メインコンテンツへスキップ
選び方・ノウハウ#デジタルピッキング#DPS#DAS

デジタルピッキング比較|DPS/DAS主要8メーカーを方式と用途で選ぶ

デジタルピッキングシステム(DPS/DAS)の主要8メーカー・グループを、方式(摘み取りDPS・種まきDAS・音声・搬送一体)、WMS/検品連携、配線と拡張性、処理能力、費用の観点で比較。少品種大ロットから多品種少量、大空間・冷凍、誤出荷防止まで、自社の出荷・仕分け用途に合う製品の絞り込み方を解説します。

製造業のシステム選定担当者ITトレンド編集部

デジタルピッキング(DPS/DAS)は、表示器のランプと数量表示で作業者を誘導し、紙のピッキングリストで起きていた棚探しの時間や数量間違いを減らす仕組みです。出荷量が増えても人を増やしにくい、ベテランしか速く正確に拾えない、誤出荷のクレームが減らない——こうした出荷・仕分け工程の悩みに対し、誰が作業しても一定の速度と精度を出せるようにするのが狙いです。ところがいざ製品を探し始めると、表示器を棚に並べる専業メーカーから、自動倉庫やコンベヤと一体で提案する物流システム大手、表示器を一切使わず音声で指示する方式まで候補が一気に広がり、どの軸で比べればよいのか分からなくなりがちです。

本記事では、出荷・仕分け用途で名前の挙がる実在8メーカー/グループを取り上げ、方式の違いと向き不向きを整理します。同じ「デジタルピッキング」でも、少品種を大量に出す現場と、多品種を少しずつ仕分ける現場では最適な製品がまったく異なり、製品名から入ると選定を誤ります。そこでまず方式(摘み取り・種まき・音声・搬送一体)と比較軸の前提をそろえ、続いて目的別の選び方、最後に各製品・グループの評価へと進みます。製品ごとの数値スペックや価格帯を一覧で見比べたい場合は、本文ではなくページ下部の比較表で確認できるようにしています。

結論:表示器のDPS/DASを単体で素早く導入したいならアイオイ・システムか富士電機、自動倉庫やWMS/WCSまで含めた大規模な物流センターを一から作る・刷新するならダイフクか村田機械が中心候補です。組立ラインへの部品供給やコンベヤ搬送と一体で組むならホクショーや中西金属工業、表示器を置けない大空間・冷凍環境で両手を空けたいならHoneywell音声、ピッキング後の検品で誤出荷を確実に止めたいならサトーが向きます。自社が「何を・どれだけの品種で・どこへ・どの物量で出すのか」を先に決めると、候補は自然と2〜3社に絞れます。

この記事でわかること

01

比較の前提と編集部の評価軸:DPS/DASと指示方式の違い

デジタルピッキングと一口に言っても、作業の流れによって大きく二つの方式に分かれます。DPS(Digital Picking System=摘み取り方式)は、出荷先や注文ごとに作業者が棚を回り、ランプが点灯した間口から表示数量だけ商品を取り出す方式です。注文単位で商品を集める「摘み取り」に向き、出荷先が多く品種も多い小口出荷の現場で力を発揮します。1注文を1人が完結させるため、出荷先ごとの仕分けがその場で済むのが利点です。

一方のDAS(Digital Assort System=種まき方式)は、先に商品ごとの総数を集品しておき、点灯した出荷先のボックスへ表示数量を投入していく方式です。同じ商品を多数の出荷先へ振り分ける「仕分け」に向き、店舗別の方面仕分けや小分け工程で使われます。摘み取りと種まきはどちらが優れているという話ではなく、出荷の形に合わせて選ぶもので、品種数や1出荷あたりの行数によって最適解が変わります。現場によっては前工程をDAS、後工程をDPSにするなど両方を組み合わせます。

