構成では年額が高額です。設計者が個人で回す小規模な利用には、オーバースペックになります。

Abaqus(SIMULIA)

ダッソー・システムズのSIMULIAブランドの汎用FEMです。非線形・接触・大変形の精度に強く、陰解法と陽解法を統合して運用できます。材料モデルが豊富で、研究開発や材料評価の部門に向きます。

非線形の精度に責任を持つ用途で、候補になるでしょう。価格はSIMULIAのトークン制で、3DEXPERIENCEでの契約もあります。

注意点:前処理の学習負荷が高く、ライセンス費用も高い部類です。線形静解析しか使わない設計者には向きません。

MSC Nastran

NASAのプロジェクトから派生したNastranをルーツに持つ、汎用FEMソルバーです。2026年2月からは、Cadence Design Systemsが提供しています。大規模並列での実績と安定性があり、航空宇宙・自動車の標準として使われてきました。

BDF形式は業界の事実上の共通言語で、大規模アセンブリで多荷重ケースを回す現場に向きます。

注意点:ライセンスとモジュールの構成が複雑です。プリポストは別製品と組み合わせるのが一般的で、設計者の片手間の運用には向きません。

ADINA

MITのK. J. Bathe氏が開発したFEMソフトです。2022年にBentley Systemsが買収し、同社の製品となりました。非線形(材料・接触・大変形)とFSIの領域で、長く実績を積んできました。医療機器や原子力、土木の大型構造物などで採用されています。

流体解析ソフトで解いた流体場を受け取り、構造側の連成解析に使う構成もあります。

注意点:解析者に非線形の理解が必要で、設計者が片手間で回す製品ではありません。線形静解析だけを大規模に回すなら、他のソルバーが割安な場合もあります。

Simcenter 3D

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの、CADとCAEを統合したマルチフィジクス環境です。同社のNXとシームレスにつながり、複数の物理現象の連成を扱えます。製造業の業務プロセスに組み込みやすく、事例や検証データが公開されている点も利点です。

Siemensの設計環境を軸とする企業に向きます。価格は、Simcenterスイート契約での個別見積もりです。

注意点:Simcenter以外のCADやCAEと組み合わせると、統合の効果が薄れます。他社のCAE基盤と並走させる運用には向きません。


08

構造解析ソフトの無料・有料でできることの違い

表に挙げた主要7製品は、いずれも有料のライセンスです。無料で確かめられるのは、評価ライセンスや無償トライアルの範囲までと考えてください。導入前にどこまで検証できるかを整理しました。

項目

評価ライセンス・無償トライアル

有料ライセンス

操作性の確認

自社の実モデルで、メッシュ作成から結果の取得まで試せる

日々の解析業務で継続して使える

解析種別

必要な種別に対応するかを、具体的なテーマで確かめられる

契約したモジュールの範囲で業務に使える

結果の妥当性

実機試験の結果と照らす簡易的なV&Vを試行できる

実機との照合手順を標準化して運用できる

利用期間

期間が限られる(60日間の例がある)

契約期間中は継続して使える

サポート

代理店や開発元の説明が中心

保守契約で問い合わせ対応や講習を受けられる

評価の期間中は、まず単純な静的応力の結果を実機のひずみゲージ値と比べてください。次に固有振動数を加振試験の結果と照合すると、モデルの精度が落ちる工程を見つけやすくなります。


09

まとめ

構造解析ソフトは、必要な解析範囲と社内の解析体制から層を決めると、候補を絞りやすくなります。設計者がCAEを兼務するなら、設計者向けの製品が出発点です。解析専任が数名ならミドルレンジ、大規模な非線形やFSIが日常ならハイエンドを軸にしましょう。外注解析の内製化は、線形静解析と固有値解析から段階的に進めてください。

候補が決まったら、評価ライセンスで自社の実モデルを一通り解いてください。メッシュ作成の工数と結果の妥当性を、そこで確かめます。そのうえで、モジュール構成と本数を揃えて見積もりを比べると判断がぶれません。製品は構造解析ソフトカテゴリで比較できます。

構造解析ソフト比較表

ロゴ製品名ベンダー価格モデル特徴
Femtet ロゴ
Femtetムラタソフトウェア株式会社サブスクリプション8物理現象を年額制で扱える設計者CAE詳細を見る
MIDAS NFX ロゴ
MIDAS NFXMIDAS Information Technology要見積もり設計者向けに構造・熱・流体・最適化を統合詳細を見る
ADVENTURECluster ロゴ
ADVENTURECluster株式会社アライドエンジニアリング要見積もりCGCG法で一億自由度超を解く国産の大規模構造解析ソフト詳細を見る
Ansys Mechanical ロゴ
Ansys MechanicalAnsys, Inc.(Synopsys傘下)要見積もりWorkbenchで多物理連成まで広げる汎用構造ソルバー詳細を見る
ADINA ロゴ
ADINAADINA R&D(Bentley Systems)要見積もり非線形・連成解析に強い構造CAE詳細を見る
MSC Nastran ロゴ
MSC NastranCadence Design Systems(日本: エムエスシーソフトウェア株式会社/株式会社ソフトウェアクレイドル)要見積もり大規模線形・固有値の業界リファレンス詳細を見る
Abaqus(SIMULIA) ロゴ
Abaqus(SIMULIA)ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)要見積もり非線形・接触・大変形の精度に強い汎用FEM詳細を見る
Simcenter 3D ロゴ
Simcenter 3Dシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア要見積もりCAD-CAE統合の次世代マルチフィジクスプラットフォーム詳細を見る

よくある質問

Q構造解析と応力解析は何が違いますか?
A

構造解析は物体に力・熱・振動などの外的負荷がかかったときの挙動全般を扱う総称で、応力解析はそのうち「静的な荷重に対する応力・ひずみ・変形」を求める一分野です。構造解析は固有値・動解析・座屈・非線形・FSIまで含むため、応力解析だけを比較するのと、構造解析全般を比較するのでは評価の難易度が変わります。

Qハイエンド・ミドル・設計者向けの境目はどう判断すればよいですか?
A

解析専任の人数と扱う解析テーマで判断するのが現実的です。解析専任が5名以上で大規模・非線形・FSIを日常業務にする企業はハイエンド、解析専任が1〜数名で総合的な解析を1製品で賄いたい企業はミドルレンジ、解析専任がいない・設計者主導で1次評価したい企業は設計者向けが起点になります。

QMSC NastranとADINAの主な違いは何ですか?
A

MSC Nastranは大規模線形解析・動解析・最適化での実績が長く、航空宇宙・自動車・重工業の業界標準として使われてきました。ADINAは非線形(材料・接触・大変形)と流体構造連成(FSI)の領域で実績があり、医療機器・原子力・大型構造物などで採用されています。線形中心ならNastran、非線形・FSIが中心ならADINAという使い分けがされます。

Q構造解析ソフトの価格はどのくらいですか?
A

多くのベンダーは公式に価格を公開しておらず、構成モジュール・ライセンス形態・本数によって大きく変動します。ハイエンド汎用FEMは初期費用・保守料がともに高く、ミドルレンジは中間、設計者向けは比較的抑えられる傾向がありますが、見積もりベースで比較するのが現実的です。

Q外注解析から内製化する場合、どのソフトから始めればよいですか?
A

多くの中堅製造業では、まず固有値・周波数応答・静的非線形までを内製化し、落下衝撃や本格的なFSIは外注を継続するパターンが現実的です。この段階ではミドルレンジ製品で十分なことが多く、内製化が進んでからハイエンドへの切り替え・併用に進むと運用が安定します。

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