さらに、作業者への「指示の出し方」にも種類があります。最も一般的なのは表示器(デジタル表示器)を間口に取り付ける方式で、ランプの点灯と数字表示で誰でも直感的に分かります。これに対し、ヘッドセットから音声で間口や数量を伝え、作業者が声で完了を返す音声ピッキング(ボイスピッキング)は、表示器を設置しにくい広い空間や、手袋越し・冷凍環境で表示が見づらい現場に向きます。ハンディ端末やプロジェクション投影を使う方式もありますが、本記事で扱う8社はおおむね表示器か音声、もしくは搬送設備との組み合わせで提案してきます。前提として、自社のピッキングが摘み取り寄りか種まき寄りか、そして表示器を棚に物理的に取り付けられるレイアウトかをまず確認しておくと、以降の比較がぐっと読みやすくなります。

編集部が見た5つの比較軸

編集部は、デジタルピッキング製品を【方式(摘み取りDPS/種まきDAS/音声/搬送一体)・WMS/検品連携・配線/拡張性・処理能力・費用】の5つの軸で比較しました。カタログ上の機能数ではなく、稼働後に効いてくる論点を優先しています。

  • 方式(摘み取りDPS/種まきDAS/音声/搬送一体):自社の出荷・仕分けの形に合う方式を持つか。摘み取りと種まきの両対応か、特定方式・特定構成に特化しているか。
  • WMS/検品連携:上位の倉庫管理システム(WMS)や生産管理・基幹システムと連携できるか。指示データを受け渡せるか、そしてピッキング後のバーコード検品まで含めて誤出荷を止められるか。
  • 配線・拡張性:表示器の配線方式と、品種・間口を増やしたときに棚を組み替えやすいか。省配線・無線対応で、レイアウト変更や増設時の工事負担を抑えられるか。
  • 処理能力:1時間あたりの処理行数(ライン数)や物量にどこまで耐えるか。大規模・高物量に振り切れるか、それとも中小規模に手頃に収まるか。
  • 費用:表示器の台数(間口数)規模に対する初期費用の目安、搬送・自動倉庫まで含めた場合の投資規模、保守・サポートの考え方。

この5軸で見ると、8社は「表示器DPS/DASの専業」「物流システム一体」「搬送ライン一体」「音声」「検品連動」という性格に大きく分かれます。同じ比較表に並べても、想定する案件規模や役割が違うため、まず自社がどのグループを必要としているかを見極めるのが先決です。以降ではまず目的別の選び方を示し、続いてグループごとに各製品の向き不向きを評価します。表示器の単価や具体的なスペック値はページ下部の比較表で確認してください。

02

目的別の選び方

製品名から入るより、自社の用途から逆引きする方が失敗しません。代表的な5パターンに整理しました。複数に当てはまる場合は、物量と品種数の大きい要件を優先軸に置くと判断しやすくなります。

少品種を大ロットで出す:種まきDASと搬送の組み合わせ

取扱品種が限られ、同じ商品を多数の出荷先へ大量に振り分けるなら、種まき方式(DAS)が基本です。商品ごとの総数を一度に集め、点灯したボックスへ投入していくため、品種が少ないほど投入動線が短く効率が上がります。物量が大きい場合はコンベヤ搬送や自動倉庫と組み合わせると、補充と仕分けが連動して処理能力が伸びます。逆に、少品種大ロットでDPSの摘み取りを無理に使うと、作業者が同じ棚を何度も往復することになり、せっかくの省人効果が薄れます。物量が読める定番品中心の出荷ほど、この組み合わせが効きます。

多品種を少量ずつ出す:摘み取りDPSが基本

出荷先ごとに多種類の商品を少量ずつ集める通販・小口出荷型なら、摘み取り方式(DPS)が向きます。注文単位でランプを追いながら集品でき、紙リストの探索時間と取り違いを減らせます。品種が増えるほど表示器の台数と棚の間口設計が成否を左右するため、後述する配線・拡張性の軸が効いてきます。季節やキャンペーンで取扱品種が増減する現場では、間口を組み替えやすい構成かどうかも併せて見ておきたいところです。

表示器を置けない大空間・冷凍:音声ピッキング

天井が高く間口が広い大型倉庫や、冷凍・冷蔵で手袋越しに表示が見づらい環境では、表示器の設置・視認そのものが障害になります。こうした現場ではヘッドセットで指示を受け、声で完了を返す音声方式が現実的です。両手と視線が空くため運搬を伴う作業と相性が良い一方、表示器のように「数字を一目で確認」する運用はできないので、品種が密集した細かい間口の摘み取りでは向き不向きが分かれます。広い動線をカートで回りながら拾うような作業に適しています。

生産ラインへの供給・搬送と一体化したい

出荷物流だけでなく、組立ラインへの部品供給(キッティング)やライン端での仕分けまで含めて自動化したいなら、搬送コンベヤや生産設備と一体で設計施工できるメーカーが候補になります。ピッキング表示器を独立して入れるより、搬送ラインの流れの中にデジタル指示を組み込む発想です。自動車・電機など、ライン供給の比重が大きい製造現場に向き、構内物流とライン供給をまとめて見直したいときに効果が出ます。

誤出荷を確実に止めたい:検品連動/省配線で広げたい

「ピッキング自体より、出荷前に間違いを確実に止めたい」というニーズなら、ピッキング後のバーコード検品と連動させる方式が効きます。表示器で集めた商品を出荷段階でスキャン照合し、ラベル発行やトレーサビリティまで一体で管理する構成です。また、店舗や棚の増設で間口を頻繁に組み替える現場では、省配線・無線対応の表示器を選ぶと拡張時の工事負担を抑えられます。なお、ピッキング後の構内運搬自体を自動化したい場合は、無人搬送車(AGV・AMR)との組み合わせも検討余地があり、人の歩行距離そのものを減らせます。

03

表示器DPS/DAS専業のグループ:アイオイ・システム/富士電機

まず、デジタル表示器によるDPS/DASを主軸に据える2社です。自動倉庫や大規模搬送を前提とせず、既存の棚に表示器を載せて素早く効果を出したい現場に向きます。比較的小さく始めて段階的に広げやすいのが共通点です。

アイオイ・システム:国産トップ、省配線AI-NETで拡張に強い

アイオイ・システムは、デジタルピッキング表示器の国産トップとされるメーカーです。摘み取りDPSと種まきDASの両方に対応し、累計の表示器導入は世界73ヶ国・500万台超とされ、実績の幅広さが大きな強みです。配線負担を抑える省配線の「AI-NET」系の仕組みやAIを活用した制御を打ち出しており、品種追加や棚の組み替えが多く拡張性を重視する現場に向きます。数十間口の小規模から大規模ラインまで段階的に広げやすく、まず一部ラインで効果を検証してから横展開する進め方とも相性が良い構成です。

弱みとして押さえておきたいのは、あくまで表示器ピッキングが主軸であり、自動倉庫やコンベヤまで含めた大規模物流センターを一社で丸ごと設計してほしいケースでは、別途搬送系のベンダーと組む前提になる点です。逆に言えば、搬送や保管の自動化までは求めず、棚回りのピッキングを確実に省人化・正確化したいという要件には過不足なく収まります。

編集部コメント:DPS/DASの表示器を主役に据え、まず確実に省人化したい現場の第一候補です。摘み取り・種まき両対応と省配線・拡張性、国内サポート網が効くため、品種増が見込まれる出荷・仕分け工程に向きます。一方で自動倉庫やWMS/WCSを含めた一気通貫の大規模構築を一社に任せたい場合は、物流システム大手と比較検討するのが妥当です。

富士電機:電機大手の品質と上位連携を重視する現場に

富士電機は、電機大手としての品質と上位システム連携を背景に、DPS/DAS両対応のデジタルピッキングを手がけます。生産管理や基幹システムとの上位連携を重視する製造業で、装置品質や保守体制の安心感を求める現場に向きます。表示器による摘み取り・種まきの基本機能を押さえつつ、電機メーカーとしての制御技術や継続性を生かせるのが特徴です。既に富士電機系の設備・制御を導入している現場ほど、データ連携やサポートの面で親和性が高くなります。

一方で、デジタルピッキング表示器そのものの導入台数実績の広さという点では専業のアイオイ・システムが比較対象になります。用途が純粋な表示器ピッキングに閉じるなら、機能・実績・価格の三点で専業メーカーと相見積もりを取り、上位連携の要件がどれだけ重いかで優先順位を判断するのが現実的です。

編集部コメント:上位システムとの連携や装置品質、メーカーとしての継続性を重視する製造業に向くDPS/DAS両対応の選択肢です。既存設備との親和性が効くため、評価の俎上に載せる価値があります。純粋な表示器ピッキング単体の価格・実績重視なら、専業メーカーと並べて検討してください。

04

物流システム一体のグループ:ダイフク/村田機械

次に、自動倉庫やWMS/WCSを含めた物流システム全体の中でデジタルピッキングを位置づける2社です。倉庫を一から作る、または大規模に刷新する案件に向き、投資規模とリードタイムは大きくなります。

ダイフク:物流最大手、大規模・高物量を一気通貫で

ダイフクは物流システムの最大手で、自動倉庫とWMS/WCS(倉庫制御)を一体で構築できる総合力が最大の強みです。GTP(Goods to Person=商品が人のもとへ届く方式)、DPS、DASを組み合わせ、大規模・高物量のセンターを設計から運用まで一気通貫で任せられます。物量が大きく、ピッキングだけでなく入出庫・保管・搬送まで含めて自動化したい大型案件で本領を発揮し、ピーク物量や将来の拡張を見据えた全体最適の設計が可能です。

半面、投資規模は数千万〜億単位になりやすく、設計・構築のリードタイムも長くなります。既存棚に表示器だけ素早く足したい小〜中規模の現場にはオーバースペックで、費用も期間も過大になりがちです。デジタルピッキング単体を低コスト・短納期で導入したいなら専業メーカーが適しており、ダイフクは「センター全体を作る・刷新する」という意思決定とセットで検討するのが妥当です。

編集部コメント:大規模物流センターを一社で設計から運用まで任せたい案件の本命です。自動倉庫・WMS/WCSとDPS/DAS/GTPを統合できる総合力は他社が容易に並べないレベルです。一方で、表示器ピッキング単体を低コスト・短納期で入れたい中小規模の現場には投資・期間ともに過大になりやすく、用途規模の見極めが前提になります。

村田機械:自動倉庫連携、医薬・食品・精密に実績

村田機械も自動倉庫との連携を軸に、DPS/DASと搬送を組み合わせた物流システムを提供します。医薬・食品・精密といった、品質管理やトレーサビリティの要求が厳しい分野での実績が特徴で、自動倉庫からの供給とピッキングを連動させたい現場に向きます。保管・搬送・ピッキングを一体で設計できるため、温度帯管理やロット管理が重い業種で全体を通した管理がしやすくなります。

総合的な物流システムベンダーである点はダイフクと共通するため、案件規模や得意とする業種、既存設備との相性で両社を比較するとよいでしょう。投資規模が大きくなる点も同様で、表示器ピッキングだけを安価に・短期に導入したい用途には、やはり専業メーカーが比較対象になります。

編集部コメント:自動倉庫と連動したDPS/DASを、医薬・食品・精密など品質要求の高い分野で組みたい場合の候補です。保管・搬送とピッキングを一体設計できる強みがあります。案件規模や得意業種でダイフクと比較し、純粋な表示器単体導入なら専業メーカーも併せて見積もるのが妥当です。

05

搬送ライン一体のグループ:ホクショー/中西金属工業

続いて、コンベヤや生産ラインの搬送と一体でデジタル指示を組み込む2社です。出荷物流に閉じず、ライン供給や工程内仕分けまで含めたい現場に向きます。発想が据え置き表示器とは異なり、搬送の動線設計が成否を左右します。

ホクショー:搬送コンベヤ連携、半自動バラピッキング

ホクショーは搬送コンベヤを得意とし、コンベヤと連携したデジタルピッキングラインや、半自動のバラピッキングを構成できるのが特徴です。商品を搬送で送りながらデジタル指示で仕分ける流れを作れるため、ライン上での連続的な仕分け・集品に向きます。歩行距離を抑えつつ一定のリズムで処理を続けられるのが利点で、出荷量が安定して多い現場で効きます。

一方で、表示器を棚に並べる据え置き型のDPSとは構成思想が異なり、搬送設備の動線設計が前提になります。搬送を伴わず棚回りの摘み取りだけを効率化したい用途では、表示器専業の方が構成も費用もシンプルで、コンベヤ導入のスペースや投資が見合わない場合は無理に搬送一体にする必要はありません。

編集部コメント:コンベヤ搬送とピッキングを一体で流したい現場、半自動のバラピッキングを組みたい現場に向く選択肢です。搬送動線の中にデジタル指示を組み込む発想が活きます。一方、搬送を伴わない据え置き棚の摘み取り中心なら、表示器専業の方が構成も費用もシンプルです。

中西金属工業(NKC):搬送一体の設計施工、ライン供給に強い

中西金属工業(NKC)は、搬送設備の設計施工を一体で手がけ、生産ラインへの部品供給やライン端の仕分けに強みを持ちます。自動車・製造分野での構内物流を、搬送と一体で設計したい現場に向きます。出荷物流向けの汎用デジタルピッキング製品というより、生産ラインと一体の搬送・供給システムの中にデジタル指示を組み込むイメージで、ライン供給の比重が大きい製造現場ほど適合します。

裏を返せば、純粋な出荷ピッキングの省人化だけが目的なら、専業や物流システム大手の方が要件に直結します。搬送設備の設計施工を含む案件として動くため、検討は構内物流全体やライン設計の見直しとセットになりやすく、その前提で相談先を選ぶのが現実的です。

編集部コメント:生産ラインへの部品供給やライン端仕分けを、搬送設備ごと一体で設計施工したい自動車・製造系の現場に向きます。構内物流とラインを通して最適化できるのが強みです。出荷ピッキング単体の省人化が主目的なら、専業・物流大手と比較する方が要件に直結します。

06

音声と検品連動のグループ:Honeywell音声/サトー

最後に、表示器とは異なるアプローチで弱点を補う2社です。表示器を置けない環境を音声でカバーするHoneywell、ピッキング後の検品で誤出荷を止めるサトーで、いずれも他方式と組み合わせて使うこともできます。

Honeywell音声(Vocollect):ハンズフリーで大空間・冷凍に

Honeywell音声(Vocollect)は、ヘッドセットを通じた音声指示でピッキングを誘導する方式です。間口や数量を音声で伝え、作業者は声で完了を返すため、両手と視線が空き、表示器の設置・視認が難しい現場でも運用できます。天井が高く間口の広い大空間や、冷凍・冷蔵で表示が見づらい環境に向き、表示器が不要な分だけ棚側の設置物と配線を減らせます。カートで広い動線を回りながら拾う作業との相性が良好です。

一方で、数字を一目で確認できる表示器と違い、密集した細かい間口の摘み取りや、音声指示に不慣れな作業者の立ち上げには配慮が要ります。多言語対応や騒音環境での音声認識精度、ヘッドセットの装用感など、現場条件に合うかを実機で確かめてから本格展開するのが安全です。導入時には音声テンプレートの調整や作業者の慣熟期間を見込んでおくとよいでしょう。

編集部コメント:表示器を置きにくい大空間・冷凍環境で、両手を空けて作業したい現場に向くハンズフリー方式です。棚側に表示器を増設せずに済む点も利点です。半面、数字を一目で見たい細かい摘み取りや、音声運用に不慣れな現場では立ち上げに配慮が必要で、実機での認識精度確認を前提に検討してください。

サトー:ピッキング後の検品連動で誤出荷を止める

サトーは、ラベル・バーコード機器とトレーサビリティに強みを持ち、ピッキング後のバーコード検品と連動させて誤出荷を防ぐ構成が特徴です。デジタルピッキングで集めた商品を出荷段階でスキャン照合し、ラベル発行や履歴管理まで一体で扱えます。誤出荷の防止と出荷品質の証跡を重視する現場に向き、小〜中規模からでも導入しやすいのが利点です。摘み取りや種まきの表示器と組み合わせ、「集めたものを最後に確実に照合する」役割として導入する手もあります。

ただし、大規模な摘み取り・種まきラインそのものの物量効率を最大化する用途では、表示器専業や物流システム大手が比較対象になります。サトーは検品で「最後の砦」を固める発想の製品と捉えると位置づけが分かりやすく、ピッキングの省人化と検品の確実化のどちらが主目的かで、他社との役割分担を整理するとよいでしょう。

編集部コメント:ピッキング後のバーコード検品で誤出荷を確実に止め、ラベル・トレーサビリティまで一体管理したい現場に向きます。小〜中規模から始めやすいのも実務的です。一方、大ロットの摘み取り・種まきライン自体の物量効率を突き詰めるなら、表示器専業や物流システム大手と役割を分けて比較するのが妥当です。

07

導入時の注意点

製品を絞り込んだあとに見落としがちな実務の論点を挙げます。デジタルピッキングシステムの製品一覧で各社を当たる際も、次の点を見積もり依頼時に確認すると比較がぶれません。

  • 配線・設置工事:表示器を間口ごとに取り付ける方式では配線量が費用と工期に直結します。省配線・無線対応なら工事負担を抑えられますが、その分の機器単価とのバランスを見ます。既存棚の構造や材質に表示器を取り付けられるかも、事前の現地確認が欠かせません。
  • 品種増による費用増:間口(表示器)を増やすほど機器費用が積み上がります。将来の品種数・出荷先数の伸びを見込み、間口あたりの単価と増設のしやすさを最初に押さえておくと、稼働後の想定外の追加投資を防げます。閑散期と繁忙期で必要間口が大きく変わる現場では特に重要です。
  • WMS・上位システム連携:ピッキング指示の元データは上位の倉庫管理・生産管理システムから来ます。連携方式(API・ファイル連携など)と、既存システムとの接続実績を確認しないと、表示器を入れても運用が回りません。連携の作り込みに別途費用と期間がかかる場合もあるため、見積もり段階で範囲を明確にします。
  • レイアウト変更への追従:棚の増設・移設や季節波動で動線が変わると、配線済みの表示器の組み替えが発生します。レイアウト変更が多い現場ほど、配線方式と組み替えの容易さを優先軸に置くべきで、無線・省配線の利点が効いてきます。
  • 導入期間とスモールスタート:表示器単体なら比較的短期間で立ち上がりますが、自動倉庫や搬送と一体の構築は設計から稼働まで長くなります。まず一部ラインで効果を検証し、段階的に広げられる構成かどうか、検証で得た数値を横展開の根拠にできるかも確認しておきたい点です。
  • 運用・保守と作業者教育:表示器や音声端末は消耗品の交換や障害時の切り分けが発生します。保守契約の範囲、故障時の代替運用、作業者への操作教育まで含めて稼働後の体制を見積もっておくと、導入後に「使いこなせない」事態を避けられます。多言語の作業者が多い現場では表示・音声の言語対応も確認します。
08

まとめ

デジタルピッキングの選定は、製品名より「自社の出荷・仕分けの形」から入るのが近道です。摘み取り中心か種まき中心か、表示器を棚に付けられるレイアウトか、搬送や自動倉庫まで含めるのか、検品で誤出荷を止めたいのか——この前提が定まれば、候補は自然に絞れます。逆に前提を曖昧にしたまま機能比較を始めると、規模感の違う製品を横並びにして判断を誤りがちです。

表示器のDPS/DASを単体で素早く入れるならアイオイ・システムや富士電機、自動倉庫・WMSまで含めた大規模センターならダイフクや村田機械、生産ライン供給や搬送一体ならホクショーや中西金属工業、大空間・冷凍で両手を空けるならHoneywell音声、検品で誤出荷を止めるならサトー、という役割分担が目安です。各製品の具体的なスペックや費用感はページ下部の比較表で確認し、2〜3社に絞ったうえで自社のレイアウト・品種数・物量を伝えて見積もりを取ると、判断がぶれません。

デジタルピッキングシステム(DPS/DAS)比較表

製品名ベンダー価格モデル特徴
アイオイ・システム デジタルピッキング(DPS/DAS)株式会社アイオイ・システム要見積もり
  • 省配線でレイアウト変更に強い
  • 圧倒的な導入実績
  • DPS/DAS両対応
詳細を見る
富士電機 デジタルピッキング/仕分け(DPS/DAS)富士電機株式会社要見積もり
  • DPS/DAS両対応
  • 電機大手の品質・サポート
  • 上位システム連携
詳細を見る
ホクショー デジタルピッキングラインホクショー株式会社要見積もり
  • 搬送と一体のライン化
  • 仕分け効率の向上
  • 物流設備の設計力
詳細を見る
Honeywell 音声ピッキング(Voice/Vocollect)日本ハネウェル株式会社要見積もり
  • 手と目を空けられる安全性
  • 設置の自由度(表示器不要)
  • 大空間・低温に強い
詳細を見る
ダイフク デジタルピッキング/仕分けシステム株式会社ダイフク要見積もり
  • 物流全体の最適化
  • 大規模・高物量に対応
  • 自動倉庫・搬送と一体設計
詳細を見る
村田機械 ピッキング/仕分けシステム村田機械株式会社要見積もり
  • 自動倉庫との連携
  • 品質要求の高い現場の実績
  • 保管〜出荷の一体構築
詳細を見る
中西金属工業(NKC)ピッキング/搬送システム中西金属工業株式会社(NKC)要見積もり
  • 搬送と一体の設計施工
  • 生産ラインへの適合
  • 現場構築力
詳細を見る
サトー ピッキング/検品(ラベル連携)株式会社サトー要見積もり
  • 検品連動で誤出荷を防止
  • ラベル発行〜トレーサと一体
  • 小〜中規模から導入しやすい
詳細を見る

よくある質問

QDPS(摘み取り)とDAS(種まき)はどちらを選べばよいですか?
A

注文・出荷先ごとに多種類の商品を集める通販・小口出荷型なら摘み取り方式のDPS、同じ商品を多数の出荷先へ振り分ける店舗別仕分け・小分け型なら種まき方式のDASが基本です。少品種大ロットはDAS+搬送、多品種少量はDPSが向きます。現場によっては両方を組み合わせ、アイオイ・システムや富士電機のように両方式対応の製品を選ぶ手もあります。

Q表示器のデジタルピッキングと音声ピッキングはどう使い分けますか?
A

ランプと数字で一目で確認できる表示器は、品種が密集した細かい摘み取りや据え置き棚の現場に向きます。一方、Honeywell音声(Vocollect)のような音声方式は、天井が高い大空間や冷凍・冷蔵で表示が見づらく両手を空けたい現場に向きます。表示器を物理的に設置・視認しづらい環境かどうかが分かれ目です。

Q中小規模の出荷現場でも導入できますか。費用はどのくらいですか?
A

表示器を既存棚に載せる構成なら、数十間口規模の中小現場でも段階的に導入できます。費用は表示器の台数(間口数)と配線方式に比例し、省配線・無線対応だと工事負担を抑えられます。誤出荷防止が主目的ならサトーのように検品連動から小さく始める選択肢もあります。自動倉庫や搬送まで含めると数千万〜億単位の投資規模になるため、まず一部ラインで効果検証してから広げるのが安全です。

デジタルピッキングをもっと詳しく探す